東京海上日動火災保険株式会社様
約3万台の大規模デスクトップ仮想化環境の新OS移行
仮想化基盤の混在も伴う困難な作業を約半年で完遂
業種 | 金融機関 |
業務 | 共通業務 |
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製品 | シンクライアント |
ソリューション・サービス | 基盤技術/サーバ仮想化/デスクトップ仮想化 |
事例の概要
課題背景
- Windows XPのサポート終了が迫り、デスクトップ仮想化環境における仮想PCのOSの移行が必要に
- より多くのリソースを消費する新OSを採用しつつも、従来のハードウェア資産をできるだけ有効活用したい
- 仮想化基盤の段階的な移行を行いつつ、途上で発生する基盤の混在環境を効率的に管理し、業務への影響を最小限に止めたい
成果
仮想PC約3万台の最新OSへの移行を約半年で実現
仮想PCのOSを最新のものに移行。大規模プロジェクトを短期間で遂行できた上、移行時のエンドユーザの負担や業務に与える影響を最小限にできた
既存資産の有効活用
既存のハードウェアを有効活用しつつ、仮想化基盤を見直すことで同等の集約率を保ちながら仮想PCのOSを最新のものに移行することができた
移行時の管理負荷を軽減
仮想化基盤が異なる新旧環境の並行稼働、および効率的な管理を実現し、スムーズな移行を実現導入ソリューション
マイクロソフトの「Hyper-V」を新たに採用することで、新OSにリプレースしつつも、従来通りの集約率を実現。NECの「VirtualPCCenter」が移行途上における2つの仮想化環境の混在運用、統合管理のニーズに応えた
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事例の詳細
導入前の背景や課題
エンドユーザや業務への負担を最小限に止め移行プロジェクトを完遂したい
「お客様に“あんしん”をお届けし、選ばれ、成長し続ける会社」をビジョンに掲げる東京海上日動火災保険株式会社様(以下、東京海上日動様)。現在、「選ばれ方の変革」「働き方の変革」「変革し続ける良い社風」という3つの変革に挑戦し、持続的な成長を目指しています。
常に新たな変革に取り組む同社の姿勢は、IT戦略にも表れています。
その典型例が、2009年に取り組んだデスクトップの仮想化です。当時、2万6000台もの規模でデスクトップ仮想化を大きなトラブルなく完遂した同社のプロジェクトは、先駆的な取り組みとして多くの注目を集めました。「セキュリティ強化、コスト削減はもちろん、東日本大震災時には、現地へ応援に出向いた別拠点の担当者が、普段通りの環境で業務を継続できたなど、様々な成果を得ることができ、システムも順調に稼働してきました」と同社の髙橋祐治氏は語ります。
しかし、課題が浮上してきました。Windows XPのサポート終了が迫り、全ての仮想PCのOSのリプレースが必要になったのです。同社のデスクトップ仮想化環境の規模は、構築時よりさらに拡大しており、これほどの規模のシステムの移行は、非常に困難なプロジェクトとなります。「できるだけ、エンドユーザや業務への負担を最小限に止めながら移行プロジェクトを完遂する必要がありました」と髙橋氏は振り返ります。
選択のポイント
異なる仮想化環境も意識することなく運用でき、移行作業の負荷を軽減
同社が、この困難なプロジェクトのパートナーに選んだのがNECです。
「既存のデスクトップ仮想化もNECが構築したシステムであった上、これまでのやり取りの中で感じた技術力、困難な課題にも徹底的に向かい合う姿勢を評価していました」と東京海上日動システムズ株式会社の丹洋之氏は語ります。
もちろん、提案の内容も選定のポイントとなりました。中でもNECのデスクトップ仮想化製品「VirtualPCCenter(VPCC )」が異なる仮想化基盤を統合管理できる点は、大きな決め手となりました。
というのも、今回、同社は仮想化基盤を従来のものからマイクロソフト社の「Windows Server(R) 2012 Hyper-V(R)」(以下Hyper-V)に置き換える案を検討していたからです。
「Hyper-Vには『動的メモリ(Dynamic Memory)』という機能があり、仮想PCのメモリ消費量を動的に調節することできます。これを利用すれば、より多くのリソースを消費する新OSに移行しつつも、既存のハードウェアをできるだけ有効活用できるのではと考えたのです」と東京海上日動システムズ株式会社の丸山雄大氏は語ります。
しかし、仮想化基盤の一斉切り替えは、事業継続の観点からさらに大きなリスクを伴うため、段階的な移行が現実的な選択となります。そうすると、移行期間中は、2つの仮想化環境を並行稼働させなければなりません。「それに対し、VPCCは、複数の仮想化基盤が混在していても統合管理が可能。ハイパーバイザーの違いを意識することなく、従来と同じコマンド/ツールによる運用が可能なため、移行期間中も運用管理負荷を最小に抑えることができます」と丹氏は語ります。
導入後の成果
万全の準備とプロジェクトマネジメントによって移行作業を約半年で完了
移行作業は当初の予定通り、約半年で完了。Hyper-V、および新クライアントOSをベースとした、約4万人が利用する3万台規模のデスクトップ仮想化環境が実現しました。
VPCCによって、仮想化環境の混在環境を効率的に管理し、移行作業を段階的かつスムーズに行えたことで、業務への影響は、ほぼありませんでした。また、このVPCCの特長によって、仮想化基盤が変わっても運用方法を引き継ぐことができ、移行後も負荷の高まりなく運用を行うことができていると言います。
「大規模であることや仮想化基盤の変更、さらには約半年という期間など、厳しい条件のプロジェクトを完遂してくれたNECには、とても感謝しています。テスト環境や先行リリース環境で、アプリケーションのユーザビリティや性能への影響を検証したり、随時チューニングを施したりした上、仮想PCの構築を自動化するツールを用意するなど、NECは万全の準備を行ってくれました」と丸山氏は語ります。
ハードウェアの有効活用という点でも高い成果を上げています。
「環境の移動作業用のサーバやストレージ、あるいはメモリなど、追加するリソースを最小限に抑えながら、同等の集約率を実現することができました。想定していた以上の成果です」と髙橋氏は総括します。
今後、同社はデスクトップ仮想化のメリットをさらに最大化する施策を検討しています。例えば、ノートPCやスマートデバイスの活用も、その1つ。「多様なデバイスを有効活用して、現在取り組んでいる働き方の変革に役立てたいですね。こうした検討を行えるのも、適正なコストでデスクトップ仮想化環境をリプレースできたおかげです」と髙橋氏は語ります。NECは、これからもそうした同社の変革を強力に支援していく構えです。
NEC担当者の声
先例のない画期的プロジェクトの成果を今後に活かす
今回、東京海上日動様が取り組んだ、デスクトップ仮想化環境における仮想化基盤の乗り換えは、これまでにほとんど例がなく、NECとしても初めてのチャレンジでした。しかも、システムは、国内屈指の規模と実績を誇るもの。無事にプロジェクトを成功させることができ、NECとしても、様々な知見を得ることができました。
お客様からもご評価いただきましたが、やはり先例のないプロジェクトを完遂できたのは「VirtualPCCenter」というツールを有するNECであればこそだと自負しています。
厳しい要件、さらには大規模システムということもあり、東京海上日動様の成功事例は、今後、同様の取り組みを進める企業にとっては、きわめて有効なモデルとなり得るでしょう。このプロジェクトで様々な新たな知見、ノウハウを、今後は広く他のお客様へ展開していきたいと考えています。
お客様プロフィール
東京海上日動火災保険株式会社
所在地 | 東京都千代田区丸の内1-2-1 |
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資本金 | 1,019億円 | |
総資産 | 9兆780億円 | |
従業員数 | 17,125名 | |
概要 | 損害保険業(保険の引受、資産の運用)、業務の代理・事務の代行、確定拠出年金の運営管理業務、自動車損害賠償保障事業委託業務 | |
URL | https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/ |
- ※2015年3月31日現在
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(2015年11月25日)
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