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IoT/AI活用で加速するNew Normal時代のスマートファクトリーとはIoT/AI活用で加速するNew Normal時代のスマートファクトリーとは

IoT/AI活用で加速する
New Normal時代のスマートファクトリーとは

Webセミナーレポート【2020.09.23】

カテゴリ:調達・生産管理品質・環境・物流スマートファクトリー(IoT基盤/AI)

“Withコロナ”の時代、不確実性が一層高まる中で、製造業には高い変動対応力が求められています。本セミナーでは、そうした事業環境の中で期待を集める、New Normal時代におけるスマートファクトリーと、今後より本格的な活用が期待されるAIについて、業務現場での活用における成功ポイントを解説しました。

講師:スマートインダストリー本部 マネージャー 大石和人

「スマートファクトリー」とは

NECが考えるスマートファクトリーは、
1.過去・現在のデータから生産性や変動対応力が高い未来のものづくりを迅速に創り出すしくみ
2.人が活き活きと働ける環境を創り出すしくみ
と捉えており、そこで活躍する”人”にとって、安心・安全で快適な環境であることが大切と考えています。

デジタル化によって変化するものづくりの4つのキーワード

New Normal社会の製造業における主要課題としては、「工場やオフィスに行けない」「3密を避けながらの現場作業」など工場作業者の働き方が変わること、予想外の製品需要の発生や激減といった需要変動が激しいこと、物流網が途切れる、サプライヤ変更を余儀なくされるなどのサプライチェーンの混乱といったマイナス面が挙げられます。
一方で、こうした変化をマイナスの側面でのみ捉えるのではなく、大きな変革の機会や新たなビジネスチャンスと捉えることもできるのではないでしょうか。

こうした課題に対処していく切り札となるのが“デジタル化”です。
デジタル化によって変化するものづくりには、“自律改善”“自働化”“リモート”“つながる”の4つのキーワードがあります。順に説明していきます。

●「自律改善」
デジタルデータ活用による自律改善は、「見える化⇒分析⇒対処」というサイクルで行われます。
スタートは、製造プロセスなどで発生する現場のデータ化。このデータを活用し、KPI達成状況や問題の発生を俯瞰的に“見える化”します。
次に、KPIの悪化や品質不良などの要因を人とAIで“分析”。そして、設備パラメータの調整やムダどりなどの必要な改善を行う“対処”をする。
さらに、より高度な目的に適した、より質の良い、より多くのデータを集めて活用していく。
このサイクルを継続的に回していくことが、デジタルデータ活用による自律改善です。

デジタルデータの活用により、熟練者に過度に依存することなく、事実の把握、要因分析、対処、評価をスピーディーに行うことが可能となります。
NECも製造業としてこうしたものづくり革新を行い、グループ全体で生産性の50%向上に繋げています。

●「自働化」
“自働化”と聞くとロボット活用を想起するでしょう。NECは、検査工程にロボット活用による自働化ラインを導入し、未検査品投入から完了品排出までの全自動化・サイクルタイムの改善により生産性を向上し、省人化も実現しました。

デジタル化による自働化としては、例えば生産工程において、設備からのデータを活用し自働化された自律的なPDCAを実現させることがイメージできます。
生産工程における既知の事象は、データストアに落とし込んで所定の対処を行う一方、生産現場における様々な変化や未知の事象に対しては、AIを活用して異常の予兆を検知し対処するといった方法が考えられます。

●「リモート」
コロナ禍により、工場においては“3密”の職場環境の回避が要請されています。
そこで、安心・安全を確保しながらの業務継続のために、リモート化が必要となります。
しかし、従来は現場管理者が個人と対面する事で、健康状態の確認や相談を受けやすい環境が確保できていたのに対し、急激なリモート化により、個人任せの健康管理となってしまうのは回避しなければいけません。
これについては、デジタルを活用し管理者が自宅からリモートで複数の現場に指示を出したり、現場従業員の心身の健康状態を測定管理することが必要となります。

現地現物の原則に根差した上で、あらゆるテクノロジーで「リモート化」を実現する。
これにより、遠隔からでもロボットをリアルタイムに遅延なく操作できるなど、現場と同等の操作環境が実現します。

●「つながる」
災害や感染症の影響に伴う物流網寸断や海外工場の生産停止により、生産現場からは「実態が見えない」「部品調達に時間がかかる」といった苦労が聞かれます。
そこで、デジタルを活用することにより、サプライチェーンの最高責任者は「事実」をタイムリーに把握・指示することが可能になります。
さらにこうした状況を実現することで、その先には生産マップの再編成やサプライヤの自動選択など、より高度かつ柔軟な意思決定が可能となります。

また、バリューチェーンを構成する企業間でデジタルデータを共有することにより、サプライチェーン全体での在庫・滞留状況と市場の変化による販売の変動・計画乖離を突き合わせ、生産のアクセルとブレーキを踏み分けるといった高度なマネジメントが実現できます。

業務におけるAI活用のポイント

次に、業務におけるAI活用のポイントについて説明します。
市場ニーズの多様化や労働力不足といった事業環境の変化を背景に、AIへの期待が高まっています。

NECは、1960年代から文字認識技術を活用して郵便物を仕分ける郵便自動化システムを開発しました。
以来、指紋認証や生体認証などAI技術を蓄積・高度化してきました。現在では、「NEC the WISE」というAI技術ブランドを展開し、“見える化”“分析”“対処”の3カテゴリーにおいて28種類のAI技術をラインナップしています。
万能のAIは存在せず、これら個別のAI技術を“適材適所”で活用したり、組み合わせて活用することが必要です。生産現場においては、アナログ情報の認識、予兆検知、最適解の提案、自動ルール・パターン発見/予測、自動判断・制御といった適材適所のAIの使い分けが考えられます。

AI活用においては、見える化⇒カイゼン定着化⇒高度化⇒自律化・自働化・協調化という業務成熟度のステップと、認識・監視、原因、予測、対処という段階的なアプローチが必要で、一足飛びに問題の対処に活用することは極めて困難です。
また、AIで効果を出したいのは現場業務であり、その業務を支えているのは業務ユーザです。現場業務に定着し、継続的に活用できて初めて効果が得られます。したがって、業務ユーザが継続して使いこなせる仕組みであることが大切です。

AIはあくまでも手段であり、活用する目的や期待効果を明確にすることが肝要です。そして、不確実性を伴うミッションであるだけに、熱意のあるリーダーの存在が不可欠です。

製造業向けAIテンプレートを活用した定着化アプローチ

講師:NEC デジタルビジネス基盤本部マネージャー 後藤範人

ここでは、先ほどのセッションの最後に触れた「業務ユーザーが継続的に活用できる仕組み」について、具体的に説明します。

AI活用を成功させるためには、“調査・企画”“検証”“導入”“活用”の4フェーズにおいて、それぞれの専門家と協働して取り組むことが必要です。特に重要なのは“調査・企画”。ここを疎かにすると、現場で活用されない結果となることが多いからです。
このフェーズを協働する業務専門家は、業務プロセスや業務システム、業務データ、業務環境・作業状況を正確に把握しているプロフェッショナルです。このフェーズでのポイントは、業務現場の現状業務を調査し課題を明らかにした上で、AI活用により課題原因を解決するための仮説立案にあります。

この仮説立案において、他社事例やAIテンプレートを参考にする方法があります。NECでは、業種・業務ごとにすぐに使えるAIテンプレート「AAPF Solution Templates」をご用意。業務現場へのAI定着化を支援しています。

New Normal時代の製造業を支えるNECのAI外観検査

講師:NEC AIPF事業部主任 古岡佑也

ここでは、NECのAI外観検査ツール「AI Visual Inspection(AIVI)」について説明します。「AIVI」は、製造ラインにおける目視による外観検査業務を、画像認識・AIにより自動化し、当該業務の省力化や品質基準の均一化を実現させるもの。撮像系、画像処理、AIという構成要素と、それらを連携させる検査アプリで構築します。

ツールとしては、ディープラーニングを活用したNECのAIエンジン「RAPID機械学習」と、ハードウェア一体型で画像処理ができる「TechView」で構成。外観検査ツールの導入成功のポイントは、現場担当者が簡単に使えるツールであることですが、前者はノートPC1台で使えてGUIで簡単に操作でき、後者はプログラミング不要でAIや撮像機器と簡単に連携できます。

本セミナーでは、撮像、画像処理、検査アプリ構築、AI構築のポイントについて説明しました。NECは、最適な撮像システム構築の支援、画像処理とAIのハイブリッド構成の容易な実現、向き不向きを見極め適材適所のツール活用提案力、年間100件超のAI画像解析案件対応力といった強みを発揮。AI外観検査の自動化の推進を通じて、お客様の現場力の維持・向上を支援しています。

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