Japan
サイト内の現在位置を表示しています。
No.2(3月)ICTシステムを担うこれからのクラウド基盤特集
Vol.67 No.2(2015年3月)
記載されている技術は製品に採用されているとは限りません。
製品が掲載されている場合は、販売を終了している可能性がありますので別途ご確認ください。
NEC は、安全・安心・効率・公平で豊かな社会の実現に貢献すべく、社会ソリューション事業に取り組むことで、社会価値創造型企業への変革を目指しています。社会インフラを高度化する社会ソリューションを支える重要なICT として、クラウド基盤、SDN、ビッグデータ、サイバーセキュリティなどが挙げられます。
そのうちのクラウド基盤は、それらのICT システムを支える基盤として重要な役割を担っています。クラウド基盤は柔軟で拡張性があるだけでなく、環境負荷が低く、安全・安心、効率的でかつ公平な利用を実現するものでこそ、社会に貢献するクラウド基盤となりえると考えます。 NEC は、安定稼働とセキュリティ確保がクラウド事業の基本品質と捉えるとともに、多様なクラウド環境の広がりを考慮することを軸とし、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」を開発しました。同時に、クラウド基盤を構成する機器群の低消費電力化、小型化を実現しています。
本特集では、NEC Cloud IaaS のサービス内容、サービスを構成する製品群、更に最新技術研究成果やお客様事例について紹介します。
ICTシステムを担うこれからのクラウド基盤特集
執行役員常務 清水 隆明
ビジネスイノベーション統括ユニット 理事 橋谷 直樹
近年、ICT(情報通信技術)システムにおいてクラウドサービスの利用が急拡大しています。これからの企業は、クラウドサービスの利便性、柔軟性、拡張性を享受し、ICTシステムの中核として利活用することで、競争力強化や新たな企業価値創造につなげていくことが重要です。また、ICTシステムを支えるクラウド基盤は環境負荷が低く、安全・安心・効率・公平な利用を実現するものでこそ、社会に貢献するクラウド基盤となりえると考えます。 本稿では、NECのクラウド基盤への取り組みについて概説します。
NEC C&Cクラウド基盤 NEC Cloud IaaSのサービス
長谷川 貴之・平井 真樹
近年のIaaS市場は飛躍的に拡大し、多くのITベンダがクラウドサービスを提供しています。クラウドサービスにはパブリックやプライベートなどのさまざまな形態があり、それらを複数用いるハイブリッドクラウド/マルチクラウド環境も拡大しています。クラウド化に伴いお客様企業が抱える課題には、適切なコスト削減や強固なセキュリティ、マルチクラウド環境での統合運用管理があります。 本稿では、これらの課題を解決するためにNEC Cloud IaaSにて開発したポータルサービスについて紹介します。
山本 大輔・田中 基木・冨士川 義和
舛本 茂夫・渡辺 祥
「NEC Cloud IaaS」では、クラウドサービスを活用したSI要件に対して柔軟に対応できることを狙いとし、コストパフォーマンスにすぐれた仮想サーバサービス(STD)、高性能・高信頼を特徴とする仮想サーバサービス(HA)、更に物理サーバサービスを提供し、かつそれらのサービスがハウジングサービスと同一のNWセグメント上で連携できることを特徴とした、ハイブリッド型のサーバサービスを体系化しています。本稿では、これらのサーバサービスの特徴を紹介します。
籾山 奈々子・滝口 敏行・荒久田 博士
清水 昭彦・菅野 洋太郎・水島 一紀
ICTシステムでは従来、ネットワーク機器の物理的な制約に縛られることが多くありました。近年では、仮想的なネットワークの利用が広がっています。需要の変動に対応して迅速な利用が可能であることは、変化の速いICTの世界、とりわけクラウドの世界では重要な要件となっています。一方で、ネットワーク機器の能力を最大限に生かせる物理機器への需要も根強いものがあります。NEC Cloud IaaSでは双方のニーズを満たすため、仮想から物理まで幅広いラインアップを用意しています。本稿では、NEC Cloud IaaSで提供している「多様なネットワーク環境を実現するネットワークサービス」の構成について紹介します。
清水 美欧・宮地 均・坂上 武史・碩 正樹
クラウドは、その性質上、常にセキュリティの脅威にさらされています。NEC Cloud IaaSは、オペレーションセンターで外部からの脅威に対して監視を行い、セキュリティ確保に努めています。また、専門のセキュリティ組織と連携し、システムの安全性向上を図っており、内部統制対応としてSOC2レポートなどの内部統制保証報告書を取得し、お客様の内部統制監査対応の負荷軽減に貢献しています。 本稿では、NEC Cloud IaaSをシステムの脅威から守る「セキュリティサービス」について紹介します。
鈴木 敦男・伊藤 誠啓
IT社会を支えるデータセンター。NECは30年のデータセンター運用経験を生かし、2014年1月にNEC神奈川データセンターを開設しました。本稿では、NEC Cloud IaaSを支えるNEC神奈川データセンターと、そのマネジメント技術を紹介します。NEC神奈川データセンターは、省エネ性を追求し、データセンターの省エネ性の主たる指標であるPUEを、首都圏ではトップクラスの1.26にまで抑えました。災害リスクの少ない立地、都心部からのアクセスの良さ、何重にもなるセキュリティも兼ね備えた、3,000ラック収容のNECのフラッグシップデータセンターです。
NEC C&C クラウド基盤を支える製品、最新技術
嶺木 智裕・秋山 俊之・妹尾 賢一
鹿田 和之進・上田 真義・新藤 匡
クラウド時代の到来により、企業のITシステムの利用形態は大きく変わってきています。必要なときに必要なだけサービスやICTリソースを利用する形態への変化に対応するために、企業システムでは統合・集約化が進んでいます。NECが培ってきた豊富なノウハウと先進技術を投入した統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」は、クラウド時代に向けて大規模・複雑化するITシステム全体の可視化と運用の自動化により、トータルコストの最適化を実現します。本稿では、「WebSAM vDC Automation」での統合運用管理と、弊社が提供するクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」に向け、新たに実装した機能を交えて紹介します。
長谷川 貴之・平井 真樹
クラウドサービスを高品質/低価格で提供するためには、先進的なシステム構成だけでなく、システム基盤自体の運用の効率化・自動化も必要となります。NEC Cloud IaaSにおいて、システム基盤の構成管理機能やアクセス管理機能、自動音声エスカレーション機能や正常性確認機能などによって運用コスト低減やサービス品質向上を実現した、統合運用管理基盤について紹介します。
越智 一郎・佐藤 祐・横山 淳
中井 康博・茂垣 泰夫・山中 章
データセンター向けに開発したNECの高集積省電力「マイクロモジュラーサーバ」及び、電気を使わず自然に冷やす局所冷却技術「相変化冷却ユニット」には、さまざまな最新の技術が盛り込まれています。本稿では、それらの技術のなかでも、特にデータセンターのTCO削減に貢献する省電力、高密度、運用管理についての技術と、独創性に関して説明します。
貞野 勝吾・萩原 博之・添田 修材
本間 一也・大谷 寛之
ICTシステムで活用されるデータ量が急増しているなか、ストレージには多くの役割が求められてきています。信頼性の高いストレージであることはもちろんのこと、クラウド環境を想定した、仮想化環境や複数業務での安定した性能確保が求められます。「iStorage M5000」は、メインフレームで培った高信頼技術とX4(by four)アーキテクチャによる高信頼基盤を提供し、仮想化環境や複数業務での安定した性能を確保します。 本稿では、NEC Cloud IaaS の要件を取り込み実装している新機能について紹介します。
廣永 龍治・川名部 正純
ICTシステムで取り扱うデータ量が爆発的に増加していくビッグデータ時代には、ストレージは予測困難なデータ増加に対応していく必要があります。iStorage HSシリーズ(HYDRAstor)は、革新的なグリッドアーキテクチャの採用により、高い性能、拡張性、信頼性、及び運用管理の省力化を実現した、この要望に応えられる世界でも最高レベルの性能を誇るスケールアウトストレージです。 本稿では、HYDRAstorの特長と、NEC Cloud IaaS の要件を取り込み実装した新機能について紹介します。
早野 慎一郎・宮本 武・山下 敦也
SDN対応製品であるUNIVERGE PFシリーズについて、大規模ITシステム基盤向けの強化内容や採用技術・適用メリットを紹介します。UNIVERGE PFシリーズは、大規模化対応や運用性の向上を行う機能強化を行うとともに、OpenFlowに加えオーバーレイ方式の対応と、ネットワークの統合運用管理機能を提供しており、NEC Cloud IaaSにも採用されました。本稿では、製品の構成や機能、連携方法の説明、仮想ネットワークの分割制御・統合運用について紹介します。
吉川 実・中井 康博・来住野 剛
地球温暖化の問題を受けて、地球環境への負荷を小さくする省電力化に対する社会的ニーズは、日毎に高まっています。データセンターに設置されるサーバなどのIT機器の冷却方式に関し、ラックの高密度化と、冷却のために使う電力を小さくする、NEC独自の高効率ラック冷却技術の研究開発事例を紹介します。
NEC C&C クラウド基盤の将来技術
石坂 一久・竹中 崇・森吉 達治
社会インフラの高度化を支えるクラウド基盤には、実世界から収集した映像、画像、音声、センサデータなどの大量のデータを高速・低遅延に解析して、タイムリーに実世界にフィードバックすることが求められます。しかしながら、多数の汎用サーバで分散処理する従来のアプローチには、機器コスト、消費電力、設置スペースが大きくなるという課題があります。本稿では、大量データの高度な分析処理が求められるクラウド基盤の低コスト・省電力・低フットプリントを実現するアクセラレータ活用技術と、今後の取り組みについて紹介します。
吉川 隆士・菅 真樹・高橋 雅彦
宮川 伸也・飛鷹 洋一・阿部 晋樹
今後、データセンターではオフィスアプリケーションだけでなくIoTサービスをはじめオンプレミスの多様なサービスを収容する必要があります。そのため、ときにストレージ、ネットワーク、数値計算や画像処理などの処理に高い性能を有し、多様なインタフェースを備え、高い信頼性を必要とするなど、ユーザーの多種多様な要求に応える必要があります。本稿では、デバイスレベルで分割化されたリソースプールから、必要なデバイスを選んで接続することで計算機を構成したり、個別の性能や機能をスケールアップしたりすることができるResource Disaggregated Platformを紹介します。標準のハードウェア/ソフトウェアを用いて、クラウド基盤上に自由にコンピュータシステムを構築することでお客様の求める性能と機能を実現し、それらをコンピューティングリソースとして提供できます。
矢野尾 一男・古牧 和久・伊豆倉 さやか・榊 啓
クラウド環境上のSIにおいても、提供されたインフラやサービスを組み合わせて、お客様の要件に合う非機能を作り込むプラットフォーム設計は必要になります。クラウド環境ではソフトウェアによる構築の自動化が可能になるなど、モデルベースのプラットフォーム設計手法の効果が高まると考えられます。本稿では、クラウド上のSIを対象にした、モデルベースのプラットフォーム設計支援技術(CARDO)について紹介します。
島村 栄・矢野尾 一男・梶木 善裕
黒田 貴之・中野谷 学
クラウド時代になると、システムインテグレーションの基盤がオンプレミス時代のサーバ、ストレージから、仮想化されたクラウド基盤へ変化します。こうした環境において、クラウドの特長を生かした自動化技術を適用し、従来の見積、開発、サイジング、テスト、本番移行などを大幅に効率化するクラウド時代のSI技術を紹介します。ここではモデルベース設計支援技術(CARDO)、構成管理技術(Alchemy)、テンプレート型プロビジョニングを含めた全体像を紹介します。
加藤 清志・宮崎 寛之・相馬 知也・高城 真弓
インバリアント分析技術は、さまざまなシステムから平常時に変化しない関係(インバリアント)を自動的に学習してモデル化し、そのモデルと一致しない「いつもと違う」挙動を検知するものです。クラウド基盤などの情報通信(ICT)システムの安定稼働に加えて、プラントの故障予兆検知や橋梁などの構造物ヘルスチェックなどで保全コストを最適化しつつ、社会インフラを支えるさまざまなシステムの安全・安心に貢献することができます。本稿では、ビッグデータ分析技術であるインバリアント分析技術の特長と、クラウド環境での分析の実現例について説明します。
社会の安全・安心を支える先端技術
IHI運搬機械様は、同社のタワーパーキングを遠隔から監視して、故障の発生や前兆を検知する「遠隔監視保守システム」を運用しています。安全性を左右するものだけに、同システムには24時間365日の連続稼働が求められますが、従来は、同社のオンプレミス環境で運用しており、事業継続性に懸念がありました。そこで同社は、NECのクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」へシステムを移行。堅牢なデータセンター及び徹底的な内部統制対応などによる「安心」を手に入れた上、ビジネスの成長に応じて柔軟にサーバリソースを拡張できるといったクラウドのメリットも享受しています。
日本全国で牛乳や乳製品といった食品の卸売業を展開する明治フレッシュネットワーク株式会社様(以下、明治フレッシュネットワーク様)。経営の効率化を目指す同社は、ITシステムの効率化とスピードアップのため、クラウドの活用を決断しました。採用したのは、NECのクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」です。単に基盤サービス(IaaS)を提供するだけでなく、システムの改修や移行、運用までを任せられるNECの総合力が採用の決め手となりました。段階的な移行プロジェクトは、現在も進行中ですが、わずか5名の運用体制で対応できる上、移行完了後は5 年間でトータルコストを約2割削減できると見込んでいます。
住友生命保険相互会社様(以下、住友生命保険様)は、高まる情報セキュリティリスクに対応するためにITガバナンスの強化に取り組んでいます。その一環として進めているのが、グループ会社ごとに分散していたIT環境の共通化です。具体的には、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」にグループ各社のシステムを集約。共通サービスとして利用することで、セキュリティ対策の徹底を図るとともに、各社が個々に対応していた運用管理負荷を軽減し、グループ全体でのTCO削減を目指しています。現在は、最初の共通化対象であるグループウェアや端末セキュリティサービスの開発を行っている段階ですが、業務システムなどへと徐々に共通化範囲を拡大し、メリットを最大化する考えです。
NEC Information
C&Cユーザーフォーラム&iExpo2014 Orchestrating a brighter world 世界の想いを、未来へつなげる。
NEWS
関連リンク
NEC技報 人気コンテンツ
近い将来、AIの普及によって社会のあり方にさまざまな影響が出ることが予想…

AI時代における社会ビジョン ~人々の働き方、生き方、倫理のあり方~
マイナンバーカードは、マイナンバー法に基づき地方公共団体が希望者に交付するICカードです。…

マイナンバーカードに関わる顔認証システムの活用
量子暗号は、将来にわたり解読されるリスクがなく超長期的に情報を保護できる暗号方式で、…

光が導く次世代の暗号技術「量子暗号」
サイバー攻撃は高度化・巧妙化が進み、既存のセキュリティ対策では検知も難しく、…

AI(人工知能)を活用した未知のサイバー攻撃対策
鉄道業では「AI・IoT」を活用した業務変革(鉄道DX)が加速しており、NECは「鉄道輸送」や「旅客サービス」で…

AI・IoTを活用した鉄道業務変革(鉄道DX)