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チェーン店とはどういう意味?フランチャイズとの違いも簡単にわかりやすく解説
さまざまな飲食店が、ビジネス拡大の手段としてチェーン店やフランチャイズ店を活用しています。多店舗展開に興味があっても、「チェーン店」と「フランチャイズ」の違いを正確にご存じでない方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、チェーン店の意味や種類を紹介するとともに、直営チェーンとフランチャイズチェーンとの違いを解説します。また、直営チェーンとフランチャイズチェーンのメリット・デメリットについて、経営者側(本部)の視点でまとめました。
本記事の最後には、多店舗展開におすすめのシステム「NECモバイルPOS」を詳しく紹介します。店舗数の拡大を検討している飲食店オーナーは、ぜひ最後までご覧ください。
チェーン店とは?簡単にわかりやすく解説
チェーン店(チェーンストア)とは、簡単にまとめると、同じタイプの店舗を複数出店することです。
具体的には、「チェーンストア理論」に基づいて、販売商品や販売価格、外観などのブランドを標準化し、多店舗展開する経営スタイルを指します。1店舗目の成功例を2店舗目以降でも再現し、スムーズに販路を拡大できるのが魅力です。
チェーンストアは米欧で先に発達し、日本においては1910年代に商店経営コンサルタント団体の「ペガサスクラブ」が紹介して以来、1970年代にかけて採用する飲食店が増えていきました。
なお、他メディアでは「チェーンストアを経営理論、チェーン店を店舗」の意味で分ける場合もありますが、本記事では同じ意味で使用します。
参考元:戦前前期日本におけるチェーンストアの初期的発展と限界|慶應義塾大学学塾情報リポジトリ
参考元:日本における総合スーパーの史的変遷とGMS 概念の再解釈
チェーン店(チェーンストア)の種類
チェーン店は経営スタイルや資本方法の違いにより、大きく3種類に分けられます。チェーン店の種類は以下のとおりです。
- 直営チェーン
- フランチャイズチェーン
- プロダクト・フランチャイズ
- ビジネス・フォーマット・フランチャイズ
- ボランタリーチェーン
以下では、それぞれの定義と有名チェーン店の例を紹介します。
直営チェーン
直営チェーンとは本部が直接資本を出して出店する経営スタイルのことで、レギュラーチェーンや直営店とも呼ばれます。簡単にいうと、本部が同一ブランドのチェーン店を複数経営することです。直営チェーンの成功例としては、「スターバックスコーヒー」が有名です。
直営チェーンの経営スタイルは、以下のように「本部と各チェーン店の分業オペレーション」を採用しています。
- 各直営チェーン店:販売オペレーションのみ
- 本部:仕入れや企画、販売戦略策定など経営判断にかかわる業務に集中
分業により、各直営チェーン店は販売サービスの質向上、本部は高度な経営判断が可能となり、組織全体の業務効率や利益の向上が期待されます。
直営チェーンは高品質なサービスを維持しつつ、販路を着実に拡大したい場合におすすめです。
フランチャイズチェーン
フランチャイズチェーンとは、フランチャイズ契約を締結した加盟店に対し、ロイヤリティを負担してもらう代わりに、本部の商品の使用・販売権や経営ノウハウを提供する経営スタイルのことです。大手コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」や、喫茶店チェーンの「コメダ珈琲」が身近な例です。
以下では、2種類のフランチャイズチェーンを紹介します。
プロダクト・フランチャイズ
プロダクト・フランチャイズとは、本部の商標と商品を加盟店に提供する経営スタイルを指します。特徴は、以下のように加盟店が店舗運営の裁量権を持ち、運営の自由度が高いことです。
- 各加盟店:独自で商品仕入れ・販売や販路開拓など店舗運営全般を行う
- 本部:商品提供、開業~運営をサポート
外装や販売方法の制限が緩い分、幅広い事業者と契約できるのがメリットです。たとえば、パーソナルジムの「ELEMENT」では、整骨院との契約も可能にし、新しい顧客層の獲得を目指しています。
プロダクト・フランチャイズは、顧客へのリーチを拡大したい場合に最適です。
参考元: フランチャイズ募集|パーソナルジムELEMENT
ビジネス・フォーマット・フランチャイズ
ビジネス・フォーマット・フランチャイズとは、店舗開業から運営までに必要なノウハウマニュアルをひと通り提供する経営スタイルです。以下が、加盟店と本部の関係性です。
- 各加盟店:事業者で店舗選定後、マニュアル通りに店舗運営を行う
- 本部:商品の使用権や従業員教育ノウハウなどのマニュアル提供、運営をサポート
マニュアルが完備されていることから事業未経験者でも容易に開業が可能です。そのため、より多くの事業者と契約でき、販路をスピーディーに拡大できるメリットがあります。大手掃除事業業者の「ダスキン」のように、全国的にチェーン店を展開したい場合に適しています。
参考元:サービスマスター事業-FC加盟について | ダスキンケアサービス事業 フランチャイズ加盟店募集 | 株式会社ダスキン
ボランタリーチェーン
ボランタリーチェーンとは、独立した飲食店間の協同出資で一つの本部をつくり、チェーン店の仕組みを構築する経営スタイルのことです。加盟店それぞれが独自に経営を行うのが特徴です。
- 各加盟店:独自経営、加盟店間でノウハウ共有
- 本部:大量仕入れによる商品の安定支給、POSシステム構築などの事業化支援
ボランタリーチェーンを形成することで、個人店では難しい大量仕入れが可能となり、加盟店全体の利益向上が期待できます。「全日食チェーン」のように、地域の中小飲食店で協力体制を構築し、大手飲食店に対する競争力を強化できます。
参考元: 全日食チェーンの歴史 | 全日本食品株式会社(全日食チェーン)
直営チェーンとフランチャイズチェーンの違い
直営チェーン店とフランチャイズチェーンの違いは、以下のとおりです。
チェーン店の種類 | 直営チェーン | フランチャイズチェーン |
所有権と経営 | 本部が所有権を有し直接経営する | 本部から独立した事業者が所有権を持ち経営する |
リスクと利益 | 本部が全リスク負担・全利益取得 | フランチャイズ店とリスクと利益を分ける |
運営の自由度 | 低い | 比較的高い |
ブランドの統一性 | 比較的厳格 | 緩い |
以下では、それぞれの違いを詳しく紹介します。
所有権と経営の違い
直営チェーンは本部となる一企業が所有権を有し、直接経営します。直営チェーンは本部が各チェーン店の従業員採用や売上管理など、直接経営を管理するのが特徴です。
一方でフランチャイズは独立した事業者が所有権を持ち、事業者主体で各チェーン店を経営します。各事業者は、本部の商号や商標、チェーン名の所有権を得ることが可能です。また各チェーン店の経営に関しては、本部はPOSシステム提供などの経営支援のみで、各事業者が採用業務などの経営業務を行います。
リスクと利益の分担
直営チェーンは本部が経営を管理する仕組みのため、本部がすべてのリスクを負担し、かつ全利益を得ます。各チェーン店の経営上でリスクが生じた場合には、本部の責任となります。責任領域が広い一方で、全チェーン店の売上から諸費用を引いたものを本部の利益として得ることが可能です。
一方でフランチャイズは加盟店が主体となり運営を行うため、経営に関するリスクと利益どちらも加盟店との間で共有します。フランチャイズは直営チェーンに比べて本部が得られる利益が少ないため、経営指導の回数や仕組みを見直すなど人材コスト削減の工夫が必要です。
運営の自由度
直営チェーンは本部の指示通りに運営する経営スタイルのため、各チェーン店における運営の自由度は高くありません。各チェーン店の運営を制限できるのは、ブランディングを強化したい飲食店にとってメリットです。
一方でフランチャイズも直営チェーンと同様に本部の指導下で経営されますが、本部からの運営指示は少なくなる傾向にあります。そのため各チェーン店の方法で運営が可能で、加盟店は比較的自由な運営が可能です。加盟店が別事業で培った販売方法や人材教育方針で運営できるため、本部に十分なノウハウがない場合にもチェーン展開を成功に導けます。
ブランド統一性
直営チェーン店は自社の認知度向上のために、フランチャイズチェーンと比べてより厳密にブランドの統一性を求める傾向にあります。自社認知を高め、集客や販売促進を容易にし、全社の売上向上を目指すためです。
一方でフランチャイズチェーンは、独自商品の販売を認めるなど、ブランド統一に対して比較的寛容です。そのため各チェーン店の独自性を取り入れることが可能で、個性的なサービス提供につながります。
直営チェーンのメリットとデメリット
直営チェーンのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
直営チェーンのメリット | 直営チェーンのデメリット |
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以下では、それぞれを詳しく紹介します。
直営チェーンのメリット
直営チェーンは本部が各チェーン店の経営を直接指導するからこそ、運営コスト面や業務効率面で得られるメリットが多くあります。以下では、直営チェーン展開のメリットを3つ紹介します。
本部から統制を効かせられてブランドの統一が図れる
直営チェーン経営は、本部が全店舗を統制する仕組みであるため、本部ブランドの統一化が容易です。
たとえば、有名コーヒーチェーンのスターバックスコーヒーは、本部による徹底したミッション共有により、日本全国に1,700店舗近くあるにもかかわらず、どの店舗でもホスピタリティの高い接客と高品質な商品提供を可能にしています。
直営チェーンは、このスターバックスコーヒーのように各チェーン店の個性よりもブランディングを重視し、唯一無二の企業として確立することができます。
参考元:スターバックスの「自主性を引き出す」人材マネジメントとは | 『日本の人事部』
仕入れコストが抑えられる
直営チェーン展開の方法によっては、仕入れコストを抑えること可能です。その展開方法とは「ドミナント戦略」と呼ばれる方法で、特定地域にチェーン店を集中させるのが特徴です。ドミナント戦略の採用により、複数のチェーン店へ商品を迅速に配送でき、仕入れにかかる配送コスト削減につながります。
法人向けの配送費は、ガゾリン価格の高騰などからも今後も増加することが予想されます。本部の収益率を上げるうえでは、仕入れコストを最適化しやすい直営チェーン展開がおすすめです。
運営コストが抑えられる
直営チェーンを運営する場合には、経営の一環として本部が各チェーン店の設備や人材制度を管理できます。たとえば、低コストで運用できるサブスク型POSシステムの導入や、無料求人サイトでの求人広告など、運営コストを抑えられる方法を積極的に採用することが可能です。そのため本部が設備投資などを見誤らなければ、運営コストを大幅に抑えられます。
加えて、フランチャイズチェーンにありがちな赤字経営のチェーン店を抱えるリスク回避も可能です。
POSデータの活用効果が大きくなる
POSデータの活用効果を向上できることは、直営チェーン展開の大きなメリットです。本部を含む全チェーンで同じPOSシステムを導入することで、顧客の購買データの大量取得や、全店舗商品のスムーズな登録変更が可能になります。
実際に「株式会社アトリエはるか」では、 NECが提供するサブスク型POSシステム「NECモバイルPOS」を導入し、商品や備品の受発注ミスの削減や人材配置の最適化など、さまざまな効果を得られました。
直営チェーンであれば、POSデータをマーケティングや管理業務へ積極的に活用でき、戦略的かつ効率的な運営が可能です。
参考元:株式会社アトリエはるか様: NECモバイルPOS - タブレット(iPad)対応クラウド型POSレジシステム | NEC
直営チェーンのデメリット
直営チェーンの本部は各チェーン店の経営にも携わることから、運営規制や出店立地、人件費に注意が必要です。
以下では、直営チェーンを出店する3つのデメリットと、それぞれのデメリットをなくすための対策を紹介します。
本部の規制が厳しく自由度が低い
直営チェーンでは、本部が各チェーン店の経営・運営方針を決めます。たとえば、仕入れ先からサービスの提供方法、クレーム対策法まで、運営に関してあらゆる規制を設けます。運営上での自由度が低いことから、途中解約を選択するオーナーも珍しくありません。
ただし規制が緩いと、チェーン店の不祥事や赤字経営などの経営リスクが高まります。本部だけではなく各チェーン店を守る意味でも、規制内容について理解してもらえる体制構築が重要です。
同ブランドチェーン店で顧客の奪い合いが起こる可能性がある
直営チェーンはすべてのチェーン店で同じ商品を提供するため差別化が難しく、同じブランドチェーン店間で顧客の奪い合いになる可能性があります。特にドミナント戦略により、特定地域に集中して展開する場合には、奪い合いになる傾向が高くなります。
顧客を各チェーン店へ分散させるためには、出店前の立地調査が重要です。人や車の流れを考慮し、適切な距離を維持しながら出店数を増やしましょう。
出店に多額の設備投資・人材の採用や教育コストがかかる
直営チェーンの本部は、1店舗増やすごとに数百万円単位の設備投資が必要です。加えて、従業員の採用コストや教育コストもかかるため、運営するチェーン店が増えるほど、人件費の負担が大きくなります。
ただし設備のなかには、国や自治体の補助金の適用できるものもあり、設備費用を抑えることが可能です。たとえば、店舗運営に欠かせないPOSシステムは、IT導入補助金を活用して導入できる場合があります。直営チェーン開業のコストを少しでも抑えるためにも、設備の補助金を活用しましょう。
フランチャイズチェーンのメリットとデメリット
続いて、フランチャイズチェーンのメリットとデメリットについて、以下の内容を紹介します。
フランチャイズチェーンのメリット | フランチャイズチェーンのデメリット |
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それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。
フランチャイズチェーンのメリット
まずは、フランチャイズチェーンのメリットを2つ紹介します。フランチャイズチェーンでは、加盟店に出店資金や人材調達を任せられるため、開業コストや店舗展開でメリットがあります。
店舗出店の費用は加盟店持ちになる
フランチャイズチェーンでは、出店に必要な費用は基本的に加盟店持ちになります。たとえば内外装費や店舗取得費など、およそ300~5,000万円の費用を加盟店負担になり、本部は直営チェーン展開に比べて初期費用を大きく抑えられます。出店費用を抑えられる分、設備投資などでチェーン店に還元することも可能です。
開業資金が少ない場合にも、自社のチェーン店を気軽に増やせます。低コストでチェーン店拡大ができるのは、中小規模の飲食店にとって大きなメリットといえるでしょう。
出店スピードが早く迅速な店舗展開ができる
フランチャイズチェーンでは、加盟店が開店に必要な資金調達のほかに、従業員や各チェーン店の人材採用も行います。本部は開業に必要な手間とコストをかけずに済むため、出店スピードを早めることが可能です。
チェーン展開で障壁となるのが、コストと人材です。中小規模の飲食店の場合には、十分な開業費用が集まらないうえに、知名度が特定地域に限定され人材採用に苦労し、チェーン展開が迅速にできません。
スピーディーにチェーン店の規模を拡大させるなら、フランチャイズチェーンが適しています。
フランチャイズチェーンのデメリット
フランチャイズを展開していくと、しばしば問題として挙がるのが「ロイヤリティ負担」と「ブランド毀損」です。
以下では、フランチャイズチェーンのデメリットと、それぞれのデメリットをなくすための対策を紹介します。
売上が上がらないとロイヤリティの負担が大きく不満が出やすい
加盟店の売上不振が続くと、ロイヤリティの負担が大きくなり、不満につながるケースが見られます。2019年に経済産業省が実施したオーナーアンケート調査では、以下のようにロイヤリティの負担率の改善を求める内容がありました。
- ロイヤリティをもう少し軽減してもらいたい
- 赤字店舗があるなかでロイヤリティを5%以上減らすと、人件費上がった分に回せる
参考元:オーナーヒアリング調査の概要|経済産業省
高額なロイヤリティは、フランチャイズ加盟店の中途解約を促します。閑散期にはロイヤリティの負担割合を下げるなど、チェーン店の売上に合わせて柔軟に設定しましょう。
フランチャイス店舗の評判がブランドを毀損するリスクがある
フランチャイズ展開を進める際には、フランチャイズ店舗の評判が本部ブランドを毀損するリスクに注意しましょう。
フランチャイズ店のアルバイトスタッフが、稼働中や休憩時間などに不適切な動画を撮影し、SNSで拡散され大きな問題となる事件はいくつも発生しています。
ブランドの評判は一度下がると、回復までに時間を要します。フランチャイズ展開の影響でブランドイメージを低下させないためにも、契約違反時のペナルティや守秘義務の項目を行政書士などの専門家に相談しましょう。
チェーン店しっかり理解して、多店舗展開に役立てましょう(まとめ)
多店舗展開を実行するうえでは、チェーン店の仕組みやメリット・デメリットをしっかり理解することが重要です。飲食店が直営チェーンを展開することで、POSデータの活用効果が見込めたり、運営コストを抑えられたりとさまざまなメリットを得られます。
多店舗展開を目指すチェーン店がPOSを導入するなら、 NECが提供するサブスクリプション型POSシステム 「NECモバイルPOS」がおすすめです。NECモバイルPOSの魅力は、他社サービスの販売管理システムや予約管理との連携機能が充実していることです。スムーズに本部の既存システムと連携し、チェーン店の展開から経営管理まで効率的な多店舗展開をサポートします。
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