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機械学習とは?なぜ注目されるのか、手法・活用事例まで詳しく解説

企業のDXにおいて、大きなテーマとなっているデータ利活用。なかでも実用化が進むAIは、データから新たな価値を生み出せるのではないかと注目されています。その中核を担うのが「機械学習」であり、様々な領域での活用が始まっています。
今回は、「そもそも機械学習とはどんなもので、なにができるのか、その全体像をつかみたい」といった方に向けて、機械学習の重要性から手法、活用例などを解説します。

機械学習とは

機械学習とは、コンピュータ(機械)が多様なデータから対応パターンとルールを自動で学習する技術です。これらのパターンやルールをもとに、データの分類や予測などを実現します。コンピュータやストレージなどハードウェアの進化・パフォーマンス向上とあわせ、比較的容易に利用できるツールの登場、機械学習の精度向上などもあり、近年、業務で本格的に活用する企業が増えています。

機械学習の重要性

機械学習の活用が進んでいる背景としては、やはり「大量のデータを取得・保存できるようになったこと」が大きいと言えるでしょう。人が手作業で分析するのは難しいほどの大量データでも、機械学習を活用することで、新たな知見を得られる可能性が高まります。

特に、これまでベテランスタッフが「経験と勘」で判断してきたケースにおいて、大きな効果が期待されています。例えば、製造業において、長年の経験・勘から「そろそろ機械が故障しそうだから部品交換などの対処をしよう」と判断するのではなく、センサーで収集した各種データから傾向を導き、故障の予兆を検知できるようになります。

機械学習のポイントは、このように経験と勘に基づいた判断から脱却し、データに基づいた判断(データドリブン)へとシフトできることにあります。人手不足が叫ばれ、長い時間をかけて技術を継承することが難しくなりつつある今、属人性を解消し、生産性向上にもつながると、機械学習の重要性が高まっています。

機械学習の手法

機械学習には様々な手法がありますが、そのうち代表的な3つを紹介します。

教師あり学習

教師となるデータをもとに学習をおこなう手法で、事前に「正解」となるデータを大量に用意し、それをもとに学習モデルを生成します。例えば、過去の売上実績を「正解」データとして、天候などの関連データとともに学習させ、モデルを生成することで、天気予報などを含む予測対象データから売上予測が可能になります。

教師なし学習

教師あり学習に対して、教師となるデータを用いず、対象データを分析してパターンなどを見つけ出す手法です。正解・不正解が明確ではない領域にも適用できることが特長で、データの類似度に基づいたグループ分けなどに活用されます。これにより「商品の購入者を志向にあわせてグループ分けする」といったことが可能になります。

強化学習

対象データをもとに、コンピュータ自身が試行錯誤しながら、精度を高めていく手法です。処理した結果に対する「報酬(スコア)」を設定しておくことで、報酬を最大化するように処理を繰り返し、アルゴリズムの最適化を目指します。例えば、囲碁などのゲームや「ロボットの移動距離を最大化する」などの処理に利用されるほか、自動運転などにも応用されます。

機械学習とディープラーニングの違い

機械学習とあわせてよく聞かれるのが「ディープラーニング」ですが、こちらも機械学習の手法の1つで、人間の脳が持つ神経回路の仕組みを取り入れたニューラルネットワークを用いて、「特徴量」の探索までおこなうことが特長です。特徴量とは対象データの特徴を定量的に表した数値のこと。例えば、機械学習ではネコの画像を識別するために「耳がある」「ヒゲがある」などを特徴量として設計・設定する必要があります。一方、ディープラーニングでは大量のデータから特徴量を自動で探索し、ネコを識別するモデルを生成します。

特徴量設計は難易度が高いため、ディープラーニングのメリットは大きいように思えますが、機械がデータの特徴を判断するため、「なぜ、この特徴量が設定されているか」という根拠がブラックボックスということでもあります。根拠がわからないと、業務では使いづらいケースもあるはずです。業務適用を考えるならば、ある程度、どのデータを根拠に結果を導いたかを示せる機械学習から検討することをお勧めします。

機械学習の活用事例

機械学習は様々な企業で実用化が進んでいます。NECの「ホワイトボックス型AI事例集(※ダウンロードには、My NECの会員登録が必要です)」によると、大手食品メーカーや証券会社などで、なぜその結果となったのか、根拠が示されるホワイトボックス型の機械学習を導入しています。根拠が見えないまま結果だけがわかっても、業務に適用するとなると抵抗があるもの。納得感をもって活用するためにも、ホワイトボックス型機械学習のメリットは大きいと言えるでしょう。

機械学習の課題をクリアし、データのビジネス活用を加速させる「dotData」

様々なツールやソリューションが提供されている機械学習ですが、データさえあればいきなり学習をスタートできるわけではありません。上述のとおり、機械学習でモデル生成するには、まず過去のデータをもとに、仮説を立て、ビジネス洞察に基づいた特徴量を設計する必要があります。この過程にはデータサイエンスなどの専門知識が不可欠で、時間もかかることが課題とされていました。

その解決策となるのがAIソリューション「dotData」です。dotDataは特徴量設計も含めたデータサイエンスのプロセスをすべて自動化。ブラックボックス型のディープラーニングとは異なり、導かれた特徴量も人が理解できる形で明示され、新たな洞察へとつながります。データサイエンスの専門知識が不要になるので、ビジネス部門でのデータ活用を加速することが可能です。

機械学習とひと言に言っても「できること」の幅は広く、手法やツールによって対応可能な範囲、得意とする領域は大きく異なります。データサイエンティストが自らデータを細かくチューニングし、モデルを生成するのか、専門知識がない現場社員でも活用できる環境を整えるのか、などの用途や目的によって、適したツール・ソリューションも変わるでしょう。NECでは、複数のツールを組み合わせた提案・導入も可能。企業ごとの状況や要件にあわせて、最適な環境の実現をサポートします。