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千曲市様
計画立案から機運醸成、ツール選定のアドバイスまで
自治体出身のコンサルタントが経験を活かしてDXを支援
- 業種:
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- 地方公共団体・官庁
- 業務:
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- 経営企画
- その他業務
- ソリューション・サービス:
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- サービス/コンサルティングサービス
事例の詳細
2003年に「更埴市」「戸倉町」「上山田町」の1市2町が合併して生まれた長野県の千曲市様。同市は、なかなか進まないDX施策にてこ入れをするためにNECをDX推進アドバイザーに迎えました。担当しているのは、地方自治体職員の経験を持つコンサルタント。専門的な知識とNECならではの技術力、そして、課題解決に貢献したいという熱意で千曲市様のDXに伴走し、幅広い支援を行っています。
停滞気味のDXをどのように立て直すか
現在、社会のさまざまな領域でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいます。地方行政もその1つです。国が掲げるビジョンの基、住民の利便性向上や自治体の業務効率化などを目的としたデジタル活用が各地で進んでいます。
2023年に誕生20周年を迎えた長野県千曲市様も「千曲市ICT活用ビジョン2023・DX推進アクションプラン」を策定し、DXを加速させようとしています。しかし、進捗は十分とはいえませんでした。
「千曲市は、国の名勝指定や重要文化的景観に認定されている姨捨(おばすて)の棚田、昔ながらのノスタルジックな趣を残す戸倉上山田温泉、古墳時代の王の墓と考えられている森将軍塚古墳、そして特産品のあんずなど、さまざまな魅力を持つ人口約5万8000人の都市です。ほかの都市と同様に人口は減少傾向にはあるものの、長野市と上田市という大きな都市の間に位置し、アクセスの良さや住みやすさなどからベッドタウンとしての評価が高く、転入者は転出者を上回っています。こうした中、策定するDX計画は課題や優先順位、目指す姿などにはあまり触れることなく、注目する技術などを中心にまとめられていました。結果、計画が具体的な施策に結びつかず、DXは停滞気味でした」と千曲市の松崎 高志氏は言います。
地方自治体出身のコンサルタントの経験と知見に期待
そこで同市は大きな一手を打つことにしました。DXに関する助言や提案を行ってくれるDX推進アドバイザーを公募することにしたのです。
提示した要件は、専門的知見からCIOを補佐すること、機運醸成の支援、翌年度からの情報化計画の策定支援、事例などの情報提供、ツール導入時の仕様書作成や業務効率化の支援など。公募には複数の事業者が応募し、同市は最終的にNECをDX推進アドバイザーに選定しました。
「NECのコンサルタントである池澤さんは自ら千曲市に足を運び、市内を歩き回って市民とコミュニケーションを取ったりしながら、まず千曲市を理解するところから始めてくれました。日本を代表するITベンダーであることへの信頼に加えて、そうした行動から本気度が伝わってきたことがNECを選定した決め手です」と松崎氏は言います。
また、同市の栁原 政広氏はNECが公共領域を専門とするコンサルタントチームを擁していることに期待したと続けます。「池澤さんは、地方行政をはじめとする公共分野の支援を専門としているチームの一員で、しかも県庁職員の出身。県庁時代には、デジタル活用の施策立案、機運醸成、さらには財政再建にも携わっていたと聞き、その経験や知見に大いに期待しました」。
課題を浮き彫りにしてDX機運醸成のきっかけに
NECのコンサルタントをDX推進アドバイザーに迎えて、既に同市はさまざまな施策を進めています。「池澤さんは、東京と千曲を行き来しておられるのですが、常に私たちに寄り添い、千曲のことを考えてくれていると感じています。選定時に感じた信頼はさらに高まっています」(松崎氏)。
(1)情報化計画の策定
まず同市がNECと共に取り組んでいるのが、次年度以降のDXのベースとなる情報化計画の作成です。参考にすべき自治体、計画書の構成、抑えておきたい内容、市民の理解、職員の共感を得るための工夫など、NECのアドバイスを参考にしながら、作成を進めています。
「分量を絞り、誰にも伝えやすいものにしたいなど、私たちの思いに賛同してくれた上で、そのための方法についても具体的なアドバイスをいただいています。実効性の高い計画の策定に向けて、確実に前進しています」と松崎氏は言います。
また、NECのアドバイスは、計画の内容だけでなく、作成工数にも及んでいます。
「生成AIを使って効率化を図る方法を提案してくれました。今後、人口減少が進み、限られた職員でさまざまな業務を行わなければならないのは確実。これからの業務のあるべき姿を考える上でも貴重なアドバイスとなっています」と栁原氏は言います。
(2)ツール導入の支援
既に予算化されたIT導入施策については、NECからツール選定の支援を受けています。ただし、NECは各ツールの評価や、どれを推奨するかなどを伝えているわけではありません。示しているのは、項目の整理の仕方といったツール選びの考え方。「自分で考え、選んだツールの方が定着しやすいし、方法を学んでおけば、今後のツール導入にも役立つと感じています」(栁原氏)。
(3)DX機運の醸成
DXに対する職員の前向きな姿勢を促すために、NECのコンサルタントが講師を務めて全4回の講座を行っています。内容は、DXとは何か、なぜ自治体でDXが必要なのかといった基本的な解説から、民間や行政におけるDX事例の紹介、具体的な政策立案の方法、プロジェクトの進め方まで、DXのさまざまな情報を網羅しています。
「NECは、職員に自分で考えてもらうことを重視し、講義を受講者参加型の形式にしてくれました。講師である池澤さんの問いかけに自由に意見を寄せるコーナーでは、思った以上に積極的な意見が集まり、職員たちが日々困っていること、実はDXに対して前向きな考えを持っていることなど、さまざまな思いを垣間見ることができました」と栁原氏は言います。
このような職員の積極的な姿勢を引き出すきっかけの1つとなったのが前述の講座においてNECが提示した資料です。
「NECの調査によって、千曲市は生産年齢人口の減少スピードが同規模の自治体よりも速いことが示されました。生産年齢人口の減少は、税収の減少、地域を支えているさまざまな活動の担い手の減少に直結します。転出より転入の方が多いという状況によって、ともすると深刻さを見誤ってしまいそうだった千曲市の人口問題は、極めて緊急度の高い問題だと多くの職員が認識し、その後のDX機運の醸成につながっています」と松崎氏は話します。
業務プロセスの見直しなど、DXに向けた取り組みを拡大
それ以外にも千曲市様は、デジタル技術を有効活用するために窓口業務のプロセスそのものを見直すなど、DXに向けてさまざまな取り組みを進めています。
「市民のみなさんが快適に暮らせるサービスを提供し続ける。しかも、これまでより少ない職員で、それを実現しなければならない。これからの地方行政にデジタル技術が不可欠なのは明白です。NECの協力を受けて高まったDXの機運を下げることなく、着実に前進させていきます」と松崎氏は強調しました。
DX推進アドバイザーとして幅広い支援を提供。ただし、課題解決の中心は千曲市様となるようスタンスを貫いている
課題解決の中心はあくまでも千曲市
公募に参加することが決まり、すぐに千曲市様を訪問しました。各地を歩き回り、その歴史や景観のよさ、そして、根底にある市民の方の地元愛に触れる中で、その魅力を守るにはどうすればいいのか──と、改めて千曲市様の課題解決のお手伝いをしたいという思いを強くしました。
そのために意識しているのは、NECではなく、あくまでも千曲市様が中心となって課題解決に取り組むこと。NECは、文字通りアドバイザーに徹しながら、考え方やノウハウをお伝えするようにしています。計画作成に役立てている生成AIの活用も、きっかけは若い千曲市役所職員の方からの「業務でAIを利用したい」という要望でした。NECは、その要望を踏まえて、どのような業務で活用することが良いのか、セキュアに利用するためには何に注意すべきなのかなどのノウハウをお伝えしました。
また、すべての課題をデジタルで解決すべき・解決できるとも思っていません。千曲市様の魅力を最大限に活かし、地域を持続可能にしていくための最適な方法を、デジタル・アナログ含め一緒に模索していきたいと考えています。
私が所属しているチームのコンサルタントの多くは、官公庁や地方自治体の仕事に携わった経験があることはもちろん、中には中央省庁や県庁・市役所の出身者もおり、さまざまな経験と専門的な知識を持っています。そうした経験から、地方自治体が、デジタル人材を自ら確保したり、育成したりすることがいかに難しいかなど、その実情もよく知っています。それらの知識をベースにNECは、コンサルタント以外のほかの技術的な専門家たちとも密接に連携しながら、自治体の包括的なDX推進に向けた方法論等を活用しつつ、公共分野の多くのお客様を支援しています。千曲市様のご支援では、私が県庁職員だった時代に取り組んだ、仲間集め、部署をまたいだ連携の強化、勉強会の主催といった経験なども積極的にご紹介しました。
公共分野のDXは、これから本格化する段階。NECは、専門性、技術力、そして実践する力の駆使はもちろん、それらを一体的にまとめた支援方法等を活用して、社会のDXを支援していきます。
お客様プロフィール
千曲市
市役所所在地 | 千曲市杭瀬下二丁目1番地 |
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総人口 | 5万7846人(2024年1月1日現在) |
概要 | 長野県北部の市。2023年度には、誕生20周年を迎え、さまざまな記念事業を行った。全国的に有名な「信濃川」は、長野県内では「千曲川」と呼ばれており、市の名前の由来にもなっている。 |
URL | https://www.city.chikuma.lg.jp/ |
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(2024年2月13日)