サイト内の現在位置

データドリブン経営とは?よくある課題や成功に導くためのポイントを紹介

「データドリブン経営」という言葉が聞かれるようになり久しいですが、実際に取り組む企業が増えている一方で、きちんと実現できている企業はいまだ少数に留まります。しかし、市場環境が急速に変化し続けるなか、企業の競争力を強化していくためにはデータ活用が急務となっています。本コラムでは、データドリブン経営の基本を改めて整理するとともに、実現する際の課題とその解決策までを解説します。

データドリブン経営とは

データドリブン経営とは、データをもとに経営におけるさまざまな判断・意思決定を行うことです。経験や勘などといった個人の能力に頼るのではなく、客観的なデータを基準とすることで、より迅速かつ的確な判断が可能になります。また、自社の現状や抱えている課題、業績の予測などもデータをもとに可視化することで、客観的に把握できるようになります。これまで気づかなかった強みや問題が見つかることもあり、新規施策・新規事業などにもつながります。

また当然ですが、データドリブン経営では、経営判断の材料となる「データ」が不可欠です。そのためにも、社内のあらゆる情報をデータとして収集・蓄積することが必要になります。データドリブン経営のために、アナログ作業のデジタル化などを進めることで、業務効率化などの効果ももたらします。

データドリブン経営が注目される理由

予測モデルを作成するには「目的変数」と「説明変数」という2種類のデータを設定する必要があります。

目的変数とは、まさに「予測をしたい対象となるデータ」のことで、予測モデルに対して1つのデータを設定します。当然ですが、予測したい内容によって設定するデータが変わります。例えば、売上予測で「いくつ売れるかが知りたい」場合には、「販売数」を設定し、「どの顧客が購入するか知りたい」ケースでは顧客ごとの購入フラグ(購入する・しない)を設定することになります。

一方、説明変数は「特徴量」とも呼ばれ、予測対象に影響するデータを指します。売上予測であれば、商品の価格や天候、店舗の情報、キャンペーン情報、近隣の駅の乗降者数などが挙げられます。こういった情報から関連の強いものを抽出し、定量的な数値としてまとめて予測に利用します。どのデータを説明変数として利用するかは機械学習の精度に大きく影響するため、ビジネス現場の知識などに基づき適切なデータを設定しなければなりません。

データドリブン経営の効果

データドリブン経営は「データをもとに意思決定を行う」ことだけがゴールではなく、その先の「ビジネス成果を上げること」も目的に含まれます。そこでキーワードとなるのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。DXはデジタル技術の活用によりビジネスモデルを変革(トランスフォーム)することを指し、新規ビジネス創出などによる事業の転換で大きな成果・成長を目指すもので、データドリブン経営と深く関わります。

どちらにおいても重要なのは「データ活用」ができていることです。データ活用と言っても、単にアナログ作業をデジタル化しただけではなく、過去や現在を正確に把握し、さらには未来をスピーディーに見通すデータ分析力、すなわちデータサイエンスの活用が求められます。

データ活用のメリットとしては、単純作業における省人化などを進める「効率化」、ベテランのノウハウやスキルをAIが学習・再現するなどの「高度化」、そしてその先にビッグデータなどから新たな知見を導くことで新規事業創出などへとつなげる「新規市場の獲得」が挙げられます。データドリブン経営への取り組みを進める際は、ここまでを目指すゴールとして視野に入れるべきと言えるでしょう。

データドリブン経営の課題

もはや、企業にとって必須となりつつあるにもかかわらず、「データがあってもどう活用すればよいのか分からない」「ビジネスアクションにつながらない」など、データドリブン経営がうまく進まないと悩む企業は少なくありません。こういった企業における課題は大きく下記の3つに分けられます。

1.組織の課題
まずは「データドリブンを推し進める文化があるか」という企業文化の課題と、「そもそもデータ活用できる業務があるか」という業務上の課題が挙げられます。企業としてデータドリブンを推進することを社内に周知し、その文化を浸透させるとともに、データ活用できるように既存業務の見直しなど整備を進める必要があります。

2.データ・システム整備の課題
「データ活用できる業務があるか」という課題にも関連しますが、活用できるデータが揃っているか、必要なシステムが整備されているかも問題となります。データドリブンを進めるのであれば、データは分析しやすいようデータレイクやデータウェアハウスなどに集約されていることが望ましく、また、蓄積したデータに関するセキュリティや品質管理などを行うデータマネジメントのツールも各種揃えなければなりません。さらに、BI/AIなどの分析ツールも必要ですが、全社で成果を最大化するためには部門ごとに導入するのではなく、全社で組織横断的に整備し、導入するのが理想的です。

3.人材育成の課題
データやシステムが揃ったとしても、それを使いこなす人材がいなければ、データ活用は進みません。ツールの使い方や、データサイエンスの基本的な知識といった面に注目しがちですが、当然ながら自社のビジネス・業務に関する知識も不可欠です。両方を持ち合わせる人材をどう育成するのかが課題となります。

データドリブン経営を実現する方法

「このツールさえ入れればデータドリブン経営がうまくいく」というものはなく、上で挙げた3つの課題を1つずつ解決し、着実に進めていくことが結果的にデータドリブン経営の実現への近道となります。

まずは、全体のロードマップを作成し、ツールやシステムなどの環境整備とあわせ、企業文化の醸成、人材育成を進めましょう。BIツールを導入して、過去や現在を正確に把握し、可視化することもデータドリブン経営の実現には重要な要素ですが、データを活用し、ビジネス成果につなげるところまで見据えるならば、「過去のデータから次に何をすべきか」を提示し、さまざまなシーンでの判断・意思決定をサポートするAIの導入も検討すべきです。

人材面では、AIを活用できるデータサイエンティストが必要になりますが、近年、データサイエンティストの人材不足が叫ばれている上、データサイエンスの専門知識だけではなく、ビジネスのドメイン知識も必要となることから、自組織の従業員を育成するのも1つの方法です。ただし、イチからデータサイエンティストを育成するとなると数年かかるため、データサイエンスの専門知識がなくても使えるツールなどと組み合わせ、全体でのバランスをとりながら、人材育成を進めることが鍵となります。

データドリブン経営を実現するAI自動化ソリューション「dotData」

データドリブン経営を加速し、ビジネス成果へと着実につなげるツールとして注目されるのがAI自動化ソリューション「dotData」です。dotDataの独自機能により、さまざまなデータから新たな洞察を導くことで、ビジネス上の課題解決や戦略策定に活かすことができます。経験や勘ではなく、データに基づいた意思決定が可能になります。データサイエンスの専門知識がなくても利用できるため、自社ビジネスの知識をもつ従業員自身が利用することで、現場の業務に即したAIを確実に実現できるようになります。もちろん、データ活用に関する最低限の知識は求められますが、NECでは各種研修なども提供しており、人材育成もサポートします。

実際にdotDataを導入し、ビジネス成果に貢献した企業も多くあります。

・株式会社ローソン:マーケティング施策にdotDataを活用。消費者の行動データをもとにターゲットを明確化し、「どの顧客に、どのような施策を実施するか」を判断し、施策に反映、大きな成果に。
・株式会社JALエンジニアリング:機器の故障予測にて、整備士の知見だけではなくdotDataが導いた洞察を適用。これまでは難しかった故障の予測が可能になり、業務の高度化を実現。
・株式会社大塚商会dotDataにより営業活動を効率化。「どの顧客にどの商品を提案するか」を過去のデータから提示することで、営業力強化につながった。

ほかにもさまざまな企業で活用されていますが、いずれも「データを活用して意思決定・判断をサポートし、ビジネス成果を出す」ことにつながるものです。データをもとに意思決定すると言っても、そのデータを正しく読み解き、ビジネスに活かすとなるとハードルが高くなります。特に、近年はデータ量が膨大になり、人が読み解くのは現実的ではありません。最低限の知識で、業務に適用できる有効な洞察を導けるdotDataは、データドリブン経営においても有効なツールと言えます。