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Case:自動車部品メーカーが取り組んだ「BOPマネジメント」とは?
自動車業界で「新車の世界同時立ち上げ」、「メガリコール対策」などが求められる中、自動車部品メーカーでも、車体メーカーの高度な要求に応えるために、業務プロセスを改革する必要に迫られていました。様々な課題に対しある自動車メーカー様が取り組んだ「BOPマネジメント(工程設計情報管理)」とは?
課題
海外工場がどうやって製造しているか、国内では実態が把握できていない。
自動車部品メーカーN社で国内外の生産領域のCIOを担当するK氏は、自社の中期計画策定にあたり、グローバルものづくりのあるべき姿をどのように描くべきか、どこから着手すべきなのかに頭を悩ませていました。
「新車の世界同時立ち上げを推進する車体メーカーの要請を受けて、自動車部品メーカーにも新生産拠点の早期立ち上げや、臨機応変な生産移管が求められています。海外拠点で製造するための情報の収集に時間がかかっているようでは、車体メーカーからの短納期要求に応えられません。ところが、当社では製造指示のベースとなるQC工程表こそ日本から送付していましたが、海外の工場で、実際にどのような設備でどのように製造しているのかは現地任せで、国内ではその実態が把握できていなかったのです。」(K氏)
不具合が起こった時に、その影響範囲をすぐに特定できない。
さらに、自動車業界で相次ぐメガリコールを背景に、自動車部品メーカーに対しても品質トレーサビリティの高度化が強く求められ、車体メーカーとの取引継続の必須条件になっていました。
「例えば、ある製品や部品に不具合や設計変更が発生した時、それがどの工程や設備に影響するのか、すぐに把握できませんでした。逆に、ある設備で問題が発生した時に、その設備を使っているのはどの工程で、どの部品や製品の製造プランに影響するのか、影響範囲を特定するのにも時間がかかっていました。このままでは自動車業界に義務付けられているIATF16949(自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格)に対応するのも年々難しくなるでしょう。」(K氏)
課題
- 海外拠点の製造プロセスを管理したい
- 品質トレーサビリティを高度化したい
解決策
海外工場のものづくりの管理が必要だと考えたK氏は、Webサイトで、工程や設備などの製造プロセス情報(BOP:Bill of Process)を管理する機能を持つNECのPLM「Obbligato」の記事を見つけ、さっそく紹介を受けました。
Obbligato導入後の予想効果
- 海外での新生産拠点の立ち上げや生産移管の迅速化
- 設備を意識した製品設計促進による生産設備の共通化と固定費削減
- 上流・下流双方からの品質トレーサビリティ担保
製造プロセス情報をグローバルレベルで統合管理
K氏が評価したのは、工程情報だけではなく、海外工場に散在する生産設備の情報も合わせて一元管理できる点でした。
「海外工場の工程や設備の情報を日本で集約して管理しておけば、新しい生産拠点を立ち上げたり、他の拠点に生産移管をする際に、既存の情報を有効に活用して迅速に対応できると思いました。当社が目指している『グローバルで一貫した高品質なものづくり』を実現することにつながります。さらに、コスト面でも、設計段階から設備の情報も参照できるようになれば、設備の共通化が進み、固定費も大幅に削減できるはずです。」(K氏)
部品/工程/設備をまたがって変更の影響範囲を特定
「Obbligato」は、従来、BOM(部品表)の管理に定評があるパッケージソフトでしたが、このBOMとBOPを統合管理できる点についてもN社のニーズに合致していました。
「BOMとBOPをつなげて管理しておけば、問題が起きたときに、部品から関連する工程や設備がたどれるし、逆方向にももちろん可能です。」
ただし、BOPの考え方を導入するには、業務や役割分担の見直し、データの持ち方の再整備などが必要となります。
「グローバルものづくりで勝ち続けるためには避けては通れない改革だと考え、導入を決断しました。いきなりすべての製品を対象とするのは大変なので、まずは、ある製品シリーズをモデルケースにして取り組んでおり、その後、段階的に対応製品を拡げていく予定です。」(K氏)