Japan
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No.2(4月) 組込みソフトウェア・ソリューション特集/ユーザ参加型WEBサービス特集
Vol.60 No.2(2007年4月)
組込みソフトウェア・ソリューション特集
顧問 高橋 利彦
川浦 立志
組込みソフトウェア時代の本格的な到来を迎え、組込みソフトウェア開発の諸課題(多機能化/大規模開発、高機能化、短期間/低コスト開発、多機種開発、高品質確保)の解決に向けてのソリューションが強く求められています。本特集では、One NECとしてNECグループ全体の組込み技術力を結集し、上記課題のトータルソリューション提供に取り組む基本方針を説明するとともに、課題解決に有効な「組込みプラットフォーム」、「組込みソフトウェアコンポーネント」、「組込みソフトウェア開発環境」分野に焦点を当て、この分野の先進的なソリューションを紹介します。
組込みシステム・プラットフォーム
高野 成彦・桑原 一悦・渡辺 宏
platformOViAは、モバイル機器・デジタルAV機器・車載情報システムに最適化されたLSIのハードウェアやOSとミドルウェアなどシステムの基本部分を体系化した半導体ソリューションです。マルチメディア処理インタフェースの標準化によってIT業界先端IPの利用を可能とし、プリインテグレーションによってお客様の商品開発力を強化する、NECエレクトロニクスのASSP(分野専用標準LSI製品)事業拡大の重要施策です。
阿部 剛・酒井 淳嗣・鳥居 淳
高度な情報処理を要求する将来の組込み機器では、従来からの高信頼性や高応答性に加え、その複雑な処理に対応するための高機能性も重要になります。これらを共存させる方式として、組込み用リアルタイムOSとサーバ用SMP OSを統合したデュアルOSを提案、組込み向けマルチコアプロセッサMPCore SoC上に実装し、その効果を実証しました。
岡崎 信一郎・京 昭倫・古賀 拓也・肥田野 文之
先進安全自動車分野での組込み型画像センサの実用化には、多様な環境で多種のタスクを実時間でこなすプロセッサが望まれています。筆者らは多数のプロセッサとアクセス自由度が高い画像メモリを集積することで、高速処理性、プログラムによる柔軟性、低消費電力性の3つを両立したメモリ集積型高並列SIMDプロセッサIMAPCARを開発しました。動画像認識処理が必要とする性能要件を述べ、IMAPCARの構成と性能要件との適合性を示します。
高野 陽介・山下 信行・藤田 善弘
携帯電話やカーナビなどを始めとする端末機能の高度化が進行するなか、誰にでも使いやすいUIとそれを支えるプラットフォームが求められています。このニーズに対応するため、人に優しいロボットを実現するために開発したUIプラットフォームであるRoboStudioを、様々な端末に水平展開する試みを進めています。具体的な施策としてのLinux化、軽量化、CG化について解説します。
イメージ/音声処理コンポーネントソリューション
池谷 彰彦・広明 敏彦
既存の撮像系を用い、カメラ本来の分解能を超える高精細、高解像画像の撮影を可能にする超解像技術に注目が集まっています。本稿では、当研究所で開発した最新の超解像技術、ならびに同技術に基づいて開発した超解像FPGAについて報告します。
平田 恭二・大網 亮磨
本稿では、撮影した大量の写真を効果的に整理・閲覧するためのフォトマネージメント機能について紹介します。色、構図、模様といった写真の視覚的特徴に基づく類似検索機能、未整理の写真を撮影時の状況に基づいて自動的に分類するイベント分割機能、写真の相互類似性に基づいて類似構図により撮影された写真を重複写真として検知・グループ化し階層的表示により閲覧性を向上させる階層的表示機能について、機能を説明するとともに、実際の写真を用いた結果について報告します。
高田 巡・仙田 修司・広明 敏彦
近年、シンクライアントに代表される、PC画面をIPネットワーク伝送するソリューションへの需要が高まっています。画面転送には、大きく分けて「送信側OSの描画命令を伝送し、受信側OSが命令解釈・実行する命令伝送型」と、「画面情報自体を伝送する画像伝送型」がありますが、後者は受信端末の構成を単純化できるという利点があります。本稿では、PC画面の画像を高速・高画質に圧縮できる独自の静止画符号化技術と、それを用いた高速な画面転送方式を紹介します。
宝珠山 治・杉山 昭彦
本稿では、ノートPC、携帯電話などの小型機器で、ヘッドセットを用いずにハンズフリー通話を行うための非線形エコー消去技術を紹介します。エコー(スピーカからマイクへの音声回り込み)の消去において、小型スピーカや筐体振動が発生した歪んだ成分を消去することは従来きわめて困難でしたが、新開発の周波数領域処理技術により、快適に会話を行える十分なエコー消去が可能となります。
組込みソフトウェア開発環境ソリューション
新井 秀司
昨今、自動車搭載製品、携帯電話、デジタル家電などは開発がハードウェア中心からソフトウェア中心に変化してきています。これを受けて組込みソフトウェアの開発は大規模化し、開発要員も急激に増加しています。従来の属人的な管理スタイルでこの波を乗り切ることはできません。NECが8年間以上の開発期間をかけて熟成させてきたプロジェクト管理システム「ProcessDirector」は、組込みソフトウェア開発の領域においても効果を発揮するものと考えており、本稿ではその仕組みを具体的に紹介します。
小崎 光義・小泉 健・大橋 充幸・佐野 建樹
組込みソフトウェア開発の効率化を行うために、NECではオープンソースソフトウェアのEclipseをベースとする統合開発ツールを開発しました。本製品は、設計、実装、検証というソフトウェア開発の各工程を一貫してサポートしており、一連の作業を途切れなく実行しプロジェクト全体の効率的な開発と品質の向上を実現します。本稿では、組込みソフト統合開発ツールSystemDirector Developer's Studio Embeddedの概要を紹介します。
川村 冠東・鈴木 和明・堀川 隆・山下 敏明・酒木 大也
近年の組込みソフトウェア開発は大規模化・複雑化が顕著であり、短納期化、開発効率化は経営的な課題となっています。ARM社製CPU上で稼働するLinuxに対応した性能測定・分析ツールmevaletを開発し、かつ、ネットワークを用いたデータ転送機能の代わりにminiSDカードを用いてデータを保存する機能を追加しました。本ツールにより1ヵ月かかっても解決できなかった性能問題を数日で解決するなど大幅な開発効率化を実現しました。社内の組込みソフトウェア開発の具体的活用事例を交えて本ツールを紹介します。
橋本 祐介・徳岡 宏樹・宮崎 義昭
新しく開発したC言語検証ツールVARVELは、形式手法の一種であるモデル検査と呼ばれる技術を応用し、C言語で書かれたソースコードをモデル化し静的にかつ網羅的に検証し、プログラムに内在するバグ(実行時エラー)の検出を行います。本稿では、VARVELの技術的な背景や機能の概要を紹介します。
ユーザ参加型WEBサービス特集
村木 一至
この数年にWEB世界で起こった変化は、誰もがWEBで発信者になるチャンスが大いに広まったことだと考えられます。その結果、新しいWEBアクセス、体験、楽しみを享受できるサービスや、旧来からのサービスに新たに付加された魅力で、受益者利益が増大しています。また、これらサービスや付加価値は、BtoCビジネスや企業内活用でも新たな適用を促進しつつあります。本特集は、このユーザ参加型WEBサービスへのNECグループの取り組みについて紹介します。
概要論文
白石 展久
2005年頃から、Google Mapsをはじめとした、Web2.0のマッシュアップによるサービスが話題となっています。Web2.0は、今やコンシューマに対して純粋に「面白い」サービスを提供する段階を超え、ソフトウェア、サービス、SI、開発手法などにも様々なインパクトを与えており、ソフトウェア開発企業の開発スタイルや、製品・サービス戦略は、大きな変革を迫られていますが、NECでは、Web2.0を意識した、さまざまな活動を進めています。本稿では、Web2.0時代において企業に求められる開発スタイルや、製品・サービス戦略を考察し、NECで取り組んでいるWeb2.0的な活動を紹介します。
ビジネス向け基盤技術
柿澤 幸宏
Web2.0の技術を企業内で利用するEnterprise2.0という概念が普及しつつあります。ブログ、SNS、Wiki、RSSなどの技術やオープンソースソフトウェアを組み合わせ、Enterpris2.0の概念を実現します。また、顧客にはシステムの導入だけでなく、サービスとしての導入の可能性があります。
島津 秀雄・小池 晋一
本稿では、Web2.0がナレッジマネジメント(KM)に与える影響と今後のKMの方向性を説明します。KMという言葉は、以前ほど使われなくなりましたが、Web2.0の出現により利用者参加型の文化が広がり、「集合知」という新しい概念が注目されるようになるなか、これをベースにしたKMの概念やプロセス、それを実現するシステムアーキテクチャの見直しが進んでいます。本稿では、従来のKMで課題であった知識提供の問題を、多種多様なコミュニケーションツールと業務システムからの知識抽出の密接な連携によって、集合知を正のスパイラルで拡大していくWeb2.0時代のKMモデルを紹介しています。
要素技術
森永 聡・山西 健司
ユーザ参加型WEBサービスの発達により、ブログや掲示板上での口コミのようなCGMが実社会にも大きな影響力を持ちつつあります。本稿ではこれらCGM情報(サイバー空間)とTVや新聞などの報道情報(リアル空間)を統合分析するためのテキストマイニング技術をいくつか紹介し、それを利用した実際の分析サービスの実例として、NECデータマイニング技術センターが分析結果を提供している「BIGLOBE旬感ランキング」の分析コーナーを紹介します。
導入事例
田中 栄市郎・水守 良幸・小松 千尋・安藤 航・武下 博英
BIGLOBEでは、2004年3月よりブログサービス「ウェブリブログ」を提供してきました。一方、ブログ記事やレビューなどを利用したECサイトやポータルサイトが集客面で注目を集めるようになってきました。そこで、BIGLOBEでは、ウェブリブログシステムやブログ記事データを活用したCGM基盤を開発しました。本稿では、CGM基盤のアーキテクチャ、ブログ記事と地図(Google Maps API)を利用したCGM地図サービス、ポータルへの書き込みを管理できるプロフィールサービスについて述べます。
福岡 秀幸
社内の情報共有・コミュニケーションをより効率的かつ効果的に行う手段として、社内ブログが注目を浴びています。NECグループでは、「イノベーションカフェ」と名付けた社内SNSを本格展開していますが、これによって組織の壁を越えたコミュニケーションが活性化し、社員のワークスタイルが変化しはじめました。イノベーションカフェをより便利に使うためのツールも社員自らの手により、次々とマッシュアップ開発されています。NECは、ブログを様々な製品と連携させるとともに、イノベーションカフェの運用・活用で蓄えた豊富なノウハウを提供することで、企業のお客様にソリューションを提供していきます。
岡田 文一・本田 和秀・岩淵 志学・岡島 康憲
BIGLOBEでは「生活者の関心と評判がわかるメディア」の実現という方針のもと、各ジャンルポータルサイト内のコンテンツに対して、コメントやトラックバック、ブログなどのユーザ参加型のサービスを実現しました。これらCGM機能の導入によって、ユーザの関心・傾向を体系的に分析し、さらに評判情報というコンテンツに編集し配信することができるようになりました。本文では、無料動画配信サイト「BIGLOBEストリーム」、および観光情報サイト「BIGLOBEトラベル」におけるCGM機能の活用事例について紹介します。
ネットワークシステムインテグレーションで最適ソリューション提供
紹介記事
本格的なNGN時代の幕開けが間近となり、私たちの生活には安全・安心・快適かつユビキタスなネットワーク環境が不可欠になってきています。そのような中、当社は昨年子会社化したNECテレネットワークスを2007年4月に合併し、ネットワークシステムに関するワンストップサービス体制をますますパワーアップし、新たなNECネッツエスアイとしてスタートしました。NECグループのネットワークソリューション領域におけるトータルシステムインテグレータとして、今後もお客様に安全・安心・快適なネットワーク関連システムを、最新技術を生かすインテグレーション力により提供していきます。
支援サービス
後藤 武志・五島 定弘
本稿では、フォワーダ倉庫向け国際セキュリティ規格「TAPA」について説明するとともに、国内でのTAPA認証の課題とNECネッツエスアイの取組みについて説明します。
NECネッツエスアイの無線LAN位置情報システム導入事例
石渡 祥嗣・堀籠 敬樹・小林 佑輔
人や物の位置を特定するための技術が急速に進歩しています。GPSや基地局位置情報、RFID、無線LANなど、位置特定の方法も多岐にわたります。NECネッツエスアイの無線LAN位置情報システムはIEEE802.11bの電波を利用し、電波を受信した時間の差から対象の位置を特定する方法と、電波の受信強度から対象がエリア内に存在するかどうかを検知する方法の2通りの位置特定によって、お客様の課題解決をお手伝いします。今回はNECネッツエスアイの無線LAN位置情報について、その仕組みと導入事例を中心にご紹介します。
普通論文
小俣 仁美・齊藤 裕之・窪田 清仁
役員会議ソリューションConforMeeting/eは、役員会議に必要な要件である「高いセキュリティ」、「会議生産性の向上」、「迅速な経営行動の支援」、「会議コストの削減」を満たし、会議プロセス全体を支援する一貫ソリューションです。
本稿では、NEC情報システムズの役員会議での活用実績もある役員会議ソリューションConforMeeting/eの特長を、機能や会議運営という観点と、高度なコミュニケーション技術という観点から紹介します。
猪狩 綿光・大菅 与志一・尾澤 進・和田 敏之
本稿では、日本版SOX法のIT全般統制でクリアすべき課題とClearSoXit(クリアソキット)による解決方法について説明します。財務報告に影響を与えるアプリケーションシステムに対する作業統制や証跡確保が簡単に行える機能、システム運用業務やSOX法の監査対応を効率的に実施できる機能を紹介します。
また、SOX法の監査対応は、1年で完了するものではなく、監査で指摘されたポイントの改善が必要です。ClearSoXitは、技術面にSOAをベースとした拡張性・柔軟性あるソフトウェアアーキテクチャを採用することで、システムの運用、保守における業務全般の効率化を実現しています。
阿留多伎 明良・菊地 芳秀・江川 尚志・桐葉 佳明・岩田 淳・加納 敏行
インターネットは、私たちの快適な生活と、ユビキタス社会を実現するICT基盤として期待されています。しかしながら、現在のインターネットには様々な脆弱さがあり、次世代ライフライン構築と新規ビジネス創出に向けて、ディペンダブルなICTシステムを構築することが必要不可欠です。本稿 *1 は、ディペンダブルネットワークの基本概念、アーキテクチャと新技術、新規ビジネス創出などについて説明します。情報ネットワークの利活用による新たなサービス展開やビジネス活動にとって、ディペンダビリティは無くてはならないものです。また、ディペンダビリティと利便性に関する社会的なコンセンサスについても言及します。
NEC Information
ニュース
- [展示会報告 TELECOM2006]
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ITU TELECOM WORLD 2006の概要
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NECの出展概要およびテーマステージ
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NECのオープン展示およびクローズド展示
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NECスタンドの映像のiEXPOへの中継
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- NEC ArgentinaがITU TELECOM WORLD 2006に参加