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大津赤十字病院様
病院内の統合共通基盤としてHCI*1を活用しDXを加速!
システムの集約によりシンプルな運用とコスト削減を実現
- *1:HCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)・・・外部ストレージを用いず、サーバ内蔵ディスクを仮想共有ストレージとして利用することで、シンプルな構成を実現した仮想化基盤。
- 業種:
-
- 医療・ヘルスケア
- 業務:
-
- ICT管理・運用
- 製品:
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- PCサーバ
- ソフトウェア/サービス実行基盤
- ソリューション・サービス:
-
- 基盤技術/サーバ仮想化/デスクトップ仮想化
事例の概要
課題背景
- 約50種類の部門系システムは、開発元メーカーやSIerが機器類を個別に調達してきた。管理の視点や実施事項が著しく異なっており、医療情報課のメンバーに多大な負荷がかかっていた
- いわば“ベンダ任せ”の状態は、ITリソースの重複や費用のムダが発生する要因にもなっていた
成果
各システムを仮想的に集約し、院内の統合共通基盤を構築
システム全体の稼働状況やリソース情報の一元管理など、シンプルな運用が実現し、医療情報課のメンバーにかかっていた負荷は軽減された
柔軟な拡張性。低コストでシステム増強が可能に
将来の増設を見込んだ最適な構成を採用。新たなシステムを追加する際は、簡単な操作で対応が可能になった。機器調達コストの削減にもつながっている
導入ソリューション
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事例の詳細
導入前の背景や課題
開発元メーカーが、個別に機器を調達。
運用の実態が把握できず、“ベンダ任せ”の状態
大津赤十字病院様は、37の診療科と病床数684床の総合的医療機能を備えた、滋賀県で最大規模の病院です。京都・滋賀で初の「高度救命救急センター」にも指定されており、急性期医療の提供と共に、「基幹災害拠点病院」として災害救護にも注力しています。
同院では外来や検診、調剤支援など、約50種類の部門系システムを運用しています。「物理と仮想が混在したこれらのシステムは従来、個々の開発元メーカーやSIerが機器・部材類を調達し、当院に納入していました。バックアップや障害対策については、当初の設計に沿って正しく運用されているかどうかが、我々の側では詳細に把握できていませんでした。このような“ベンダ任せ”の状態は、ITリソースの重複や費用のムダが発生する要因にもなっていましたし、当院が運用を主導する本来のあり方からは乖離していたのです」。事務部 医療情報課長の橋本智広氏は、当時の状況をこのように話します。
とりわけ、ベンダごとに規格・技術の異なるストレージは、システム全体の拡張性・柔軟性を妨げる要因になっていました。橋本氏は「部門系システムごとに管理の視点や実施事項が著しく異なっており、課のメンバーには多大な負荷がかかっていました」と述懐します。
同院ではこれらの課題を踏まえて、複数メーカーが混在する部門系システムをひとつのプラットフォームへ仮想的に集約し、院内の統合共通基盤として運用する目標を掲げました。その手段として、仮想化基盤に多く用いられてきた3Tier構成*2ではなく、複数台のx86サーバを用いて各筐体内のディスクを束ね、ひとつの仮想的な共有ストレージを実現できる「HCI」による課題解決を計画しました。
*2:物理サーバとSANスイッチ、および外部ストレージ装置による3層構成。
選択のポイント
24時間365日のサポート体制や
構築実績、拡張性を評価し、HCSを選定
NECグループからは、Express5800サーバをベースにしたHCI専用モデル「Hyper Converged System for VMware vSAN(以下:HCS)」を用いて部門系システムを統合し、安定稼働と運用の効率化を実現できるプランを提案。大津赤十字病院様では、複数ベンダの提案内容を比較検討したうえで、NECグループを仮想化基盤構築のパートナーに選定しています。「まず、我々の要求に合致したシンプルな仮想化基盤の構成案を評価しました。高度救命救急センターとして、24時間365日でのオンサイト対応という譲れない条件に対しては、NECとNECネッツエスアイ、NECフィールディング、地場販社のSE/CEが連携した保守サポート体制を示していただきました。医療機関との豊富な取引実績にも、安心感がありましたね。加えてHCSには、導入後のシステム増強をシンプルに行える拡張性が備わっていました。以上の4点が、他ベンダの提案を大きく上回っていたのです」と、橋本氏は強調します。
同課の松本賢氏は、HCSに標準添付されている専用管理ツールにも着目しました。「我々がこれまでに使用してきたどの管理ツールよりも、コンソールの視認性が格段に良く、メニュー構成が直感的に理解できました。この画面だけを意識してチェックしておけば、各システムの負荷状況やリソース情報は全て把握できるという確信が持てたのです」(松本氏)。
導入後の成果
メンバーにかかっていた業務の負荷を軽減。
DXを加速する基盤としての役割にも期待
HCSによる新たな統合共通基盤は、2021年9月末より稼働を開始しています。システム全体の稼働状況やリソース情報の一元管理、ソフトウェアアップデート作業の一括更新など、シンプルな運用管理が実現し、医療情報課のメンバーにかかっていた負荷は軽減されています。「リソースが不足している部門系システムがあったのですが、簡単な操作でサーバを増設でき、速やかに対応できています」と橋本氏は述べます。また、松本氏は「近い将来、ペーパーレス会議用のシステムなどを追加する考えがあります。今回の仮想化基盤は、こうした計画を見込んで構築しており、結果としてハードウェアの新規調達などにかかるコストの削減が見込めます」と補足します。
今回実現した仮想化基盤上でのシステム統合を、大津赤十字病院様は「DX推進への重要なステップ」と位置づけています。「今後は電子カルテを含むHIS系システム*3も仮想化基盤へ統合することで、いっそうの業務効率化を図ると同時に、DXを加速する基盤としてフルに活用していく考えです。運用管理の工数削減によって創出できた時間は、DXの施策づくりなどに振り向けていきたいですね」と、橋本氏は構想します。
医療機関の情報システムは今後、オンライン診療やビッグデータ連携など、外部との接続が発生する場面が増えていきます。NECグループは、今回構築したリモートによる保守サポート体制と、ウイルス対策ソフトとの連携によって、同院が運用する仮想マシン全体を対象とした高レベルのセキュリティ対策も、段階的に支援していく考えです。
*3:病院情報システム
NEC担当スタッフの声
詳細なヒアリングと経験値に基づいた
サイジングサービスを提供しています
今回のような統合共通基盤の構築プロジェクトでは、複数ベンダ間の調整や、お客様内部の部門間調整が不可欠です。私たちはまず、既存システムのべンダ各社へのヒアリングとITリソースの調査、およびロケーションセンターの要件に関するヒアリングを実施しています。各社からお聞きした内容と調査結果は、要点をまとめて資料化しました。この時のヒアリング結果をベースに、私たちの経験値に基づいた「仮想化アセスメントサービス」を活用して、仮想化統合後の構成規模・性能をサイジングしています。続いて院内各部門からの了承を得るため、調査資料を基に、橋本様と松本様に内部調整をしていただきました。お二人のご尽力のおかげで、私たちが提供する仮想化基盤と既存の業務アプリケーションとの間に齟齬が生じることもなく、本プロジェクトを円滑に推進できました。
高品質ハードウェアとSI経験、保守サポート体制を
結集して、幅広い業界の仮想化基盤構築を支援します
大津赤十字病院様は今回、数十種類にのぼる部門系システムと、それらのシステムを稼働させる仮想化基盤を分離調達するという方針を固めたうえで、システム構築に取り組まれました。このような方針・考え方は医療機関に限らず、企業のお客様でも最近増えてきていると感じています。私たちは、高品質なハードウェアの提供実績と、仮想化基盤構築を数多く支援してきた経験、さらに、NECグループと地場販社との連携による保守サポート体制を結集し、今後も幅広い業界のお客様に貢献していきたいと考えています。
お客様プロフィール
大津赤十字病院
所在地 | 滋賀県大津市長等1丁目1-35 |
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創立 | 1904年 |
資本金 | 公的医療機関のため、非表示 |
従業員数 | 1,425名(2021年 10月 1日現在) |
事業概要 | がん医療、高度救急、地域連携、災害医療、ほか |
病床数 | 684床(一般672床 / 精神12床) |
URL | https://www.otsu.jrc.or.jp/ |
この事例の製品・ソリューション
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(2021年11月24日)