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IoTで拓く電力ビジネス-仮想発電所(VPP)ビジネス

~分散電源を活用した電力系統安定化ソリューション~

再生可能エネルギーの普及がもたらす電力系統の安定化問題

  • 太陽光発電の導入が増えるにつれ系統に対する昼間の需要は減少し、夕方のピーク需要上昇のギャップが拡大する傾向にあります。
  • 特に太陽光発電ピーク時は、電力会社から供給される電力の一部が過剰になり、余剰電力が発生し系統の不安定化を引き起こす原因のひとつになります。さらに、従来は、負荷変動に追随して、出力変化速度が比較的大きなLNG、石油、揚水発電などが需給バランスを維持してきましたが、太陽発電の普及が進むと系統に対する昼間の需要が大きく減少し、調整力を出していたこれら発電機を停止させなければならなくなります。調整力不足などの電力需給問題が顕在化してくる恐れがあります。
  • また夕方の急峻な需要の増加に対しても、従来の発電機での供給が追従できなくなり、需給バランスの制御が困難になります。

ディマンドリスポンス(DR:Demand Response)とは?

  • ディマンドリスポンス(DR)とは、需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者(リソースアグリゲーターなど)が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させることです。
  • DRは、需要制御のパターンによって、需要を減らす(抑制する)「下げDR」、需要を増やす(創出する)「上げDR」の二つに区分されます。
  • 例えば、電力系統の需給バランス調整がより難しくなる昼間の余剰電力発生時には、上げDRを実施することで、余剰電力を削減し不安定化を解消することが期待されています。また夕方の急峻な需要増加時には、下げDRを実施することで需給バランスの改善を図ることができます。

バーチャル・パワープラント(VPP:Virtual Power Plant)とは?

  • バーチャルパワープラント(VPP)とは、需要家側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者(リソースアグリゲーターなど)が、そのエネルギーリソースを制御(需要家側エネルギーリソースからの逆潮流も含む)することで、発電所と同等の機能を提供することです。
  • VPPを構築するためには、多種多様な分散電源(DER)を遠隔から監視制御する電源制御技術、ICT×IoTを活用した通信技術、各々のエネルギーリソース(電力)の情報を集約し全体最適化するAI技術が必要になります。
  • VPPに活用される主なDERは、ビル・工場・大型商業施設等に導入されている発電機、コジェネレーションシステム、業務用・家庭用の太陽光発電や蓄電システム、風力発電、などがあげられます。
  • VPPもDRと同様に電力需要パターンを変化させることに加え、系統安定化に必要な調整力を提供できる仕組みとして期待されています。

NECの電力系統安定化ソリューション

NECは需要家側で発電した再生可能エネルギーの余剰電力を有効活用し需要家のEMSと電力系統の安定化を同時に実現するため、DRやVPPを活用した様々なソリューションを提案します。

①送配電事業者向けソリューション

  • 分散電源(DER)と中央給電指令所を双方向で結ぶ「高度な出力監視制御」に関するソリューションの構築実証の取り組みです。
  • 発電事業者のパワーコンディショナと再エネ監視サーバとをリアルタイム(*1)に双方向で通信し、出力制御などの送信と発電電力などの情報を収集するものです。
  • 双方向通信によるメリットは、発電予測の精度が向上し安定した需給計画に寄与できること、系統保護のための即時(*1)制御が可能になること、無効電力の制御により電圧上昇を防ぎ、設備を保護する(*2)ことが挙げられます。
  • (*1)
    システム構成により数秒~数分程度かかる場合があります。
  • (*2)
    パワーコンディショナに無効電力制御機能がある場合

②DR事業者、RA事業者向けソリューション

  • エネルギー設備を有効活用するResource Aggregation クラウドサービスです。
  • 発電機、蓄電池、EVなどのDERは、性能をフルに活用できないケースがあります。NECは、ICT×IoT及びVPPに関わる豊富な知見をベースに、DERを活用するソリューションをスムーズかつスピーディーに構築し、お客様ビジネスの付加価値創造に貢献します。
  • リソースアグリゲーターの業務に必要な機能をクラウド上に配備し、お客様のニーズに合わせて複数のエネルギーリソースの制御を組み合わせることで、短期間・低コストでVPPの構築や、DRを実施することが可能になります。
  • NECが持っている通信技術、ネットワークの知見、VPP実証事業でのノウハウをもとに、お客様事業の実現をサポートします。

③VPPを活用した調整力の創出技術の開発

  • 再生可能エネルギーの大量導入等により懸念される周波数の揺らぎを安定化させるため、VPPにより調整力創出を行うソリューションです。
  • リソースアグリゲータは、多数の蓄電池やEVの蓄電電力や放電電力に関する状態情報を集約します。電力会社(中央給電指令所)から制御情報を直接受信したリソースアグリゲータは自己の監視制御下にある各蓄電池、EVに対し、充放電に関する動作制御情報を送信します。
  • NECは特許を有する独自開発技術に加え、関西電力送配電様の実証への協力を通じて得たノウハウを基に、電力会社様の系統安定化に貢献して参ります。

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