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国立研究開発法人海洋研究開発機構様
既存データの移行、アカウント作成なども含め
NECの支援のもとで情報管理基盤をBoxに統合する
- 業種:
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- 地方公共団体・官庁
- 業務:
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- 設計・開発・製造
- 製品:
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- ソフトウェア/コラボレーション
- ソフトウェア/情報管理
- ソフトウェア/セキュリティ
- ソリューション・サービス:
-
- クラウド
- セキュリティ/セーフティ
- 働き方改革
事例の概要
課題背景
- 主に事務系スタッフが利用しているファイルサーバに更改時期が迫っていた
- 研究者が個別に導入したさまざまなNASがあり、管理負担が増していた
- 情報を集約管理し、ガバナンスを効かせられるクラウドストレージを求めていた
成果
研究データなど、機密性の高い情報のセキュリティを強化
BoxはISMAPに登録されており、暗号化や2要素認証の強制適用、詳細なアクセス権設定機能など、セキュリティに関する要件を高レベルで満たしていた
ガバナンスを効かせつつ、外部とのコラボレーションを促進
きめ細かなアクセスコントロールにより、安全に外部とのファイル共有を実現。リスクの高いメール添付でのファイル送信を減らせている
既存ファイルの段階移行も含めてNECに任せられる
既存のファイルストレージからのデータ移行、運用フェーズでのアカウント作成/削除などもNECが支援。詳細なロードマップに沿って不安なく進められている
導入ソリューション
将来的には組織の統合文書管理基盤としての活用を目指す。NECは既存データの移行、アカウント自動作成/削除などを担うツールの提供も含めて支援した。
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事例の詳細
導入前の背景や課題
研究不正行為への対応や機密データの保護強化が急務に
海洋の研究を通じ、科学技術の向上や学術研究の発展、地球や生命の理解などに貢献する海洋研究開発機構様(以下、JAMSTEC様)。2023年10月には、東北大学と共同提案した「変動海洋エコシステム高等研究機構」が文部科学省の令和5年度世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に採択されるなど、革新的な発見や成果につながる研究を多数推進しています。
このような最先端の研究活動や日々の業務を進めるうえで、強く意識しなければならないのが情報セキュリティとコンプライアンスです。
「例えば近年は、研究不正行為への対応が各組織に厳しく問われています。かつて研究成果のエビデンスとなるデータは、研究者自身が管理することが一般的でした。ただ現在は、組織としての基準をもって管理することが重要になっています。また、2022年5月に成立した経済安全保障推進法への対応も急務です。研究情報の漏えいを防ぐ仕組みを確立しなければなりません」と話すのは同機構 総務部 法務・コンプライアンス課の岩村武氏。従来の情報管理体制に課題が浮上していたと言います。
具体的に、JAMSTEC様は大きく2通りの方法でデータ/ファイルを管理していました。
まず事務系の業務書類はオンプレミス環境の大規模ファイルサーバで集約管理してきました。一方、研究者が扱う資料や研究データは、各研究者が個別にNASを導入して保管・管理していましたが、セキュリティ対策が負担となっていました。
「大規模な研究データを保管するNASは各研究者により管理できていますが、小規模かつ廉価なNASでも、大規模なNASと同様にセキュリティ対策を遵守しなければならないため負担が増えています。そのため、これらの負担軽減が求められていました。そこで、大規模ファイルサーバが更改の時期を迎えたタイミングで、組織内の情報管理のあり方を抜本的に見直すことにしたのです」と同機構の情報セキュリティ・システム部 情報システム課 課長である堀内幹夫氏は振り返ります。
選択のポイント
自らもBoxユーザであるNECならではの知見を活かす
情報管理の新たな基盤としてJAMSTEC様が着目したのは、インフラ運用の不要なクラウドストレージサービスです。高度なセキュリティ性能やガバナンス機能を備え、さらに業務効率化にもつなげられるサービスを探すなかで、出合ったのが「Box」でした。
「競争入札での採用ですが、最も重視した要件がISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)に登録されていることでした。暗号化や機構外ユーザに対する2要素認証の強制適用、詳細な権限設定によるアクセス制限など、セキュリティに関する要件を高レベルで満たしていることを確認し、採用を決めました」と堀内氏は話します。
加えて高く評価したのが、競争入札の結果でパートナーとなったNECの存在です。NEC自身がBoxの大規模ユーザであり、活用に関する知見を豊富に備えている点、官公庁や学術機関で多くの導入実績を持っている点などを評価しました。
「今回の狙いは、大規模ファイルサーバやNASに分散していた事務用ファイルなどを、クラウドストレージ上に集約することでした。そのための取り組みに、NECが持つ知見や経験、高速データ移行ツールなどが貢献してくれると考えました」と堀内氏は言います。
またNECは、アカウントプロビジョニング製品「NEC Cloud Connect(NCC)」やユーザ教育サービスなどもトータルに提供しています。これらも、運用開始後のスムーズな利活用を支えてくれるものと判断しました。
「実際、NECはプロジェクト開始後すぐに、キックオフから段階的なデータ移行のステップ、その後の運用までを示したスケジュール表を提示してくれました。その内容は非常に詳細で、『これならいける』という手応えをつかむことができました」と岩村氏は述べます。
導入後の成果
データ/ファイル管理の基盤をBoxに一本化
JAMSTEC様は、まず一部事務系職員のトライアル利用を通じてBoxの使い勝手を確認。その後、研究者を含む全職員で利用を開始しています。並行して既存データのBox移行も進行中。研究活動や業務を止めずに済むよう、数度に分けて差分更新を行いながら、2024年初旬の完了を目指して取り組んでいます。この段階的な移行方式も、NECの提案に基づき策定しました。
「研究データの中には高負荷なシミュレーションに用いるものがあります。これらは引き続きオンプレミスで保管しますが、それ以外のデータ/ファイルはほぼBoxに集約する予定です」と堀内氏。Boxの高度なセキュリティ機能が、安全な情報の保管・活用を支えます。
また、Boxの導入によって新たに見えてきたこともあります。その1つが、外部とのコラボレーションニーズの高さです。
法務・コンプライアンス課は当初、外部との情報共有が必要になるのは主に研究者のみだと想定していました。ところが、いざBoxの利用がスタートすると、事務系職員からも外部共有に使いたいという声が出てきているそうです。
「以前はメール添付で資料などを送信・共有していましたが、URLを発行してBox上で共有する方式に変更したいという声が多数ありました。情報セキュリティの面でもこれは望ましいことなので、対応を進めています」と岩村氏は話します。これにより、厳密なアクセスコントロールの実施、送付先間違いなどのミスの撲滅につなげる狙いです。
データ移行の完了後は、いよいよBoxを中心とした新たな基盤の本格活用がスタートします。NCCによるアカウント管理の仕組みは既に完成しており、職員の入退職、部署異動などの人事情報が即日かつ自動的にBoxに反映できるようになっています。
また、NECのユーザトレーニングおよびBox操作説明会の実施に加え、資料などを機構内に展開することで職員のリテラシー向上にもつなげています。NECとの一連の取り組みによって、JAMSTEC様の新たな情報管理基盤は上々のスタートを切ったといえるでしょう。
「将来的には、蓄積したログを分析することで活用方法の改善にも取り組みたいですね。引き続きNECの支援に期待しています」と最後に岩村氏は語りました。
導入当時のNEC担当スタッフの声
引き続きオールNECでの支援を強化していきます
NEC社員の私達は、Boxの大規模ユーザとして利用者目線のノウハウを多く蓄積しています。また自社製のプロビジョニングツールなど、多彩なBox連携ソリューションも有しており、それらをもとに数々のお客様プロジェクトを完遂してきました。このようなケイパビリティを活かし、お客様と同じ目線でベストプラクティスを提案することができるのが私達です。今回は、政府基準のセキュリティの確保、ファイルサーバ上の大量のデータ移行、利用者の生産性向上といったJAMSTEC様のご要望に応えうる、Box活用環境を検討してご提案しました。
最も難しかったのは研究活動や業務を止めないことでしたが、ここでも官公庁のお客様での提案や導入の経験をもとに、段階的なデータ移行計画案を提案に盛り込みました。また、政府基準のセキュリティと利便性を両立させるため、お客様と数カ月におよぶ議論を重ねて最善のテナント設定を導き出せたと自負しています。実際のプロジェクト遂行に当たっても、官公庁のお客様へのBox導入やデータ移行を実際に経験したことのあるメンバーを揃え、お客様の要望に応えつつ作業をスケジュール通りに進められる体制を整えました。
元々NECは、JAMSTEC様へのスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」の納入・運用で研究開発のご支援をしてきました。引き続きオールNECとして、JAMSTEC様の日々の研究活動や社会貢献活動をご支援できればと思います。
お客様プロフィール
国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)
所在地 | 神奈川県横須賀市夏島町2番地15 |
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設立 | 1971年 |
職員数 | 906名(2023年4月時点) |
事業概要 | 海洋国家の日本において、海の研究を通じ、科学技術の向上、学術研究の発展、地球や生命の理解、社会課題の解決などに広く貢献する。また研究を支える探査機、観測機器の開発・運用も行う。 |
URL | https://www.jamstec.go.jp/j/ |
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(2024年1月29日)
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