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No.4(9月) 事業継続・災害対策特集
Vol.59 No.4(2006年9月)
事業継続・災害対策特集
NECでは「日本社会の高信頼性を実現する」という観点より事業継続・災害対策に以前から着目していました。大規模な自然災害や事故発生時における人命保護と事業継続には、企業・自治体・地域住民が協力し合いながら「自助・共助・公助の社会基盤」を確立することが必要であるとの考えのもと、これをIT・ネットワークの面から支援する製品およびサービス、ソリューションを体系化しています。本特集ではこれらNECの事業継続(Business Continuity : BC) / 災害対策(Disaster Recovery : DR)サービス、ソリューションについてご紹介すると同時にNEC自身の取り組みについてもご説明します。
特定非営利活動法人「事業計画推進機構」は、内閣府の認証を経て、6月に正式にNPO法人としての活動を開始しました。
7月10日の認証記念セミナーでは、事業継続の基礎的な標準テキストを発表し、また、今年度中に、事業継続に関する専門資格制度を立ち上げることも発表しました。
現在、分科会等は月1回のペースで開催されており、セミナーや意見交換会も実施されています。事業継続(BC)に関心のある皆様と、ともに活動していくことを念願しています。
システム・サービス事業本部 マネージドサービス事業部 コンサルティングマネージャー 小方 秀介
米国SunGard社 (SunGard Availability Services)は事業継続(BusinessContinuity:BC)の先駆的企業であり、1978年の創立以来20年以上にわたり北米・欧州で10,000以上のクライアントの1,500を超えるディザスタリカバリの発動に対して、100%の成功率でビジネス継続を支援してきた実績と経験を持っています。
NECは2004年にSunGard社とノウハウトランスファ契約を締結し、BCに関するコンサルティング手法や災害時の代替システムによる事業継続、平常時の災害行動訓練等の各種サービスに関するノウハウの提供を受けました。そして、そのノウハウに加え、長年のSIおよびアウトソーシングビジネスで培った経験や実績をもとに、NEC自身をリファレンスとし、日本企業を主な対象とした独自のBCサービスを立ち上げました。本稿では、SunGard社の事業継続の考え方と、北米および欧州で展開しているサービスを紹介し、加えてNECとの関係について説明します。
海外動向
今後日本での事業継続への取り組みを検討する際、先行する海外での状況を理解しておくことが欠かせません。本稿では、特に北米でのユーザ企業の事業継続への取り組みやベンダのビジネス動向、専門資格、ISOなどの国際標準化動向を紹介します。
NECのBCサービス・ソリューション
NECは事業継続計画書(BCP)策定のために、ビジネス影響度分析(BIA)、ファシリティレビュー、事業継続管理(BCM)、事業継続計画書(BCP)策定、ウォークスルー訓練計画までの結果間での結果志向の一貫したサービスメニューを提供しています。2004年からBCP策定に関しての実績を数多く保有し、PDCAサイクル確立の経験を蓄積してきましたが、この多くの実績を基盤として、国内のBCP策定を考えているお客様を対象に、短期間で効率良いBCP策定を実現することを可能としています。本稿では、国内の各企業の取り組みパターンから、顧客企業の具体的推進体制、全社への展開順を提言します。
本稿では、災害時にもサービスを継続して提供するためのITシステム、およびデータの保護である災害対策(Disaster Recovery:DR)の基本アーキテクチャから機能モデルまでについて、サービス継続のための準備の中心となるデータ保護に焦点を当てて説明します。
本稿では、災害からのリカバリ範囲を考えた上で、災害対策(DR)用システムを考えるためのシステムアーキテクチャについて説明し、業務に応じたリカバリシステムを考える上でのいくつかのポイントについて述べます。次に、NECが提供している、様々なデータレプリケーション方式の概要をシステムレイヤの考え方で分類し、特性を付記しながら紹介します。最後にネットワーク回線についての考え方を説明します。
事業継続・災害対策システムでは、WANを用いて運用中のシステムから遠隔地のバックアップシステムへデータを複製する場合があります。しかしながら、運用中のシステムとバックアップシステムを結ぶWANの帯域を十分に確保するのが困難であったり、帯域が十分であるのに実際の通信速度が思ったほど上がらない場合があります。このようなWANの問題の発生原因とWAN最適化装置による解決手法を解説し、実際にWAN最適化装置を適用した場合の効果を紹介します。
事業継続(Business Continuity : BC)を実現するためには、情報システムが災害時にもRTOやRPOに応じて復旧できる対策を行うことが必要です。そのためには情報システムの現状の脆弱性を正しく評価、把握した上で、費用対効果の観点を踏まえた確実な対策を、優先度付けをした上で実施することが求められます。本稿では、そのような情報システムの効果的なBC対策を実現する形態やポイント、バックアップシステムを適切に運用するために必要な運用作業を説明し、併せてこれらBC対策を実現するマネージドサービスについて説明します。
ITデータの重要性が高まり、事業継続(Business Continuity : BC) / 災害対策(Disaster Recovery : DR)として遠隔バックアップシステムを検討する企業は増えています。「UNIVERGEストレージネットワークソリューション」は、導入の課題である低価格化、システムの統合管理、安定運用をアウトソーシングメニュー(WAN回線の再販、機器レンタル、運用保守)と低価格のストレージ製品の採用によって実現しています。
NEC自身の取り組み
お客様へ商品/サービスを提供するデマンド/サプライチェーンにおいて、ITは指揮統制の神経系として、重要な基盤となっています。NECでは、このデマンド/サプライチェーン領域を最優先として、事業継続計画書(BCP)を策定しました。 ITが事業のボトルネックとならないため、事業目標/戦略と整合の取れたBC/DR目標の設定、想定リスクの設定、取り組み優先度の設定、対策策定とその対策費用捻出など、取り組みに対する考え方や活動を通して得られたことを、本稿ではご紹介します。
将来技術
経済産業省の国家PJとしてビジネスグリッドミドルウェア(GMW)が開発されてきましたが、その機能概要や特徴を説明するとともに、ビジネスへの活用例として、GMWによるディザスタリカバリ制御を、マツダ株式会社殿での実証実験の成果も交えながら紹介します。
また、GMWをベースとしてNECで開発中のWebSAM GlobalGridOrganizerについて紹介します。
関連ソリューション
自然災害やテロ・不祥事など組織を取り巻く環境が急激に変化してきました。そのようななかNECでは、阪神・淡路大震災後からIT/ネットワークを活用した都道府県向け災害対策システムの構築を行ってきました。本稿では、10年以上に及び構築してきた災害対策システムをパッケージ化したものについて紹介します。
安否確認は、従業員の安全確保、事業継続(Business Continuity : BC)の観点からも、災害対策(DisasterRecovery : DR)として取り組むべき重要なステップです。本稿では、NECおよびNECグループで取り組んでいる安否確認のソリューションについて、その利用システムと特徴が異なる4つの事例を交えて紹介します。
導入事例
フィリップ モリス ジャパン様は、日本で販売されるフィリップモリス社紙巻たばこブランドの輸入・販売およびマーケティング・販売促進活動を行っています。親会社であるフィリップ モリス インターナショナルの主導により、各国で取り組みが行われている「スペシャル・シチュエーション・マネジメント・システム(SSMS)」という危機管理の仕組みの一環として、日本における事業継続に関する対応を進めるなか、NECの事業継続計画立案サービスを導入。
4ヵ月に満たない短期間で人事、総務、情報システム、ロジスティクスなどの関係部門が密に連携して事業継続計画を策定し、より現実性の高い定着化へ向けて、先駆的な取り組みを開始しました。今後は、全社員への教育や実際の災害時を想定したエクササイズなどを通じ、さらに信頼性の高い事業継続計画の実現をめざす予定です。
近年、インターネットが生活場面において主な情報収集・発信手段として定着してきました。とくに、BLOGなどの情報発信手段は、緊急時に現場の情報をすばやく収集できる手段として注目されています。このように日常生活の様々な局面で活用されつつあるインターネットは、災害時においてもサービスを継続させることが社会的要請となりつつあります。BIGLOBEはインターネットサービスとして2006年7月で10年になりました。お客様に信頼されるサービス基盤としてBC/DRに対しても取り組んでおり、その活動について紹介します。
平成17年8月に内閣府より「事業継続ガイドライン」が出され、事業継続への取り組みのガイドラインが示されています。こういったなか、今や新しい社会インフラでもあるITシステムは、事業継続計画書(BCP)を策定する上で、万一の場合のITシステムの早期復旧、安定稼働のため重要度はますます高まっています。
ITシステムの保守サービスを主要な業務としているNECフィールディングでは、お客様企業でのITシステムの継続的な稼働を守ることがお客様自身のBCPに寄与するとの考えで、阪神・淡路大震災での対応に端を発し、これまでの数々の地震を始めとした災害対応のなかでの経験をもとに、保守サービスでのBCP、災害対策(Disaster Recovery:DR)を行ってきました。本稿では、実際のBCP事例として当社の取り組みを紹介します。
普通論文
近年の第3世代のパケット交換網の進展、大規模なSIPベース・サービス(IP Multimedia Subsystem等)の整備、さらに先進的なマルチモード端末の普及により、多種多様なアプリケーションの創出が期待されます。これを新たなビジネスにつなげるには、簡単ですぐに使えるアプリケーションが必須です。本稿では、モバイル端末顧客および固定端末顧客に向けた放送コンテンツ提供法として、既知のプレゼンス技術を活用して通知およびパーソナライズといった機能を提供する、モバイルTV技術を紹介します。同技術によって、モバイルTVユーザは嗜好をカスタマイズし、新しい放送サービスを楽しむことが可能となります。 NECはこの技術を通じて、モバイル事業者への収益分配を実現する新しいビジネスの開拓を提案します。
TVS を用いたごみピット火災監視システム導入事例
伊藤 勲・須藤 孝行・高部 勝晃・宮澤 慎二・中川 智郁
家庭および企業から排出された可燃ごみは、ごみ収集車でごみ清掃工場内のごみピットに集積され、焼却を行っています。このごみピット内に集積されたごみが何らかの原因で発火し、火災までに至るケースは、清掃工場の設備に多大な損害を与えます。今回紹介しますごみピット火災監視システムは、ごみピット内に集積されたごみの温度上昇を早期に予知・検知し、迅速な消火の手助けを目的として開発し、清掃工場に納入しました。開発しましたごみピット火災監視システムは、当社製の赤外線サーモグラフィ(TVS)をごみ温度監視のためにごみピットの周囲に設置し、かつごみピットをブロック分割することで、TVSで測定した温度が設定温度を超えた場合に、中央監視装置に発生位置および温度上昇を警報出力し、未然に火災を防ぐものです。本システムの納入事例について紹介いたします。