Japan
サイト内の現在位置
イオン株式会社様
電子マネーを活用したEV・PHV充電サービスが実現
先進ICTが支える商業施設の新たな役割 ※お客様情報等は取材当時のものです。
- 業種:
-
- 卸売・小売業・飲食店
- 業務:
-
- その他業務
- 製品:
-
- 蓄電池、EV充電インフラ
- ソリューション・サービス:
-
- クラウド
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の充電場所として期待が高まっていたショッピングセンター。店舗に充電設備の設置を進めてきたイオン株式会社様は、2012年11月より充電サービスと電子マネー「WAON」の連携に向けた取り組みを始動しました。イオン様とNECは、お客さまの利便性を向上させるだけでなく、情報分析にもとづく新しいサービスや付加価値を付加価値を創出するための実証実験を進めました。
背景
これまでイオン様の店舗に設置されていたEV・PHVの充電設備は、クラウド非対応のスタンドアロン型であり、利用する際は、インターホンで管理者へ連絡して暗証番号を手入力するなど面倒な作業が発生しました。また、設置側も充電設備の利用状況や障害情報をリアルタイムに把握できませんでした。
成果
NECのEV・PHV向け充電クラウドサービスと、急速充電器・普通充電器および充電コントローラーを導入したことにより、イオン様の電子マネー「WAON」を活用した充電サービスが実現しました。これにより、充電器のリーダライターにWAONカードをかざすだけで会員認証が行えるようになり、より手軽に充電サービスを利用できるようになりました。
また、充電器はNECのクラウドにネットワーク接続できるため、充電ログの収集管理や充電器の利用状況、障害情報をリアルタイムに把握することが可能となりました。
今後は、データの分析からサービスの向上につなげるなど新しい価値の創出が期待されます。電子マネー決済システムとしての利用の拡大も可能になります。
取り組みの背景
EVユーザーに安全と安心を提供したい
EV・PHVユーザーにとって最も心配なことが、“充電が途中で切れて走行不能になる”ことです。充電設備は徐々に増えつつありますが、ガソリン車と同じようなインフラの整備にはまだまだ至っていません。
このような中、充電設備場所として大きな期待を集めているのがショッピングセンターやスーパーマーケットなどの商業施設です。利用者の多くが車で来店すること、充電中に買い物や食事などができること、店舗網が全国に展開されていることなどがその理由です。
日本を代表する総合小売業グループであるイオン様は、2008年から埼玉県越谷市の「イオン レイクタウンmori」に充電器を設置しており、無料で充電サービスを提供する取り組みを先駆けてスタートさせていました。イオンリテール E・ビークルプロジェクト プロジェクトリーダー、(現 イオンバイク)櫻井伸彦氏は次のように話します。
「お客さまに安全と安心を提供していくことが、私たちの社会的な役割であると考えています。EV・PHVを利用しているお客さまがイオンの看板を見て、『あそこに行けば充電ができる』と安心できる。イオングループの店舗がEV・PHVを利用さえるお客様にとっても無くてはならない存在にしていくための第一歩が、レイクタウンでの試みでした」
充電器を設置しているイオン様の施設は、2012年12月末時点で、全国31店舗にまで拡大しています。
プロジェクトの概要
WAONカードをかざすだけで充電が可能に
しかし、これまでレイクタウンmoriに設置されていた充電機は1台のみで、クラウド非対応のスタンドアロン型でした。本格的なサービス展開にむけて、充電設備を拡充させ、かつクラウドサービスを活用してイオン様の電子マネー「WAON」と充電設備を連動させる取り組みがスタートしたのは、2012年11月のことです。
NECが急速充電器2台、普通充電器と充電コントローラー各1台、そしてEV・PHV向け充電クラウドサービスを導入し、11月16日よりWAONへの利用者登録がスタートしました。さらに2013年2月1日からは、WAONを使った充電サービスの実証実験が本格的に始まりました。
イオングループで総合ファシリティマネジメントサービスを手がけるイオンディライトの営業戦略部長、坂下英樹氏は次のように説明します。
「いままで充電器をお使いになるお客さまには、充電器の横に設置されているインターホンで施設内の管理者に連絡して頂き、暗証番号を手入力するといった面倒な作業をお願いする必要がありました。
今回、充電設備とWAONが連携したことにより、WAONカードを充電器のリーダライターにかざすだけで簡単に利用できるようになりました。
これによって、お客さまの利便性が格段に高まったと思います」
同じくイオンディライトでレイクタウンmoriに駐在するセンター長、田頭君行氏によれば、充電器が拡充された2012年11月以降、週末を中心に充電器を活用するEV・PHVユーザーが確実に増えているとのこと。
「利用状況は今後詳しく調査していくことになりますが、EV・PHVで来店されているお客さまの大多数にご利用いただけており、お客さまの充電待ち時間が減って効率も上がりました。
現在はお買い物に足を運んで下さったお客さまへサービスの一環としてご提供しておりますが、使い勝手の良い充電環境が整ったことで、より高い満足に繋がっていると感じています」(田頭氏)
期待される成果
お客さまデータを活用してサービスの向上へ
イオン様にとって、WAONは単なる電子マネーではなく、広範な用途に活用できるマルチなサービスとなっています。
「たとえば、全国の都道府県と協定を結び、WAONを一種の地域通貨として使えるようにしたり、WAONでの購入額の一部が東日本大震災の復興支援への寄付となる仕組みをつくったりするなどの取り組みをこれまでも行ってきました。EV・PHV充電との連動も、そういったWAONの多様な活用の一環と捉えています」(イオンリテールSC管理部施設管理グループ担当マネージャー・岩田裕司氏)
充電設備とWAONの連携の第一の成果は利用者の利便性が高まったことですが、さらに、充電の利用情報とWAONのデータをクラウド上で統合させることによって、お客さまのデータをトータルに把握することも可能になりました。そのデータをもとに、お客さまの動向を見極め、サービスの質を向上させていくことが、今回の実証実験の大きな目的です。また、将来的にEV・PHVが本格普及し、一般的に充電サービスが課金化された際にも、この仕組みは決済システムの基盤として対応することができます。
パートナー選定のポイント
NECの既存技術が新しいサービスの創出へ
「イオン店舗内に設置されているWAON対応の自動販売機に代表されるように『認知度のあるWAONカードで充電器が使えれば、お客さまにとって利用しやすい充電サービスを提供できるのでは…』と考えていました。その想いに応えてくれたのが、電子マネーに関して高い技術力を持つNECです。NECは小売業者との豊富な取引経験をもっているため、小売業に対する業務ノウハウも多く、ニーズに対する理解も早いと感じています。既存の技術力を上手に活かしながら、今回も我々の新しいサービスの創出に繋げてくれました」(坂下氏)
従来から培ってきた業務ノウハウの高さに加え、保有する既存技術を新たなサービスの創出に活用できる柔軟な対応力と提案力が、NECがパートナーとして選定された大きな理由のひとつでした。
今後の展望
地域の生活になくてはならない店となるために
「従来スタンドアロンだった充電設備がクラウド化されたことによって、充電ログの収集管理や、充電器の利用状況、故障情報をリアルタイムに把握できるようになりました。今後は、ほぼひと月ごとに充電器利用の状況を把握し、お客さまにとって本当に使いやすい仕組みを作り上げていくことが、次のステップとなります」(坂下氏)
イオン様が2012年8月に発表した「イオンのecoプロジェクト」の中では、EV・PHV充電設備の拡充がひとつの目標として掲げられており、現在、新規店舗を中心に、全国の店舗で充電器の設置が進んでいます。今回のレイクタウンmoriでの取り組みの結果が、イオン様が提供する充電サービスの質をさらに向上させていくことに繋がります。
「私たちが目指していることは、イオンの店舗が地域の生活になくてはならない店となることであり、お客さまの生活のすべてをフルサポートできる企業となることです。今後、いろいろな地域で、エネルギー利用を効率化したスマートシティが現実のものとなっていくでしょう。将来的には、イオンの店舗がスマートシティを支える重要な役割を担うことができれば理想的ですね」(櫻井氏)
お客様プロフィール
イオン株式会社
本社 | 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1 |
---|---|
設立 | 1926年(大正15年)9月 |
資本金 | 1,990億54百万円 |
事業内容 | 小売、ディベロッパー、金融、サービス、およびそれに関連する事業を営む会社の株式または持分を保有することによる当該会社の事業活動の管理 |
URL | https://www.aeon.info/ |
(2013年2月1日)
関連リンク
関連事例
[法人] お問い合わせ