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日本電気株式会社


400超の仮想サーバをわずか70日で完全移行
「VMware Cloud on AWS」を活用した高速クラウドリフト
- 業種:
-
- 情報サービス業
- 業務:
-
- ICT管理・運用
- 設計・開発・製造
- 経営企画
- 共通業務
- その他業務
- ソリューション・サービス:
-
- クラウド
- 基盤技術/サーバ仮想化/デスクトップ仮想化
- ネットワーク/ネットワークサービス
事例の概要
課題背景
- 「社内のDX」「お客様のDX」「社会のDX」を経営計画の中核に設定するなか、社内DXの取り組みの一環としてモダナイゼーション・デジタルシフトを推進
- サーバを自社保有するプライベートクラウドは、ハードウェアの計画的な更改作業や運用保守などが必要で人員リソース不足が課題となっていた
- 既存システムのクラウドネイティブ化を進めるも、リアーキテクチャを伴うため多くの時間とコストを必要とし、事前調査や作業後の確認などの大きな負担がユーザ部門にかかっていた
成果
集中PoCを通じて策定した移行プランにより短期移行を実現
オンプレミス環境の仮想サーバをそのままパブリッククラウドに移行する「クラウドリフト」を採用。「VMware HCX」等の技術ナレッジを1カ月間の集中PoC(概念実証)で習得し、400超の仮想サーバを70日間という世界最短レベルで移行に成功
移行コストを91%削減
リアーキテクチャを伴う個別システムのクラウドネイティブ化移行に比べ、移行コストを91%削減。「VMware Cloud on AWS」のマネージドサービスを利用することにより、移行後の運用コストについても19%削減し、ユーザ部門の利用料金を約20%値下げすることができた
システム移行に伴うユーザ部門の負担を軽減
IPアドレスの同番移行によるクラウドリフトでは、オンプレミス仮想環境(「vSphere」環境)からVMware Cloud on AWSへの移行に伴うアプリケーションの変更は発生しない。そのため、ユーザ部門での調査や事後の確認といった作業がほぼ不要となり、ベアメタル環境の性能向上やクラウド活用といったDXの恩恵を享受できた
導入ソリューション


オンプレミス仮想環境(vSphere環境)との高い親和性を有し、AWSネイティブサービスとのシームレスな連携を特長とするクラウドサービス。NECは10年を超えるクラウド事業運営の中で培った運用保守ナレッジをもとにした高品質サポートを付加し、MSP(マネージドサービスプロバイダ)としてサービスを提供
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事例の詳細
導入前の背景や課題

コーポレートIT・デジタル部門
経営システム統括部
上席プロフェッショナル
梶野 晋
大規模なオンプレミス仮想サーバ環境を迅速・安価にクラウド移行したい
クラウドの利点を徹底的に活用するには、システムを再設計し、クラウドネイティブ化するのが理想です。NECではマルチクラウド活用戦略のもと、レガシーアプリケーションのモダナイゼーションを精力的に進めています。
ただ、クラウドネイティブ対応をするには、既存のサービスの機能を分析した上で共通機能は共通サービスとして分解・再構築する「リアーキテクチャ」が必要となります。しかし、これを実現するにはいくつかの課題があったと、コーポレートIT・デジタル部門 経営システム統括部の梶野 晋は話します。
「約1,000に上る当社社内システム全てを並行してリアーキテクチャを行おうとすると、要員の問題や完了までに時間がかかるという課題に直面していました。また、アプリケーションに大きな変更を伴う移行は、ユーザ部門での調査や確認作業に多大な負荷がかかることも悩ましい問題でした」
これまでの仮想化の取り組みにより、当社の社内システムはすでにプライベートクラウドの仮想環境実行基盤で動作しています。このため個別システムの開廃に対する柔軟性は格段に高くなっていましたが、ハードウェアを社内に置くことで老朽化に合わせたメンテナンス作業が必要となります。ハードウェアを運用保守できる要員を確保しなければならず、いざインフラリソースを増強したくても容易には実現できない状況でした。
システム移行のポイント
「VMware Cloud on AWS」による高速クラウドリフトを採用
当社は大規模なオンプレミスのプライベートクラウド環境を迅速かつ安価にパブリッククラウドに移行する手立てを模索していました。そのためのソリューションとして採用したのが「VMware Cloud on AWS」です。VMware Cloud on AWSはAWS EC2ベアメタル上で「VMware vSphere」環境をクラウドサービスとして提供するクラウドサービスです。オンプレミスやプライベートクラウドのVMware vSphere環境との間で仮想マシンの互換性があり、運用についても一貫性を維持できるのが特長です。
「VMware HCX」というネットワーク拡張機能が用意されていたことも評価しました。VMware HCXは、複数のVMware vSphere環境間をトポロジの違いを意識せずシームレスに接続し、仮想サーバを移行できます。特に強力なのがネットワーク延伸機能で、オンプレミスのデータセンターとクラウド間のネットワークが、あたかも同一のネットワークであるかのようにレイヤー2レベルで延伸できます。この機能を利用したIPアドレスの同番移行を実施することで、利用者や他のシステムに与える影響を最小限にとどめ、ユーザ部門の負荷も抑えられます。
リアーキテクチャ方式にて一足飛びにクラウドネイティブな環境に移行するのではなく、一旦プライベートクラウドで稼働している仮想サーバを VMware Cloud on AWS 環境に構成を変えずにそのまま「クラウドリフト」することで、移行を加速する狙いです。多くの大規模な仮想基盤を有し、移行時間・コストをかけずにモダナイゼーションを実現したい当社にとって、VMware Cloud on AWSとVMware HCXは恰好のソリューションでした。移行後はvSphere環境の運用ナレッジを引き続き活用できるだけでなく、ヴイエムウェア社からの運用・サポートを受けられるという点も、当社が VMware Cloud on AWSを選択した大きな理由でした。
導入に先立ち、当社はPoCによる徹底した技術検証を実施しました。本番環境と同機能を持つ移行環境を確保し、VMware HCX で利用可能な全ての移行方式を約1カ月で試行。プライベートクラウドからVMware Cloud on AWSへの仮想イメージデータの転送速度の計測を行い、単位時間あたりの移行仮想サーバ数や必要となるネットワーク帯域を把握しました。実際の移行では、事前にレプリケーション機能を用いてあらかじめデータを同期させておき、移行開始直前に移行元を停止しスイッチオーバーして移行先を起動するバルクマイグレーション方式を採用しました。この方式では数分のサービス停止が発生するものの、数十台の仮想サーバを一度に移行したり、トラブルが発生したときに元のシステムに切り戻したりすることが可能です。
移行に際しては、運用中の環境に影響が出ないようネットワーク帯域を増速し、移行用の帯域を論理的に分離。さらには移行計画を主導的に立案し、ユーザ部門の要望をくみながらも短期間に移行を完了する体制を着々と整えていきました。
導入後の成果と今後の取り組み

コーポレートトランスフォーメーション部門
運用DX統括センター
PFサービスデザイングループ
ディレクター
山本 龍也
424台の仮想サーバを70日間で移行、コストは大幅に削減
今回移行したのは、NECグループ21社で横断的に利用している汎用システム424台の仮想サーバ、システム数にして301システムです。基幹系、情報系などの分け隔てなく「何でも移行しました」(梶野)。移行作業は70日間で実施し、1日平均4.3システムという世界的にみても最速クラスのスピードで進められました。
本番移行ではVMware Cloud on AWSに起因する切り戻しが2件発生したのみで、残りの99.5%の仮想サーバではほぼ問題なく全仮想サーバを移行できました。まさに機械的移行の成功と言えるでしょう。コーポレートトランスフォーメーション部門 運用DX統括センター PFサービスデザイングループでディレクターを務める山本龍也は、本番移行のプロセスを次のように振り返ります。
「移行計画では、PoCの試算結果から1時間に1仮想サーバを割り当てました。実際の移行自体は20分ほどで、残りの40分は何かあった際の対処のための時間です。移行作業が午前中に終わってしまう日もあったくらい順調でした。移行計画を前倒せたことで、当社でのモダナイゼーション完了率も一気に9ポイント底上げする結果となりました。また、アプリケーションの構成を変えずにそのまま移行できたので、ユーザ部門の負担もほとんどありませんでした。通常の移行だと、移行後に問題がないか時間をかけて確認しなければなりません。400台の仮想サーバがあるなら、そうした後工程が400台分必要で多大なコストが発生します。VMware Cloud on AWSのアドレス同番移行方式ではそれが必要ないというメリットも非常に大きいと思いますね」
さらに、VMware Cloud on AWSへの移行効果をこう語ります。
「リアーキテクチャ方式の移行に比べて、移行コストが91%も削減できました。また移行の恩恵は、ユーザ部門へのコスト削減という形でも表れています。VMware Cloud on AWSのマネージドサービスを利用することで社内の基盤運用コストが19%削減したため、社内サービス提供価格をおよそ20%値下げすることができたのです。それでいて、システムの処理性能は上がりました」
さらに、クラウドリフトによって、ロードバランシングプラットフォーム「VMware NSX Advanced Load Balancer」、統合マルチクラウド管理プラットフォーム「VMware Aria」など、VMware Cloud on AWS周辺ソリューションとの連携性も向上しています。
今後は、ハードウェア更改時期を迎える別の仮想基盤を対象に、高速クラウドリフトプロジェクトを展開していきます。対象規模は 1,000台規模の仮想サーバとなります。リフト後の仮想マシンについては周辺ソリューションの活用でランサムウェア対策など、よりレジリエンスの向上に貢献できる環境を構築していきます。
当社では、VMware Cloud on AWSは高速クラウドリフトを実現する強力なソリューションと捉えています。山本は「プライベートクラウドとして仮想環境を運用されている企業にとって大きな価値を出せるソリューションだと考えています」とその活用を訴えました。
「移行の実行に際しては、事前に計画を立てシステム部門に移行の同意を得るなど技術的な作業以外にも様々な苦労があります。私たちは今回の事例を通じて得られた技術面、プロジェクトマネジメント面の双方のノウハウをパッケージ化し、サポートできるのではないかと考えています」
今回当社が得た移行に関する広範囲なナレッジやノウハウが、お客様のクラウド活用の助けになるものと確信しています。

ソリューション提供担当者の声
NEC
マネージドサービス事業部門
サービスプラットフォーム統括部
マネージャー
堀口 智也
システムの移行性に強みがあるVMware Cloud on AWSを活用した社内システムクラウドリフトにより、
アプリケーションの変更がないことによる移行リスクの低減、
ユーザ部門での調査や確認をほとんど不要にして移行そのもののほぼ自動化、といったメリットを実感しています。
本事例を通して得た知見はリファレンス化してお客様に還元することで、
DXに取り組む多くの企業・法人の皆様の経営課題解決にお役立ていただけるものだと考えています。
企業プロフィール
日本電気株式会社
所在地 | 〒108-8001 東京都港区芝5-7-1 |
---|---|
設立 | 1899年7月17日 |
資本金 | 4,278億円(2023年3月31日現在) |
売上高 | 単独 1兆7,897億円 連結 3兆952億円(2022年度実績) |
従業員数 | 単独 2万2,036名 連結 11万8,527名(2023年3月末現在) |
事業内容 | 端末からネットワーク機器、コンピュータ機器、ソフトウェア製品、サービス基盤に至るビジネス向け製品、およびそれらをベースとした広範なソリューションサービスを一括提供するIT総合ベンダー |
URL | https://jpn.nec.com/ |

この事例の製品・ソリューション
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(2023年6月21日)
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