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50年以上にわたる医療・ヘルスケア技術への取り組み

さまざまな分野で、高齢化や人材不足の影響が顕著です。医療や介護・福祉などヘルスケアに関わる領域でも、医師や看護師、介護士の不足をはじめ、熟練した技術スタッフの減少、各部門における医療情報の円滑な共有、医療品質の向上、医療ミスの低減、予防医療の強化、外国人患者の急増などが課題となっています。また、近年では長時間労働を減らし、柔軟で健全な労働環境を実現する「働き方改革」の推進から、医療・ヘルスケアの業務現場における全体的な効率化・省力化が求められています。
NECは、1966年に日本初のレセプト(診察報酬請求書)システムを開発して以来、50年以上にわたり医療・ヘルスケア分野に向けた、多種多様なシステムや技術を提供してきました。

今回は、過去のNEC技報に掲載された特集や論文から、医療・ヘルスケア向けに開発された多彩なソリューションや技術の歴史を振り返ります。

1960年代から実績を持つNECの医療システム

1966年に日本初のレセプトシステムを実現したのが、医療分野へ取り組むNECのスタートラインです。その後、1970年代から病院内の部門業務を効率化し最適化するパッケージとして、医事会計や臨床検査、薬品在庫管理、医療画像の各システムをはじめ、薬局向け調剤機などを開発し、全国の医療機関へ提供しました。

『NEC技報』Vol.61 No.3の表紙

1980年代から90年代にかけては、部門間のシステムをネットワークで結び、病院内で医療データを統合的に共有・活用する、オーダリングシステムや看護支援システムなどを開発しました。次いで21世紀を迎えるとともに、本格的な電子カルテシステムの構築に取り組みます。

NECが2000年に開発した電子カルテシステム「MegaOak-NEMR」は、その導入・運用形態やカルテ情報の活用、セキュリティの確保、レスポンスタイムの高速化などのテーマで試行錯誤の繰り返しでした。その後、多くの実績や技術の進歩に支えられ、たゆまぬ機能の拡張とともに完成度が高まります。そして、2006年にはシステム構造の見直しを行い、先進機能を備えた「MegaOak HR」が登場しました。
「MegaOak HR」は、カルテの電子化だけでなく病院内の診察や会計、院内物流など多彩な情報との連携により、業務の効率化はもちろん、診療の質的向上や医療ミスの防止、病院経営の改善などを支援することを目指しました。

更に、2013年には、医療を取り巻く環境が激しく変化していくなか、より安全でより安心な医療環境の提供を目指した電子カルテシステム「MegaOak・iS」を発表しました。ノンカスタマイズパッケージ導入&レベルアップ方式により常に最新機能を提供することで、医療現場の業務改善を支援し続けます。

電子カルテシステム「MegaOakHR」

電子カルテシステムソリューションの中心となるMegaOakHRは、オーダ指示・カルテ記述・情報参照など、医療情報の記録・共有を行います。本稿では、MegaOakHRの開発に至った背景をふまえ、その新機能と内部構造の変更を紹介します。

並川 寛和・宮川 力・佐藤 雄亮・高島 浩二
(NEC技報 Vol.61 No.3 2008年7月)

医療を支える通信基盤や医療技術もサポート

NECは、病院内の情報を統合活用する仕組みづくりだけでなく、病院全体を支えるネットワーク基盤や、地域医療を支援する数多くの技術の開発にも注力してきました。
例えば、ネットワークの拡張に短時間で柔軟かつスケーラブルに対応できる、SDN(Software Defined Network)もその1つです。大規模な病院では、部門単位や支部単位でネットワークを構築する例が多く、機器の追加や変更も頻繁に発生するため、全体の把握が困難なほど複雑化していました。世界で初めてOpenFlowを商用化したSDNの導入で、運用管理の負荷低減や安定性の確保、組織の拡大へ柔軟に即応できる拡張性や設定変更など、医療分野において高い評価を受けました。

また、訪日観光客や外国人労働者の増加とともに病院の利用が増え、言語の障壁が課題となりました。NECは2013年に、早くも通訳クラウドサービスを実用化しています。当初は、病院や薬局でテレビ会議サービスを基盤に運用しましたが、現在はスマートフォンやタブレットなどの専用アプリを利用するのが主流となっています。

乱立する部門LAN、移動する検査機器 医療現場のネットワークをOpenFlowで改革

金沢大学附属病院様のネットワークは、部門単位で構築・拡張してきたため、現状把握が困難なほど複雑化していました。また、このように複雑化したネットワーク環境では、頻繁に発生する機器の追加に対応するのも困難であり、ネットワークの設定変更に非常に手間が掛かっていました。そこでOpenFlowに対応したNECの「UNIVERGE PFシリーズ」を採用。運用管理負荷の低減など、さまざまな成果を上げています。現在、同院は更なるOpenFlow利用の拡張を計画中です。ポータブル検査機などを、どのLANポートに接続しても適切なネットワークポリシーが適用される、「ユニバーサル接続」の実現などに大きな期待を寄せています。

導入事例:金沢大学附属病院様
(NEC技報 Vol.66 No.2 2014年2月)

多彩な見守り技術で高齢者の健康と安全に貢献

NECは医療機関内のシステムだけでなく、人々の健康を見守るヘルスケア技術の開発にも力を入れてきました。2013年には、在宅の患者が薬の飲み忘れを防止する服薬促進・服薬検知技術を開発しました。服薬時間になると薬剤ケースのLEDが点滅し、錠剤を取り出すと消灯して服用した時間を記録します。服薬データはスマートフォンなどのアプリを介して、医師や薬剤師へ送信される仕組みです。2019年には、患者の同意のうえで医療従事者が服薬状況を閲覧可能なデジタルヘルスプラットフォームを開発しました。今後、服薬データに紐付く生活行動データ、バイタルデータや電子お薬手帳などとの連携機能も拡充していく予定です。また薬剤ケースについては、サイズの異なるPTPシートをそのまま装着可能な汎用モデルの提供に向け、準備を進めています。

また、血圧を定期測定する低負荷血圧測定技術の開発にも取り組みました。従来の24時間血圧測定装置は、腕帯とバッテリーが分離して活動しにくく、腕への強い圧迫が安眠を妨げていました。低負荷血圧測定技術は、腕帯とバッテリーを一体化して軽量にし、圧迫を低減して測定者の負担を目指すものです。

2016年には、IoTを活用した高齢者見守りソリューションを実用化しています。見守り対象者が装着した小型センサーで脈拍や体温、心拍、睡眠状態、位置情報などをWi-FiやBluetoothを通じて家族や介護士へ伝送し、「普段と違う」状態を検出します。リスクの予兆を素早く検知し、見守り対象者の健康や安全を守ります。

ウェアラブルデバイスを用いた安全・安心・便利な見守りサービス

近年、IoTを活用したソリューションに注目が集まっています。IoTソリューションでは、品質/稼働管理やHEMSやホームセキュリティ分野にとどまらず、ライフケア・ヘルスケアや自動走行・運転支援システムなどへの適用も急速に広がりを見せています。また、セキュリティ対策に関してもますます重要になってきています。本稿では、これらの流れを背景としたNECのウェアラブルデバイスを活用したIoTソリューション(見守りソリューション)の取り組み状況と将来の展望を紹介します。

下村 純一・後藤 文宏
(NEC技報 Vol.69 No.2 2017年3月)

生体認証とAIによる新たな見守り技術が登場

2017年には、緊急車両や介護施設などと病院をモバイルネットワークやインターネットで結び、高品質な映像をリアルタイムで送信する適応映像配信制御技術を開発しました。通信速度が不安定な公衆通信網で通信スループットを瞬時に予測して、配信する映像のレートを素早く動的に制御し、高品質で安定した映像配信を実現します。これにより、病院側が患者の様子をいち早く観察して、迅速な受け入れ準備を進めることができます。

現在NECは、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響の6つの生体認証技術を有しています。そのなかでも、見守りソリューションで注目されているのが、耳の音響特性を用いた生体認証技術「耳音響認識」です。この技術は、人によって異なる耳穴の形状を音で識別する技術で、耳に装着するヒアラブルデバイスにはマイクとスピーカー、各種センサーなどを装備しています。片方の耳に装着するだけで個人を識別し、多彩なバイタルデータが公衆通信網を通じてクラウド上のサーバへ蓄積され、事前に決められたAIの分析ルールにより必要情報の伝達や警告を音声で伝えます。高齢者の見守りはもちろん、医療関係者の効率的なコミュニケーションにも活用できます。

ヒアラブル技術によるヒューマン系IoTソリューションの取り組みと展望

IoTとAI、それらをつなぐネットワーク技術の進展は、人間の五感と脳そして神経になぞらえて説明されることがあります。また、画面を経由してアクセスしてきたインターネット体験も、AR、MRという技術やオムニチャネルというコンセプトとして、フィジカルな空間を前提にデザインされ始めました。ヒアラブル(hearable)技術は、人とAIやロボティクスが協働していく近未来を見据え、フィジカル空間での人々の活動を妨げることなく、ヒトとモノやAIがつながるためのツールとしてデザインされたものです。本稿では、NECのヒアラブル事業のコア技術となる、耳音響認証技術と地磁気屋内位置測位技術の取り組み状況と将来の展望を紹介します。

古谷 聡・越仲 孝文・大杉 孝司
(NEC技報 Vol.70 No.1 2017年9月)

医療の効率化で人々の健康と安全・安心に貢献

2018年に開催されたC&Cユーザーフォーラム&iEXPO2018では、過去の蓄積された定期健診データをAIで分析し、導き出した健診結果予測モデルを用いて、将来の健診結果を予測し、生活習慣の改善を支援する健診結果予測シミュレーションシステムをはじめ、患者の不穏状態の予測検知や誤嚥性肺炎のハイリスク患者の抽出などのAI技術や、個人の了解を得た健康データを病院や医療関連の企業で共有するプラットフォーム構想など、医療・ヘルスケア分野の最新技術とその活用例を紹介しました。また、多くの来場者の注目を集めた「空飛ぶクルマ」も、災害時の医療活動や医薬配送などで活躍しそうです。

NECは、今後とも医療・ヘルスケア分野の技術開発に注力し、医療の効率化と健康寿命の延伸をICTで支援し、人々の健康維持や安全・安心な暮らしに貢献していきます。

関連リンク

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