Japan
サイト内の現在位置
レジのジャーナルとは?その意味と管理法や活用方法を紹介
レジのジャーナルとは、レジに保存された売上情報や販売状況を印字した紙で、飲食店などの店舗では1日の売上管理に使用されます。また、ジャーナルは税務調査の際に必要になる書類で、国税庁より保管が義務付けられている大切な書類です。
この記事では、
- レジのジャーナルとは何か、記載されている内容
- ジャーナルの保管期間
- 電子帳簿保存法
- 電子ジャーナルのメリットやデータの活用法
などについて詳しく解説しています。
ジャーナルのデータを経営に活かしたい飲食店様は、ぜひこの記事を読んで参考にしてください。
レジのジャーナルとは
さまざまな店舗の会計時に使用されるレジには、多くの情報が保存されています。
レジのジャーナルとは、レジに保存された売上情報や販売状況を印字した紙を指します。飲食店ではその日の売上を管理するため、毎日レジ締めの際にジャーナルを印刷するのが一般的です。
近年では、スマホに届く電子レシートの登場など多くの場面で電子化が進んでいるため、印刷せずデータで保存する電子ジャーナルを導入する店舗も増えています。
ジャーナルとレシートの違い
レジで印刷するジャーナルは、一見するとレシートと同じように見えます。しかし、ジャーナルとレシートは全く違うものです。
まず私たちがよく目にするレシートは、買い物やサービスを利用したお客様に対して発行されるものです。お客様ごとの取引内容(購入金額・購入商品名・商品単価・店舗情報)が印字されていて、領収書としてお客様に渡します。
一方、ジャーナルは店舗用に印刷するものです。飲食店では1日の終わりに売上を管理するためジャーナルを印刷します。ジャーナルを見れば、売上目標の達成・人気メニューの種類・1日の来店客数などが一目で把握できます。
ジャーナルの記載事項
ジャーナルに印刷される内容は、使用しているレジによっても異なります。一般的なレジの記載事項は以下のようなものが挙げられます。
- 当日の総売上データ
- 商品別の売上データ
- 支払方法別の売上データ
- 取引日時
- 商品の販売履歴
ジャーナルはお店の売上レポートのようなものです。多くの情報を含んだデータを分析することで、飲食店経営の戦略に活かせます。
当日の総売上データ
当日の総売上データとは、飲食店の1日の売上金額です。
この数値は、売上が販売目標に達したかどうかを判断するのに有効です。もし達成できなかった場合は、「なぜ達成できなかったのか」「どうすれば売上目標に到達するか」といった翌日以降の対策に役立てられます。
また毎日のジャーナルを印刷・保管しておけば、曜日や季節によるデータ比較などが容易に行えます。
商品別の売上データ
ジャーナルでは、商品別の売上データが出力可能です。
飲食店ではメニューごとにデータをまとめておけば、今後のメニュー開発や見直しに活用できるでしょう。また、人気メニューと人気のないメニューがわかれば、仕入れ材料の調整もしやすくなり、仕入れコストの無駄を省けます。
支払方法別の売上データ
近年、飲食店での支払い方法は多様化しています。ジャーナルは支払方法別の売上データ管理が可能です。
現金やクレジットカード、電子マネー、QRコード決済など、さまざまな支払方法が選べることはお客様にとってメリットですが、実際にお店に入金されるまでの時間は異なります。
そのため、各支払方法の売上データを管理して正確なキャッシュフローを把握しておくことは、店舗経営において非常に重要といえます。
取引日時
ジャーナルには、お客様がいつ店舗で飲食されたかの正確な取引日時が記載されています。
取引日時の記載は、時間帯ごとの売上分析に役立つほか、税務調査の際には売上を改ざんしていないという証拠になる大切な項目です。
商品の販売履歴
ジャーナルには、その日に売り上げた商品の詳細情報が印字できます。
メニュー・単価・販売個数をデータ化すれば、曜日や天候による売れ筋メニューの傾向がつかみやすくなるでしょう。この売上傾向の比較を行うことで、お店のスタッフシフトにも活用できます。飲食店は接客スタッフが欠かせない業種ですから、人員配置の最適化は効率的な飲食店経営につながります。
ジャーナル自体は日々の売上データを記録するものですが、長期的に比較することでお店の経営戦略への活用が可能なのです。
ジャーナルの保管期間
ジャーナルは国税庁により一定期間の保管が義務付けられています。
これは国税庁が定める『No.5930 帳簿書類等の保存期間』に記されており、毎日印刷したジャーナルはその年の確定申告期限から最低7年間は保管しなければなりません。ただし確定申告で赤字の繰り越しを行う場合は、保管期間が10年に延長されます。
毎日発行するジャーナルを保管しておくのは大変ですが、税務調査はいつ入るかわからないため、間違えて破棄したり紛失してしまったりしないよう、年度ごとにまとめておきましょう。
参考元: 国税庁 「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
電子帳簿保存法の改正による注意点
レジから直接印刷できる紙のジャーナルは、今でも多くの飲食店で利用されています。しかし「大量のジャーナルを保管する場所がない」「過去のジャーナルを見返したい」「保管期限の過ぎたジャーナルの破棄が手間」といった声も多く、電子ジャーナルを導入する飲食店が増えています。
電子帳簿保存法の改正により、2024年1月1日からは電子取引のデータ保存が完全義務化されました。そこで電子ジャーナルを導入する際に気をつける点をみていきましょう。
電子取引には電子ジャーナルの保存が義務化
2024年1月より完全義務化された内容には、電子取引をしたが場合はその内容を電子保存することが義務付けられています。そのため、電子取引をした内容を紙(レシートや領収証)で保存することは、この要件を満たしていないことになります。電子取引とは主に下記のようなものが該当します。
- 電子メールに添付された領収書や請求書
- クレジットカードやスマホアプリ決済
- クラウドサービスを利用した受発注の請求書
- POSレジの電子ジャーナル
つまり飲食店などで導入が進むPOSレジを活用した電子ジャーナルは、電子帳簿保存法における電子取引の対象として電子保存が義務付けられているため、保存方法には注意する必要があります。
電子化による税務署への申請は不要に
電子ジャーナルでの保存は従来、税務署への申請が必要でした。
具体的には電子データでの書類の保存は、適用開始3か月前までに申請書を税務署に提出しなければならなかったのです。しかし電子帳簿保存法の改正により、税務署への届け出なしに電子ジャーナルの運用が可能になりました。
これにより飲食店などでも電子保存したい書類の種類やシステムの名称・台数、保存場所などの具体的な記入が必要なくなり、電子化へ速やかに移行できる体制が整いました。
紙で受け取った書類は従来通りでも可能
ただし従来通り、郵送など紙で受け取った請求書等の書類は、そのまま紙での保存が可能です。飲食店でも現金のみの扱いしかしないお店など、電子取引を導入していない場合は電子帳簿保存法が適用されません。
しかしクレジットカード決済やスマホアプリ決済、POSレジなど電子取引を導入しているお店は電子帳簿保存法の対象です。そのため、請求書などを紙で受け取っている場合、紙の書類と電子書類、両方の保存方法が必要となります。
書類の保存方法が統一されていたほうが望ましいという観点から、紙で受け取った書類はスキャンや撮影などを利用して電子保存することが推奨されています。
ジャーナルの電子化によるメリット
国税庁により義務付けられているジャーナルは、税務調査のためだけでなく飲食店経営に活かすこともできます。
飲食店が電子ジャーナルにするためには、POSレジの導入が必要です。POSレジを導入・維持していくためには費用が掛かりますが、それでも飲食店がジャーナルを電子化するメリットとはどのようなものか、具体的にみていきます。
コスト削減
ジャーナルを電子化するメリットとして、まずは物理的なコスト削減が挙げられます。
基本的にジャーナルは毎日のレジ締め時に印刷し、お客様に渡しているレシート用紙と同じものを使います。日々で使用する紙の量は微々たるものですが、毎日印刷することを考えると大量の紙を使っていることは間違いないでしょう。もちろん印刷する際のインク代などもかかります。
さらにジャーナルは最低7年間の保管が義務付けられているため、大量の紙ジャーナルを保管しておくスペースも必要です。
電子ジャーナルであれば、今まで必要だった「紙・インク・保管スペース」は必要なくなるため、長期的に見たコストはかなり削減できるでしょう。
効率的な情報管理が可能
電子ジャーナルを導入すると、効率的な情報管理が可能になります。
毎日印刷される紙のジャーナルを保管するために、ファイリングしている飲食店は多いでしょう。しかし、いくら丁寧にファイリングしてあっても、膨大な紙データから必要な情報を探し出すのは容易ではありません。何年か前の売上データが欲しいとなった時、すぐに見つけ出すのは困難です。
一方、電子ジャーナルを活用した電子データの売上管理であれば、検索機能を使ってほしい情報がすぐに手に入ります。たとえば日時・商品名・決済方法など検索条件を細かに設定し、過去のデータ比較や分析を効率よく行うことも可能です。
リスクの軽減
紙のジャーナルは保管スペースの確保が大変です。しかしそれ以上に気をつけなければならないのが、紛失や破損のリスクです。
ジャーナルの保管期間は最低7年間ですが、それだけ長い期間ジャーナルをリスクなく保管するのは容易ではありません。
とくにレシートなどに使用されている感熱紙を用いたジャーナルは、光や水、空気に弱く、時間の経過とともに印字が薄くなってしまうリスクを伴います。最悪の場合、印字した内容がすべて消えてしまう可能性もあるのです。こうしたリスクを避けながら、適切に7年間保管し続けるのは非常に手間がかかると言えるでしょう。
しかし、電子ジャーナルであれば物理的な紛失や破損といったリスクを軽減できます。電子データは簡単にバックアップできるというメリットがあるため、いざというときに備えてリスク分散することも可能です。
長期間データを安全に、尚かつスペース要らずで保管しておけるのは大きなメリットです。
業務の効率化
紙ジャーナルの印刷は、レジ締め作業と同時に行うのが一般的です。
ジャーナルには多くのデータが印字されるため、印刷作業自体に時間がかかります。さらにそこからレジ内の現金と売上が一致しているかの確認をしなければならず、スタッフが担う閉店後のレジ締め業務負担は決して少なくありません。
また7年間保管したジャーナルはその後破棄することになりますが、大切なデータを含むジャーナルをそのまま捨てるのはお店にとってもリスクが高いものです。そのためシュレッダーや溶解処理を施すのですが、大量の紙をシュレッダーにかけるのは時間も労力もかかります。
しかし、電子ジャーナルであれば、保管期限の過ぎたデータの削除は容易ですし、売上データの整理もパソコンを使えば簡単にできます。そのため、電子化によりジャーナルに関わる業務を大幅に効率化できるというメリットがあります。
効果的なマーケティングへの活用
電子ジャーナルを導入するにはPOSレジが必要です。
POSレジには多くの機能が搭載されており、それらを用いれば簡単にマーケティングへ活用できます。もちろん紙ジャーナルのデータを、表計算ソフトに打ち込んで分析することもできますが、毎日のデータを手入力するのは大変です。
POSレジには月・日・曜日・時間帯ごとに売上実績をグラフ化できる機能や、売れ筋メニューの明確化など、マーケティング分析へ活用できる機能が備わっています。
今まで感覚に頼った飲食店経営を行っていた店舗では、POSレジと電子ジャーナルを活用することで過去のデータに基づいた効果的なマーケティングを展開できるようになるでしょう。
電子ジャーナルで得たデータの活用方法
POSレジを使った電子ジャーナルを導入すれば、売上データを容易に取りだすことが可能です。さらにそれらのデータをうまく活用することで、飲食店の売上アップにつなげることもできます。
ここではジャーナルを導入して得られたデータを、飲食店経営に活かす方法を紹介していきましょう。
部門・商品別売上データでお店の強みを分析
電子ジャーナルで保存されている、部門や商品別の売上データを活かし、お店の強みを分析しましょう。
たとえば、売れているメニューを“目玉商品”として売りだすのではなく、「利益率が高くて出数も多い」メニューを看板メニューとして売り出します。これにより、「出数は多いけど利益率が低い」メニューを売りだすよりも、飲食店にとって効果的なマーケティング戦略となるはずです。
紙のジャーナルでも売れているメニューを印字させることは可能でしたが、POSレジを導入すれば、利益率を含めた売上データの分析ができるようになります。「なんとなく売れている」といった感覚による販売を、戦略的なマーケティングに変えることができるのです。
商品の仕入れ量の調節
電子データでは、死に筋商品(あまり売れていないメニュー)を特定できます。
動きが悪いメニューに関しては仕入量を減らし、無駄な在庫を持たないことでコスト削減をしましょう。売上データを明確化すれば、仕入れ量を適切に調節したコスト削減が可能になります。
さらに、あまりにも動きが悪いメニューに関しては、思い切ってメニューから削除し、仕入れのコストカットを検討することも重要です。
顧客ニーズの把握と店舗施策への反映
過去の売上データは、お客様が求めているメニュー動向を知る貴重なデータです。積み上げた顧客ニーズをきちんと把握し、お店の施策に反映させることが飲食店経営にとって重要です。
たとえば、平日は会社関係や接待の利用が多く、休日はファミリー層が多い飲食店では、平日にコース料理、休日は追加メニュー(アラカルト)の充実といった戦略が立てられます。毎日同じメニューを提供するのではなく、曜日や時間帯によってメニューを差別化することで、より効率的な運営が可能になるでしょう。
またシーズンや曜日ごとの人気メニューなどを見える化し、人気のあるメニューが欠品しないよう、仕入れ在庫の発注強化にデータを役立てるのも有効です。
商品の組み合わせ分析
コース料理を提供している飲食店では、追加でアラカルトをオーダーされることも多いでしょう。
コース料理と一緒にオーダーされるアラカルトメニューが分析できれば、新しいセットメニューの開発に活用できますし、メニュー表の配置を工夫してアラカルトの追加オーダーを増やすことも期待できます。
またファミリーレストランや居酒屋のように単品メニューがメインとなる飲食店では、電子データを分析することで、お客様のよくオーダーするメニューの組み合わせがわかります。組み合わせたメニューによる割引サービスは、1人あたりのオーダー増につなげやすい戦略です。
このようにオーダーの組み合わせ分析への活用は、電子ジャーナルデータの効果的な活用方法と言えるでしょう。
人員配置の最適化
飲食店において人件費は、食材原価と同じくらい重要な位置づけです。なぜなら、いくら食材費をコストカットしても人件費を適正にできなければ、お店全体のコストダウンができないからです。
電子ジャーナルに保存された過去データに基づいて、シーズンや天候ごとの来店数・注文履歴を分析できれば、今後のシフト調整がしやすくなって無駄のない人員配置が可能になります。忙しいときにスタッフの人数を増やして1人あたりの業務負担を軽減すれば、スタッフの離職率を抑えることにもつながります。スタッフが気持ちよく働ければ、結果としてお客様の満足度向上も期待できるでしょう。
逆に過去のデータから少ない人数で回せそうなときは、スタッフの人数を減らすことで人件費の抑制になります。このように電子ジャーナルのデータを活かすことは、飲食店経営を正しくコントロールすることにもなるのです。
ジャーナルを活用して正確な売上管理と経営分析を行いましょう(まとめ)
ジャーナルとは、レジに保存された売上情報や販売状況を印字した紙のことで、国税庁より最低でも7年間の保管が義務付けられています。しかし紙のジャーナルを紛失・破損せずに保管するのは大変で、保管スペースの確保も問題です。またジャーナルに記載されているデータを飲食店経営に活用するためには、データをすぐに取り出せるようにしなければなりません。
そこで増えているのが、POSレジを導入して電子ジャーナルに切り替える飲食店です。電子ジャーナルであれば保管スペースは要らず、バックアップしておけば紛失や破損のリスクも軽減できます。
さらに電子ジャーナル機能を搭載したPOSレジなら、曜日や季節、メニューごとの売上実績が簡単に比較できます。ジャーナルは税務調査だけでなく、飲食店経営の強みを引き出したり弱みを改善したり、多くのことに活用できる貴重なデータなのです。
NECが提供するサブスクリプション型POSシステム「NECモバイルPOS」は、さまざまな飲食店で導入されているタブレット型POSシステムです。 NECモバイルPOSに保存された電子ジャーナルは、NEC専用のデータセンタで安全に管理され、過去のレシートデータも簡単に検索できます。また、24時間365日のサポート体制を整えているため、営業形態が幅広い飲食店でも安心して使えます。
もちろん経営に必要なデータ分析も可能で、各種決済サービスやデリバリーサービス、販売管理といった他社サービスとの連携も豊富です。
「紙のジャーナル保管に困っている」「ジャーナルのデータを経営に活かしたい」などいろいろな悩みを抱えている飲食店様、まずはお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ