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6月は地球環境に想いをめぐらせる環境月間です。化石燃料からの移行や再生可能エネルギー発電の拡大など、「脱炭素化」の流れは世界の大きなうねりとなっています。NECが掲げるNEC 2030VISIONでも「環境」を主要な柱の一つとし、「地球と共生して未来を守る」ことを目指しています。2024年に125周年を迎えるNECが歩んできた歴史は、世界の環境問題を抜きに語ることはできません。ビジネスとして、企業文化として、NECの環境への取り組みを振り返ると、今も昔も変わらず大切にしてきたものが見えてきます。
NECが開発した廃水処理の技術、社外の施設へ活用
2023年冬にアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開かれた「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」にはNECからも出展。社長兼CEOの森田隆之もパネルディスカッションに参加し、NECの環境問題への取り組みを世界に印象付けました。
NECがこの領域で存在感を見せ始めたのは半世紀以上前のことです。
環境問題に日本の企業も本格的に取り組み始めたのは高度成長時代。産業発展にともなう公害が深刻な国際問題となっていました。
NECは1970年(昭和45年)に公害防止のための専門組織を設置し、1972年から社内メッキ工場の無排水システム開発のプロジェクトチームを全社規模で発足。完全クローズドシステムの処理施設を完成させました。また、中央研究所は通信機の材料として必要な「フェライト」の製造過程で出てくる廃水の処理技術を開発し、環境への影響を抑えることに成功しました。このフェライト法による廃水処理システムは、大学、官公庁などの研究機関など20施設に設置されることになります。

(1973年、静岡日本電気〈現 NECプラットフォームズ 掛川事業所〉)
施設管理や新しい技術で環境問題に貢献する取り組みは、今もNECに受け継がれています。
ISO認証取得、そして新たな素材開発も
1980年代以降、環境への取り組みは、公害防止から環境保全、環境マネジメントへと軸足を移していきます。NECでも1985年から廃棄物ゼロ運動や環境向上月間など、会社としての環境保全活動に力を入れていきました。
1990年代になると、企業活動や製品、サービスなどが環境に与える負荷をできるだけ小さくすることを目的とした国際規格「ISO14000シリーズ」(環境ISO)が定められました。NECではISO認証取得を全社的な課題として取り組み、1998年3月までに、国内すべての関係会社が認証取得を完了。NECグループ全体としての姿勢を明確に打ち出しています。
環境負荷軽減のための研究開発も進められました。2003年にはトウモロコシやケナフなどを原材料としたバイオプラスチックを開発。従来のバイオプラに比べて耐熱性と強度に優れているため、携帯電話など電子機器などにも使われました。バイオプラはその後も研究開発が続き、優れた耐久性と美しさを兼ね備えたバイオ素材 NeCycle®(ニューサイクル)も注目を集めています。

テクノロジー、戦略、企業文化としての環境経営
研究開発やビジネスはもちろんのこと、2000年代前後からは社員参加型のシチズンシップ(企業市民活動)でも、環境教育や自然保護など活動の幅を世界に広げてきました。
その代表例の一つが2024年に活動20周年を迎えた「NEC田んぼ作りプロジェクト」。社員が稲作からお酒造りまでを体験する環境教育として始まったプロジェクトは、生態系保全のために技術の実証実験も行うなど取り組みは広がっています。このプロジェクトのフィールドは、多様な生物をモニタリングする環境省の「モニタリングサイト1000」にも認定されました。

21世紀以降、「持続可能な社会」に企業がどう貢献するかが問われるようになっています。NECは国際的な動きに呼応しながら中期的なNEC環境経営のありかたをまとめ、発展させ続けます。最近では2030年、2040年とターゲットを定め、CO2排出量を削減する活動を加速させ、環境課題解決に向けた新たな事業の展開にも力を入れています。こうした事業による社会課題解決への貢献に加え、企業と社会のサステナブルな成長を支える非財務基盤の強化や、人的資本経営の観点からもESG経営を推進しています。
こうした取り組みの根底にあるのは、「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します」とうたうNECのPurpose(存在意義)です。地球と共生して未来を守るために、NECができること。脱炭素社会の実現に向けた「戦略・事業」と、社員一人一人の志と取り組みによる「人・文化」の両輪で、NECは環境問題に取り組んでいきます。