近年、各地で開催されている「マルシェ」。多くの来場者でにぎわう様子を見て、参加を検討されている方もいるでしょう。

そこで本記事では、マルシェの概要やメリット・デメリットなどの基本情報を紹介するとともに、参加方法や成功のためのポイントまで詳しく解説します。

また、マルシェ出店時の売上向上やリピーター獲得に役立つモバイルPOSシステムのメリットや、特におすすめのシステム「NECモバイルPOS」についても紹介します。新規顧客獲得や地域密着型のプロモーションを目的に、マルシェへの出店を検討中の飲食店オーナーは、ぜひ最後までご覧ください。

マルシェとは

マルシェ（Marché）とは、フランス語で「市場」を意味する言葉です。近年、日本においても本場フランスのマルシェに相当するイベントが各地で開催されており、食材をはじめハンドメイド雑貨や花などさまざまな商品が手に入る場所として浸透しつつあります。

以下では、日本とフランスのマルシェが持つ意味の違いと、フリーマーケットとの違いを紹介します。

日本とフランスのマルシェの違い

日本とフランスのマルシェは、開催頻度や位置付けにおいて明確な違いがあります。

日本のマルシェは、決まった曜日や時間帯ではなく、不定期に開催されることが一般的です。そのため、イベントや非日常体験が可能な場として捉えられています。

一方、フランスでは同じ日の同じ時間に開催され、土日を含む週3日程度で朝7時前後から午後3時ごろまで開催されることが一般的です。定期開催で食品や衣服などの日用品が手に入ることから、フランスの方にとって日常生活の一部として浸透しています。

このように、日本のマルシェは特別なイベントとしての側面が強いのに対し、フランスでは日常生活に根付いた暮らしに欠かせない場となっています。

フリーマーケットとの違い

フリーマーケットとマルシェは、出品される商品や出店者の特徴、イベントの目的において明確な違いがあります。

フリーマーケットとは、主に中古品の売買が中心で、家庭で不要になった衣類や雑貨、家具などが手頃な価格で販売される場です。特に、「リユース・リサイクル」を目的としたイベントであるため、節約志向の消費者から高い人気があります。

一方、マルシェは生産者による新鮮な食材や、クリエイターによるハンドメイド商品が中心で、普段実店舗で取り扱っているような商品が直接販売される場です。地元企業間や消費者との交流を通じて、地域コミュニティの活性化を目的としていることが一般的で、子どもからご年配の方まで幅広い層が訪れます。

このように、それぞれのイベントには特徴があるため、出店者は提供する商品に合わせて使い分けることが必要です。

マルシェ出店のメリット

マルシェ出店のメリットは以下のとおりです。

マルシェへ新たに出店することで、顧客の生の声や認知の獲得など実店舗では得られない効果が期待できます。

ここでは、マルシェ出店のメリットを詳しく紹介します。

低コストで出店できる

マルシェ出店では実店舗の運営と比べて、初期投資・ランニングコストを大幅に抑えられます。実店舗とマルシェ出店で運営する場合の費用相場について、以下の表で比較してみましょう。

実店舗では店を構え、運営する必要があるため多くの経費が必要です。

一方、マルシェ出店では専用のスペースを借りて運営するため、店を構える際に必要な経費を削減でき、1日当たりのコストを大幅に抑えられます。

マルシェは低コストで気軽に出店でき、予算が限られる中小規模の飲食店でも展開しやすい点が大きなメリットです。

直接顧客の声を聞ける

マルシェは小規模なブースで展開するため、オンライン販売や店舗販売に比べて顧客との距離感が近く、より密なコミュニケーションを取れます。

そのため、商品を購入した顧客から、その場で商品を選んだ理由や味、設定料金など商品に関するリアルな感想や意見を直接聞くことが可能です。

たとえば、「見た目が魅力的で購入した」「塩味が効いていておいしかった」といったポジティブな感想だけでなく、「ボリュームに対して少し料金が高く感じる」といったネガティブな意見も得られます。

マルシェを通じて得た商品に関する顧客の生の声は、顧客のニーズや商品の改善点を把握する際に役立ち、新商品の開発や次のプロモーションに活かせます。

店舗の認知度を高められる

規模の大きなマルシェでは、1日で5,000人〜1万人以上の人が訪れます。そのため、マルシェへ出店すれば、普段店舗に足を運ばない顧客層にもアプローチできます。

特に、地元の方が多く利用する傾向にあるため、自店舗のあるエリアとは異なる地域で開催されるマルシェに出店することで、開催地域の潜在的な顧客層にリーチを拡大可能です。

また、日本のマルシェはイベント要素が強いため、直接の販売だけでなく、SNSの口コミ拡散による認知拡大も期待できます。訪れた顧客がマルシェでの体験や商品をSNSでシェアすれば、さらに多くの顧客層からの認知を獲得可能です。

マルシェでは、短期間で効率的に自店舗の認知を拡大できるため、新規顧客を獲得したい場合や、地域での知名度を獲得したい飲食店にとって特に有効なマーケティング手段といえます。

他の出店者との交流ができる

マルシェへ出店することで、顧客だけでなく、他の出店者とも交流できる点も大きなメリットです。

特に、日本では飲食系のマルシェが多く開催されているため、多様なジャンルの同業者とつながりを持てます。そのため、同業者と業界特有のトレンド情報や販売ノウハウなどのさまざまな情報を交換できます。

また、大規模なマルシェではハンドメイドショップやアパレルショップ、花屋など異業種の出店も多く、普段交流する機会の少ない業種とも交流可能です。異業種の事業者と接点ができれば、新たな取引先を得られるだけでなく、コラボレーションのきっかけにもなります。

マルシェでは、直接商品と顔を合わせてコミュニケーションできるため、幅広い業種との長期的なパートナーシップをスムーズに築けます。

マルシェ出店のデメリット

マルシェ出店にはメリットが多い一方で、以下のようなデメリットに注意が必要です。

特にマルシェ出店では、屋外開催による影響を強く受けます。ここでは、上記のデメリットについて詳しく紹介します。

天候に左右されやすい

マルシェの多くは屋外で開催されるため、天候の影響を受けやすい点がデメリットです。たとえば、豪雨や強風などの悪天候が予想される場合は、中止や延期になる可能性があります。

また、晴天であっても極端に暑い・寒い場合には、長時間の滞在を避ける来場者が増え、想定より客足が減る可能性もあります。

そのため、マルシェ出店の成功には、雨風対策グッズを事前に用意しておくなど、天候のリスクを最小限に抑えるための対策が重要です

開催場所により売上が変わる

マルシェの売上は、開催場所やタイミングによって大きく左右される点がデメリットです。

たとえば、人通りが少ない隅のエリアは、来場者が集まりにくく、売上が低くなる傾向にあります。また、平日昼間に開催するマルシェへ出店する際には、土日や祝日に開催される場合と比べて、十分な来場者を期待できないことがあります。

他にも、競合する販売ブースの多さも売上に影響を与えるため、マルシェを選ぶ際には注意が必要です。顧客から見て同じような商品が並んでいると、自店舗の商品やサービスが目立たなくなり、売上低迷の可能性が高まります。

このような開催場所やタイミングによる売上の伸び悩みを回避するには、開催場所の選定や集客の工夫が必要です。

生鮮品の管理が難しい

マルシェは屋外での販売になるため、大型の冷蔵庫や冷凍庫などが完備される実店舗での運営に比べて、生鮮品の鮮度維持や保存状況の管理が難しくなります。

特に、夏場や冬場のマルシェでは、食材が傷みやすくなるリスクに注意が必要です。

食材の管理に必要な電源確保が難しいと、商品の取り扱いが制限されることもあるため、生鮮食品を取り扱う場合には、事前にマルシェの参加規約などのルールを確認し、適切な方法のもとで販売する必要があります。

準備が大変で人手が必要になる

マルシェへの出店には、以下のように多くの準備が必要です。

特に、初めてマルシェへ出店する際には準備することが多く、膨大な労力と人員が必要です。

そのため、実店舗の運営と並行しながら準備する場合には、負担が大きくならないように、長期的な計画を立て少しずつ準備を進めましょう。

出品できる商品が限られる

マルシェでは、限られたスペースで商品を提供するため、実店舗での販売に比べて提供できる商品数が少なくなります。

また、屋外販売のため電気設備が無いなどといった制限がある場合もあり、出品できる商品が限定的です。

このような制約から、自店舗の主力商品を販売できず、十分な利益を得られない可能性もあります。

マルシェで出品する商品は、保存の簡便さと利益のバランスを取り、各マルシェに適したラインナップにする必要がある点に注意しましょう。

マルシェ出店のための準備

マルシェ出店時には、出品物以外に出店者側でいくつか用意する備品や対応事項があります。マルシェ出店のために最低限必要になる準備事項は、以下のとおりです。

ここでは、それぞれの準備事項で手配するものや確認する内容などの詳細を紹介します。

マルシェイベントへの申し込み

まず、マルシェイベントへの申し込みが必要です。

公式のWebサイトや主催者提供のエントリーフォームなど、Webシステム上で申し込みできる場合が一般的です。

申し込みの入力フォームでは屋号や連絡先などの基本情報のほかに、出品物のジャンルや内容を入力します。出品物の内容が薄いと、審査に落ちて出店できなくなってしまうため、詳細に記載する必要があります。

なお、申し込み時点で出品物の情報を記入する必要があり、申し込みから逆算して商品の企画や開発を進めなければならない点にも注意が必要です。

また、申し込みを行う際には、イベントの開催趣旨や対象顧客層、出店条件などの開催内容が自店舗と合うかどうか確認することが重要です。いくつか直近で開催されるマルシェイベントを比較して、自店舗に最も合うマルシェへ申し込みましょう。

立地と主催者側の準備の確認

出店する前には、マルシェの立地と主催者側で準備してもらえる内容を事前にWebサイト上などで確認することも重要です。

特に、重点的に確認しておくと良いチェック項目は、以下のとおりです。

上記の情報を事前に確認し、疑問点がある場合には主催者に問い合わせておくことで、当日のトラブル発生を防げます。

SNSなどを活用した宣伝

マルシェ出店の際は、事前に宣伝することで集客力を高められます。開催者側でもSNSやプレリリースなどを通じて宣伝されますが、自店舗からも宣伝することで相乗効果が期待できます。

宣伝する際は、イベント当日だけでなく、イベント開催前から定期的にSNSで情報を発信することが重要です。特に、カウントダウン形式で開催当日まで発信し続けることで、顧客のモチベーションを高められ、より多くの顧客をマルシェへ誘導できます。

また、マルシェイベントの情報を発信する際には、商品の写真や動画の活用がポイントです。当日出品する商品の見た目が分かる写真や製造過程の動画を投稿することで、顧客の関心を引くことができ、来客数の増加が期待できます。

決済サービスの準備

マルシェへ出店する際は、クレジットカードや電子マネー、バーコード決済が可能なキャッシュレス決済サービスを導入することで集客につなげられます。

キャッシュレス決済はさまざまなシステムにより導入できますが、マルシェ出店の際には「NECモバイルPOS」のようなモバイルPOSシステムが最適です。モバイルPOSシステムとは、POSシステムの機能をモバイルデバイス上で使用できるシステムのことです。

マルシェは、電源設備や設置スペースが限られているため、不安定なネットワーク環境でも使用できる省スペースなモバイル型が役に立ちます。

また、キャッシュレス決済に対応する場合には、利用可能な決済方法を明示するポスターの準備も重要です。どの決済方法が利用可能かを顧客がひと目で分かるように工夫することで、売上の機会損失を減らせます。

商品POPと陳列用ディスプレイの用意

数多くあるブースの中で顧客に足を止めてもらうためには、視覚的なアピールが必要です。そのため、商品の特徴や価格、こだわりなどの商品情報・PRポイントを記載したPOPを作成し、商品をより魅力的に見えるように工夫を施しましょう。

また、陳列用ディスプレイの工夫も重要です。特に、マルシェでは遠く離れて歩く来場者にも商品をアピールする必要があります。そのため、平面に並べるのではなく、高さや奥行きを利用して商品に立体感を持たせて、どのような商品が手に入るブースなのかが遠距離から見ても分かるようにしましょう。

商品POPと陳列用ディスプレイは同じ素材や同系色のカラーを使い、外見に統一感を持たせることで他ブースとの差別化を図れ、顧客獲得につなげられます。

必要な備品の準備

マルシェ出店では、以下のような商品販売や衛生関連の備品と軽食の準備が必要です。

電源設備を利用できない屋外マルシェも多いため、特にモバイルバッテリーは必需品です。モバイルPOSシステムを導入する場合には、タブレット端末やスマートフォン端末を充電する際に役立ちます。

また、当日は忙しく、食事や休憩を十分にとれない可能性もあります。そのため、運営スタッフ用に、簡単な飲食物や栄養のある食べ物を用意しておくと安心です。

上記の備品は事前にリスト化しておき、当日までにそろえましょう。

マルシェ出店を成功させるポイント

マルシェ出店を成功させるためには、以下3つのポイントを押さえることが重要です。

ここでは、それぞれのポイントについて詳しく紹介します。

計画的な準備と目標設定

マルシェ出店を成功させるには、明確な目標設定の下で計画的に準備を進めることが重要です。

まず、マルシェのテーマや目的、ターゲットとなる顧客層を調査し、自社の商品との相性やニーズの有無を分析しましょう。たとえば、地元の特産品を扱うマルシェでは、地域性や地元生産者ならではの魅力をアピールした商品が特に有利です。

次に、出店料や交通費、備品購入費などの諸経費を計算し、売上目標を設定します。目標を設定する際には、1日の来場見込み数や競合店舗、当日の天候を考慮することで、より具体的な数値目標を決められます。

そして設定した売上目標をもとに、商品の価格設定や販売方法を検討しましょう。たとえば、セット販売や数量限定商品を取り入れることで、客単価を引き上げる工夫が必要です。

決めた商品や販売方法から、陳列ディスプレイの設計やショップカード作りなどを計画的に進めていきましょう。

魅力的な出店ブース作り

マルシェへ初出店する際には、他のブースに負けないように、来場者を引き寄せるための魅力的な出店ブースを作る必要があります。

特に、ブースの顔ともいえる陳列ディスプレイは、顧客が商品をひと目で理解できるように、シンプルで分かりやすくなるように設計する必要があります。例えば、シンメトリーやグルーピングなどにより商品の配置に規則性を持たせて陳列することで、視認性が高まり、一つひとつの商品をより効果的にアピールできます。

また、商品だけでなく、「入りやすい」と顧客に感じてもらえるような明るく丁寧な接客も重要です。特に、飲食系のブースでは清潔感のあるスタイルを意識することで、顧客に安心感を与えられます。ただし、日本のマルシェが持つイベントのイメージに合わせて、スーツではなく、ポロシャツ＋エプロンといった親しみやすいカジュアルな服装を選びましょう。

さらに、ブースの前を通る方には元気な声で呼び込みを行うことで、自然とコミュニケーションが生まれ、顧客との良好な関係を築くことが可能です。

ショップカードを活用する

マルシェ出店を単発の販売機会で終わらせないためには、ショップカードの活用が重要です。

そのため、マルシェ出店の際には普段実店舗で渡すものとは別に、以下のような情報を記載したマルシェ出店用のショップカードを作成しましょう。

商品情報だけでなく、店舗情報を載せておくことで、顧客が後日気に入った商品を購入したい時や問い合わせをしたい時に、店舗へスムーズにアクセスできます。

また、店舗SNSやホームページのURL情報を記載しておけば、顧客との関係性を維持することが可能です。各媒体を通じて新商品情報やイベント告知を発信すれば、マルシェ後もリピート購入や新規顧客の獲得につなげられます。

このように、ショップカードは商品の情報提供だけでなく、マルシェ終了後も顧客との接点を持ち続けられる重要なアイテムといえます。マルシェ出店後の実店舗の売上向上につなげるためにも、高品質なショップカードを制作しましょう。

マルシェ出店にはモバイルPOSシステムが便利

マルシェ出店の際には、モバイルPOSシステムが役立ちます。導入することで、以下のようなメリットを得られます。

まず、モバイルPOSシステムは従来のレジシステムと比較して導入コストを抑えられる点が大きなメリットです。決算サービスのコストを削減できれば、ショップカードや陳列ディスプレイに投資できる余地が生まれ、より訴求力の高いブースを作れます。

大がかりな機器を用意する必要がなく、タブレットやスマートフォンで運用できるため、屋外への持ち出しが容易にできることもメリットです。

また、小規模なシステムながら、電子マネーやクレジットカードなどの多様な決済方法に対応できる柔軟性もあります。現金でのやり取りを最小限に抑えられ、会計のスピードアップや支払いミスの防止が可能です。

他にも、モバイルPOSシステムが蓄積した売上情報をもとに、売れ筋商品や販売時間帯の傾向を分析でき、次回の出店計画をスムーズに検討できます。

このように、モバイルPOSシステムの導入により、効率的な運営が実現し、顧客満足度と売上の向上が期待できます。

マルシェへの参加で新規顧客の獲得と店舗の認知度向上を目指しましょう（まとめ）

飲食店がマルシェへ出店することで、商品に対する意見を直接顧客から聞けたり、地元住民からの認知度を高められたりと、さまざまなメリットを得られます。

ただし、マルシェ出店の際には陳列ディスプレイの設計や備品購入など準備する内容が多く、計画的に準備する必要があります。特に、スムーズな運営を実現し、効率よく売上を向上させるには、多様な決済に対応できるモバイルPOSシステムの導入が必要不可欠です。

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