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日本通運株式会社様
視認性の高い“一覧表示”で、通関業務を効率化
業務品質向上や均一化、属人性排除の効果も
- 業種:
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- 運輸・物流
- 業務:
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- 物流
- 製品:
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- その他
事例の概要
課題背景
- 通関営業所同士の業務連携を実現するため、バラバラだった通関業務のやり方を標準化する必要があった
- 入力・チェック作業などの負担が大きい通関業務(書類作成・書類審査)を改善すべく、システムの見直しが求められていた
- 長年“紙ありき”だった通関業務のあり方を、ペーパーレス化する方法を模索していた
成果
「関税計算書システム」の視認性の高さが、入力作業の負担を軽減
明細などの情報まで一覧表示される「関税計算書システム」により、入力作業の負担が大幅減。AI-OCR連携による帳票の自動データ化も実現
入力ミスを見つけやすいレイアウト、入力漏れが分かりやすいワーニング表示により、作業が大幅に効率化
使用者の視点に立った設計や修正箇所の一括修正機能などにより、申告書類をチェックする作業の負担を軽減。紙によるチェック作業をなくせる可能性も提示
業務品質の向上や均一化、属人性排除にも寄与
作業時間の短縮により、経験やスキルが少ない社員も、より高度な案件を担当可能に。業務品質の向上や均一化、属人性の排除にも貢献
導入ソリューション
多種多様な帳票をAI-OCRで自動データ化し、そのデータを用いて関税計算および申告書作成までをトータルで支援する通関デジタル化ソリューション「関税計算書システム」を導入。入力・チェックなどの作業負担を軽減すると共に、通関士の専門領域の業務もサポート。
関連資料ダウンロード
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事例の詳細
導入前の背景や課題
通関業法の改正に伴い
“業務の標準化”の課題が浮き彫りに
長い歴史の中で培ったノウハウやネットワークを活かし、トラック・鉄道・海上・航空など様々な輸送手段を組み合わせた、物流ソリューションを展開する日本通運様。Eコマースの増加などで、近年、急激にニーズが高まっている国際海上輸送についても、豊富な輸送メニューを用意する他、全国に約100箇所の通関営業所を設け、円滑な通関手続きに寄与しています。
2017年、通関業法の改正(「輸出入申告官署自由化」)により、通関業務に大きな変化がもたらされました。それまで通関申告を行えるのは、全国に9つある税関の、各管轄内の通関事業者に限定されていましたが、改正後は、全国どの税関でも申告できようになったのです。
「この法改正を背景に、通関営業所同士がサポートし合う発想が生まれた」と、日本通運 国際海運統括部 東京通関事業所の関本啓氏は当時を振り返ります。
「例えば、災害で東京の営業所が稼働できないときに、業務を名古屋や大阪の営業所に振り分けるなど、サポートし合うことが可能になりました。しかし実際には、税関や営業所ごとに独自のローカルルールが存在し、書類作成や審査の方法もバラバラで、とても連携できる状態にありませんでした。この状況を改善するために、業務の標準化が大きな課題となりました」(関本氏)
加えて日本通運様では、官民共用の輸出入手続きシステム「NACCS」の7次更新(2025年)に向けて、社内の基幹システムの刷新を進めていました。これに合わせ通関業務システムも、「“紙ありき”だった業務形態をペーパーレス化」し、社員の「入力作業やチェック作業の負担を減らせる仕組みのあり方を模索していた」と、関本氏は説明します。
こうした中、2020年にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大が発生。なかなかリモートワーク化が進まない現状を前に、通関業務システム見直しの気運がさらに高まりました。
「こうした中でNECの営業担当者に提示いただいたのが、通関業務をデジタル化する『関税計算書システム』でした」(関本氏)
選択のポイント
「画面の見やすさと操作性」が魅力
新たな発想と技術力にも期待
NECの通関デジタル化ソリューション「関税計算書システム」は、インボイス(送り状)などの多種多様な帳票をAI-OCRで自動データ化し、そのデータを用いて関税計算および申告書作成までを支援するソリューションです。
「様々な機能がある中で、特に大きな可能性を感じたのが、画面の見やすさと操作性の高さでした」と、日本通運 東京通関事業所の加藤琢磨氏は初見の印象を語ります。
もともと日本通運様の関税業務システムでは、NACCSの形式に合わせ、紙の申告書のレイアウトを、そのままシステム上に反映していました。例えば、計算書作成における、インボイスの明細情報登録画面では、一品目ごとに品名や重量、価格などの情報を入力。一品目を入力し終えたら、新たな登録画面を開き、次の品目を登録する仕組みでした。しかしこれだと、例えば品目数が多い場合に、何度も登録画面を開かなければならないなど細かな作業が積み重なり、書類作成者の負担が増えてしまいがちです。
「これに対しNECの『関税計算書システム』では、Excelのような一覧表示でした。帳票の明細情報などを横一列に並べる形になっており、一品目入力したら、続けて、その下段に次の品目情報を入力することができます。このレイアウトであれば、登録画面を何度も開くなどの細かい作業が省け、書類作成者の負担や作業時間を大幅に減らせます。
我々は長く、社内で業務システムの改善を続けてきましたが、この発想はありませんでした。新しい視点や技術を持つNECに参加してもらえば、新たな道が開けるのではないかと、期待が高まったのを覚えています」(加藤氏)
一方、関本氏は、AI-OCRとの連携について触れ、インボイスなどの帳票をクラウド上で自動データ化できる利便性も、「導入を決める大きなポイントになった」と評価しました。
「さらに打ち合わせを重ねる中で、NECには我々の細かい要望に丁寧に対応いただき、深い信頼関係を築けました。このことが、『関税計算書システム』の導入を決める最大の決め手になりました」(加藤氏)
導入後の成果
作業時間が“体感値3割減”
業務品質向上や属人性排除も
2022年10月、日本通運様はNECの「関税計算書システム」を全社導入しました。その導入効果について、日本通運 東京通関事業所の杉原崇彦氏(通関士)は、「輸出入の少量多品種化が進み、扱う品数が急増する中で、品目の詳細登録情報が(同じ画面上で)一覧表示され、画面切り替えなどの手間を減らせる効果は非常に大きい」と説明します。
「また、一覧表示されることで記入ミスを見つけやすくなった他、入力不備を見つけ、修正箇所を一括修正できる機能が付いたことで、チェック作業の負担が大幅に減りました。また、紙を出力してチェックする手順をなくせる可能性も感じています。正しい申告をするためにも、ミスを見つけやすく、修正しやすいことは重要です。実務者として大変助かっています」(杉原氏)
さらに関税区分の作業についても、「(これまでひとつひとつ手作業で税率選択をしていたものが)システム側で最適な税率(基本・協定・暫定)を自動選択してくれる機能が付き、非常に楽になった」と評価しました。
「全体的に、これまで細々と手間がかかっていた部分が改善され、とても作業しやすくなりました。本システムのメリットは、品数が増えれば増えるほど、強く実感できます。導入から日は浅いのですが、すでに体感値で3割ほど作業時間を削減できていると感じています」(杉原氏)
同事業所の川口美桜子氏(通関士)は、「関税計算書システム」の導入が、「業務品質の向上や均一化、属人性の排除にもつながる」と説明します。
「これまでは、インボイスの枚数や品数が多い書類は、経験豊富な社員が担当するケースがほとんどでした。しかし『関税計算書システム』導入後は、作業時間を短縮できる機能や仕組みが加わったことで、経験が少ない社員でも担当しやすくなりました。このことからも本システムの導入が、業務品質の向上や均一化につなげられるのではないかと感じています。またベテランにお願いしていた書類を経験が少ない社員に流していくことで、人材の育成や業務品質の向上、属人性の排除につながると期待を抱いています。」(川口氏)
日本通運様では今後、AIによるチェック機能やデータ転記機能などを拡充し、負担軽減や業務のペーパーレス化を推進。「貿易のプロである通関士が本来注力すべき、 “判断業務”に力を注げる関税業務システムを構築していきたい」と、関本氏は展望を述べます。加えて将来的には、通関事務所ごとにバラバラだった通関業務を標準化し、「通関件数の増加に、会社全体で柔軟に対応できる体制を構築していく」と、「関税計算書システム」のさらなる活用に強い意欲を示してくれました。
お客様プロフィール
日本通運株式会社
本社 | 〒101-8647 東京都千代田区神田和泉町2番地 |
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設立 | 1937年10月1日 |
代表者 | 代表取締役社長 齋藤 充 |
資本金 | 701億75百万円 |
事業内容 | 自動車輸送、鉄道利用輸送、海上輸送、船舶利用輸送、利用航空輸送、倉庫、旅行、通関、重量品・プラントの輸送・建設、特殊輸送、情報処理・解析などの物流事業全般 および関連事業 |
URL | https://www.nittsu.co.jp |
この事例の製品・ソリューション
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(2023年1月23日)