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IoTで変貌するものづくり ~Industry4.0は必ずやってくる~[3]

抱 厚志のものづくりコラム「IoT時代のものづくり4.0J」
抱社長

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抱 厚志プロフィール
昭和35年7月、大阪府生まれ。自称生産管理おたく。
海外25カ国、累計5,000以上の工場を視察し、1,000社以上の生産管理システム導入に関与した実績を持つ。
平成6年9月に株式会社エクスを設立し、代表取締役に就任。翌年2月に生産管理システム「電脳工場 for Windows」をリリース。最新版の「Factory-ONE 電脳工場」シリーズも含め、現在までに1400本を超える導入実績がある。
「生産管理システムは経営戦略を具現化するツールである」とのコンセプトをもって、「ソフトを提供するのではなく、ソフトの使い方を提供する」という『真のソリューションベンダー』となるべく、日々、精力的に活動中。

第3回 IoTで変貌するものづくり ~Industry4.0は必ずやってくる~[3]

前回までは、Industry4.0やIndustrial Internetが世界規模において、次のトレンドであり、その背景と方向性についてご説明した。今後、Industry4.0やIndustrial Internetなどが、真のトレンドなれば、これは第4次産業革命の到来であり、これまでの産業革命の経緯やTPSとの比較などについても書かせて頂いた。
今回はそのインパクトや対応の方向性について整理し、情報社会の次の知識社会の到来について考察してみたい。

情報がリアルタイムで上がって来るので、それに対応するためのルール構築が必要

Industry4.0では、自社内に限らず、指示や実績がリアルタイムに交換されるので、従来のような経験と組織に基づいた判断では後手に回ることが多くなる。状況の分岐を予想し、リアルタイムで対応できるルールを予め作っておくことが必要となる。
またルールの徹底のための教育や訓練を、綿密に実施して行くことも重要である。

需要と供給が企業間を超えて統合管理される

Industry4.0はTPS(トヨタ生産方式)のように単独企業の牽引による取り組みではなく、社会全体の取り組みとなり、その領域は、企業や国の壁を越えた大きなものとなる。
管理者は自社のリソースのみならず、バリューチェーン全体に存在するリソースを意識したマネジメントを行わなければならない。

MRPは資材所要量計算であり、企業内における人・モノ・金などのリソースを管理するものであるが、今後は環境やエネルギーなどの社会性も考慮したSRP(Social Resource Planning)や企業、国境を越えたGRP(Global Resource Planning)などが求められるであろう。
バリューチェーンは社内のみに留まらず、社会的PDCAのマネジメントサイクルの中で、さらにその領域や役割を拡張すると考えられる。

情報を知識に、知識を企業の知見、現場の知恵に変える

今後のものづくりにおいては、「個別企業に蓄積されるローカルデータ」と「ネットワーク上にビッグデータとして形成される集合知の融合」の統合分析から、生産性を向上させる知見を得る必要があり、ローカルのデータはネットワーク上のビッグデータとの比較の中で、ポジションとポートフォリオの見える化が求められる。
例えば自社の時間生産性が見えたら、業界における同業他社や海外などと比較し、自社の時間生産性が相対的にプロットすることで、自社のポジションの高低が見えて来て、自社よりも上位にいる企業をベンチマークし、更なる改善効果を創出する取り組みが可能となる。
これは経験や情報を、自社の過去や他社の事例と比較しながら、企業経営の知見や現場の知恵に変えて行こうという取り組みである。

これは「情報を知識に変える」と言うことであり、「知識社会」に求められるものである。
ここでは少し余談になるが、知識社会の到来を前提に、有史以来の「社会価値の変遷」について述べてみたい。

時代とともに、格差を生むものは変わってきたが、この「格差を生む技術」にいち早く対応したものが、その時代を牽引したのである。

時代 社会通称 格差を生むもの
古代 狩猟社会 狩猟技術
中世 農耕社会 農耕技術
近代 工業社会 工業技術
現代 情報社会 情報技術
近未来 知識社会 知識技術

近代は「工業社会」であったので、「工業技術」が格差(特に企業間格差)を生んだ。
具体的には、より良い設備や生産技術、技量の高い職人、高い加工精度などであり、これらを有する企業がリーディングカンパニーと呼ばれ、80年代後半の日本はジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた。

そして現在は情報社会(特にここ10年は高度情報化社会と言われている)であり、上表にある歴史の公式に当てはめれば『情報技術』が格差の源泉となる。コンピュータ、インターネットやモバイルデバイス、そしてIoTなどを背景として、情報の収集力や分析力などが競合力を形成し、情報を企業価値に変えた企業が大きな影響力を発揮してきた。

そして情報社会の次、すなわち近未来は『知識社会』の到来である。
知識社会の到来は、ドラッガーなどにより、1950年代から唱えられて来たことである。
「人・モノ・金」に「技術と情報」が5大経営資源と考えられた情報社会から、その経営資源から得られる知識こそが、社会最大の資源となると言う考えが知識社会の基本である。

資本で生産の手段を所有し、労働力を投じて、製品やサービスを生み出すという構図から、知識が資本に取って代わると言うことである。
知識とは個人の欲求を満たす『物識り』ではなく、情報や経験から得た知見を社会、企業、個人などに還元しながら、『新しい価値を創生させるもの』である。現場においても、知識労働が重要さを増し、企業も知価を求めて行く様になるだろう。
既に知識社会への移行のためのコンセプトや手段はいくつも出現しており、ものづくりにおいてはIndustry4.0やIndustrial Internetなどであると言える。
人・もの・金・情報は「知的労働者、モノのサービス化、知価、知識の源泉」へと変化を遂げる。これらを強く意識していなければならない。

『情報を知識に、知識を企業の知見、現場の知恵に変える』時代の到来であり、IoTはそれを加速する。

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