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「データサイエンスの自動化」で、ビジネスの現場はどう変わるのか?

DXやデータ活用は現在、企業にとって極めて重要なテーマとなっていますが、一方でDX人材の不足が大きな課題となっています。この状況を打破するために注目されているのが、機械学習プロセスを自動化する「AutoML」などのツールです。これらのツールは、データサイエンスの高度な専門知識を持たない人でも利用できることから、「データサイエンスの自動化」がより身近になり、データ活用が進めやすくなると期待されています。ビジネスの現場において、これらのツールがどのような影響をもたらすのでしょうか?
データサイエンスの自動化が注目される背景
企業の「DX」を進めるためには、業務を単にデジタル化するだけではなく、データを分析して業務上の判断・意思決定に結び付けるなど、より進んだデータ活用が不可欠です。ところが、NECが実施したアンケート調査(※)によると、84.4%もの企業が「業務のデジタル化」に着手しているものの、「意思決定のデジタル化」となると約半数が未着手と回答しており、データ分析環境の構築・整備までは進んでいない現状が浮かび上がっています。
その最大の課題と言えるのが、DX人材の不足です。実際の課題として、「DX企画部門の人材不足」(131社)と「DX実行部門(事業部門)の人材不足」(148社)との回答がトップであり、DXプロジェクトをけん引するリーダーや現場の人材が不足している状況が明らかになりました。

年間売上高300億円以上の企業に属し、自社のDXに関与した経験がある課長職以上(204名)に対して、DX推進の現状や課題把握を目的に、アンケート調査を実施(2023年2月)
「DX人材」というとデータサイエンスの技術や知識ばかりに焦点が当てられがちですが、実はそれだけでは不十分です。データサイエンスの知識に加えて、ビジネスドメインの知識がなければ、データを活用してビジネスの成果に結びつけることは困難です。つまり、自組織のビジネスや業務を熟知している業務部門の従業員が、データを活用できる状態が理想的です。しかし、業務部門の従業員がデータサイエンスの知識をゼロから習得するには相当な時間がかかり、ハードルが高いのが実情です。そこで、このデータサイエンスの領域を補完するものとして、機械学習プロセスを自動化するAutoMLなどのツールに注目が集まっています。
「AutoML」が普及すれば、データサイエンティストは不要になるのか?
データサイエンスの知識が必要なプロセスを自動化するAutoMLツールですが、だからといってすぐに「データサイエンティストが不要になる」というわけではありません。一般的なAutoMLツールでは、データサイエンスの全プロセスを自動化するのではなく、機械学習に不可欠な「特徴量設計」を事前に行う必要があり、これにはデータサイエンスの専門知識が求められます。

そこで、データサイエンスの専門知識がない人でもデータ活用できるよう、自動化をさらに進めたのが、AI自動化ソリューション「dotData」です。dotDataはデータサイエンスのプロセスでも特に時間を要する特徴量設計を自動化することで、分析プロセスを圧倒的に短縮します。データ分析の専門的なスキルを持つメンバーだけでなく、ビジネス部門など多岐にわたるメンバーが、データをビジネスに活用できるようになり、ビジネス成果の最大化はもちろん、企業におけるデータドリブンの文化醸成にもつながります。
データサイエンス自動化にあたって気を付けるポイント
dotDataによりデータサイエンスのプロセスを自動化したとしても、「どんな課題を解決するのか」「導き出されたビジネスインサイトをどのような施策に落とし込み、実行するか」といった側面においては、当然ながら人の考えが不可欠です。また、データサイエンスの専門知識がなくても利用できるとしても、「機械学習を用いてどのような課題を解決できるのか」「そのためにどのようなデータが必要か」などを考慮するためには、データ活用に関する最低限の知識は必要です。「自動化ツールがあれば、人材育成が不要」というわけではなく、適切にツールを扱うための知識を身につけるための人材育成がますます重要になると言えるでしょう。
「DX人材育成サービス」では、現場でのデータ活用をトータルに支援
「データサイエンスの自動化」は、ツールを導入すればすべて解決するわけではありませんが、データ活用のハードルを大きく下げることは確かです。さらに、dotDataによる特徴量設計の自動化によって、業務部門自体が自社のビジネスの最前線で抱える課題をデータ活用で解決できるようになります。
また、NECでは、データ活用に必要な最低限の知識を学ぶための「DX人材育成サービス」も提供しています。基礎知識やツール(dotData)の使い方を学ぶ集合研修に加え、実務データを用いて業務に関わる分析を行うOJT研修を通して、実践的な知識と経験を身につけることができます。
機械学習やAIへの期待は大きい一方で、データサイエンスの知識だけでは、ある程度の精度が得られても、現場での実践が難しいケースもあります。dotDataを活用することで、担当者自身がデータ活用できるようになり、ニーズのギャップが解消されれば、確実にビジネス成果につながるでしょう。DXやデータ活用は、一部の部門だけで取り組んでいても、順調に進むわけではありません。ビジネスの現場を巻き込むことで、社内でのデータ活用推進の雰囲気や文化を醸成し、DXを大きく前進させることができます。