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電子的な契約書に用いる「社印」の検討
~マイナンバーカードと電子委任状~

契約書や証明書の今

地方公共団体に保育園の利用申請をする際に必要な雇用証明書や、企業などの取引における契約書には「社印」が使われています。現状、これらの書類は書面が一般的であり、対面や郵送で提出・受理されています。

さまざまな手続きのオンライン化

このような中、国を挙げて行政や企業などの手続きのオンライン利用が推進されています。証明書や契約書は、マイナンバーカードを用いて対面・書面なく電子的に作成、提出などが可能になる措置を講ずると宣言されています

  • 官民データ活用推進基本法、日本再興戦略2016

電子的な書類の有効性の確認に、マイナンバーカードを活用

社印の代わりに、電子化された書類の有効性を確認する方法として検討されているのが、書類を作成・提出した者がその権限を持っているか、またその者が本人であるかを確認する仕組みです。そこでマイナンバーカードを活用する案が、現在国の制度検討会で挙げられています。

電子委任状で権限の委任を証明

A社が、地方公共団体に保育所の利用申請をする従業員P氏の雇用証明書を発行するという利用シーンを例に考えてみます。A社の代表者が、従業員の雇用証明書を作成・発行する権限を、担当X氏にあらかじめ委任します。この時、X氏への権限の委任を証明する「電子委任状」をインターネット上に登録します。

書類を作成・提出した人は、正当な権限を持った本人?

担当X氏は、自分のマイナンバーカードを用いて従業員P氏の雇用証明書を作成し、インターネットを介して地方公共団体に提出します。地方公共団体は、その書類がX氏本人により作成・提出されたものであることを、X氏のマイナンバーカードの電子証明書の有効性により確認します。併せて、電子委任状を確認することで、A社における正当な権限をX氏が持っていると認識でき、A社の正式な書類と確認できます。

処理が簡素化しコスト低減のメリットも

このような仕組みにより、対面・書面なく電子的に契約書や証明書の作成・提出などが可能になるだけでなく、押印決裁の処理が簡素化できます。また書類の郵送や印紙税のコスト低減が可能になります。
上記のほか、就職企業先への大学などの卒業証明書や、税務署への保険料控除申請時の保険会社からの証明書などでの活用も期待されています。

  • 本記事は平成29年1月26日の公開情報に基づき構成されています。