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No.2(5月)ユーザー中心設計による人と地球にやさしい商品の開発特集
Vol.64 No.2(2011年5月)
ユーザー中心設計による人と地球にやさしい商品の開発特集
実践を支える基盤活動
河野 泉 ・小林 雅幸 ・飯田 淳 ・藤井 浩美
NECでは、アクセシビリティやユーザビリティに優れ、イノベーティブな商品を開発するために、ユーザー中心設計を商品の企画・開発に取り入れています。ユニバーサルデザイン・ブランド戦略室は、社内教育による“意識とスキル向上”、実際の製品開発現場への適用を支援する“実践”、事例やノウハウを共有する“水平展開”、という大きく3つの観点からユニバーサルデザインとユーザー中心設計の全社推進活動に取り組んでいます。各活動の内容とその成果を紹介します。
岡本 寛之
本稿では、ユーザー中心設計の各プロセスにおけるデザイン活動を説明し、デザイナーが担っている役割や効果を述べ、それらを実践するためのデザイナーの発想力、視覚化力及び具体化力という3つのアクティビティを説明します。関連して、NECデザイン&プロモーションのデザイン部門で実践している活動として、ユーザビリティ評価やユニバーサルデザインの取り組みなどを紹介します。
青木 博之 ・三浦 一成 ・月田 逸郎 ・野田 尚志 ・中井 治男
ソフトウェアの利用者にとって「使いやすさ」は最も重要な品質特性の1つですが、従来のソフトウェア品質管理の枠組みでの扱いが難しい面がありました。それは「使いやすさ」品質の持つ相対性や主観性などによると考えられます。これに対しNECソフトでは、SI/ソフトウェア開発の標準プロセスに広く「ユーザー中心設計」を導入し、「使いやすさ」品質についての組織的、継続的な改善に取り組んでいます。本稿では、その活動について紹介します。
大久保 亮介 ・野田 尚志 ・谷川 由紀子 ・福住 伸一
使いやすいシステムを効率的に開発するために、ヒューマンインタフェースの理論及び実装の観点に基づき、画面レイアウトとその構成要素を体系化した「画面デザインパターン」を開発しています。画面デザインパターンは、システム開発のさまざまなフェーズでユーザー中心設計(User-Centered Design:UCD)の考え方を適用するのに活用できます。例えば、開発の初期段階における画面要件の抽出や、顧客との合意などです。開発した画面デザインパターンを社内に展開してヒアリングをしたところ、開発フェーズごとに必要とされる画面体系の特徴が異なることが明らかになりました。
福住 伸一 ・吉坂 主旬 ・平松 健司
ウェブアクセシビリティJISが2010年に改定されたのを受け、関連する社内ツールを強化しました。ウェブアクセシビリティJISの検査ツールに関しては、以前からの特長である「大規模サイト検査対応」に加え、「バッチ処理」、「達成等級対応」、目視確認作業を考慮した「繰り返し検査」、「検査結果出力」を実現しました。また、配色に関してはカラー検査ツールを開発し、色覚特性シミュレーション機能とコントラスト判定数式を用いた検査機能、「推奨色」の提示、文字認識技術による検査の効率化を実現しました。これらは現在、社内のソフトウェア開発における標準ツールとして活用されています。
商品開発事例/アクセシビリティ
山岡 和彦 ・太田 知見 ・露口 万里 ・大内 巌 ・岡本 昌士
空港を利用される多くのお客様が、早く、正確に、分かりやすく、航空機の情報や空港関連の情報を得るために、フライトインフォメーションシステム(FIS)の情報は重要な役割を占めています。東京国際空港(羽田空港)の国際線旅客ターミナルのFIS構築において、ユーザー中心設計を導入することにより、人にやさしいユニバーサルデザインを実現しています。
山岡 和彦 ・太田 知見 ・松田 崇 ・日名子 直崇 ・藤田 茂樹 ・平岡 応治
株式会社セブン銀行殿とNECは、お客さま視点での利便性と環境性能を追求した新型ATMを開発し、2011年3月より順次導入しています。この新型ATM開発において、ユーザー中心設計プロセスを導入し、視覚障がいのあるお客さま、海外のお客さまを始めとしたより多くの人々が便利に、安心・安全に利用していただけて、環境にもやさしい商品開発を実現しています。
袴田 博之 ・大谷 満 ・酒井 文子 ・桜田 朝子 ・太田 知見 ・岡嶋 克典
社会のIT化の進展に伴い、多くの人が情報機器を快適に利用できるように配慮するユニバーサルデザインへのニーズが高まっています。そこで、情報機器において「誰もが見やすい、読みやすい」フォントについて調査・分析し、4つの要件を定義しました。この要件を満たすフォントをユーザー中心設計の手法を用いて開発し、検証実験を実施した結果、「誰もが見やすい、読みやすい」ユニバーサルデザインに対応したフォントとしての有効性を確認したので紹介します。
赤津 正福 ・谷口 英一 ・柴田 裕一郎 ・阿部 工 ・原島 克己 ・岩元 隆浩
NECインフロンティアの全社推進活動として、UCD(User-Centered Design:ユーザー中心設計)の適用により、アクセシビリティに優れた商品を開発するためのUD(Universal Design:ユニバーサルデザイン)標準化活動を展開しました。本稿では、UDポリシーの制定やUD評価の実施、UDガイドラインの整備を行い、実際の商品開発に生かした具体的なUD配慮事例を紹介します。
商品開発事例/ユーザビリティ
猪原 礼治
Express5800サーバにて標準添付しているサーバ管理ソフトウェア「ESMPRO/ServerManager」における、ユーザー中心設計に基づいたユーザーインタフェース改善プロジェクトの取り組みと成果について紹介します。本プロジェクトは、(1)現状の製品に関するユーザビリティ評価、(2)ユーザーに対するヒアリング調査、(3)コンセプトの整理とプロトタイプの作成、(4)実製品への適用、というプロセスで実施しています。一部のユーザーインタフェース改善は実製品に対して適用済みであり、更に継続的な改善を進めています。
寺西 博人 ・井上 千夏 ・大塚 隆宏
音声認識技術を活用した議事録作成支援ソリューション「VoiceGraphy」は、議会や会議における議事録の配布(公開)時間の短縮、議事録の作成費用や作業負荷の軽減、要約議事録から全文議事録への変更など、議事録作成におけるさまざまな課題を、高度な音声認識技術と議事録作成作業の効率化を追求した編集ツールにより解決しました。本稿では、音声認識技術をより有効に活用すべく、利用者の使い勝手を追求した編集ツールの開発の取り組みについて紹介します。
山田 栄子 ・岡本 克彦 ・松川 裕雄 ・岩城 善広
急速に市場が拡大しているスマートフォンは、「使いやすさ」が重視されています。NECカシオモバイルコミュニケーションズが従来の携帯電話から蓄積してきたユーザー中心設計(User-Centered Design:UCD)のノウハウの紹介とともに、スマートフォン時代のUCDについて、事例と展望を紹介します。
鈴木 勝也 ・本多 光太郎 ・清水 陽一 ・花岡 平 ・下井 秀之
クラウドコミュニケーター「LifeTouch」では、利用シーンに合わせた3つの商品ラインアップがあり、人にやさしいUI設計を基本に、それぞれの商品の利用シーンに適したUIを用意しました。1画面のLifeTouchでは、タッチパネル、ペン入力を備え、人にやさしいUIを実現しています。2画面の「LifeTouch W」では、ブックスタイルによる新しいUIを、また、キーボードを備えた「LifeTouch NOTE」では、タッチパネルに加えてハードウェアキーボードからの文字入力によるコミュニケーションに適したUIを実現しています。
川島 康二 ・辻 真実
IT機器の進化や多様化と呼応するように、多種多様な利用シーンが発生し、パソコンに対してユーザーが求める“使いやすさ”(ユーザビリティ)自体もどんどん変化していく時代にあって、常にユーザー視点に立って開発を進めていく「ユーザー中心設計」は、必要不可欠な手法・プロセスといえます。本稿では、お客様にとって“パソコンライフ全体にわたって使いやすい”パソコンを提供するための、「ユーザー中心設計」プロセスに基づく弊社の取り組みと改善事例について紹介します。
商品開発事例/イノベーション
織田 晃
プロジェクターは企業や学校などへの普及とともにコモディティ化が進んでいます。商品開発においては、“作り手側の視点”から“使用者側の視点”に軸足を移すことで、より新しい差別化や付加価値の向上が求められています。こうした背景のなかでコンセプト開発、デザイン開発にペルソナ手法を用いユーザー中心設計を導入することにより、開発商品の魅力をお客様へ分かりやすく表現する取り組みを行いました。本稿では、商品コンセプトの明確化、デザインによるコンセプトの具現化を実際の商品開発に沿って紹介します。
加藤 雅彦 ・杉本 雅彦
粉塵の多い工場内や風雨にさらされる野外でも、情報処理端末を活用して情報の入出力や加工を行うことができれば、よりリアルタイムに情報を活用した効率的なシステムが実現できます。こうしたニーズに応えるため、耐環境性を強化した堅牢ノートを開発し、市場に投入しました。本稿では、顧客の声を製品強化に反映させるプロセスと、製品強化により新たに開拓できたマーケット、更に新しい顧客価値を生み出す活動について紹介します。