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顔認証技術の先駆者であるNEC今岡 仁が令和5年春の褒章「紫綬褒章」を受章
~高精度な顔認証技術を開発し、世界の安全・安心に貢献~2023年4月28日
日本電気株式会社
NECフェローである今岡 仁(いまおか ひとし)が、令和5年春の褒章「紫綬褒章」を受章しました。科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた個人に授与されます。今回の受章は、高精度な顔認証技術を開発し、顔認証システムとして実用化することで、世界の安全および安心の実現に貢献したことが評価されました。
受章内容
業績名:世界の安全・安心に貢献する高精度な顔認証技術の開発
受章者:今岡 仁(いまおか ひとし)
業績の概要:
NECの顔認証技術は、本人と他人を高精度に識別する有効な特徴量抽出手法を世界に先駆けて実用化したものです。これを実現するため、「本人」と「似ている他人」の境界付近にあるデータのみに着目し分析する、機械学習・深層学習を取り入れ、「本人」と「他人」を少量の特徴量で識別できる手法を開発しました。
さまざまな条件下でも高速、高精度に識別することが可能になった結果、米国国立標準技術研究所(NIST)による2018年の評価では160万人規模のデータベース上で、認証エラー率0.4%、検索速度2.3億件/秒を達成するとともに、環境変化や経年変化に対する頑強性など、実用面での有効性の高さにつながる評価も獲得しました。NISTの評価では2018年の他にも複数回のトップ評価を獲得し(注1)、世界最高水準の性能を維持・向上し続けています。
NECの顔認証は、成田空港・羽田空港をはじめとする国内主要7空港のほか、インドの国民ID制度など45か国で採用され、世界各国の安全・安心に貢献しています。
今岡仁からのコメント
栄誉ある褒章をいただき、これまでお世話になった皆様に心から感謝申し上げます。顔認証は、顔の向きや照明など様々な変動要素があるため、生体認証の中でもとりわけ複雑な技術です。これまでの研究も必ずしも順風満帆ではなく、困難な時期もありました。しかし、共に研究を進めてきた顔認証の研究チームや、国内・海外の様々な事業関係者の皆さん、そして製品を活用頂いたお客様の支えもあり、世界各国で展開する事業へと発展することができました。このたびの受章を機に、顔認証をはじめとする生体認証が世界中の人々のくらしや生活に役立つものとなるように、これからも真摯に取り組んでいきたいと思います。
NECの顔認証の取り組み
NECの生体認証「Bio-IDiom(バイオイディオム)」(注2)の中核技術である顔認証は、1989年に文字認識の研究で確立したパターン認識技術を応用するかたちで開発が始まりました。2002年には「NeoFace」(注3)の名称で製品化し、以降多くの製品・サービスを国内外に展開してきました。2009年からは今回、受章した今岡主導のもとNISTが主催する顔認証技術のベンチマークに参加し、複数回のNo.1評価を獲得しました。また、2020年と2022年の2回連続(注4)で、グローバル調査会社のFrost&Sullivanから「Market Leader」として評価されるなど、事業面でも第三者からの高い評価を獲得しています。
近年、顔認証をはじめとする生体認証は、単に本人を認証する用途にとどまらず、生体認証を共通のIDとして企業や組織の枠を超えて入退・決済をはじめとしたさまざまな日常生活のサービスを利用できるという新しい体験(注5)にも活用され始めています。さらに、web3やメタバースなどの今後発展が予想される新たな領域においてもデジタルを安全に活用するためのキーテクノロジーとして期待されています。このように多種多様なユースケースや今まで以上に高い精度が求められるシステムへの対応の要請を受け、NECはNISTが実施した認証技術のベンチマークテストでともに世界No.1(注6)となった顔認証技術と虹彩認証技術を組み合わせることで、誤認証率(他人を本人と誤って受け入れる確率)100億分の1以下の高精度を実現した「マルチモーダル生体認証ソリューション」(注7)を2022年に世界で初めて製品化しました。
NECはこれからも、顔認証をはじめとする生体認証技術のさらなる向上に加え、各技術を活用したより質の高い、使い勝手の良い製品・サービスの提供を通して、誰もが安心してデジタルを活用できる社会の実現に貢献します。
以上
- (注1)米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ベンチマークテストでこれまでにNo.1を複数回獲得
https://jpn.nec.com/biometrics/face/history.html
※NISTによる評価結果は米国政府による特定のシステム、製品、サービス、企業を推奨するものではありません。
(注2)
「Bio-IDiom(バイオイディオム)」は、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響などNECの生体認証の総称です。世界トップクラスの技術や豊富な実績を活かし、ニーズに合わせて生体認証を使い分け、あるいは組み合わせることで、「誰もが安心してデジタルを活用できる世界」を実現していきます。
・NECの生体認証
https://jpn.nec.com/biometrics/
- (注3) NECの顔認証AIエンジン「NeoFace」
https://jpn.nec.com/biometrics/face/index.html - (注4)「Frost Radar™: Biometric Solutions within the Security Industry, 2020」
https://jpn.nec.com/biometrics/third-party-evaluation.html
「Frost Radar™: Biometric Authentication Solutions, 2022」
https://jpn.nec.com/biometrics/evaluation/frostradar2022/ - (注5)NEC I:Delight(アイディライト)」は、顔や虹彩を使った生体認証による共通のIDで、複数の場所やサービスにおいてお客様へ一貫した体験を提供するブランドです。
https://jpn.nec.com/delight/index.html - (注6)NEC、顔認証に続き虹彩認証でも米国国立機関による精度評価で第1位を獲得し、2冠を達成
https://jpn.nec.com/press/202109/20210902_01.html - (注7)NEC、世界No.1の顔認証技術と虹彩認証技術を搭載したマルチモーダル生体認証ソリューションを販売開始
https://jpn.nec.com/press/202211/20221108_01.html
NECの顔認証技術について
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
NEC 生体認証・映像分析統括部
E-Mail:dpf-pr@dpf.jp.nec.com
NECは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、
誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。
https://jpn.nec.com/brand/