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PLMコラム ~PLM導入の進め方~

<執筆者>
NEC エンタープライズコンサルティング統括部
PLMグループ ディレクター 杢田竜太
2002年より、20年以上に渡って、製造業:特に設計を主体としたエンジニアリングチェーン領域におけるデジタル技術を活用した業務革新(PLM/BOM/コンカレントエンジニアリング/原価企画等)支援に従事。製造業を中心とするお客様に対して、設計開発プロセスにおける業務コンサルティングを手がけている。

執筆者

7.PLMパッケージの選定について

コラム「PLM導入の進め方」シリーズも最終回となりました。
これまで、PLM の定義や歴史から、昨今のPLM 導入プロジェクトにおける目的・効果、進め方と注意点について話を進めてきました。
今回は、PLMパッケージの選定のタイミングや考え方について、説明していきたいと思います。

さて改めて、PLM パッケージはどのように選定すれば良いのでしょうか?
PLM パッケージ導入には相応の費用がかかります。
一度導入すると、数年~十数年は使うといったところから、個人的には、「家を買う」というところまでは行かなくても、「(少し高級な)車を買う」といった感覚に近いような気がしています。
では、車を買う場合、どのようなプロセスで選定していきますか?

人によって異なると思いますが、大体がこのようなプロセスではないかと思います。
 ① どのような車があるのか調査する
 ② 自分に合いそうな車がどれか目算をつける
 ③ 目算をつけた車のディーラーに取い合わせる
 ④ 各ディーラーと購入条件や購入後のサポート内容等を詰める
 ⑤ 自分の要望に一番合った車を購入する

PLMパッケージの選定においても、ほぼ同様のプロセスで選定が進むことが通常です。
勿論、これまでお付き合いのあるディーラーがある場合は、まず、そちらから車を購入することを検討するでしょう。今回は、そういう要件は無視して説明していきますので、自社の状況に応じて読み替えてもらえれば、と思います。
では、それぞれのステップで詳細を見ていきましょう。

① どのようなPLMパッケージがあるのか調査する

まずは何はともあれ、どのようなPLMパッケージがあるのか、調査をする必要がありますね。
弊社も、Obbligatoという約30年に渡って国内で一番ご活用いただいている(※株式会社テクノ・システム・リサーチ「機械系CAD/PLM関連ビジネス市場分析調査」(2024年8月)より)PLMパッケージをご提供しておりますが、それ以外にも国産/外来含めて多数のPLMパッケージが存在します。

今の時代は非常に便利な時代で、PLM パッケージについて解説しているWEBページも多数ありますので、そちらを参考にしてみるのが良いと思います。

PLMパッケージ

その際の注意事項としては、
 ・開発元 と、
 ・代理店(販売代理店、通常システムインテグレーションも担当)については、
分けて理解しておくことです。
特に外来パッケージの場合は、日本における販売代理店がパッケージを紹介していることが通常です。パッケージ自体の開発元がどこなのかは理解しておきましょう。
ちなみに、ObbligatoはNECが開発している国産パッケージになります。

② 自社に合いそうなパッケージがどれか目算をつける

パッケージの特徴は様々ですが、まずは価格帯を確認することが良いと思います。

ベンダーにライセンス体系や事例ベースでの価格帯を問い合わせるのでも良いですし、業界団体や地域で付き合いのある自社に近い業種の他社との交流で確認しても良いでしょう。(他社との交流の場合は、開発元やベンダーの評判なども聞けるので尚良いでしょう。しかし主観的な内容は鵜呑みにしてはいけません。片方からの意見であるからです。あくまで客観的な事実とは分けて参考にするようにしましょう。)

オンプレミス、クラウド(プライベートクラウド、パブリッククラウド)などの提供形態も重要なポイントです。最近では、パブリッククラウドのサービスとして提供されるPLMパッケージも出始めていますし、ライセンス体系もサブスクリプション、それも、1ヶ月いくらという体系から、使った分だけの従量課金という体系まで、様々なパターンがあると聞いています。

もちろん、自社の目的、要件にどれだけ適合しているかの確認も重要です。
ベンダーに問い合わせると「標準機能です」という回答が多いと思いますが、これも鵜呑みにしてはいけません。大抵、要件とは、文章で箇条書きにされたものであり、そのレベルでは完全には伝わらないからです。ベンダーは都合の良い解釈をして、「標準機能です」と回答しますが、実際システム構築を始めてみると、様々な要件が漏れていることがわかってくると思います。

最後に、PLMパッケージ開発元が、そのパッケージや周辺のソフトウェアを含めて、どのような世界観を実現していこうと考えているかの未来像についての確認をお勧めします。
一度導入したシステムは、最低でも5年、長ければ15年以上利用されると思います。
今から15年前といえば、例えば公衆モバイル回線は3Gで、当時発売されたPCのメモリも2GBの時代でした。今後、これ以上のスピードでテクノロジーが進展していく中、開発元が今後に価値提供していく方向性は確認しておいた方が良いでしょう。

③ 目算をつけたパッケージの代理店/開発元に取い合わせる

ある程度の調査が完了したら、目算をつけたパッケージの代理店/開発元に取い合わせましょう。
しかし、手ぶらで問い合わせても得るものは少ないです。
車を買う際と同じで、何を知りたいのか、何に答えて欲しいのか、が明確でないと、相手側も上手い答えを返すことができません。

そのために重要なのは、自社内での検討を進めておくことです。
前回、一般的なPLM導入のステップについて説明しましたが、最初のステップのPJ体制構築あたり、あるいは改革構想企画あたりでRFI(Request For Information)として、目算をつけたベンダーに情報提供依頼をするのが良いと思います。
あるいは、改革構想企画か、新業務設計後の報告書を再整理し、RFP(Request For Proposal)としてベンダーから提案依頼を受けるのが良いと思います。

図9:PLM導入の標準的なステップzoom拡大して大きくする
図9:PLM導入の標準的なステップ

NECのPLMコンサルティング・サービスでは、自社パッケージであるObbligatoを前提としてこれらのPJ体制構築~改革構想企画~新業務設計をご支援することもありますが、パッケージフリーで、RFIやRFP作成をご支援することも多々あります。
私のご支援した経験では、RFIを出すと、ベンダーによって様々な反応があります。まず、しっかりと返答してくるベンダーもありますし、この段階で回答を辞退してくるベンダーもいます。
例えば自動車ディーラーでも自社都合で「高級セダンをたくさん売れ!」と指示がかかっていれば高級セダンのお客様には手厚い回答をし、軽自動車の問い合わせには軽い対応しかしないと思います。同様に、ソフトウェアパッケージでもベンダーにはベンダーの都合がありますので、一度正式文書としてRFIを発行されてはいかがでしょうか?

④ 各代理店/開発元と購入条件や購入後のサポート内容等を詰める

さて、改革構想企画の報告書でRFPを出すのと、新業務設計の報告書でRFPを出すのとでは、ベンダーも受け取り方が異なります。
前者は、ベンダーの提案の実力を図れるメリットがありますが、提案内容の実現性や費用については非常に曖昧な回答しか得られないでしょう。
一方後者は、RFPで業務要件も提示するわけですから、提案内容の実現性や費用についてはそれなりの精度の提案がされると思います。

パッケージそのものの機能や価格、サポート内容だけではなく、システムインテグレーション力も確認すべき重要な事項です。
その業界の業務知識から機能適合の考え方や、周辺のシステムとの連携について、データ移行の考え方やシステム移行・業務移行についてなど多種多様な力量について確認すべきと思います。

また、昔であれば、自社要件を決めて、その要件にあうようにスクラッチでシステムを構築する、あるいは要件にあうパッケージを適用するという流れが通常でしたが、昨今は「自社のTOBE(あるべき姿)は、パッケージ機能に合わせたい」というお客さまが増えてきました。
しかし、これは思考停止に陥っているのではないでしょうか。
まずあるのは「自社のPLM導入の目的と要求事項」です。それがあって初めて「システム機能についてはパッケージに合わせる」という方針が出てきます。
「自社の要求事項」はしっかりと定義し、「それに合ったパッケージを選定する」この流れを忘れてはいけないと思います。

⑤ 自分の要望に一番合ったパッケージを購入する

ということで、自社の要望に一番あったパッケージを選定・購入できるよう推進して頂ければ幸いです。
しかし、この後は、これまで比較してきた「車の購入」とは、全く異なる話となります。
「自動車」はこの後納入されて、その後はすぐに利用が可能となります。
一方で「PLMパッケージ」は、この後システムインテグレーションが始まり、詳細機能要件や非機能要件、データ移行方針等を詰めていき、数ヶ月から、時には1年以上のプロジェクトが続き、やっと使える状態になります。
こんなはずじゃなかった、という事の無いように、しっかりとパッケージを選定してください。
宣伝になりますが、弊社にお問い合わせいただければ、パッケージ選定のためのご支援をご提案させていただくことも可能です。

8.終わりに

全6回(8章)に分けて、「PLM導入の進め方」というテーマで連載を続けてきましたが、いかがでしたでしょうか?
本シリーズでは、プロジェクト推進における進め方や目的/効果、注意点など、大枠について説明してきました。
疑問やご質問があれば、本ホームページ下の「お問合せ」リンクから、お気軽に問合せていただければ、幸いです。

次回公開は新年度になりますね。
2025年度の開始は、テーマを「BOM」に変えて、コラムを進めていきたいと思います。
改めて「BOM」とは何か?から解説していきますので、エンジニアリングチェーン改革を推進されている方々、あるいはこれから進めようと考えておられる方々にとって、わかったつもりであった「BOM」について改めて考えてみる一助になれば幸いです。

コラムテーマ

BOM連載
BOP連載
品番連載
BOM-Tips
PLM業種別課題解決
技術/設計開発AI活用
グローバルテクノロジーマネジメント

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