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研究内容紹介

テクノロジーグループ

IoT (Internet of Things) 化の流れの中、さまざまなロボットが通信ネットワーク経由で遠隔から制御されるようになっています。特に、コネクティビティとモビリティの観点から、通信には無線IP (Internet Protocol) 通信が用いられることが多くなってきています。しかし、高精度なリアルタイム制御を必要とするロボットを、無線IP通信で遠隔から制御しようとすると、通信遅延によってセンサ情報や制御コマンドが時間どおりに到着しないため、ロボットを正確に制御することができませんでした。

そこで、NECでは、無線IP通信における通信遅延を高精度に予測し、予測した通信遅延に基づいて先回りの予測制御を実施することで、遠隔地からロボットの高精度なリアルタイム制御を実現する「適応遠隔制御技術」を開発しました。

固定監視カメラと警備員の目による従来の警備スタイルでは、現場と警備本部との情報共有が十分にできない上、監視の死角や人物捜査の見逃しのリスクがありました。一方で、一部の先進的な警備システムでは、映像配信の活用が進められてきていますが、イベント会場のように混雑した通信環境では警備に必要な品質の映像をリアルタイムに配信することができていませんでした。NECでは、10秒先までの通信スループット変動を予測し、適応的に映像の圧縮率とコマ数を制御することで現場の状況認識に十分な品質の映像をリアルタイムに配信することができる「適応映像配信制御技術」を開発しました。この技術は、警備だけでなく救急医療現場や災害現場において患者の容態や被災地の状況の正確な伝達など社会の安心・安全に大きく貢献します。

IoT化が加速する中、市場拡大が見込まれる自動車やドローンの自動運転やロボットの遠隔操作を実現するために、多数のデバイスを無線ネットワークに接続し、0.1秒以下でリアルタイムに情報交換することが求められています。
しかし、無線ネットワークでは、無線基地局に接続するデバイスごとに無線品質が異なり刻々と変動するため、安定的にIoTの要求遅延を守ることができませんでした。本技術では、各デバイスの通信の流れから要求遅延までの緊急度を算出し、その算出した緊急度から無線基地局で割り当てる無線帯域や通信時間(無線リソース)を瞬時にデバイス間で調整することで、要求遅延を満たす無線基地局あたりのデバイスの数を倍増することを可能にします。

インターネットやモバイルネットワークでは、他の利用者の通信状況や電波状況などにより、通信速度が時々刻々と変動します。スマートフォン向けのサービスでは、通信量の大きいWebページや動画などが普及しており、快適なサービスを提供するには、直前に測定した最新の通信速度に合わせた制御が有効です。我々が開発した可用帯域推定技術は、わずかなデータ量の転送で瞬時に通信速度を推定でき、従来困難だった通信速度の「見える化」を実現します。最新の通信速度に合わせた制御により、ユーザの体感品質向上や通信キャリアの基地局設置計画の策定支援に貢献しています。

近年、4G、5Gなどモバイル通信が高速化し、インターネット接続を利用した大容量の動画視聴などが可能となってきていますが、モバイル通信の通信速度は使用環境や電波状況により大きく変動します。ところが、インターネット通信はそのような変動を想定していないため、無線周波数を全て使い切れません。我々はこの問題を解決するため、インターネット通信において、無線通信速度を予測し、変動に合わせて無線周波数を使いきることができる通信高速化技術を開発しました。本技術により、通信事業者は、新たに基地局を増局することなしに、エンドユーザに高品質なインターネットサービスを提供できます。

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