Japan
サイト内の現在位置
アークレイ株式会社様
グローバルなヘルスケア事業を展開するため
SAPシステムと連携するジョブ管理基盤を構築。
ジョブ処理の効率化、自動化を実現
- 業種:
-
- 医療・ヘルスケア
- 業務:
-
- その他業務
- 製品:
-
- ソフトウェア/運用管理
医療機関向けの糖尿病検査や尿検査などの関連製品を中心に、独自技術で業界をリードしてきたアークレイ様。同社は、グローバル市場のニーズに対応するべく、海外における生産拠点との販売ネットワークの構築を急いでいます。グローバル化を推進するにあたり、国産ERPで稼働していた基幹システムをSAPに刷新。SAPと他システムを連携させるために、NECのジョブ管理ツールWebSAM JobCenterを導入し、受注から出荷、納品、請求までの日次処理の効率化や請求書発行などの月次処理の自動化を約2カ月という短期間で実現しました。
事例の概要
課題背景
- 事業のグローバル化を加速するためSAPを導入し、国内外の基幹業務を連携させる必要がありました。
- 少人数の情報システム担当者で管理を行うため、SAPと他の業務システムとの連携処理の効率化が求められていました。
成果
- グループ会社の基幹業務システムを本社SAPに集約、グローバル化を推進する基盤が整いました。
- SAPと他システム間で発生する受注から出荷、請求伝票起票までの日次処理の効率化、さらに実消化および請求書発行などの月次処理の自動化を実現しました。
導入ソリューション
受注から出荷、納品、請求までの一連の処理を効率化
アークレイ様では、医薬品卸会社からの受注データに基づいて物流会社への出荷依頼や、出荷後のデータをSAPへ流して請求伝票の発行などを行う日次処理と、請求書発行、実消化に伴う月次のジョブ管理をWebSAM JobCenterで実行しています。実消化とは、メーカーが医薬品卸会社に納品した商品のうち実際に医療機関・調剤薬局などへ何個流通したのかを把握する仕組みです。アークレイ様の実消化システムは、アプリケーションサーバ2台、データベースサーバ1台を仮想環境で構築し、医薬品卸への納入実績から卸販売の実績を差し引いて処理しますが、これらの処理に関連するジョブの管理にWebSAM JobCenterを活用して制御しています。各種ジョブ処理は、WebSAM JobCenterに実装されたカレンダ機能とスケジュール機能を組み合わせ、月初5営業日などのアークレイ様の業務スケジュールに合わせて実行されています。ジョブ処理が止まってしまうと、請求伝票発行などの業務が止まってしまうため、可用性を向上させるために、仮想基盤の提供するHA機能を利用して冗長化を図っています。
本事例に関するお問い合わせはこちらから
事例の詳細
導入前の背景や課題
グローバル化を加速するため基幹システムを刷新
グローバル化が進むヘルスケア分野では、アジアの新興国市場が急速に拡大しています。世界保健機構(WHO)によれば、日本を除くアジアの主要医療市場規模は、2010年の40兆円から、2020年には122兆円と、3倍増になると予測されています。こうした市場環境の変化をいち早くとらえたアークレイ様は、1999年のドイツ進出を皮切りに世界的な販売ネットワークを構築し、近年では米国、中国、イギリス、フィリピン、ロシアに生産拠点を設けるなど、急ピッチでグローバル化を進めてきました。
グループ支援部情報システムチーム責任者の松井義典氏は、導入の背景について次のように話します。「グローバル化を加速するにあたり、多言語、多通貨対応ができなかった従来の国産ERPをSAPに切り替えることを決断しました。SAPでの基幹システム構築過程で、他の業務システムと連携処理を効率化するジョブ管理ツールは絶対必要な製品の1つでした」
選択のポイント
導入コストとシンプルな製品体系が導入の決め手
ジョブ管理ツールを選定する際、重要な要素となったのが導入期間でした。「SAP構築に人的リソースを割かれていたため、ジョブ管理ツール導入の検討が遅れていました。検討を開始したのがSAPリリースの半年前だったこともあり、詳細な検証を行う余裕がなく、市場での認知度や実績を重視して検討を進めました。NECのWebSAM JobCenterを選択した理由は、大きく分けて2つあります。1つは価格です。NECの製品は、他社とは異なるライセンス体系を採用しているため、コスト面で十分なメリットが得られると考えました。もう1つの理由は、ジョブ管理に特化したシンプルな製品だったことです。他社製品は、製品体系が非常に複雑で、内容を理解するだけでも時間がかかることが懸念されましたが、WebSAM JobCenterは、我々が求める機能を備えたシンプルな製品であったため、迷うことなく選択しました」と松井氏は話しています。
WebSAM JobCenterは、マシンランク(Tier)で価格を定義するライセンス体系を採用することにより、CPU数やコア数が増えても導入コストは変わらないことが大きな特長です。さらに、仮想環境であれば、ゲストOSに割り当てるコア数に関係なく、最小ランクのTierライセンスを必要なOS数分購入すればよいという点でも費用を低減でき、アークレイ様が評価した重要なポイントでした。
グループ支援部情報システムチームの永田光彦氏は「評価版をお借りしてSAPと他システムとの接続性について評価しました。検証の結果、外部からのトランザクションコールが正しく行え、それに基づいて正しくジョブが実行されることが簡単に確認でき、これなら製品の導入や操作方法の修得も容易に行えると感じました」と検証プロセスを説明します。WebSAM JobCenterは、マルチプラットフォーム対応で、他社サーバや複数のOSが混在する分散環境でも柔軟にジョブの実行管理を行えるため、マルチベンダのHWを利用しているアークレイ様の環境でも問題なく導入することができます。さらにSAPと連携した大規模ミッションクリティカルシステムにおける豊富な実績も、導入を後押しするポイントになりました。
導入後の成果
ジョブ処理の効率化を実現、当日受注当日出荷も可能に
「最大の導入効果は、トラブルなく安定稼働していることです。ジョブ処理のような定型業務は、目立たず確実に動くことが、何よりの価値だと思います」と松井氏はWebSAM JobCenterの信頼性を評価します。さらに、「現在、医薬品卸会社からの受注は、JD-NET(医薬品業界データ交換システム)による電子受注と、ファクスの二通りで受け付けています。ファクスによる受注商品は従来通り翌日出荷していますが、基幹システム刷新に伴い、JD-NETの受注商品は当日受注当日出荷を実現しました。これにかかわる一連のジョブ管理をWebSAM JobCenterで実行しています。この処理に含まれるジョブは非常に細かく分類されており、その管理は人手では処理しきれません。WebSAM JobCenterによりジョブをまとめて処理することが業務効率化につながっています。イレギュラーな受注が発生した場合、スケジュール通り自動でジョブを流せないことがあり、スケジュールを数時間遅らせて実行するなどの変更を行う必要がありますが、このあたりの操作もWebSAM JobCenterでは、マスタスケジュールを変更することなく、該当する業務ジョブのスケジュールをGUIから簡単に変更することができます。今後は、こういったイレギュラーな処理も人手を介さず処理するような仕組みをWebSAM JobCenterの豊富な部品を活用して改善してくことを検討しています」と松井氏は課題を述べます。
今後の展望
WebSAM JobCenterを活用してグローバル化を加速
アークレイ様では、現在国内のグループ会社5社の基幹業務をSAPに移行しており、2013年11月には中国、フィリピンの生産拠点のシステムをSAPに統合する予定です。
「業務統合やグローバル化を進める中で、ジョブの追加や変更が増大することが予想されます。その際、エクセル上でジョブやスケジュールの定義を編集できる、Definition Helperオプションは編集作業を効率化でき非常に有効な機能だと思います。またブラウザでのジョブの実行監視オプション(CL/Web)は、場所を選ばず状況の確認や再実行などの対応ができるため、利用を検討したいです」と永田氏。
「グローバルで業務統合を進めると国ごとの時差を考慮したスケジュールが必要になります。WebSAM JobCenterでは、タイムゾーンを設定でき時差を意識せずにスケジュールを設定できる点なども魅力的で、ぜひ有効活用していきたいですね」と松井氏は、WebSAM JobCenterへの期待を語ります。
NECスタッフの声
本番導入までの期間が短く、業務ジョブの運用環境の構築が急務であったため、JobCenterによる基盤の初期構築および教育を担当し、お客様によるジョブの運用が短期間で開始できるようにご支援させていただきました。
教育の際には、ヒアリング要件に基づき、ジョブ実行確認・再開・保留等の運用方法、ジョブ実行基盤の設定方法を説明し、先行ジョブの終了状態に合わせて後続の処理を分岐させる部品などのカスタマイズしやすいサンプルや、営業日を意識したスケジュールの組み方のサンプルを用意することで、社内スタッフで容易に運用を始められるような「実践的な教育」を実施しました。
短時間でのシステム構築および教育作業を実施でき、時間的にもコスト的にもお客様への負荷をかけずにプロジェクトを遂行できました。
お客様プロフィール
アークレイ株式会社
所在地 | 京都市中京区烏丸通四条上ル笋町689 京都御幸ビル10F |
---|---|
創業 | 創立:1960年(昭和35年)6月10日 設立:1963年(昭和38年)9月26日 |
従業員数 | グループ企業全体1,570名(2012年11月1日現在) |
事業内容 | 臨床検査用の機器・試薬および検査データ管理システムの研究開発・製造・販売、機能性食品素材の研究開発・販売 |
URL | https://www.arkray.co.jp/japanese/index.html |
この事例の製品・ソリューション
本事例に関するお問い合わせはこちらから
(2013年6月18日)