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No.2(4月)次世代ネットワーク特集/RFID特集

Vol.59 No.2(2006年4月)

次世代ネットワーク特集

執行役員専務 広崎 膨太郎


執行役員常務 中川 勝博
執行役員 粉川 英夫

次世代ネットワーク(Next Generation Network:NGN)構築に向けた国内外の通信事業者の動きがいよいよ本格化してきました。NGNの構築を通じて通信事業者は、ユーザに訴求する新たなサービスの提供と安心・安全な通信ネットワークの実現を模索しています。NECはこうした顧客の経営課題に対するソリューションを「全体最適」の視点でトータルに提供できる数少ないサプライヤの1つです。当社はこの総合力という強みを最大限に活かし、通信事業者のNGN構築において信頼されるパートナーとなるべく、魅力的な製品・サービスの創造に取り組んでまいります。

次世代トランスポート

吉川 純徳・草野 俊彦

通信事業者やサービスプロバイダへのブロードバンド接続は、電話回線を利用したメタルアクセスから、高速データ通信が可能な光ファイバを利用した光アクセスへと進展しています。しかも、1つのブロードバンド接続で、インターネットサービスと同時に、電話サービスも放送サービスも提供するトリプルプレイの需要が高まっています。
本稿では、次世代ネットワークにおける光アクセスシステムへの要件を概観し、その主要な機能について今後の方向性を示すとともに、NECでの取り組みを紹介します。


近藤 誠司・岩崎 玄弥・武次 將徳・佐藤 俊文

携帯電話は第2世代から第3世代への移行が進んでいます。同時に、第3世代の長期的な発展の観点から、30~100Mbpsの高速なマルチメディアサービスの実現をめざす3G RAN Long-Term Evolution (LTE)の研究が進められています。本稿では、このLTEの通信方式とネットワーク構成の要素技術とNECの取り組みについて説明します。


藤本 芳宣・長門 正喜

802系BWAアーキテクチャであるWiFi・WiMAXのEvolutionについて、IEEE802.11および802.16eの標準化動向とNECが考えるソリューション提案について紹介します。


久木田 信哉・中村 真也

次世代ネットワークにおけるトランスポートは、光トランスポートネットワーク、コアパケットネットワーク、アグリゲーションネットワークから成ります。アクセス、サービスが多様化するなか、トランスポートの統合により、コスト削減が図られます。その一方で、この新しいトランスポートは、信頼できる社会インフラであるとともに、新しいサービスのプラットフォームとしての役割も担っています。NECでは、様々な角度から、トランスポートの課題に取り組んでいます。

次世代IMS/コアネットワーク

三栖 利之・中井 正一郎・塚本 克己・栗原 浩・萱原 雅之・岡部 稔哉

次世代ネットワークにおけるサービスプラットフォームを実現する上で必要となる、次世代IMSプラットフォーム、セキュリティ技術、サービス提供基盤(SDP)について述べています。固定・モバイル融合ネットワーク向けに構築される本サービスプラットフォーム上に、FMCサービス、通信・放送融合サービスなどの次世代ネットワークサービスを構築していきます。


河村 厚男・田村 利之・塚越 努・蓮実 利昭・渡邉 一生

W-CDMA方式の標準化団体(3GPP)によって規定されたIPベースの通信システムであるIMSは、当初想定されていた携帯電話アクセスだけでなく、固定ネットワークからのアクセスも接続することが可能です。つまりIMSは固定通信と移動通信との融合であるFMCを実現することができるアーキテクチャとなっています。NECではこのIMSによるFMCの実現を進めるとともに、さらなる改良をめざしてAIPNの検討を進めています。

次世代ネットワークサービス

手塚 宏・黒田 由里・野口 季代子・松瀬 真紀子・押切 洋

FMCが進展していくにつれ、市場のニーズも多様化し、新たなビジネス提供を可能とするサービス基盤が必要となります。NECでは、これらのサービスを支えるためのサービス基盤を提供いたします。その実例として、ネットワークストレージ基盤に関して紹介します。これにより、ユーザが様々なデータを一元的に扱うことが可能となり、将来のALL IP化において、多くのビジネスを支える基盤を提供することができます。


前野 和俊

通信と放送の融合によりもたらされる変化はエンドユーザ(一般視聴者)へのサービス多様性、利便性の向上だけでなく、公共サービスや災害対策など公共インフラのサービス高度化への貢献にも大きな期待が寄せられています。一方ビジネス領域においては社会経済基盤の変革による様々なパラダイムシフトを起こし、多様なビジネスモデルの出現による経済効果にも多くの期待がかかっています。このような環境のなか、NECは時代の変化を先進的に捉えデジタル放送技術と次世代ネットワーク技術をトータルに統合した次世代映像ソリューションの展開を進めています。


中島 輝夫 ・川田 裕哉・伊東 一博 ・藤田 聡

現在、次世代ネットワークの検討・構築が進められており、キャリアのネットワークはIP/IMSベースに大きく変わろうとしています。オープンなネットワークの上で収益力のあるサービスを提供するために、ネットワーク運用管理システムは従来の運用管理業務の効率化に加え、経営支援やカスタマケアサービスなど、より経営判断に直結する高度な機能が求められています。本論文では、次世代ネットワークに対応するネットワーク運用管理システムの要件を述べるとともに、NECのソリューション例を紹介します。

経営システム

富山 卓二

次世代ネットワークにより実現されるユビキタス社会におけるサービスは、個人中心のサービス領域を越えて、コミュニティ、社会レベルのライフサービス/社会インフラサービスへと拡大し、それに付随して発生する情報(イベント)を処理するシステムの処理規模は、数万通/秒以上の時代を迎えることになります。
大量なイベントを処理する巨大システムには、バッチ、オンラインといった従来とは異なる処理方式を持つ、新しいシステムのアーキテクチャが求められます。

プロフェッショナルサービス

梅本 健一・今村 友康・高橋 源

近年、無線ネットワークのブロードバンド化が急速に進み、無線系も有線系と同等のサービス品質が要求されつつあります。設備投資が増すなかでシステム運用において設備性能を最大限に引き出し、ユーザが享受できる体感品質を高めることが必要になってきています。NECは体感品質を高める活動の1つとして、無線アクセスネットワーク(RAN)設計と最適化の技術を駆使したRAN品質改善手法(RAN-SAITEKIKA)によるプロフェッショナルサービスを提供しています。本稿ではRAN-SAITEKIKAの技術と実績を紹介するとともに今後の展望を紹介します。


島田 貴和・丹羽 宏樹

次世代ネットワークを基盤として、固定通信、移動通信、および放送サービスとの連携によりIT関連やインターネット関連事業の大きな発展が期待されています。しかしネットワークを構成するシステムや技術は高度化・複雑化し、ネットワークの運用コスト、資本コストは通信事業者の大きな負担となっています。本稿では、この課題に対するソリューションとしてネットワークマネージドサービスとネットワークの運用をベンダーが代行するアウトソーシングサービスなどを紹介します。

標準化動向

江川 尚志・加納 敏行

リソース管理や厳格なユーザ認証によってQoS保証や高いセキュリティを実現し、管理の行き届いた(Managed) IP網を構築して電話網に代わる通信インフラとすることをめざす次世代ネットワークの国際標準作成がITU-Tで、他の様々な標準化団体を巻き込みながら行われています。本稿ではこれら標準化動向を紹介し、それに向けた取り組みとしてNECが提唱するディペンダビリティという概念を述べ、その実現に向けたITUでの活動を概説します。

RFID特集

執行役員 安井 潤司


畠山 繁

RFIDは、ユビキタス社会において、人の動き・モノの位置・プロセスの流れなどを可視化することです。 RFIDは世界的に、サプライチェーンへの適用と標準化が同時に進行しています。 NECは、標準化団体へ参画し、自らの業務にも適用してその効果を実証しています。各種の製品・サービスを実践したノウハウをもとに提供しています。
今後は、EPCglobal Networkにより、グローバルサプライチェーンにおけるパートナー間で、リアルタイムで情報を共有する基盤ができ、RFIDは新たなる付加価値を提供することでしょう。

RFID活用ソリューション

柴田 貴之・津田 竜哉・荒木 誠一・福田 勝美

RFID導入成功のポイントは、RFID技術を利用して収集したデータの活用と将来的なRFID導入戦略です。この2点を実現するためには、将来を見据えた段階的なRFID導入と、それを支える技術が重要となります。この考え方を具現化する実践的な手段としてNECでは、NECグループでのRFID導入ノウハウをベースとした「RFIDを活用した生産工程管理ソリューション」を提供しています。
本稿では、本ソリューションを構成するRFID技術と、将来への展開について説明します。


小笠原 温・山崎 健太郎

様々な商品・サービスに対する「安全・安心」の社会的ニーズが高まる昨今、現場のきめ細かい品質管理は、食品業界だけでなく、医療・流通・貿易・設備管理など様々な場面で必要とされてきています。
品質管理の中で特に重要視されるパラメータが温度です。従来からも温度管理が必要な製品の保管温度は、保管する設備の専用温度計を用いて管理されてきました。しかし、様々な物流事業者を経て製品が消費者へ届けられた後で実際製品が傷んでいたケースは存在し、万一の際に品質劣化の原因を追求することは容易ではありませんでした。
これを解決する手段として、今回センシングRFIDタグの1つ「温度センサ付RFIDタグ」を活用したソリューションを紹介します。また「温度管理トレーサビリティスターターキット」を用いて、輸送中の一貫した温度管理を手軽に実現し、リスクマネジメントへ貢献する姿を紹介します。


松田 礼子・辻 利之

RFID市場の立ち上がり時期において、RFIDを活用した資産管理は導入しやすいことからお客様の関心や実績の高い分野です。資産管理にかかわるさまざまな業務のうち、すでにメニュー化している「棚卸」「貸出管理」「位置管理」「持出管理」に関してその仕組みと効果をご紹介いたします。


橋本 尚久・一色 直樹・井口 正雄・森崎 充敬・石井 健一

屋内における高精度な位置管理を低コストに実現する、赤外線を用いた屋内位置管理システム"SmartLocator"とRFIDの連携による物品位置管理ソリューションを紹介します。本ソリューションを物流業、流通業、製造業に適用することで、倉庫への物品の搬入出作業の作業効率改善、保管スペースの有効活用などが期待できると考えています。今後は、本ソリューションの拡販を進めるとともに、電源工事を不要にすることで本ソリューションの低コスト化を実現する照明タグの製品化を進める予定です。

プラットフォーム

野馬 克則・村上 隆浩

RFID Managerの出荷開始から約2年。RFID市場はようやく立ち上がってきています。現状況を来るべきブレイクに向けた足場固めのフェーズとして捉え、実績作りを着実に進めることでRFIDミドルウェアとしてのデファクト化を推進しています。RFID Manager導入によるメリット、NEC独自機能の実装、EPCglobal仕様への即時追従などによる競合他社に対するアドバンテージ、ソリューション事業に対する開発支援など、マーケット開拓に向けた取組みと今後の展開について紹介します。


三浦 俊之・林 克年

NECインフロンティアは業務用PDA「Pocket@i」の後継機として「Pocket@i EX」を開発、製品化しました。レーザスキャナを搭載し一次元バーコード対応のPW-WT51-01、イメージャを搭載し二次元バーコードに対応したPW-WT51-05、RFIDリーダ・ライタおよびレーザスキャナを搭載したPW-WT51-06、CFスロットを搭載したPW-WT51-04の4モデルをラインアップし、様々な業種用途への対応が可能となっています。


川崎 哲哉

ユビキタス社会を実現するキーデバイスとして、RFIDが大きな注目を集めています。本稿では、マイクロ波(2.45GHz帯)を利用した、NECオリジナル規格の小型ICタグとリーダ・ライタ・モジュールで構成されるRFIDサブシステム、「NETLABEL」について紹介します。


及川 義則・亀井 浩二

2004年の総務省の「u-Japan政策」の発表以来、このユビキタス時代の新潮流を切り開くキーテクノロジとしてRFIDが注目を集めています。NECトーキンでは、早くからデバイス企業としてRFID事業に参入し、非接触ICカード、ICタグ、リーダ・ライタ機器などの提供を行ってきました。今後は特に流通、物流業界への適用に適した高周波ICタグの早期実現が望まれています。本論文では、RFIDを支えるキーテクノロジとして高周波アンテナ設計法と金属貼付時の通信距離確保用デバイスとしてのバスタレイドの応用法について検討した結果を述べるとともに、RFID関連製品について述べます。


岡田 政彦・飯田 弘司・阿部 晋樹・杉山 明弘

RFID技術の登場により、具体的なユビキタスソリューションのひとつの形が見えてきました。一方、ユビキタス社会の実現には、背景にあるプラットフォームや社会インフラの整備も重要になります。NECは、様々な観点からユビキタス社会の実現に向けて取り組んでいますが、中でも特に重要な高可用性プラットフォーム戦略の意義と、その取り組みの1つとして本年1月23日に発表した新ftサーバに焦点をあてて紹介します。

標準化動向

多賀戸 裕樹

EPCglobalでは、エンドユーザ企業とIT企業が協力しながら技術標準化を進めています。EPCglobalネットワークという枠組みを用いて、商品の流れをイベントという形で可視化し、企業間でイベントを共有することにより、サプライチェーン全体での最適化を実現することが目的です。
NECは、国内ITベンダとして初めてEPCglobalに加入後、仕様の策定に貢献しながら製品開発を進めてきており、RFIDプラットフォームミドルウェア製品「RFID Manager」がEPCglobal標準に対応しています。今後も引き続き技術検討に参加し、EPCglobalネットワークの実現に向けて開発を進めてまいります。

研究開発

中尾 敏康・田口 大悟

読み取りアンテナと電力供給アンテナを併用してパッシブ型RFIDタグ読み取りに必要な電力を最適化し、多数・高速・姿勢のばらつきに対しても高精度な読み取りを実現する供給電力制御技術を開発しました。市販リーダを用いた実験では、分速120m以上で10個のタグの読み取り精度を88.5%から100%に向上可能なことを確認しました。


菅原 弘人・小野 隆志

UHF帯RFIDを導入する際の設計業務を効率化する読み取り率シミュレータ「RADIOSCAPE-RFID」について紹介します。RADIOSCAPE-RFIDは、レイ・トレーシング法を用いた電波伝搬推定とシステム特性から通信可否エリアを導出し、この結果とエアプロトコルの動作とを連携解析することにより、実際の運用環境での読み取り率を算出するものです。これまで現場で行っていたさまざまな最適化作業を机上で実現できるため、設計業務の効率化が実現されます。本稿では、RADIOSCAPE-RFIDを用いた最適化作業の一例として、ゲートシステムにおけるアンテナの傾きの最適化についても紹介します。

導入事例

NECパーソナルプロダクツ株式会社 須田 修

パソコンの生産工場であるNECパーソナルプロダクツ・米沢事業場では、2004年10月のRFIDを活用した生産管理システムの稼働につづき、2005年12月には生産のリアルタイムマネジメントを目指したRFID活用強化を行いました。その成果として、大幅なリードタイムの短縮と部品在庫の半減を実現しました。引き続きRFIDの活用領域を広げ、パソコンのライフサイクルマネジメントへの適用を進めるための新たな試みと実証実験を進めています。
NECパーソナルプロダクツは、今後もNECおよびグループ各社のRFID技術開発力を、生産のプロセス改善やライフサイクルにおけるトレーサビリティに活かし、NECグループのレファレンスサイトとして社内外に成果を示すべく、積極的にRFID応用技術の研究を深化させていく予定です。


株式会社先端情報工学研究所 粟本繁氏

先端情報工学研究所様は、長年に渡り開発、蓄積した各種アパレル業界向けのノウハウを元に、非接触型ICタグ(以下ICタグ)応用システムをフル装備した『未来型IT武装化物流倉庫』を構築されました。リユース型ICタグ発行システムから、倉庫内業務支援システム、業務/労務管理システム、小売店舗向けシステムまでのフルラインアップを実現。メモリ容量が大きくリユース可能な日本アビオニクスのICタグと高速読み取りの可能なリーダ・ライタを採用しました。一般的にSuica(スイカ)をはじめ、シングルリードが多いICタグシステムの中で、いち早くマルチリードを採用したIT武装化物流倉庫にアパレル業界はもちろん他業種からも大きな期待が寄せられています。


福田 健志
(協力: Ms. Joanna Siu,NEC Hong Kong Ltd. )

微小なICチップを搭載したRFIDタグは、国内外を問わず、近年SCMや在庫管理など様々なシーンで導入か進められています。香港にあるNEC香港社は、RFIDを用いた図書館向けの貸出し管理システムなど、NECの海外現地法人として逸早くRFIDを用いたソリューションの提供に取り組んできた現地法人の1つです。ここではNEC香港社が昨年秋に納入した、UHF帯のRFIDタグを用いたライフジャケットの貸し出し管理ソリューションを紹介します。

普通論文

ユールゲン クイテク・サベーリオ ニッコリーニ
サンドラ タルタレルリ・リナン シュレゲル

近い将来、IP電話におけるスパム(SPIT)が深刻な問題になると予想されています。しかも、SPITの場合、電話がかかってくるたびに受信者が煩わされるため、電子メールのスパムよりもさらに重大な問題となる可能性を秘めています。本稿では、効果的で、なおかつ通話参加者が容認可能な、新しいSPIT防止法について説明します。この防止法は、受信者にはまったく影響を及ぼさず、発信者との必要なやりとりも許容可能なほど最小限に留めています。

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