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光ファイバセンシング

地球上に張り巡らされた光ファイバで世界を感知し、未来を洞察する

光通信技術とAI技術は、NECが長年世界をリードしつづけてきた得意分野です。「光ファイバセンシング」は、そんな両者のノウハウを活かして生まれました。世界中に張り巡らされた光ファイバネットワークをセンサとして活用できるという新しい技術を通じた新たな価値創造に、現在NECは世界で初めて取り組んでいます。

既設の光ファイバ網から、振動・温度・音などを感知してAI分析

光ファイバセンシングとは、光ファイバを利用して、振動・温度・音などを測定する技術です。光ファイバ自体がセンサとなるため、点ではなく線上でシームレスにセンシングできるという特長や、センサが伝達経路をも兼ねるという特長、さらにはセンサ用の電源を確保する必要がないという特長からその将来性に注目され、数十年にわたって世界中で研究が進められてきました。しかし、センシング用の特別な光ファイバを新設する必要があることや、コストに見合うだけのデータ活用法がないといった点などが大きな障壁となり、適応領域は限られていました。

これに対し、新たにNECが開発した光ファイバセンシングは、既に敷設されている通信用光ファイバからのセンシングを可能とした世界初の技術です。光ファイバセンシング装置を光ファイバの片端に取り付けるだけで、最大100km以上にわたって、約50㎝ごとの振動・温度・音などをセンシングすることができます。従来型技術と異なり、センシング用の特別な光ファイバを新たに敷設する必要がありません。これはつまり、すでに世界中に張り巡らされている膨大な通信用光ファイバネットワークが、潜在的なセンサとなるということを意味しています。

加えて、NECでは多様なAI技術群をもちあわせています。これにより、従来は持て余すほかなかった膨大なセンシングデータからも、重要な価値や意味を見い出すことが可能になります。たとえば、さまざまな要因の影響を受けて生じる機器故障に対し、機器の故障状態を一定の閾値をもって監視していたような従来型オペレーションも、AIを活用すれば、要因の発生状況に応じて故障の「予兆」を検知することができるようになります。また、道路下に敷設された光ファイバであれば、振動パターンを学習することで、混雑状況や走る車の種類なども検知可能になるでしょう。

私たちがいまめざしているのは、すでに敷設されている通信用光ファイバを「感覚器」「神経系」として活性化させるとともに、AIを「脳」として掛け合わせて一体化させた新発想のネットワークです。いまや光ファイバは、陸上では電柱に敷設された架空ケーブルとして、あるいは道路沿いや線路沿いなどに埋設された地中ケーブルとして、さらに海洋では海底ケーブルとしてあらゆる場所に網の目のように張り巡らされています。この網を通じて、都市や国、あるいは地球全体をセンシングして分析し、未来をも洞察できるようにすることをめざしています。

5Gとのシナジーにより、より高解像なセンシングが可能に

一般的なIoTセンサに比べて、光ファイバセンシングのアドバンテージは二つあります。一つは、光ファイバセンシングは広い領域を容易にモニタリングできるという点です。光ファイバは「線」でセンシングできますから、センサを設置した箇所だけを「点」として測定する通常のIoTセンサに比べ、より解像度の高いセンシングが可能です。電源を新たに設ける必要がないうえに、光ファイバは素材がしなやかで軽いためフレキシブルに設置できるという特長も、この優位点をさらに強化させているポイントです。

また、既設の光ファイバは現在いたるところで網の目のように張り巡らされています。つまり、いまや「線」が重なり合って「面」でセンシングすることさえ可能なのです。今後5Gが浸透すると網の目はさらに細かくなって毛細血管のように微細に広がっていきますから、センシングの解像度はより向上していくはずです。さらに光ファイバはいま、地中や架空だけでなく、高層ビルの内部にまで張り巡らされています。今後さらに分析精度を上げていくことで、「高さ」という軸も採り入れた3次元でのセンシングも可能になるだろうと考えています。

もう一つのメリットとして、光ファイバセンシングはリアルタイムでの分析に適しています。なぜなら、光ファイバ自体が伝達経路とセンサを兼ねているため、新たなデータネットワークを構築する必要がないからです。ネットワークを通じてデータをとりにいく工程が丸ごと不要となるため、タイムラグが少なく、リアルタイムでの処理に強くなります。
とはいえ、私たちの技術は決してIoTセンサと競合するものではありません。むしろ、これからは連携が進んでいくだろうと考えています。たとえばIoTセンサで得られた気象データを読み込んで気象データと光ファイバセンシングデータを合わせて分析したり、「点」としてのIoTセンサ間を光ファイバセンシングの「線」で補完したりするなど、他データと連携させることも視野に入れているところです。ニーズは導入先のフイールドによって千差万別だと思います。私たちとしては、こうした将来の発展形も見越したうえでサービスプラットフォームのようなものをいち早くつくり、世の中に貢献していきたいと考えているところです。


技術の応用性について言えば、すでに実証実験には成功しています。2019年10月にアメリカの大手通信事業者であるベライゾン社と共同実験を行い、実際に商用通信に利用されているネットワークにおいて、36.8Tb/sの通信と私たちのセンシング技術が共存できることを確認できました。同時に、センシングによって収集したデータはAI技術と組み合わせることで、何台の車がどの方向に走ったか、車の速度がどのように変化したかを解析できるということも確認しています。

ベライゾン社 技術企画・開発担当上級副社長のアダム・コープ氏からは「この実証実験は、スマートシティの構築と管理を担う人々に、大きな飛躍をもたらす技術の重要なマイルストーンだ」というコメントをいただきました。本実証実験は、今後のスマートシティの構築や光ファイバ敷設計画において、新しい指針となる成果になったと考えています。

災害に強く、スマートシティや自動運転へ活用可能

光ファイバセンシングは適用範囲が広く、今後さまざまな領域での活用が期待できる技術です。スマートシティへの活用はもちろん、たとえば自動運転との連動や都市での犯罪検知など、幅広い展開が可能になると考えています。インフラの劣化診断など、これまで熟練の技が要求されていた業務のサポートも想定の範囲です。また、災害時に強いことも本技術の大きな特長です。たとえ停電になったとしても、光ファイバには電源が不要ですので、通信局舎の電源と光ファイバさえつながっていれば、センシングによって交通量や人の動きをモニタリングすることも可能です。孤立した人が電柱にSOSと叩けば、それを検出することも可能になるでしょう。このような、あらゆる将来的な発展も見据えたうえで、私たちの技術を活かせるサービスプラットフォームづくりをいち早く実現させたいと考えています。

本事業は世界で初めて生まれようとしている全く新しい試みです。そのため、どのようにセンシングし、どのようにオペレーションしていくかという仕組みの前例はありません。今後は、さらに多くのお客様のもとで実証を重ねながら、実態に合った仕組みをスピーディに構築していくことが不可欠だと考えています。幸いなことに、NECには長年さまざまな業界でシステムを納入してきた実績がありますから、BtoBやBtoG分野の各ドメインにおいて豊富な知識をもったエキスパートがたくさんいます。さまざまなお客様やパートナ様とコラボレートさせていただきながら、いっしょに本サービスを育てていくことが現在の大きな目標です。

NEC 第一ネットワークソリューション事業部
部長
青野 義明

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