ちばみどり農業協同組合様

圃場の様子をスマートフォンで監視
蓄積したデータを分析してノウハウに磨きをかける農法変革や農家のライフスタイル変革にICTが活躍

業種:
  • 農業
業務:
  • 共通業務
製品:
  • その他
ソリューション・サービス:
  • クラウド

事例の概要

十分に休みが取れない、収入が不安定など農家様は様々な課題を抱えています。JAちばみどり様は、そうした課題を解決するためICTに着目。NECとネポンが共同開発した「農業ICTクラウドサービス」を導入しました。これにより、スマートフォンで圃場の状況を遠隔監視が可能になり、容易にきめ細かな品質管理が行えるようになった上、生活にもゆとりが生まれてきています。また、同サービスは今後、データをもとにハウス(温室)の窓を遠隔で開閉するような「制御」、営農日誌を蓄積したり、市況情報をリアルタイム配信するような「コミュニケーション」機能の実装を予定。さらなる成果を期待しています。

課題背景

  • 自然が相手の農業は、天候など、常に作物の生育状況に気を配る必要があります。そのため片時も圃場を離れることができず、旅行に行くこともできません。
  • 厳しい環境であることに加え、天候によって収量が大きく下がるなど、収入は不安定で苦労に見合ったものではありませんでした。
  • 長年の経験や学説などに基づき日々の農務を行っていますが、それが果たして正しいのかを検証し、改善していくための根拠となる数値的なデータがありませんでした。

成果

スマートフォンで圃場の様子を遠隔監視できるようになり、圃場を離れてもきめ細かな品質管理が可能に。品質や収量低下リスクを低減した上、遠方への外出や家族団欒の時間を持てるなど、ライフスタイルも変わってきました。

測定データを元にハウスの窓を遠隔で開閉するといった「制御」の機能が実現すれば、より農務を効率化できます。

測定が難しかったデータが「見える化」されたことで農法の妥当性を証明できました。また今後、制御履歴データや営農日誌を蓄積し、分析すれば、今後の農法の改善や技術の継承にも役立ちます。

NECの提案

  • モノとモノをつなぎ、人を介さずに情報のやり取りを行うM2Mソリューションを農業にも適用することで、農業の進化に貢献する新しいサービスを提案できました。
  • クラウドサービスの基盤、ネットワーク、コントローラーなどを一括提供。ワンストップで導入しやすいサービスを実現しました。
  • ネポンのノウハウ・アドバイスを活かし、異なる圃場の状況を踏まえて、それぞれに最適なセンサーの設置作業を進めました。こうした取り組みが正確なデータ収集を可能にし、監視精度の向上につながっています。

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事例の詳細

導入の背景

休みも十分に取れない上、収入も不安定な農業の現状

千葉県東部の東総地区を管内とする、ちばみどり農業協同組合様(以下、JAちばみどり様)。豊かな地力と温暖な気候を活かし、野菜や果物の栽培に積極的に取り組んでいます。管内で生産されるキュウリは高品質な上、切り口が星形、ハート型になるように生育した商品も出荷するなど、県内外で評判を集めています。

面積・出荷量ともに全国トップクラスを誇るJAちばみどり様ですが、一方で組合員の農家様は切実な課題を抱えています。最も大きな問題が労力と収益に関する課題です。
自然が相手の農業は、環境の変化が作物の出来・不出来に大きく影響します。したがって、天候など、常に作物の生育状況に気を配る必要があります。
例えば、ハウス(温室)で栽培する越冬キュウリは冬場にハウス内を温く保ち、最適な生育環境をコントロールしなければなりません。季節の変わり目は特に注意が必要。最適なバランスが崩れると、せっかくの作物を台無しにしてしまう恐れがあるからです。

こうした作物のトラブルは農家様にとって死活問題。そのため、1日に何度も圃場に出向き、ハウス内の温度や生育状況を確認します。夜間の見回りも欠かせません。
結果、農家様は作物を守るために片時も圃場を離れられず、休みも十分に取ることができません。その一方、得られる収入は不安定な上、必ずしも苦労に見合ったものとはいえないのが現状です。

導入の経緯

ICTを活用し、圃場の温度、湿度、炭酸ガス量などを遠隔から監視

課題を解決するためにJAちばみどり様が着目したのがICTの活用です。ICTによって、農務の作業効率を高めつつ、作物の品質を向上する仕組みを実現しようと考えたのです。

具体的には、NECと施設園芸向け資材の販売・保守メーカーであるネポンが共同開発した「農業ICTクラウドサービス」を導入しました。「私どもは、『収量増加』『経費削減』『単価アップ』を実現し、農家の方に貢献できる方法をずっと模索してきました。NECさんとの農業ICTクラウドサービスを通じてこれが実現できるのではないかと、期待を込めて取り組んでいるところです」とネポンの福田 晴久氏は語ります。「まず第一歩としては、遠隔から圃場を『見える化』するサービス。ハウス内に温度・湿度・炭酸ガス量・日照時間・土壌温度・土壌湿度などを計測できるセンサーを設置し、そのデータをクラウドに集約します。その上で、スマートフォンなどからクラウドにアクセスし、リアルタイムに圃場の状況を把握するのです」と福田氏は説明します。

近年、NECはM2M(Machine-to-Machine)ソリューションの開発、提供に注力してきました。モノとモノをつなぎ、様々な情報を集約。それを分析することで新しい知見を得たり、機器などの自律的な制御を可能にするこの技術は、様々な分野に応用できる可能性があるからです。農業もその1つ。今回、JAちばみどり様が導入した「農業ICTクラウドサービス」の基盤にもM2Mソリューション「CONNEXIVE(コネクシブ)」が採用されています。

「NECはクラウドの経験が豊かで信頼できることに加えて、サービス基盤からネットワーク、コントローラーまでをトータルに提供可能。農家様が利用しやすいワンストップサービスを実現してくれました。また、農家の皆様の声に耳を傾け、理解し、使いやすいインターフェイスを開発してくれるなど、真摯な姿勢にはとても感謝しています」とネポンの太場 次一氏は説明します。

ネポン株式会社
代表取締役社長
福田 晴久 氏

あまりなじみのない業界だったと思いますが、NECは常に真摯に対応してくれました。過渡期を迎えた日本の農業が明るくなるよう、NECと共に活動していきたいですね。

ネポン株式会社
営業本部
営業推進部
営業推進担当部長
太場 次一 氏

今後も「監視」「制御」「コミュニケーション」という3つの柱を軸にサービスを拡張し、農家様を強力に支援していきたいですね。

システム概要

さらに広がる農業ICTの取り組み

前述したとおり、「農業ICTクラウドサービス」は、圃場の様子を「見える化」します。「温度などに上限・下限のしきい値を設定しておき、異常があった場合はスマートフォンを鳴動させるなど、警報を出すこともできます。」と太場氏。「例えば凍ったりすると、その日一日で作物をすべて駄目にしてしまうという状況もあり得ます。ですから警報がもう死活問題となるようなすごく重要なサービスとして、農家様から高く評価いただいています」と続けます。

「自分が他の仕事等でハウスに出向けない場合も、スマートフォンで圃場の状況を確認しながら、暖房機の設定や水やりタイミングなど、家族に具体的な指示を行うことができます。安心して外出できるようになりました」とJAちばみどり 旭胡瓜部会 嚶嗚胡瓜組合の飯嶌 伊千良氏は語ります。
もちろん、こうした効果は農務の効率化だけでなく、作物の品質向上、さらには家族旅行や団欒の時間を持てるようになるなど、農家様の生活の「ライフスタイルの変革」にもつながってきています。

また、「農業ICTクラウドサービス」は、こうした「監視」機能以外にも、「制御」「コミュニケーション」機能も実装予定です。
例えば、「制御」では、監視データをもとにハウスの窓を開閉したり、炭酸ガスの濃度を調整するといった遠隔制御の実現を予定。また、「コミュニケーション」では、日々の営農日誌をクラウドに蓄積しておき、その情報を元に営農指導者からアドバイスを受けたり、農協に出向かなければ把握できなかった農産物の市況情報、農薬名・散布時期・散布濃度などの防除暦、天気情報などのリアルタイムな提供を視野に入れています。リアルタイムにこれらの情報を確認できれば、市況情報をもとに出荷日を調整したり、防除暦をもとに次の農薬の散布時期を決めるといったことが可能になります。
一方、正確なデータを収集するには、センサーの設置場所が重要なポイントになります。「圃場の状況は農家によって様々。広さも違えば、栽培する作物も異なるため、センサーをどのように設置すべきかが変わってきます。それに対し、NECの担当者は、個々の圃場の状況を踏まえて、文字通り泥にまみれて、設置作業を進めてくれました。本当に仲間として協力してくれているところに感動しています」(太場氏)。こうした取り組みが正確なデータ収集を可能にし、監視精度の向上につながっています。

ちばみどり農業協同組合
旭胡瓜部会
嚶嗚胡瓜組合
飯嶌 伊千良 氏

自分が出向けない場合も、スマートフォンで圃場の様子を確認しながら、暖房機の設定や水やりのタイミングなど、家族に具体的な指示を行うことができます。安心して外出できるようになりました。

導入の成果と今後の展望

膨大なデータを蓄積・分析し、培った「匠の技」を見える化

現在、「農業ICTクラウドサービス」は、キュウリなどを栽培する17のハウス農家様の19圃場で利用されています。「自前で設備を持つ必要がないクラウドサービスなので、高額な投資が不要。安価な月額料金で利用できます。すでに作物を育てるのに不可欠なインフラであるとご評価いただいています」と太場氏は評価します。
利用開始後「農業ICTクラウドサービス」は、農家様に様々なメリットをもたらしました。

まず挙げられるのが農務の効率化です。手元のスマートフォンでどこからでも圃場の状況をリアルタイムに把握できるようになった結果、見回りの回数が減り、安心感が高まったのです。「家事をしながらでもきめ細かな管理を行えるようになりました。今後、制御機能などが充実すれば、年齢を重ね、体力が衰えた際にも便利だと思います。さらに、規模拡大にも役立つことから、就農者の増加にもつながるのではと期待しています」とJAちばみどり 旭胡瓜部会の平野 佳子氏は話します。

加えて、これまでは測定が難しかったデータが「見える化」されたことによる成果もあります。

「越冬キュウリの栽培では炭酸ガス濃度が大事な要素の1つとなります。これまでは、一般的な学説や自分の経験をもとに調整してきましたが、炭酸ガス量を計測でき、どのタイミングで供給すれば、どれくらい消費されるのかが見えるようになったことで、その農法が間違っていなかったことが裏付けられました。これからは自信を持って栽培に取り組めます」とJAちばみどり旭胡瓜部会の林 孝信氏は熱を込めて語ります。また、平野氏も「曇天の際の加温が光合成に本当に有効だったということが、CO₂の数値データを見ることによって正確に把握できた」と続けます。
さらに飯嶌氏も、「温度、水分などのデータが、点ではなく一日とか一作という長いサイクルの中で、グラフで見られるようになった。作物がどんな対処を必要としているかを、勘ではなく、データの中で確認できるようになったことが大きい。栽培にすごく利用させてもらっている」と語ります。

今後、「農業ICTクラウドサービス」の利用が拡大し、地域や環境、作物ごとに異なる対処法などを、多様かつ膨大に蓄積された数値データや営農日誌データを分析できるようになれば、各農家様が蓄積してきた「匠の技」ともいうべき農法ノウハウも「見える化」できるようになります。「優良生産者のノウハウを数字で客観的に示し、共有できるようになれば安定生産や技術の継承につながるでしょう。また、データをもとにノウハウにさらに磨きをかけることもできます」と林氏は期待を込めます。
このように、ICTに着目したJAちばみどり様の取り組みは、農業の進化に確実に貢献しています。「過渡期を迎えた日本の農業が明るくなるよう、NECと共に活動していきたいですね」と福田氏。今後も両社の協力のもと、JAちばみどり様ではICT活用を推進し、農法変革、農家様のライフスタイルの変革などを実現。「新しい農業」の形を追求していく考えです。

ちばみどり農業協同組合
旭胡瓜部会
ハート倶楽部
平野 佳子 氏

家事をしながらでもきめ細かな管理を行えるようになりました。今後、遠隔からの制御などが充実すれば、年齢を重ね、体力が衰えた際にも安心して農業を続けられます。

ちばみどり農業協同組合
旭胡瓜部会
林 孝信 氏

今後、「農業ICTクラウドサービス」の利用が拡大し、膨大なデータを蓄積・分析できるようになれば、そのデータを元にノウハウにさらに磨きをかけたり、技術の継承も容易になるでしょう。

お客様プロフィール

ちばみどり農業協同組合(JAちばみどり)

所在地 千葉県旭市ロ1549-1
創立 2001年1月
出資金 21億円
組合員数 2万2952人
主な事業 千葉県東総地区の豊かな地力と温暖な気候を活かした野菜生産が盛ん。管内で取り扱う農産物は60品目以上に及び、面積・出荷量ともに全国トップクラス。なかでも冬春栽培のキャベツ、トンネル栽培のダイコンは日本一の栽培面積を誇る。また切り口がハート型や星型になるユニークなキュウリは飲食店などを中心に人気が高い。

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(2012年9月28日)

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