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No.2(4月)クラウド特集
Vol.63 No.2(2010年4月)
クラウド特集
クラウド指向サービスプラットフォームソリューション
上野 勝之
クラウド市場は米国ベンダが主導する中、コンシューマ向けサービスや企業のフロントオフィス業務から立ち上がり始めています。一方NECでは、企業の基幹システムをサポートできるクラウド指向サービスプラットフォームソリューションの提供をいち早く始めています。クラウドを本質から見た企業による活用の考え方、企業向けソリューション、テクノロジなどについて紹介します。
塚原 修 ・辻 孝夫 ・小竹 毅志 ・久野 太志粟倉 由夫 ・大宮 忠志 ・佐藤 光晴
NECグループは、One NECを目指して経営改革に取り組んでいます。これまでの分散体制から集中体制に舵を切り直し、事業運営の仕組み(業務プロセス、IT、コード、インフラ)を標準化し、クラウド指向の考え方に基づいて個別所有から共同利用に移行することで、費用削減と費用構造の改善を実現し、かつ内部統制の強化を図ります。更に、この改革で得られる資産、ノウハウはサービス化され、クラウドサービス事業の成長につながっていきます。
クラウド指向サービスプラットフォームソリューション/サービス(コンサルティング、SaaS)
菊地 倫子 ・奥 和也 ・倉田 洋二
事業環境変化に迅速に対応していくためには、経営の仕組みそのものの見直しが求められます。それは「業務プロセスとITの標準化」を推進し、「持たざるIT」によって経営システムを最適化することが一つの解と考えます。本稿では、それらを実現するためのサービスとして、NECでの経営システム改革を手法化した「ビジネスモデルコンサルティングサービス」と、NECが構築したグローバルな経理システム環境を共有する「クラウド指向経理サービス」への適用について紹介します。
青木 英司
厳しい財政状況が続く自治体では、ITコスト削減と業務改革(BPR)が大きな課題となっています。これらの課題をクラウドで解決できないかとの検討が始まっています。このような状況の下、NECは、自治体の業務システム全体をSaaS形式で提供する基幹業務サービス「GPRIME for SaaS」(ジープライム フォー サース)を整備しました。従来の個別システム構築に比べ、低コスト、短期間でのシステム導入が可能なほか、職員のシステム運用、法制度改正対応負担の軽減を実現します。
加藤 博久 ・千濱 裕子
金融機関においては競争激化に対応するため、業務プロセス改革(BPR)の推進により営業店を「事務処理の場」から「相談・セールスの拠点」に変革し、営業力の強化につなげることが重要となっています。業務プロセス改革により捻出された要員・ITコストを収益力の強化、新規サービスの創出に投入することにより、成長戦略が実現可能となります。「事務集中・BPOサービス」は非コア業務の運用コスト低減に貢献するとともに、業務プロセス改革をスピードアップし、早期に営業店の余力を捻出することにより営業力強化に貢献します。本稿では、NECの事務集中ソリューションの取り組みと、「事務集中・BPOサービス」について紹介します。
及川 典子
クラウド技術が進化する中、企業システムにおけるクラウドの活用が急速に拡大しています。従来はCRM、グループウェアなど非基幹領域において活用されていたSaaS型サービスも、企業向け基幹システムの一形態として今後急速な普及が予想されています。NECは他社に先駆けて「EXPLANNER for SaaS」をリリースし、コスト/スピードと同時に企業システムに求められる高度なセキュリティ、運用性を実現しています。本稿では、今後の企業基幹システムの在り方を変える新しいアプローチについて紹介します。
クラウド指向サービスプラットフォームソリューション/SaaS基盤サービスと、それを支える技術
川井 俊弥 ・高梨 博
クラウドコンピューティング、SaaS、PaaSの認知度が高まる中、企業の業務システムにこれらの技術を取り込みたいというニーズが高まっています。本稿では業務システムのSaaSアプリケーションの開発に必要な各種機能(認証、ユーザ管理、メール配信、サービス連携など)や開発フレームワークを提供する企業向けPaaSである「SaaS基盤サービス」について紹介します。これにより、開発の効率化と運用コストの削減を実現でき、更に所有と利用のバランスを取ったハイブリッド型業務システムの実現が可能になります。このSaaS基盤サービスを、クラウド指向サービスプラットフォームソリューションの共通基盤である「RIACUBE/SP」として提供します。
小林 茂憲 ・小泉 健
複数のサービス利用企業(テナント)に対し、アプリケーションをサービスとして提供する際には、リソースを効率的に利用し、サービス提供コストを抑える必要があります。そのため複数のテナントを1つのアプリケーションで対応する、アプリケーションのマルチテナント化が求められています。本稿では、SDE(SystemDirector Enterprise)が提供するマルチテナント開発支援機能を利用した、マルチテナント・アプリケーション開発手法について説明します。
島野 繁弘 ・安達 辰巳 ・賀門 和巳 ・小山 和也
クラウドコンピューティングでは、クラウド上の多様なサービスを活用して、ユーザニーズにマッチしたサービスを迅速かつ安全に実現することが求められています。本稿では、これを実現するNECのマッシュアップ基盤である「Open Service Repository/Enterprise Gateway」の特徴と、そこから生まれるサービスやソリューションについて説明します。
クラウド指向サービスプラットフォームソリューション/IT基盤サービスと、それを支える技術
渡辺 祥 ・草川 直樹
クラウド指向データセンター基盤を構成するITサービス基盤として、共通IT基盤サービス「RIACUBE」を2008年3月より提供開始しました。RIACUBEは先進的なデータセンター基盤と製品技術を活用し、NECが蓄積した多種多様なアウトソーシング運用実績をもとに設計された共通IT基盤サービスです。本論文ではRIACUBE開発に至る背景、開発方針、機能、及びその特徴と今後の展開計画について紹介します。
小方 秀介 ・荒牧 伸一 ・伊藤 栄一 ・伊藤 正也 ・國友 成人
SaaSや共同センターサービスなど、NECのすべてのクラウドサービスの提供基盤となる「クラウド指向データセンター基盤」について、顧客メリットと、技術的な強みやNECの持っている各種ナレッジやノウハウなどの特徴を紹介します。また、国内及び海外におけるサービス展開計画についても紹介します。
加藤 雅之
不況によるIT投資抑制の流れを受けて、初期投資が不要なクラウドコンピューティングが注目されています。しかし、クラウド環境においても、業務システムを稼働させるインフラに求められる要件は本質的に変わりません。WebOTXは業務システムを実行するサービス実行基盤として10年以上の実績がありますが、その特徴である高信頼性や運用性について、最新バージョンでの機能強化も含めて説明します。
小池 康夫
サーバ仮想化の可能性を最大限に引き出し、クラウドに代表されるような効率システムを実現するためには(1)インフラの共有化及びその効率化と(2)仮想化に適した運用が必要となります。しかし、国内のサーバ仮想化は、リーマンショック後の特殊な状況下でコスト削減を主目的に一気に普及が進んだため、いずれも不十分なままとなっています。この現状を打開するためにNECでは、仮想化環境を含めたインフラの最低管理と、業務を含めたシステム全体の運用管理の2つの観点で仮想化環境の効率化を促進します。
加藤 清志 ・西村 光央 ・勝見 順一
ITコストの最適化と、将来のビジネスの変化に俊敏かつ柔軟に対応できる「クラウドサービス」が注目を集めています。本稿では、企業がクラウドサービス活用を進める上で基盤となるデータセンターの運用管理に求められる要件と、NECが提供する統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」による実現手法を紹介します。特に、サービスの安定稼働を支える上で、システムのダウンタイムを最小化するために重要なポイントになる性能分析手法について、従来の技術では対応できないサイレント障害の課題を解決する最新技術について紹介します。
クラウド指向サービスプラットフォームを支える基盤技術/ITインフラストラクチャ
鈴木 久美子 ・松本 眞太郎 ・吉澤 健太郎 ・越智 一郎 ・島田 寛史 ・小口 和人
クラウド・コンピューティングの基盤となるサーバ、ストレージ、ネットワーク機器、これらを統合管理するソフトウェア、及び基本構築サービスをパッケージ化し、短期間で容易にクラウド環境構築を実現する「Cloud Platform Suite」製品、及び「REAL IT PLATFORM G2」ビジョンに向けた製品開発への取り組みを紹介します。
石原 浩一 ・滝柳 真澄 ・貞野 勝吾
経済危機の中、各企業はビジネスの革新と効率化を図るITシステムに期待を寄せ、所有から使用に重点を置いたクラウドコンピューティングが普及し始めています。クラウドコンピューティング、特にそのデータセンター内システムにおけるストレージに最も注目されている課題として、データ量の急増、管理の複雑化、業務停止時の影響が大きいことが挙げられます。 本稿では、これら課題に対する解決策としての「iStorage Dシリーズ」について論じます。
西原 基夫 ・岩田 淳 ・尹 秀薫 ・渡辺 裕之 ・飯島 明夫 ・加納 敏行
クラウドコンピューティングの構築・運用のためには、コンピュータリソースだけにとどまらず、新たに“ネットワークの仮想化”や“プログラマビリティの向上”といったネットワークリソースを利活用する技術の強化と、コンピュータ技術との連携が必須になります。プログラマブルフローによりネットワークとITが連携して、より柔軟かつ低コストな、革新的なクラウド指向型データセンターが実現します。更にデータセンター構築後も、新規機能追加や規模拡大の必要に応じて、継続的にシステムを発展させることが可能になります。
テレコムキャリアのクラウドサービスを支えるプラットフォーム
菅田 建 ・宮坂 誠孝 ・山田 健治
「クラウドの時代」を迎え、NECグループのお客様である通信キャリアもまた新たな収入源獲得のためクラウドビジネスへの参入機会をうかがっており、テレフォニカ社など先進的な通信キャリアは既にサービスの提供を始めています。こうした通信キャリアに対して、NECグループは、ITとネットワーク両方を保有し、ネットワークインフラを理解した上でのITの提供が可能な唯一のベンダーとして、また総合的なコンサルティング・ソリューションを提供するビジネスパートナーとして、通信キャリアのクラウドビジネスへ貢献していきます。
加田 好伺 ・中山 善太郎 ・関 正志
通信事業者(固定・モバイル)は、キャリアネットワークに接続されるモノ(機器)の情報をネットワーク側で一元管理することで、セキュアかつ確実な情報の活用と組合せによる新たなユビキタスインフラ社会を「キャリアクラウド」として実現できると考えています。本稿ではキャリアクラウドサービスを支えるためのM2M(Machine to Machine)サービスプラットフォームを紹介します。
伊東 一博 ・西出 俊浩 ・河上 恵三
企業において経営環境の間断ない変化に対応することが経営課題となっており、その解決策の1つとして、ITシステムの改革が挙げられます。この改革の手段として、ITシステムをサービスとして利用できるクラウドデータセンターの利用が活発になってきています。企業ユーザによるクラウドデータセンターへのニーズはますます増大しており、クラウドデータセンターを提供する通信キャリアには、利用者にタイムリーにサービスを提供する必要があります。本稿では、サービスの早期提供を実現するためのクラウドデータセンターの統合運用管理と、これを支援するソリューション製品「NetCracker」について紹介します。
パーソナルクラウド
神場 知成 ・遠藤 由妃夫
BIGLOBEの戦略ビジョン「パーソナルクラウド」の実現に向けた取り組みを説明します。端末、通信、サービスと一体化させて提供する「クラウドデバイス」、インターネット上のさまざまなサービスを集める「アプリ・コンテンツマーケット」などの開発を進めます。それらを支えるサービス基盤は、オープンソースソフトウェアを用いたスケールアウト可能なアーキテクチャにすることで、アクセス規模の増大に柔軟に対処できるようにしていきます。
将来のクラウド基盤技術を支える研究開発
島村 栄 ・副島 賢司 ・黒田 貴之 ・西村 祥治
複数のテナントのアプリケーションを収容するSaaS型クラウドを実現する上で、インフラ当たりのテナント収容密度がサービス提供コストに大きく影響します。本稿ではテナント間でアプリケーションを共有して、個別の処理の単位でテナント分離を行うことにより、テナント収容密度を極限まで引き上げる細粒度APフロー制御技術について紹介します。
下西 英之
スイッチの機能を外部の制御サーバから制御できるOpenFlow技術が注目され始めています。弊社は、この制御サーバ上に仮想化された制御プレーンを構築することで、仮想インフラストラクチャを構築する方法を提案します。本稿では、仮想インフラストラクチャ全体のアーキテクチャ、及び制御サーバの統合プラットフォームであるネットワークOSについて述べます。
林 偉夫 ・上野 洋史
通信の広帯域化や通信ニーズの多様化に伴い、ネットワークインフラには多種多様な機器が導入されています。クラウド環境下では、頻繁に発生するサービスと変化する要件への対応が必須となります。動的再構成技術は、クラウド環境に対応した性能スケーラビリティと機能拡張性に優れたネットワークノードを実現します。更に、本技術は、性能スケールアウトやシステム最適化を可能とするフロントエンドシステムにも適用可能です。
小川 隆一 ・前野 義晴 ・中江 政行
仮想サーバ統合環境においては、異なる組織のユーザが、さまざまなソフトウェアを介してリソースを正しく共有し、不正アクセスや情報漏洩を未然に防ぐ必要があります。しかし、リソースの動的配置やサービスの生滅が頻繁に生じるクラウド環境では、アクセス権管理・設定を正しく行うことは大きな運用負担となります。この課題を解決するため、弊社はマルチレイヤ・マルチベンダソフトウェアに対応する統合アクセス権管理技術を開発しました。本稿では、開発した技術の概要、及びその国際標準化提案について紹介します。
伝宝 浩史 ・加美 伸治 ・竹村 俊徳 ・柳沢 満
クラウドコンピューティング環境が広まるにつれ、IT/ネットワーク資源運用の重要性が高まっています。例えば、構成変更の迅速性や資源配備の柔軟性が求められています。そこで、本研究開発では、新たな自律運用制御情報ネットワークアーキテクチャ、経路情報の共有手法、そして仮想化機器のプロファイリング技術の研究を進めてきました。これらを相互連動させていくことにより、クラウドコンピューティング環境における自律運用制御基盤の実現を目指します。