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世界レベルのパラスイマーと「共に働く」 NECグループが支え支えられて気づいたもの
スポーツから勇気や希望、感動をもらう経験は誰しもあるはず。その影にはアスリートのたゆまぬ努力があります。世界のパラ水泳で勝ち抜くために厳しい練習を重ねる一方で、他の社員と一緒に日常の業務にも従事している2人のパラスイマーがNECグループにいます。2人の努力と成長は、共に働く仲間に少しずつ、でも確かな変化をもたらし始めています。
プロ契約ではなく「社員」 理由は一つだけじゃない
朝のプールに響くのはパラスイマー2人の息遣いとコーチの声。NECライベックスが経営するNECグリーンスイミングクラブ溝の口で3時間近く、限界まで泳ぎこむ2人の姿がありました。
村上舜也(しゅんや)と松田天空(あんく)。
2人はパラ水泳知的障がいクラスの選手で、日本代表として数々の世界大会に出場。松田はバタフライで世界記録を更新したこともあります。朝のトレーニングを終えた2人が向かう職場はNECの特例子会社「NECフレンドリースタフ」。「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指す」をPurpose(存在意義)に掲げるNECグループの一員として、障がい者を中心に雇用しています。
職場ではアスリートの顔から一変、村上は清掃や敷地内の剪定に従事し、松田は持ち前のクリエイティブセンスを活かして、広報活動などにおけるデザイン業務を担当します。
「働くようになって2人は人間的に成長した」と話すのはNECグリーンスイミングクラブでコーチを務める河合大輔。もともとマイペースだった松田はコミュニケーションへの苦手意識が薄れ、かつては応援をプレッシャーに感じがちだった村上は、同僚と触れ合うことで、応援を力に変えることができるようになり、結果にもつながってきました。
NECにはバレーボールとラグビーの企業チームがありますが、NECフレンドリースタフがパラ水泳の選手を雇用するのは初めて。プロアスリート契約を結び企業に所属しながら業務には従事しないスタイルもある中、社員選手という形をとったのは、安心して競技できる待遇を提供するだけにとどまらない、大きな理由がありました。
「アスリート活動も仕事も妥協なし」 同僚に気づきと刺激
「日本の代表として世界で戦う選手が、自分たちと一緒に働く仲間であるということが重要です」。NECフレンドリースタフ社長の西村洋はこう語ります。「2人のひた向きな姿勢と活躍は、大いに刺激となり、社員たちに今までにない輝きをもたらしています」と力を込め、こう続けます。「それがNECグループで働くことの誇りにもつながっているんです」。
2人の変化は、身近な同僚に影響を与えています。
入社当初は、慣れない掃除用具の扱いに戸惑っていた村上。早朝の練習で疲れを隠せない時もありました。村上のグループをとりまとめる指導員の社員は「それでもいつだって一生懸命にやる。そういう姿がメンバーに良い影響を与え、村上という存在が大きくなってきました」と話します。松田と一緒に広報業務を担当する同僚も「クリエイティブセンスを発揮してくれるのはもちろん、水泳も仕事もこだわりをもって成果をだしながら両立するために妥協しない」という松田の姿勢が「間違いなく周囲への刺激になっています」と語ります。「新しいことに挑戦したくなった」「自分も頑張ろうと思う」。他の同僚からもこんな声が続々寄せられています。
そんな職場の仲間が世界で戦っている。2024年は特にそのことを実感する年でもありました。
NECグループ一体で応援 「社員へのインスパイア」
2024年6月、世界を舞台に活躍するNECグループ所属のアスリートにエールを送るイベントがグループ社員向けに開かれました。ほとんどの社員にとっては終業後の時間帯にもかかわらず、現地とオンライン合わせて2500人以上が参加。この日は村上がステージに上がって「皆様の期待に応えられるよう頑張ります」とあいさつし、大きな拍手が沸き起こりました。
NECフレンドリースタフ社員からも多くの社員が集まり、村上を取り囲んだり、写真を撮ったり大いに盛り上がりました。「今日のことを家族に話したい」「村上選手と写真が撮れた」と喜ぶ様子は、これまでにない盛り上がりだったといいます。松田は11月に開かれた日本社会人選手権の男子200メートルバタフライで障がいのない選手と競って8位入賞の快挙。インクルージョン&ダイバーシティを体現する活躍が、同僚たちを勇気づけました。
2人がアスリート活動を続けるために練習や大会に合わせた「世界レベルのサポート体制」(河合コーチ)とも言われる会社としての支援、逆に「世界レベルのアスリートたちの努力が必ず社員にインスパイアするものがある」(西村社長)という2人がいることで生まれる変化──。世界で戦うアスリートを支援し、多様な個性や能力を受け入れることが、真のグローバル企業への変革につながる。社員一人一人の心に芽生えた志が、その原動力となっていきます。