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シンガポール研究所
コラボレーションを通じた社会ソリューションの研究開発2021年11月26日
研究領域
NECシンガポール研究所(NLS)は、ソリューションアーキテクトや、ソフトウェア/システムエンジニア、研究者、データサイエンティスト、UXアーキテクト/デザイナーなどの優れた人材を最適な形で組み合わせた応用研究組織であり、世界トップレベルのAIソリューションの開発を進めています。
NLSは、APAC地域の政府や企業のお客様と共同で、都市の安全・防災や、交通、ヘルスケアといった分野の社会問題を解決する統合AIソリューションの開発に注力しています。
NLSの重要な活動の一つは、お客様といっしょにトライアルを実施し、社会ソリューションの有効性と価値を評価することです。
人間中心の設計アプローチとアジャイル開発プロセスを活用して技術開発と実証実験を繰り返すことで、多様なステークホルダーにおける隠れた問題を発見、解決し、より良いソリューションを提供します。
都市の安全・防災の分野では、NLSは、顔検知/顔認識や画像/映像データマイニングといった各種のAI技術と、高性能処理や高度可視化技術を組み合わせることでリアルタイムに危険を察知し、高度な対処案を提供します。これにより、都市の安全・防災責任者は、より安全かつ安心なコミュニティサービスを都市のすべての人々に効率的に提供することができます。
例えばNLSでは、ビデオ監視ソリューションとサーマルカメラを組み合わせることで、発熱者検知/追跡システムを開発しました。このシステムは、既に米国の一部の空港で導入、運用されています。
公共バスを含む交通事故からは、多大な社会損害が生じます。公共交通機関(PTO)の評判を傷つけ、経済的損失をもたらすのみならず、公共交通利用者を減らし、最悪の場合には利用者の怪我や死さえも引き起こす恐れがあります。
そのため、NLSはAIベースのソリューションをPTOと共同開発しました。これにより、近い将来に事故を起こす最もリスクの高い運転手をプロファイリングし、特定することができます。
このソリューションでは、事故を未然に防ぐためにリスクの高い運転手に対してカウンセリングや再訓練などの積極的な介入を行うことで、事業者が全体的な事故率を減らせるように支援します。
脳卒中は、長期の入院を必要とする疾患の一つです。そのため、脳卒中患者に対しては大量の医療資源(医師、看護師、セラピスト、ベッドなど)が必要になります。
その結果、もし脳卒中患者が特定の病院に集中した場合、医療資源の危機的不足を引き起こします。そのため、NLSのヘルスケア研究チームは複数の総合病院と協力して、脳卒中患者の回復可能性を予測するAIベースのソリューションを開発しました。
このソリューションは、二つの主要コンポーネントで構成されています。1つ目はEMGセンサーアプリケーションです。脳卒中患者の筋肉の動きを測定し、脳卒中回復度の客観的なスコアを提示します。
二つ目は予測分析機能です。EMGセンサー測定値を含むさまざまなデータソースを利用して、回復の可能性を予測します。このソリューションは、病院が脳卒中患者の治療とリハビリテーションに対して医療資源を最適化できるように支援することを目的としています。
注力分野
高度な対処策を提供するための映像/画像データマイニング
顔検知/顔認識や各種映像分析などを活用して映像/画像から特徴や属性を抽出し、さらにコンテキストに基づいたデータマイニングを行って意味づけ(センスメイキング)を実行することで、高度な対処案の導出を支援します。
このコア技術は、追跡/軌跡検出や、事象の関連性の発見、人物検索、プライバシー保護対策、カメラの自動調整技術などで、高度な映像監視実現に必要となる先進的機能です。
サイクルタイムを導き出すための手の動きの分析
映像分析技術を活用することで、例えば工場の組立ラインにおける作業者の手の動きや位置を検出して記録し、時系列データを分析して、各組立作業のサイクルタイムを導き出すことができます。
この技術は低コストで導入しやすく、工場の管理者は組立ラインの生産性と問題を把握できるようになります。
視覚ベースの行動認識
他のNEC研究所との連携を通じて、NLSはディープラーニング技術を活用して特定の人間の行動を検出する技術を開発しています。この技術は、新たな応用先における多様な行動のモデル生成を簡単かつ正確に実現することができます。
これにより、喧嘩や転倒など特定の行動をカメラ画像内からリアルタイムで検出するなど、事故を防ぐためのさまざまなソリューションを開発しています。
異種データを用いた予測分析
NLSは、さまざまなソースのヘテロジニアス(異種混在環境)なデータを使用する機械学習手法を開発しました。これにより、バスの運転手が事故を引き起こす確率や、脳卒中患者の回復可能性など、さまざまなユースケースで予測を行うことができます。
ユースケースごとにその分野のエキスパートと連携して使用する特徴を選択することで、非常に正確な予測を実現しています。また、予測情報には「なぜその予測結果になったのか」という理由に関する「ヒント」も含まれているので、説明可能な予測結果を得ることができます。
筋電位(EMG)センサーによる筋力分析
私たちは、脳卒中患者のリハビリテーション用ソリューションの一環として、EMG(筋電位)センサー信号を分析することで、動きの量をスコア化できる機械学習ベースの手法を開発しました。
このスコアは、患者の筋力を測る客観的な指標となります。通常のEMGセンサーでは、適切な筋肉を計測するためには装着するときに専門知識が必要でした。
しかし、この技術を活用すれば、正しい位置に簡単に装着できて、さまざまなユースケースで目的とする筋力を客観的、総合的に測定することが可能になります。脳卒中のリハビリテーションの効果なども可視化できます。
ビジョンと目標
私たちはNECのAI技術を活用し、政府や企業のお客様と共同で革新的かつ実用的なAIソリューションを開発することで、この地域で最も先進的な応用研究組織となり、最も信頼できる技術パートナーになることをめざしています。
このようなソリューションは、お客様に新しい価値をもたらし、業務の効率を改善するとともに、人々にとってより安全かつ安心な環境を実現すると考えています。
所在地
21 Biopolis Road, #05-011/12 Nucleos Building North Tower, Singapore 138567
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