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No.3(9月)映像ソリューション特集

Vol.64 No.3 (2011年3月)

映像ソリューション特集


映像認識・分析

原田 典明 ・青木 勝 ・三上 明子 ・峯下 聡志 ・斎藤 志傑

NECは、カメラ映像を基にして人・物の位置や状態を解析し、センサ・タグなどから得られた属性情報と組み合わせた動線解析システムを開発しました。本システムは、複数台の監視カメラ映像から人・物の位置や状態を「見える化」し、プラントや物流倉庫内での従業員の行動や、店舗内での来場者の行動を把握するツールとして利用することができます。本稿では、それらを実現する関連技術とその適応例を紹介します。


西田 里佳

「Adface(アドフェイス)」は、独自に開発した多段階照合方式や照合演算アルゴリズムを用いて顔の照合率を計算し、インタラクティブに映像を制御・表示するプロモーションシステムです。上海万博、ハウステンボス、フジテレビ番組「ゴレンタン」など、豊富な実績を支えるインタラクティブ映像制御技術について紹介します。


金子 浩 ・小澤 隆人 ・野村 俊之 ・岩元 浩太

NECが開発した映像識別技術は、映像からフレームごとに「ビデオシグネチャ」と呼ばれる特徴量を抽出し、映像間の同一性を判断することができます。この技術はMPEG-7の国際標準規格に採用されており、各種改変・編集に強く、短いシーンでも検索可能であり、かつコンパクトという特徴があります。本稿では、メディア業界において、メタ情報にビデオシグネチャを利用することにより、新規映像登録作業の効率化や映像の関係性の可視化ができることを具体的に説明します。

映像蓄積・加工

西田 里佳

地上デジタルテレビ放送(フルHD)やデジタルシネマ、3D映像の普及に伴い、数十~数百GBに及ぶ大容量データを高信頼かつ効率よく配信する技術の重要性が増しています。本稿では、広帯域のベストエフォート回線で、大容量データを高信頼かつ高画質に配信するNEC独自の映像配信技術(パケット修復演算アルゴリズム、再送制御、レジューム機能、揺らぎ流量制御技術など)について紹介します。また、これらの手軽な導入と運用を実現するハイブリッドクラウド方式について説明します。


香月 正宏 ・荒川 博之 ・高井 良輔

従来の映像アーカイブシステムは、放送記録の保管を目的としていました。MXF規格が標準化され、映像素材の管理がテープからファイルベースとなり、映像アーカイブの目的が、保管から流通へ変化しています。NECのアーカイブシステムは、映像素材管理だけでなく、放送事業者内、関連事業者間における新しい素材流通のビジネスフローを構築し、映像資産価値の向上を目的としています。


田中 亮一

国内の地上波放送局ではアナログ放送が終了し、一部地域を除いてデジタル放送へ移行しました。マルチメディア放送、ホワイトスペース活用といった、アナログ跡地を利用した新たな放送・通信サービスが立ち上がっています。また、既存の放送局において多様化する視聴環境に応じるべく、インターネット放送への取り組みや、新しいコンテンツの二次利用などネット時代に対応できるよう取り組みを進めています。このような背景から、従来のテープメディアからファイルベースメディアへの移行、それに伴う局内回線のIP化など新たな局内システムの構築が今後見込まれます。ここでは、多様化する映像コンテンツのニーズに応えるべく、放送局が今後取り組む新サービスを支える、次世代のサービスプラットフォームの方向性について紹介します。


木曽 康治 ・深作 正樹

放送局の報道現場は、正確な情報を迅速に伝えることが使命です。取材からオンエアまで、素材をテープメディアからファイルベースメディアに移行することで、従来、実時間以上を要していたワークフローを改善しました。また、メタデータを有効活用することで、より正確かつ速報性の高い報道を実現するソリューションも併せて紹介します。


宮内 由仁 ・相原 真二 ・黒河 尊文 ・鴨谷 謙

最近のスマートフォンやタブレット端末などでは、タッチパネルとアニメーションによる、いわゆる“リッチUI(ユーザーインタフェース)”が使われています。リッチUIは直感的な操作性が利点ですが、画面の拡大・縮小などを多用するため、組込み機器のCPUでは描画処理能力不足になることがあります。対策として3Dグラフィックス ハードウェアを搭載する場合もありますが、ハードウェア量が大きくなって消費電力が増えたり、またコンテンツの種類によっては処理能力を生かせないケースがあります。本稿では、組込み機器のリッチUIなどに必要なグラフィックスをベクターグラフィックス技術で最適に実現するGA88シリーズ「IWAYAG」について紹介します。


池田 敏之 ・新保 豪平 ・黒沢 直樹 ・青木 啓史 ・井浦 俊之

素材伝送用コーデックは、原理的に生じる符号化遅延によるさまざまな運用制約を受けており、低遅延化が望まれていました。NECでは最新の動画符号化規格H.264/MPEG-4 AVCを利用し、放送画質を保ったうえで最小10msのコーデック遅延を実現した装置を開発したので紹介します。

映像配信

小美濃 貴行

NECは、外国人観光客向けに母国語による観光案内ガイドや通訳サービスを提供する遠隔システムを開発しました。本システムは、ウェアラブルコンピュータをユニファイドコミュニケーション技術と組み合わせて実現しており、外国人観光客が移動中でも双方向のリアルタイム映像・音声コミュニケーションを行うことが可能です。総務省の京都「ユビキタス特区(観光立国)」事業にて実証実験を行い、技術面とサービス面の有効性を検証しました。


大坂 智之

昨今、デジタルサイネージの利用が拡大しています。本稿では、デジタルサイネージの一般的なアーキテクチャや、配信サーバとサイネージ端末それぞれに必要となる機能について説明します。更に、デジタルサイネージが抱える技術課題、標準化の動向について報告し、NECの目指すデジタルサイネージソリューションの姿を紹介します。


石黒 新

NECは、「コミュニケーションロボット PaPeRo(パペロ)」を法人向けにレンタルしています。その活動のなかで、遠隔地からロボットを通して対話するテレコミュニケーションロボットを試作し、運用・評価を行っています。遠隔地の人は、伝送されるPaPeRoの“目の映像”を見ながら、PaPeRoを操作することで、PaPeRoの前にいる人と円滑なコミュニケーションを行います。このテレコミュニケーションロボットは、電話、テレビ電話と発展してきたコミュニケーションツールの新たな可能性を示唆しています。

普通論文

高松 宏彰 ・加藤 厚志 ・森本 健 ・増田 直樹 ・中西 秀一 ・城後 慎一郎

エコ、長寿命、メンテナンスフリー、高色再現性を追求するなかで、プロジェクター光源の固体光源化が本格化しています。NECディスプレイソリューションズでは、光源にLEDを使用した3板式液晶プロジェクターを開発しています。ランプに比べて大幅に広い色域により、従来のプロジェクターでは到達できなかったAdobeRGBカバー率98%を達成するとともに、長寿命、メンテナンスフリーと高い色再現性を実現しています。


神坂 賢司 ・小林 巳千男 ・細野 英暁 ・潮屋 幸則 ・西原 昌彦 ・小川 進介 ・小林 明秀

近年、IT機器の環境負荷低減が課題となっています。NECディスプレイソリューションズでは、プロジェクターの環境性能向上を目指し、企業、学校向けのスタンダードプロジェクターNP-Mシリーズを開発しました。本稿では、環境負荷低減を実現したプロジェクターNP-Mシリーズについて、その環境対応技術を紹介します。


小林 玲一 ・石井 栄作

プロジェクターにとって任意の位置への配置、任意のスクリーン形状への投写はお客様の使用自由度を高めるとともに、新しい映像表現の自由を与えることができます。NECディスプレイソリューションズはこの観点に則り、ビジネスプロジェクター黎明期よりこれに応える幾何学歪み補正機能を高級モデルに提供してきました。今回、低価格モデルにこの機能を実装させるため、パソコンの演算能力を利用してシステムで幾何学歪み補正機能を実現する取り組みを行い、製品に適用したので紹介します。


松井 勝之 ・石渡 明生 ・板倉 直樹

画像コンテンツ製作のデジタル化に伴い、異なる入出力機器間での色味を統一するカラーマネジメントの普及が進んでいます。既存のディスプレイでは外付けカラーセンサを用いた煩雑な調節作業(キャリブレーション)が必要でした。MultiSyncPAシリーズでは、新開発の画像処理ICと補正アルゴリズムの組合せにより、正確な色再現とキャリブレーションレスでのユーザー運用を両立しました。


小川 光太郎 ・三橋 練一

パブリックディスプレイは、大型のビデオウォール表示への用途が拡大しています。NECディスプレイソリューションズは、超狭額縁液晶を用いたマルチスクリーン表示により、ビデオウォール表示システムを実現しました。本稿では、この機能について紹介します。


望月 義仁

現在、企業でのIT機器の環境負荷低減が課題となっています。NECディスプレイソリューションズでは、企業向けの液晶ディスプレイの環境性能向上を目指し、“MultiSync+ECO”をキーワードに環境特化モデルとしてEXシリーズ(Office Cool)を開発しました。当該開発では特に軽量化・小型化に重点を置いて取り組みました。本稿では、従来モデルであるEAシリーズからどのような取り組みを経て軽量化・小型化を実現したEXシリーズを開発したかを紹介します。