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No.2(2月) ICTシステムを高度化するSDN特集
Vol.66 No.2(2014年2月)
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NECは2015中期経営計画の中で、ICTを活用した高度な社会インフラを提供する「社会ソリューション事業」に注力することを宣言しました。SDN(Software-Defined Networking)は、その実現を支えるICTコアアセットの1つとして位置付けられています。SDNによってネットワークをソフトウェアで動的に制御できる仕組みを実現することで、障害の抑制やインフラ設備の効率化、システムの見える化、セキュリティの向上、ICTリソース配分の最適化など、社会インフラの充実に必要なICTシステムの高度化が、具体的に実現できるようになります。
本特集では、「安全・安心・効率・公平」で「人と地球にやさしい情報社会」の実現に寄与するSDNについて、NECグループが提供するソリューションとそれらを支える最新技術、具体的な導入事例を紹介します。
ICTシステムを高度化するSDN特集
代表取締役 執行役員副社長 新野 隆
早野 慎一郎・勝浦 啓太
NECは2015中期経営計画の中で、ICTを活用した高度な社会インフラを提供する「社会ソリューション事業」に注力することを宣言しました。社会インフラの高度化には、システム全体を見渡しながら、動的な変化に適切に応えられるICTシステムが求められます。
本稿では、今後の社会インフラの高度化を支えていく際のICTシステムの課題を述べ、そのような課題に対応するために考えられたSDNの概念を説明します。更に、ユースケースと適用事例を交えつつ、SDNによるICTシステムの高度化が社会にもたらす価値と、IT・ネットワーク市場の変化について述べます。
早野 慎一郎・佐藤 恭教
SDNは、ネットワークをソフトウェアで制御する新しい概念です。社会・事業の環境変化に迅速・柔軟に対応する高度なICTシステムを実現するものとして、国際的に注目されています。
本稿ではNECのSDNに対するこれまでの取り組みとして、研究段階から、世界初となるOpenFlow対応製品の提供に至るまでを紹介します。更に、製品提供だけにとどまらず、お客様の課題解決に向けてSDNソリューションをパッケージ化し、企業・官公庁、通信事業者向けに提供する「NEC SDN Solutions」とその取り組みについて紹介します。
江川 尚志・早野 慎一郎・Fabian Schneider
Sibylle Schaller・Marcus Schöller・Frank Zdarsky
SDNは情報処理全体に関わる技術であるため、既存のさまざまな標準化団体に加え、オープンソースソフトウェアコミュニティなども活発に標準化活動を行っています。本稿ではONF、NFV、IETF、ITU-T、OpenDaylight、OpenStackを中心に現在進行中の議論を紹介し、NECの取り組みを述べ、標準化の今後の方向性を概観します。
NEC Enterprise SDN Solutions
宮内 三喜男・沼崎 武・奥 康裕
山下 英孝・小林 大介
企業ネットワークのWAN 部分は、基幹業務系、情報系、インターネット接続系、電話系などの業務・部門系ネットワークを、センターと拠点との間をつなげています。その間のトラヒックは、各系統により特性(ピーク時間帯)が異なることから、未使用帯域が常に発生している状況にあります。また、WANに対して利用企業の経営層は、ネットワークコスト、特に回線に掛かるコストの効率化を要望し、WAN の使われ方に対しても外部データセンターの活用、BC/DRの実現、クラウドサービス利用などで柔軟な対応を求められています。本稿では、これらの状況に対応可能な「拠点・データセンター接続最適化ソリューション」を紹介します。
河合 英紀・小美濃 貴行・芝原 栄男
坂本 大地・金森 一朗・園田 健太郎
顧客情報や部品の設計情報など、機密性の高い情報を扱う部門やプロジェクトでセキュリティを徹底させて情報漏えいを防ぐためには、部門やプロジェクト単位でのネットワークのアクセス制御が不可欠です。一方、細かくアクセス制御を行えばセキュリティを向上させることはできても、運用コストが膨大になり、企業内の組織変化に迅速に追随できないという課題がありました。本稿では、SDNを利用して、人事情報を元にアクセス可能なサーバ・ネットワークを自動的に設定することで、セキュリティを向上させつつ、運用コストを削減できる「アクセス認証ソリューション」について紹介します。
NEC Data Center SDN Solutions
勝浦 啓太・宮内 三喜男・沼崎 武<br>黒河内 裕治・佐藤 恭教・古跡 崇幸
データセンター環境において、仮想ITリソース払い出しや仮想サーバの運用管理自動化技術などの導入が増えていますが、ネットワーク環境がこれらに追従できていないため、ITとネットワークが一体となった、より効率的な運用管理が行えていません。本稿では、Hyper-VベースのIaaS 環境下において、Hyper-Vの仮想スイッチのOpenFlow 化を実現する「UNIVERGE PF1000」と「UNIVERGE PF6800」(OpenFlow)を導入し、ネットワーク環境の一括管理の実現、更に「Microsoft System Center」との連携制御を実現することで、IaaS 環境下でのITとネットワークの効率的な運用管理自動化ソリューションについて紹介します。
NEC SDN Solutionsを支える最新技術
小出 俊夫・芦田 優太・下西 英之
SDNの出現によって、固定的な制御プロトコルの束縛から解放され、ネットワーク運用者のニーズを満たす制御ソフトウェアをSDNコントローラとして柔軟に記述可能となりました。今後はさまざまなSDNコントローラを短期間で数多く作成するための、コントローラ作成のシンプル化が課題となります。本稿では、ネットワーク機器の制御プロトコルの差異を吸収し、ネットワーク資源の仮想化や複雑な経路制御アルゴリズムの実装をシンプルに記述可能とする、ネットワーク抽象化モデルを提案します。提案するモデルに基づき設計されたSDNコントローラ構築基盤のプロトタイプによって、SDNコントローラを短時間でシンプルに作成できることを示します。
飯星 貴裕・才田 好則・渡邊 義和
森田 弦・狩野 秀一
公衆Wi-Fiスポットの増設や家庭内Wi-Fiアクセスポイントの普及により、スマートデバイスのユーザーにWi-Fiの利用が浸透してきています。更に、ANDSFと呼ばれる標準規格の実用化が進んでおり、Wi-Fiをより便利に利用できるようになりつつあります。しかしながら、ANDSFに対応したスマートデバイスの実現は、従来の通信制御技術では困難でした。情報・ナレッジ研究所では、OpenFlow がもたらす柔軟な通信制御を活用してスマートデバイスの通信を制御することで、効率化や利便性向上の実現に取り組んでいます。本稿では、ANDSF 対応スマートデバイスを実現する技術について紹介します。
千葉 靖伸・須尭 一志
OpenFlowのような集中制御型のネットワークアーキテクチャを大規模ネットワークに適用する際、制御機能を提供するコントローラのスケーラビリティと信頼性をいかに担保するかが課題となります。本稿では、クライアント・サーバシステムに広く適用されているデザインパタンをネットワーク制御に応用した、新たなコントローラアーキテクチャを提案します。更に、当該アーキテクチャを、データセンターにおいて仮想レイヤ2ネットワークの提供を行うOpenFlowコントローラへ適用することにより、大規模SDNネットワークに適用可能なOpenFlowコントローラを実現可能なことを示します。
飯澤 洋平・森本 昌治・下西 英之
エンド・ツー・エンドの通信サービスの開通期間短縮や品質向上を低コストに実現するため、データセンター網や広域網を含めたヘテロジニアスな網の統合的な制御が期待されています。従来の網の制御システムでは、特定のレイヤに特化したモデルと制御方法を採用していたため、サービス要求の進化に合わせて最適な統合制御システムを開発することが不可能でした。そこでNECは、レイヤ非依存のモデルと制御方法を基に、多様なレイヤの連携制御を容易に実現できる統合制御基盤の実現を目指しています。本稿では、その適用例として、パケット・光統合トランスポート網のマルチレイヤ制御と、OpenFlow 網とVXLAN 網の連携制御を紹介します。
鈴木 一哉・金子 紘也
MPLSを用いたIP-VPNサービスでは、顧客経路の伝搬のためにBGP が用いられています。BGPを用いたIP-VPNでは、新規顧客収容時、BGPで伝搬される経路数が増えるため、ネットワーク内の各ルータの処理能力を超えないよう運用しなければならないという課題がありました。本稿では、この課題を解決するためのIP-VPN 対応OpenFlowコントローラを提案します。提案手法ではBGPの処理を全てコントローラ側で行うため、ルータごとに必要だった制御リソースの管理が不要となります。
導入事例
金沢大学附属病院様のネットワークは、部門単位で構築・拡張してきたため、現状把握が困難なほど複雑化していました。また、このように複雑化したネットワーク環境では、頻繁に発生する機器の追加に対応するのも困難であり、ネットワークの設定変更に非常に手間が掛かっていました。
そこでOpenFlowに対応したNECの「UNIVERGE PFシリーズ」を採用。運用管理負荷の低減など、さまざまな成果を上げています。現在、同院は更なるOpenFlow利用の拡張を計画中です。ポータブル検査機などを、どのLANポートに接続しても適切なネットワークポリシーが適用される、「ユニバーサル接続」の実現などに大きな期待を寄せています。
九州を中心にSI 事業やデータセンター事業などを展開する南日本情報処理センター様。同社は、さらなる事業の拡大を目指し、ビジネスの重要な基盤となるデータセンターの改革に着手しています。具体的には、ネットワーク基盤にNECの「UNIVERGE PFシリーズ」を導入し、SDN(Software-Defined Networking)を実現。
これにより、仮想ホスティングサービスにおけるスピーディなインフラ構築、ネットワーク変更など運用管理負荷低減に伴う価格競争力の向上、障害時にも速やかに復旧する高い信頼性、無停止でのメンテナンス実現など、さまざまなメリットを実現し、付加価値の高いサービス提供を可能にします。
普通論文
園部 悟史・森本 伸一・谷本 真治・八鍬 直樹
近年の携帯基地局ネットワーク(LTE、Small Cell)の拡大に伴い、バックホールにおいても大容量化が求められています。今回、従来のIDU(Indoor Unit:ベースバンド部+無線変復調部)及びODU(Outdoor Unit:無線送受信部)構成による無線伝送装置に加えて、大容量化に適した高周波無線帯域を活用し、IDU/ODUの各機能を集約したAll Outdoor Radio(AOR)装置を開発することで、携帯基地局ネットワークの無線バックホール構築・大容量化を容易に実現可能としました。
本稿では、NECにおけるAOR 装置のラインアップと、高周波無線帯域を活用したiPASOLINK SX(60GHz帯)/EX(70〜80GHz帯)装置の各種技術、今後の取り組みについて紹介します。
川合 雅浩・青木 優宇・足立 貴宏
マイクロ波無線通信装置であるPASOLINKシリーズにおいて、モバイルバックホール回線の大容量化、高効率化要求に応えるため、世界で初めて2048QAM 超多値変調技術を適用した装置を開発し、iPASOLINKシリーズのメニューとしてリリースしました。 本稿では、iPASOLINK 装置の紹介と、大容量通信を可能にした超多値変調技術及びベースバンド技術を紹介します。
佐々木 英作・丸 次夫
近年、無線モバイルバックホールに対する大容量化の要求が高まっており、10Gbps 伝送の実現が大きな目標になっています。従来、この領域ではマイクロ波が使われてきましたが、マイクロ波での容量拡大は限界に達しており、更なる大容量化を実現するためには広帯域化が必須です。このため、広帯域が確保できるミリ波、特にE-Band に対する期待が高まっています。本稿では、伝送容量拡大へのアプローチとともに、その要素技術であるLOS-MIMO について説明し、本技術を適用した現在開発中のE-Band 10Gbps 伝送装置について紹介します。
鳥屋尾 博・半杭 英二・小林 準人・安藤 利和
ワイヤレス機器の急速な小型化に伴い、機器内部の電磁ノイズによって引き起こされる通信性能の低下が課題となっています。この電磁ノイズを抑制する新たな技術として、メタマテリアルの一種である電磁バンドギャップ(EBG)構造が注目されています。本稿では、NEC が開発した独自技術であるμEBG 構造と、本技術を世界に先駆けて採用したWi-Fiホームルータ製品について紹介します。
NEC Information
C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2013
人と地球にやさしい情報社会へ ~インフラで、未来をささえる~
2013 年11月14日・15日、「C&C ユーザーフォーラム&iEXPO2013」が、「人と地球にやさしい情報社会へ~インフラで、未来をささえる〜」をテーマに、東京国際フォーラムで開催されました。本稿では、「インフラで、未来をささえる~“人が生きる、豊かに生きる”ための社会価値創造を目指して~」というテーマで行われたNEC代表取締役 執行役員社長 遠藤信博による講演をご紹介します。
2013 年11月14日・15日、「C&C ユーザーフォーラム&iEXPO2013」が東京国際フォーラムで開催されました。テーマは「人と地球にやさしい情報社会へ〜インフラで、未来をささえる〜」で、有識者による多彩な講演プログラムに加え、“人が生きる、豊かに生きる”ための安全・安心・効率・公平な社会の実現へ向けたNECの取り組みを展示とセミナーで紹介しました。
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