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SFからイノベーションを生み出す!?「SFプロトタイピング」の可能性

イノベーションの手法として今注目されている「SFプロトタイピング」は、SF的な想像力をもとに未来のビジョンをつくり出す。

NECは10月21日に開かれた「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2022」において「SFが描くワクワクする未来~SFプロトタイピングがイノベーションを生む~」と題したセッションを実施。数多くの企業とSFプロトタイピングを行ってきた科学文化作家・宮本道人氏によるプレゼンテーションとJ-WAVEナビゲーターのサッシャ氏によるモデレーションのもと、実際にNECの社員がワークショップに参加。セッションを通じて、SFプロトタイピングがビジネスに変革を起こしていく可能性が提示された。

本セッションは特設XRスタジオ(INNOFES XR STUDIO)から配信が行われた

SFは社会とつながっているもの

「SFプロトタイピング」という概念の登場以前からSFとビジネスや社会は強く結びついており、NECの事業ともつながっている。
たとえば、NECがインドに提供した交通系ソリューションは、公共交通機関のスマート化を進めるだけでなく、スマートシティにおける新たな移動の未来を模索した。SFのような既成概念にとらわれない柔軟な発想は、これまでにないソリューションを生む出すうえで重要となる。

「言葉」を分解し柔軟に発想を広げる

SFプロトタイピングはどうやって柔軟な発想を可能にするのだろうか。
セッションでは、宮本氏がSFプロトタイピングの手法を実際に披露した。

  1. 趣味や関心のあることをあげる
    「オシャピク」「鍼灸・マッサージ」「コンビニスイーツ試し買い」「動物園」
  2. 「未来」から想像する言葉をあげる
    「手ぶら決済」「宇宙旅行」「カーボンニュートラル」「リモート」「どこでもドア」

ジャンルもスケールもバラバラ、非現実的でもあるが、それがよい。
部分的に実現できる可能性がないか検討することも柔軟な発想につながる。未来的な言葉を分解していくことで、どんな要素が未来につながりうるのか精査できるのだ。

予測不能なつながりからイノベーションが生まれる

続くステップとして、「趣味の言葉」と「未来の言葉」を無作為につないでみる。
「試し買い旅行」、「ホログラム猫」、「ロボット動物園」と突拍子もない組み合わせだが、失敗する可能性とともにあることで、創造性やイノベーションが生まれる。こうしてできた新たな組み合わせワードが何を意味しうるのか考えていく。
たとえば「試し買い旅行」は、VR/ARのような技術によって5分間だけ海外旅行をリアルに体験できるサービスが実現するのではないかと想像する。こうしたプロセスを重ねてお互いが自身の視点からアイデアを出し合うことで、さまざまな角度から未来を考えられるのだ。

科学文化作家 宮本 道人氏
NEC グローバルトランスポートインテグレーション統括部 シニアディレクター 海老沢 美佐子

多角的に未来を考えるためのメソッド

最後に参加者それぞれが、アイデアの価値や魅力を挙げる、アイデアの欠点を指摘する、欠点を補う改善策を提示する、といった役割を演じコメントを出すことで多角的な未来への洞察が導き出された。

まず「ロボット動物園」や「ホログラム猫」の価値として、ロボットやホログラムが動くことで子どもを遊ばせておけるようになり子育て世代の母親が自分の時間をつくれるようになると指摘する。それに対し、子どもに好き放題遊ばせるのではなく、使用可能な時間を定めて母親との時間をつくることの重要性を強調した。両者の発言を受け、家事や育児によって母親の時間の多くが奪われてしまっていることこそが問題なのではないかと提言し、移動や動物園を変えるのではなくお母さんやお父さんの置かれている環境を変えることが重要と指摘した。

このように、3人がそれぞれの視点から意見を出し合うことで、ただ遠く離れた未来を考えるだけではなく、同時に現代社会の課題を明らかにした。

J-WAVEナビゲーター・キャスター サッシャ氏
NEC スマートILM統括部 八巻 千夏

SFプロトタイピングは、未来予測を行うメソッドではなく、誰もが未来像を議論したり共有したりするメソッドである。

未来と現実を往復し多様な角度から議論の場を立ち上げることに価値があり、領域を超えて共創を広げることが新たなイノベーションへとつながっていく。
産業の枠組みや既存の発想にとらわれず未来を志向してきたNECにとっても、SFプロトタイピングはイノベーションを起こすための有力なツールのひとつとなっていくだろう。