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量子コンピュータへの取り組み

NECが目指す量子アニーリングハードウェアの特長

量子重ね合せ時間、全結合で様々な組合せ問題を高精度に解く

これまで、量子アニーリングマシンの実現に関しては、高速化のカギである量子状態を長時間保つことが難しく、大規模な問題を扱うための計算素子ネットワークの構築が難しい、という技術的課題がありました。

NECでは、2014年に開発および検証に成功している超伝導パラメトロン素子を量子アニーリング用に転用することで量子状態を長く保つことができると考え、この超伝導パラメトロン素子を一定のルールで平面上に並べることで論理的に全結合を保ちつつ規模を拡大することが可能であると考えています。

本方式を用いれば、対象の問題のサイズが大規模な場合であっても、組合せ最適化問題を超高速に解くことができると考えています。

NEDOプロジェクト

量子アニーリング技術の研究開発に代表事業者として採択

※これは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の成果を一部活用しています

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO)による委託事業「高効率・高速処理を可能とするAI チップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技術の開発」の2018年度の公募に、NECは東京工業大学、早稲田大学、横浜国立大学ともに「超電導パラメトロン素子を用いた量子アニーリング技術の研究開発」を提案し、採択されました。※1この研究開発プロジェクトは、同時に採択されたイジングマシン共通ソフトウェア基盤の研究開発プロジェクトとの融合により、あらゆる産業領域の現実課題に対して、高速かつ精度の高い「最適化ソリューションプラットフォーム」を実現し、Society5.0の社会システムの高効率化、高精度化の推進に寄与することを目的としています。
これにより、クラウドコンピューティングに量子アニーリングマシンによる全く新しい計算原理が加えられることで、これまでは時間的制約で精度の低い近似解法に頼っていたような最適化問題を、短時間で高精度に解くことができると期待されています。

現在NECは、研究対象を大幅に拡大させた「量子計算及びイジング計算システムの総合型研究開発」のNEDOプロジェクトに参加しています。

組合せ最適化問題の高速解法のブレークスルーとして期待される「量子アニーリングマシン」の実用化の課題は「コヒーレンス時間(量子重ね合わせ時間)」と「集積性」の両立にあります。NECでは、国産の「量子アニーリングマシン」を実現するための要素技術開発を継続して、これまでに、極低温下で動作する超伝導3次元立体配線の基本構造回路にて超伝導パラメトロン素子量子ビットの動作を確認しています。この超伝導回路の立体配線化の適用により、今後はコヒーレンス時間を長く保ちながら量子ビットを集積化して、回路規模を拡大する研究を加速します。

超伝導3次元立体配線の基本構造
量子ビットの動作観測例

NECが開発中の量子アニーリングマシン(※本開発には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の成果を一部活用しています)

将来の汎用量子コンピュータ実現に向けて

ムーンショット型研究開発事業「誤り耐性型汎用量子コンピュータ」のプロジェクトマネージャーに採択

国立研究開発法人 科学技術振興機構(以下 JST)による研究開発プロジェクト「超伝導量子回路の集積化技術の開発」に、NECの主席研究員山本剛がプロジェクトマネージャーに採択されました。※2NECは研究機関としてもプロジェクトに参加し、将来の汎用量子コンピュータの実現に向けた研究にも取り組んでいます。

ムーンショット型研究開発事業では、超高齢化社会や地球温暖化問題など重要な社会課題に対し、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)を国が設定し、挑戦的な研究開発が推進されています。「超伝導量子回路の集積化技術の開発」はムーンショット目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」における研究開発プロジェクトの1つです。ここでは、超伝導量子コンピュータの研究開発を加速するため、超伝導量子ビットの大規模化、高集積化に必要とされるハードウエア要素技術を開発します。それにより、2050年には、大規模な超伝導量子コンピュータの実現を目指しています。