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国立大学法人 徳島大学様
ハイブリッドクラウドによる
先進的な大学ICT環境を構築
- 業種:
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- 文教・科学
- 業務:
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- 共通業務
- 製品:
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- シンクライアント
- ソフトウェア/運用管理
- ソフトウェア/コラボレーション
- ソリューション・サービス:
-
- クラウド
- 基盤技術/サーバ仮想化/デスクトップ仮想化
徳島大学様は、サービス提供体制の強化と、災害発生を想定した学内システムの可用性強化を目的に、国立大学法人として先立って基幹業務の一部をクラウドに移管。プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスを組み合わせたハイブリッドクラウドサービスにより、利便性や柔軟性の高いICT環境を構築しました。システム運用コストの削減と、本業である教育・研究サービス、利用者サービスのさらなる向上が期待されています。
事例の概要
課題背景
- 情報システム部門の組織体制と、求められている運用管理業務がマッチしておらず、24時間365日のサービス及びサポートの提供が難しくなっていました。
- ほぼすべてのサーバ資源が学内に集中しており、災害発生時の体制が脆弱、かつ運用上のセキュリティリスクを抱えていました。
- 学内システムが個々に管理されており、各システムへのログインが煩雑で、IDも複数管理が必要でした。
成果
- プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスを組み合わせたことで、システム運用コストを抑えながら、24時間365日のサービス提供が可能な構成となり、可用性が強化されています。
- 教務システムや図書館システムなどの業務システムとeラーニングシステムをプライベートクラウドで提供することにより、災害発生時もシステムを止めることなく、教職員や学生が保有する情報を安全に運用管理することが可能になりました。
- 多くの学内システムを、ひとつのID、シングルサインオンでどこからでも利用することが可能になり、ファイルの共有やコミュニケーションの活性化が進んでいます。
導入ソリューション
ハイブリッドクラウドによる、先進的な大学ICT環境
徳島大学様がハイブリッドクラウドで構築した新しい大学システムは、次のような特徴を持った先進的なICT環境です。
業務システムは、プライベートクラウドへ移行
教務システムや図書館システム、eラーニングシステムは、学外データセンター(プライベートクラウド)に移行し、高いセキュリティ・可用性・耐障害性を確保。計画停電時や災害発生時も、24時間365日のサービス継続が可能な構成を実現しています。
ポータルと学生用メールサービスにパブリッククラウドを採用
国内で初めて(株)セールスフォース・ドットコムの「Chatter」をベースとしたポータルサービスを全学で導入し、ユーザビリティの向上と情報提供の効率化を実現。また、学生用メールサービスには、日本マイクロソフト(株)の「Microsoft Office 365 for Education」を採用し、利便性の高いサービスを低コストで実現しています。
演習用システムは、学内オンプレミス
演習用システムには、ネットブート型のシンクライアントシステムを新たに採用。一斉型実習でのパフォーマンスやセキュリティを重視し、作動基本ソフトを学内で管理・運用しています。
また、マルチデバイスを使用しての学外からのリモートアクセスも実現し、利用環境が広がっています。
NECの認証技術で、学内システムを統合
従来は個々に管理されていた学内のシステムを、NECの統合認証管理製品「WebSAM SECUREMASTER」とShibboleth(*)技術を用いて統合。プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスのサービスをシングルサインオンで利用することが可能になりました。
- (*)Shibboleth(シボレス):米国Internet2/EDUCAUSEが開発する、認証の世界標準SAML2.0に準拠した、シングルサインオンを実現するオープンソースソフトウェア。
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事例の詳細
導入前の背景や課題
徳島大学様は、明治初期に創設された徳島師範期成学校が母体となり、1949年に創立した国立大学法人です。工学部、総合科学部など5学部からなり、学生数は約8,000名、教職員数は約3,000名。教員養成をはじめ、工学・薬学・医学分野で高いレベルの教育を提供する、歴史と伝統のある大学です。
これまで徳島大学様では、学生向けメールシステム、教務システム、図書館システムなどをオンプレミスで運用してきました。情報化推進センター長 上田哲史氏は、当時の課題を次のように振り返ります。「われわれの組織体制と、求められている情報システムの運用管理業務が必ずしもマッチしておらず、24時間365日の安定したサービス提供が難しくなっていました。しかも、ほぼすべてのサーバ資源が学内に集中しており、災害発生時の体制が脆弱、かつ運用上のセキュリティリスクも高かったのです」。
そして2010年、徳島大学様は学生と教職員向け情報サービスの質を高めるという方針を掲げ、教育・研究の運用サポートが中心になっていた組織体制を、サービス強化を軸にした組織へと大きく改正されました。この方針に沿って、学内システムの刷新にも着手されました。
選択のポイント
新システムの仕様策定において、徳島大学様が重視したのは、可用性の担保。教職員に負荷がかかることなく、安定したサービスが提供できる情報基盤を目指しました。さらに、クラウドサービスを利用してBCP/DRを強化し、運用コストの削減を図ることでした。「学生サービスを強化するため、ポータルサービスと学生用メールサービスは外部のデータセンター、パブリッククラウドを採用することにしました」(情報化推進センター ICT推進室長 松村健氏)。
NECは、各システムの特徴に応じて、プライベートクラウド、パブリッククラウド、オンプレミスを組み合わせた、費用対効果の高い提案を行いました。松村氏は次のように説明します。「今後5年間は安定して使える、当学にふさわしい次世代のシステムを提案いただき、総合評価落札方式での入札の結果、NECに新システムの構築を依頼することになりました。NECは、われわれの課題と真摯に向き合い、SIerの立場で最適な解決方法を提示してくれたのです。しかも、最もチャレンジングで先進的なソリューションでした」。
そして2012年3月より、新システムの運用が開始されています。
導入後の成果
徳島大学様は、この新しいハイブリッドクラウドのしくみによって、システムの可用性を強化し、情報サービスの質向上という大きな目的を実現できるICT環境を整備することができました。
情報化推進センター 情報マネジメント室 室長 松浦健二氏は、学内での反応について以下のように話します。「『学外からも利用できるようになった』とか、『こんな掲示の仕方もできる』『スマホでも使える』など、便利になったとの声が聞かれます。また教職員には、組織を超えたフラットな連携がしやすいシステムであることが、理解されてきました。これから本格的に普及させていきたいですね」。
情報化推進センター 情報基盤 セキュリティ室長 佐野雅彦氏は「プロビジョニング/デプロビジョニング(*)の集中管理に要する業務工数が、大幅に削減されたことも大きな効果」だと強調します。
- (*)プロビジョニングとは、ユーザの需要を予想し、ICT機器やサービスなどのリソースを計画的に調達し、ユーザの必要に応じたサービスを提供できるように備える業務。デプロビジョニングは、サービスの停止・廃止時に、ユーザのアクセス権や権限を取り消す業務。
Chatterをベースとしたポータルサービスの導入効果については、情報化推進センター 特任助教 関 陽介氏が次のように付け加えます。「Chattarを介してメッセージ連携がなされるので、授業に必要な課題やレポートなどの情報を公開することで、学生はどこからでも閲覧できるようになりました。今後、ファイルの共有やコミュニケーションの活性化が進むなど、さまざまなメリットが期待できます」。
今後の展望
プライベートクラウドの領域を拡大。運用形態の分析も
徳島大学様では今後、シングルサインオンで利用できるシステムの領域を拡げていく考えです。佐野氏は「外部のデータセンターで運用するシステムを増やすことで、大規模災害時にもサービスを継続できる体制を、さらに強化したい」と話します。
上田氏は「学内システムの統合が進んだことで、運用に関する情報を集めやすくなり、プロビジョニング/デプロビジョニングにおける特性もつかめるようになりました。今後は運用に関するデータ分析にも注力し、次期システムの戦略へも活かしたいと考えています」と語ります。システム運用コストの削減と、本業である教育・研究サービスのさらなる向上も、学内で期待されています。
お客様プロフィール
国立大学法人 徳島大学
所在地 | (本部)徳島県徳島市新蔵町2丁目24番地 |
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創立 | 1949年5月31日 |
学長 | 香川 征 |
主な学部 | 総合科学部 工学部 医学部 歯学部 薬学部 |
URL | https://www.tokushima-u.ac.jp/ |
この事例の製品・ソリューション
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(2012年9月14日)