Japan
サイト内の現在位置
データ分析ツールとは?導入するメリットや選定時のポイントを解説

近年はビジネスにおいてデータを有効活用することを目指すデータ利活用の考えかたが広がり、多くの企業においてデータ利活用の取り組みが始まっています。データ利活用を効率的に行うためには、目的に合ったツールを導入することが重要です。
本記事ではデータ利活用において重要なデータ分析を行うためのツールについて、導入のメリット、主な機能、選定ポイントについて解説します。また、データ利活用の分野でよく見られるBIツールについても触れていきます。データ分析ツールについて基本的な部分から知りたいかた、今後実務の場でデータ分析ツールを扱うかたの両者に向けた内容ですので、最後までお読みいただけると幸いです。
データ分析ツールとは
まず、データ分析ツールとは何か、概要について解説します。また。BIツールについても紹介します。
データ分析ツールの概要
データ分析ツールとは、大量かつ多様な形式のデータに対して分析を行い、その結果を可視化できるツールです。近年はあらゆる領域でITが進み、製造業であれば生産ラインの稼働状況、小売業であれば購買記録など、さまざまなデータが日々蓄積していきます。また、マーケティングにおいてはSNS上での自社に関するつぶやきや投稿をリアルタイムで集計する必要もあります。
データ分析ツールは、日々発生する大量のデータを効率的に収集し、最小限の労力で分析を行えるため、ビジネスにおいて大いに活躍します。
BIツールとは
データ分析ツールと同じ文脈で、BIツールという用語もよく見られます。BIとは「Business Intelligence」の略称であり、BIツ―ルはビジネスにおける意思決定を行うためのツールです。
企業における意思決定には客観的なデータに基づいた判断材料が必要となりますが、近年はどの業界においてもデータがリアルタイムかつ大量に発生する傾向があるため、効率的にデータ分析を行えるBIツールのニーズが高まっています。
データ分析ツールを導入するメリット
ここでは、データ分析ツールを導入した際のメリットについて紹介します。
作業負荷の軽減
精度の高いデータ分析を行うためには、前提となるデータを多く集めて管理する必要があります。また、データはそのままの形では分析に生かせないことがあるため、分析に適した形式に加工しなければなりません。
これらの膨大な作業を人手で行うのは現実的ではありません。ここで役立つのがデータ分析ツールです。データ分析ツールの多くは、大量のデータを効率よく分析することを前提に設計されています。そのため、データの取り込みや入力を長時間かけて手作業で行う必要はありません。
また、人手でデータ分析を行う場合に比べて、少ない人員でデータの収集から分析まで行えます。データ分析ツールは作業負荷や人件費の軽減にも役立ちます。
高い分析精度
エクセルなどを用いて人手によるデータ分析を行う場合、分析するデータの取り違えや入力ミスといった人的エラーを完全になくすことは難しいと言えます。また、分析に利用するデータや分析結果のバージョン管理も煩雑になってしまいます。
データ分析ツールを活用することで、大量のデータであってもミスなく精度の高い分析を行えます。また、データ分析においてはひとつのデータを複数の観点で分析することが重要ですが、ツールを使えば、設定変更のみで前提を変えた分析を行えます。
たとえば、年度別の売上データを地域別や商品別に確認したい場合、分析ツールがないと、データを再集計する、データの形式を変更するといった作業が発生し、時間と手間がかかってしまいます。しかし、データ分析ツールを導入していれば、簡単な操作で切り口を変えた分析ができます。
意思決定のスピードアップ
データ分析ツールは、意思決定のスピードアップにも貢献します。従来、現場で得られたデータは、エクセルなどでまとめられた上で複数の部署をバケツリレーのように引き継がれ、経営層に報告されるのが一般的でした。しかし、これでは現場の情報が経営層に渡るまでに数週間から数か月のタイムラグが発生し、臨機応変な経営判断ができなくなります。
データ分析ツールを活用すれば、後述するレポーティングやダッシュボードの機能により、意思決定に必要な情報を迅速に提供できます。
データ分析ツールが持つ機能
ここでは、データ分析ツールが持つ代表的な機能について解説します。
レポーティング
データ分析ツールの基本的な機能のひとつがレポーティングです。レポーティングとは、ツールで分析した結果を表やグラフなどでわかりやすく可視化する機能であり、これによってデータ分析の専門家でなくとも分析結果を視覚的に理解できます。
レポーティング機能は、年度別の売上高など一定期間におけるデータ分析結果について説明する場面で便利に活用できます。現場でのデータ分析結果を経営層に報告する際は、わかりやすい形に資料を直す作業に時間を取られがちです。データ分析ツールのレポーティング機能は、組織内部の情報伝達に関わる工数を削減し、本来集中すべき業務に人的リソースを割り当てることにも役立ちます。
ダッシュボード
多くのデータ分析ツールにはダッシュボードという機能も備わっています。ダッシュボードとは、データ分析結果をひとつの画面にまとめて視覚的に表現する機能です。
ダッシュボードには、大きく分けて「探索型」と「説明型」の2種類があります。探索型は日々の売上目標と実績、経営指標などをモニタリングする目的で使われ、説明型はあるメッセージを伝えるための根拠やプレゼンテーションの一部として利用されます。データ分析の現場では探索型のダッシュボードが使われるケースが多いでしょう。
OLAP分析
OLAPとは「Online Analytical Processing」の略称で、日本語に訳すと「オンライン分析処理」です。OLAPではデータベース上に蓄積された大量のデータに対して集計や問合せを行います。
OLAPによって、ユーザーは大量のデータから効率よく必要な情報を手に入れられます。たとえば、大量の商品を扱う小売業において、商品データベースにOLAPが備わっていれば、販売地域、価格、割引率など複数の軸に基づく高速な検索や分析が可能になります。
OLAPには、利用されるデータベースの種類に応じて、MOLAP(多次元OLAP)、ROLAP(リレーショナルOLAP)といった複数のバリエーションがあります。
データマイニング
データマイニングとは、大量のデータに対して統計学やAIなどの技術や手法を活用して分析を行い、何らかの知見を得るための活動のことです。「マイニング」には鉱山での採掘という意味があります。
データマイニングでは、データ同士の関連性及び予想される事象の発生確率を見出すことが目的です。近年はIoT技術などの発達によって、即時に大量のデータを分析するニーズが増加しており、その一環でデータマイニングの事例も増えています。
データマイニングでは、データ同士の関連性や予想される事象の発生確率を見出すことが目的とされることから、特にマーケティング分野での活用が盛んだといえるでしょう。
データマイニングについて詳しく知りたい方は、関連リンクをご覧ください。
関連リンク:
ビジネスに活用できるデータ分析ツールを選定する際のポイント
ここでは、データ分析ツールを導入する際に考慮すべきポイントについて解説します。
自社の目的に合っているか
データ分析ツールの選定にあたって重要なのは、対象のツールが組織の目標やビジネスの方向性にあっているかどうかを確認することです。
データ分析ツールは目的を達成するための手段に過ぎません。ツール導入が目的化しないよう、なぜデータ分析をする必要があるのか、データをどのような目的に役立てたいのかといった根本的な問いへの答えを準備しておく必要があります。
ツール導入の目的が明確になった後は、それぞれのツールで何ができるのか、どのような強みがあるのかを調査し、候補を絞り込むことで自社に合うツールを選びやすくなります。
現場担当者が簡単に操作できるか
データ分析ツール導入時のポイントのひとつは、現場担当者にとっての使いやすさです。
昨今はさまざまなデータ分析ツールが売り出されていますが、中にはプログラミングのスキルを前提とするものや専門知識を要するものが存在します。トップダウンでツールの導入を決めたとしても、現場で使い勝手が悪いとみなされた場合、十分に活用できず無駄なコストに終わってしまうケースもあります。
近年はトライアルが可能なツールも増えているため、一部の部署で試用して使いやすさを確認するのが良いでしょう。また、トライアルを実施することで、全社に展開する前にツール利用時の課題を明確にし、あらかじめマニュアルを整備するといった対応が可能になります。
投資対効果が期待できるか
有償のデータ分析ツールを導入する際には、投資対効果について十分に吟味することが大切です。データ分析ツールの価格は千差万別であり、ライセンス数の考え方も製品ごとに異なります。導入前に十分な調査を行い、各製品の価格体系について理解すると良いでしょう。
開発元のサポートは十分か
データ分析ツールを検討する際は、開発元のサポート体制についても確認することが大切です。
データ分析ツールの中には無償で提供されているものもありますが、不明点や不具合が発生した際のサポート窓口が存在しない可能性があります。また、海外の企業から提供されているツールの場合、日本語でのサポートが提供されないこともあります。
サポート体制が不十分なツールを導入した場合、現場からの問い合わせを社内のIT部門で対応することになり、本来業務効率化のために導入したツールが逆効果になる可能性もあります。
データ分析ツールは一度導入すると長く使っていくことになるため、選定の際には価格や機能だけではなく、サポート体制の充実度も重要な判断基準として考慮すべきです。
データ分析ツールのビジネス活用事例
ここでは、データ分析ツールの活用事例について代表的なものを紹介します。
小売業界での顧客データ分析
小売業界では、普段の店舗運営の中で、商品、購買記録、顧客に関するデータが日々蓄積されていきます。中でも顧客に関する情報は、マーケティング戦略を練る上で特に重要です。
データ分析ツールによって、店舗のPOSデータの収集を効率よく行い、商品の購買記録や当日の天候、交通状況などのデータと組み合わせて分析すれば、今後の新店舗出店や商品ラインナップを検討する際の材料になります。実際、大手の小売企業では日々集積するデータをマーケティング戦略に役立てています。
人事部門における構成比分析
一般的な企業では、人事異動や入社・退職によって部門別の人数比が日々変動しています。特に大企業では多くの人が出入りするため、その変動をエクセルなどで管理するのは難しいでしょう。
人事部門では人的リソースの管理に留まらず、企業全体の生産性を高めるために最適な人員構成比を分析することがあります。ここでデータ分析ツールのダッシュボード機能を使えば、入社年次、役職、保有資格といった多様な観点で分析を進められます。
製造業における生産管理
製造業における生産管理においてもデータ分析ツールが役立ちます。近年はIoT技術の発達により、工場に設置されたセンサーやカメラなどの機器からリアルタイムでデータを収集し、工場の稼働状況の把握や生産管理に役立てることが増えています。
製造業の現場で収集されるデータを効率よく収集・加工し、迅速な分析を行うには、データ分析ツールが欠かせません。特に、工場における予期せぬライン停止は企業の売上や顧客の信頼にも関わるため、設備や機器の不具合をリアルタイムで検知するしくみが必要です。
工場の設備保全の観点でもデータ分析ツールの重要性は高いと言えるでしょう。
まとめ
データ分析ツールは、近年重視されているデータ利活用において、データ分析の作業を効率化し精度の高い分析結果を提供するものです。
データ分析ツールには、分析結果をわかりやすい形で可視化するレポーティングやダッシュボードといった機能があり、企業の意思決定をスピードアップするメリットがあります。
今後データ分析ツールを導入する際には、利用目的を明確にした上で、費用対効果やサポート体制の充実度といった観点でも十分な検討を重ねることが大切です。今回の記事を通じて、データ分析ツールについて知識を深め、ビジネスに役立てていただけると幸いです。