Japan
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日本電気株式会社
“純国産“ならではの安全・安心な基盤を提供し
NEC開発の生成AI 「cotomi」のクラウド運用リスクを大幅減
- 業種:
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- 情報サービス業
- 業務:
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- ICT管理・運用
- 設計・開発・製造
- 経営企画
- 設備保全
- ソリューション・サービス:
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- AI・ビッグデータ
- クラウド
- セキュリティ/セーフティ
事例の概要
課題背景
- NECでは、Large Language Model(大規模言語モデル、以下LLM)の導入から運用までサポートするワンストップサービスを開発し、企業や団体の“LLM業務活用”を全面的に支援する
- 高い日本語性能を持つLLM「cotomi」を開発、商用化。オンプレミス型やクラウド型ハイブリッド型など、お客さまの求めるセキュリティ要件に応じたユースケースに合わせ複数の選択肢を用意
- お客さまデータを利用した運用や追加学習の際は、機密性の高いデータ投入が頻繁に起きるため、ロケーション不明のパブリッククラウドサービスの利用を危惧する声が存在する
成果
「NEC Cloud Storage (St)」をクラウド基盤に採用し、安全性を確保
国内にデータセンターを持つ純国産クラウドストレージ「NEC Cloud Storage (St)」をクラウド基盤に採用。国内ITベンダーならではのガバナンスの効いた運営体制で、安全・安心を確保
パブリッククラウドとの高速/閉域接続が可能な接続拠点を活用し、拡張性/自由度の高い基盤環境を提供
「NEC Cloud Storage (St)」基盤が設置されるNEC印西データセンターは、パブリッククラウドとの高速/閉域接続が可能な接続拠点を設けている。お客さまがパブリッククラウドとの併用(マルチクラウド)を希望した際に、即座に併用環境の調達が可能となる
お客さまに広くご利用いただける“売れ筋の組み合わせ”を実現
お客さま事業を実現・維持・拡大するにあたり、様々なITサービスの選択肢がある中でも「cotomi」と「NEC Cloud Storage (St)」の組み合わせは、想定・実績のある利用事例も多く、市場投入後も、広くご利用いただける“売れ筋”となる可能性が高い
導入ソリューション
「cotomi」と「cotomi」を活用するためのNEC Generative AI Frameworkを、日本国内のNEC印西データセンター内で展開するクラウドストレージ「NEC Cloud Storage (St)」上で提供。チューニング機能や、機密性の高いデータを格納するためのデータベースも同サービス上で提供することで、お客さまが安全・安心に「cotomi」をクラウド活用できる環境を整えた。
事例の詳細
導入前の背景や課題
追加学習における“機密性の高いデータ”の投入が情報漏洩のリスクに
昨今、生成AIの開発や活用が急速に進んでいます。企業や公共機関においても、さまざまなLLM(大規模言語モデル、以下LLM)を活用した業務改革の検証・導入が進められ、今後もその需要は大幅に増えると予想されます。
NECでは、国内外の研究所、研究チームが参加する生成AI専門組織「NEC Generative AI Hub」を結成。お客さまと連携し、生成AIの業務活用への有用性を検証する一方で、LLMの導入から運用までワンストップで対応する各種サービスをご用意し、LLMの業務活用を全面的にサポートしています。
特に注力しているのが、NECが開発した生成AI「cotomi」の商用化です。「cotomi」は世界トップクラスの日本語処理能力を有する国産LLM。高速レスポンスを特徴としているほか、お客さまのデータを用いて業務に特化させる追加学習においても、低コストかつ迅速に目的に沿ったモデルを構築できる利点があります。
さらに、「お客さまのセキュリティポリシーに合わせて、自由に利用形態を選んでいただける点も大きな強み」だと、NEC Generative AI Hub Chief Navigatorの千葉雄樹は以下のように説明します。
「『cotomi』の追加学習では、どうしても機密性の高いデータを投入する場面が発生します。一方、お客さまの求めるセキュリティ要件は、扱うデータや会社の方針により大きく変わります。そこでNECでは、よりセキュアな環境で動かせるオンプレ型や、運用負担の少ないクラウド上での提供など、さまざまな選択肢をご用意し、その中でお客さまにとって最適な組み合わせを選んでいただける仕組みづくりに注力しています」。
ここで課題となるのが、「cotomi」をクラウド運用する場合のセキュリティの確保です。機密性の高いデータを、越境運用の可能性があるパブリッククラウドサービス上に置くことを、リスクと捉えるお客さまがいます。
そこで「NEC Generative AI Hub」では、「cotomi」をクラウド上でご利用いただくための基盤の選定を開始。社内外のサービスを精査した結果、当社が展開するクラウドストレージ「NEC Cloud Storage (St)」を採用しました。
選択のポイント
“純国産クラウド”だからこそ得られる安全・安心
「NEC Cloud Storage (St)」は、主に日本国内の利用者向けに展開する純国産サービス。預かったデータはすべてNEC印西データセンター(千葉県印西市)にて管理されます。同サービスを選んだ理由として千葉は、「純国産ならではの安全・安心な利用環境への期待」を挙げます。
「セキュリティに関して強く意識した場合、オンプレミス型は有力な選択肢になりますが、新たな自社システムの構築コストや管理負担が増えることをデメリットと捉える場合もあり得ます。一方、一般的なパブリッククラウドについては、導入コストや管理負担は減らせるものの、情報漏洩のリスクを感じるお客さまも存在します。これに対して、純国産の『NEC Cloud Storage (St)』であれば、安心してクラウド上に機密性の高いデータを乗せることができます。安全性の高いオンプレミスと利便性の高いクラウド、双方の利点をバランスよく組み合わせた選択肢をお客さまに提供できると考えました」(千葉)
クラウド・マネージドサービス事業部門クラウド戦略統括部の堀口智也は、「NEC Cloud Storage (St)」のセキュアな利用環境について以下のように補足します。
「ハイパースケーラーが運営するパブリッククラウドサービスは、データセンターの場所が明らかにされていません。世界中にデータを飛ばして可用性を担保することは素晴らしいのですが、統制が効きにくいことを気にするお客さまも多い。そうした中で、私たちが運営する『NEC Cloud Storage (St)』は、国内にデータセンターを持ち、その場所も明らかにしています。さらにITベンダーとして長年インフラサービスを提供してきた知見と技術をもとに、自社運営しており、例えば、お客さまのデータがどのマシン室のどのラックに格納されているのかをすべて把握しています。こうした統制の行き届いた運営体制が、お客さまの大きな安心感につながると自負しています」
加えて、「拡張性の高さ」も決め手になったと千葉は説明を続けます。NEC印西データセンターは、主要なパブリッククラウドと接続拠点(閉域接続)で常時接続されています。このため、お客さまが希望すれば、帯域を割り当てるだけで、すぐに接続できるようになります。
「『cotomi』は、多様な形態で提供することを前提としているため、例えば、お客さまが『NEC Cloud Storage (St)』で利用を開始し、将来、パブリッククラウドに切り換えることも起こり得るでしょう。そうした場合に即座に対応できる拡張性の高さも、導入の大きな決め手になりました」(千葉)
「実はハイパースケーラーが運営するパブリッククラウドと接続拠点を持つデータセンターは国内にほとんどありません。私たちは、お客さまの要望に合わせて柔軟に接続形態を変更できる仕組みを提供することで、大企業から中小、スタートアップ企業まで、さまざまなお客さまの導入のハードルを下げ、裾野の拡大に貢献できるものと考えています」(堀口)
なお、本プロジェクトにおいては、「NEC Cloud Storage (St)」が有する機能のうち、IaaS(サーバ、ストレージ、ネットワーク、運用)の機能を適用しています。「サーバ機能」は、「cotomi」が求める性能リソースに適した形で柔軟なリソースを提供する機能。「ストレージ機能」は、「cotomi」が求めるユースケースに対応したストレージタイプを提供するものです。さらに、「ネットワーク機能」は、周辺のサービスと簡単に組み合わせができる機能で、「運用機能」は、統制化で設計実装された運用体制で安全な基盤を提供するものです。これら機能を組み合わせ、「cotomi」の将来の拡張性や、安心して稼働させられる基盤の実現に貢献しています。
導入後の成果
最大の成果は“売れ筋の組み合わせ”を生み出せたこと
「NEC Cloud Storage (St)」をクラウド基盤に採用したことで、どのような効果が生まれているのでしょうか。千葉はまず、もともとレスポンスが速い『cotomi』を、低遅延な『NEC Cloud Storage (St)』と組み合わせたことで、「レスポンスの速さが大幅に向上した」ことを挙げます。加えて、「“売れ筋の組み合わせ”を生み出せたこと」も大きな成果だと説明しました。
「LLMの種類やデータ保管の方法など、さまざまな選択肢をお客さまに提供していく中で、『cotomi』と『NEC Cloud Storage (St)』の組み合わせというのは、多くのお客さまにとって使い勝手のいい、“売れ筋の組み合わせ”になると考えられます。
実際に、実証実験でも業種を問わず使っていただいており、これから市場に展開していくうえでの大きな柱を得られた、とチーム内でも期待が高まっています」。
一方、堀口はNEC自身がゼロ番目のクライアントとして実践し、その経験をお客さまに還元する「クライアントゼロ」の機会を得たことが何よりの成果だと言います。
「社内の『cotomi』の基盤として採用いただいたことで、まさに『クライアントゼロ』を実践する機会を得られました。まずは千葉さんたちに実際に使っていただき、そのフィードバックをもとにして価値向上に努めることで、お客さまにより良いサービスを提供できます。この好循環を得たことが、私たち『NEC Cloud Storage (St)』側の重要な成果だと捉えています」(堀口)
今後の展望を尋ねると、千葉は「例えば『cotomi』の中にも、高速なバージョンと、精度優先のバージョンを揃えるなど、お客さまの選択肢の幅をさらに広げたい」と語りました。堀口からは、千葉らの要望に「素早く対応できる体制づくりに努めたい」との答えが返ってきました。
また、「cotomi」と「NEC Cloud Storage (St)」は、社会課題とお客さまの経営課題を解決に導く価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」の中核商材のひとつにも位置付けられており、「NEC全体の戦略推進に貢献するべく、品質管理やお客さまの声をいただき、より一層良い製品に仕上げたい」(千葉)と、さらなるサービス開発・拡充に強い意欲を示しました。
企業プロフィール
日本電気株式会社
所在地 | 〒108-8001 東京都港区芝5-7-1 |
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設立 | 1899年7月17日 |
資本金 | 4,278億円(2024年3月31日現在) |
売上高 | 単独 1兆8,380億円 連結 3兆4,773億円(2023年度実績) |
従業員数 | 単独 2万2,210名 連結 10万5,246名(2024年3月末現在) |
事業内容 | 端末からネットワーク機器、コンピュータ機器、ソフトウェア製品、サービス基盤に至るビジネス向け製品、およびそれらをベースとした広範なソリューションサービスを一括提供するIT総合ベンダー |
URL | https://jpn.nec.com/ |
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(2024年6月18日)