「いつかカフェをオープンさせたい」「カフェを開業するにはどうすればいいの？」「カフェの開業は難しいってホント？」など、カフェの開業について悩んでいる方は大勢いらっしゃいます。

ただし憧れだけでカフェの運営がしていけるほど甘くはありません。そこで本記事では下記の内容を詳しく解説しています。

カフェを開業したいと考えている人は、ぜひ最後までお読みいただきご参考にしてください。

カフェの開業は難しい？

近年、おしゃれなカフェをオープンしたいと考えている方を見かけることが多くなりました。街中には様々なコンセプトや雰囲気のカフェがありますが、「カフェの開業は難しい」という話もよく聞きます。

せっかく見つけたお気に入りのお店が、いつの間にかなくなっていたといった例も珍しくありません。憧れだけでは、健全なカフェ経営をしていくことは難しいでしょう。カフェ経営が難しいと言われる理由はいくつかあります。

これらはカフェ経営が難しいと言われる理由です。しかし、しっかりと準備さえすれば未経験者でもカフェの開業は可能です。カフェ開業をただの憧れで終わらせるのではなく、成功するためにはどうすればいいのか、しっかりとポイントを押さえておきましょう。

カフェの開業のための勉強方法

カフェを開業するためには、コーヒーの淹れ方やフードメニュー、接客の仕方、経営術など多くのことを知る必要があります。ここからはカフェの開業のために、どのような勉強法があるのかを解説します。

カフェで働いた経験がないという人でも、カフェ運営の勉強をすることは可能です。夢の実現のために、少しずつ知識を身につけていきましょう。

本やネットの情報を集める

基本的なカフェの基礎知識は、本などを読むことで身につけることができます。

カフェ経営に関する本や、飲食店経営の手引本などは本屋さんに行くとたくさん見つかります。「開業までの手順」から「売上アップの方法」「集客方法」など、カフェ経営について具体的なノウハウをひとつずつ勉強していくことが可能です。

またインターネットにもカフェの開業に必要な情報があふれています。実際にカフェをオープンさせた人の話などを探すこともできるので、普段から情報収集をしておくことが大切です。

カフェで働く

実際にカフェで働くことは、カフェを開業するうえでプラスになります。

もちろんカフェの開業は未経験でも可能ですし、独学で勉強して開業を目指すこともできます。しかし、カフェで働くと、カフェ経営に必要な器具の知識や仕入れ先の情報などを身近に感じられるため、開業を目指すためにカフェで働いてみることは有効です。

フランチャイズに加盟する

フランチャイズに加盟してカフェを開業することもできます。

フランチャイズとは本部が有する販売・経営のノウハウを加盟店に伝授してもらって開業する仕組みです。フランチャイズ本部のブランド力を利用でき、メニューの開発などの支援を受けられるため、経験に乏しい人でも開業しやすいというメリットがあります。

一方、フランチャイズ本部に毎月ロイヤリティを支払わなければならない、独自性を出しにくい、といったデメリットも存在します。

スクールやコンサルティングを受ける

カフェで働いたことがない場合は、カフェの経営を学ぶためのスクールを利用することや、カフェ開業や運営の経験が豊富なコンサルティングを受けることもおすすめです。

カフェスクールでは、コーヒーの基礎知識やバリスタ技術などを身につけることができるほか、カフェ経営に関する知識がカリキュラムに組まれている場合もあります。スクールによって講義の内容や費用、開講されている時間帯などが異なるので、自分のライフスタイルにあったスクールを選ぶといいでしょう。

また、カフェに関する基礎知識はあるものの、不安な部分を抱えている人は、外部のコンサルティングを受けることもおすすめです。大手コーヒー会社が行っているカフェ開業サポートなどもあるので、活用してみましょう。

カフェの開業に必要なもの

カフェの開業にあたり、いくつかの資格や必要最低限の設備・備品、カフェ経営の事業計画書などが必要となります。お店の規模によって必要な資格は異なるので、自分にあった資格を取得しておくことが大切です。

必要な資格や手続

個人でカフェを開業するには、「食品衛生責任者」と「飲食店営業許可」は必須です。またお店の収容人数が30人以上になる場合は、「防火管理者」を置かなければなりません。それぞれの資格についてみていきましょう。

食品衛生責任者

「食品衛生責任者」は飲食店経営に必要な国家資格です。設備の衛生確認やスタッフの衛生管理、食材の保管・調理の管理などに関する責任者で、規模の大きさに関係なく飲食店に最低1人の配置が義務付けられています。

食品衛生責任者の取得方法は以下のとおりです。

ただし栄養士や調理師、食品衛生管理者などの資格所有者は講習が免除されるので、保健所の窓口申請だけで取得できます。

参考元：食品衛生責任者について｜一般社団法人東京都食品衛生協会
参考元：食品衛生責任者養成講習会｜一般社団法人東京都食品衛生協会

防火管理者（収容人数30人以上）

お店の収容人数が30人以上の場合は、「防火管理者」の設置が義務付けられています。

防火管理者とは、火災の発生防止や万が一火災が発生した場合に被害を最小限に止めるための消防計画を定めたり、日常の火器管理・消防用設備の維持管理をしたりする責任者です。

防火管理者は、飲食店のみに必要なわけでなく、建物の用途と収容人数によって設置義務があり、防火管理講習を受講することで取得できます。

参考元：防火管理講習｜講習について｜防火・防災管理講習｜一般財団法人　日本防火・防災協会

飲食店営業許可証

「飲食店営業許可証」とは、食品を扱ったり製造したりする業種に必要な資格です。

カフェ・飲食店はこれにあたり、管轄の保健所から営業許可を受けなければなりません。保健所から許可証を取得すれば、お店で調理した食事や飲み物をお客様に出すことができ、酒類も午前0時までであれば提供が可能になります。

ちなみに午前0～6時に酒類を提供する場合は、飲食店営業許可に加えて「深夜酒類提供飲食店営業開始届」の申請も忘れないようにしましょう。

参考元：大阪市：飲食店等の食品衛生法に基づく営業許可
参考元：深夜酒類飲食店営業とは/とりネット/鳥取県公式サイト

事業計画書

「事業計画書」とは開業したのち、カフェをどのように運営していくのかの方針や予想される収益等の計画を具体的に経営指針としてまとめたものです。

事業計画書は、金融機関に融資をお願いするときに重要な資料となります。自己資金が十分にあり、資金調達の必要がない場合でも、営業開始後の目標となるためしっかりと作成するようにしましょう。

具体的には、

などを記載するのが一般的です。このとき注意しなければならないのが、ここで示す数字はすべて“予定”であるという点です。数字の根拠はとても重要になりますので、実現可能な最小規模の計画を立てましょう。

必要な設備・備品

カフェの運営に必要な設備や備品を以下にあげてみましょう。

カフェで提供するコーヒーの品質はとても重要です。豆をミルで挽き、エスプレッソマシンで丁寧に淹れたコーヒーをお店の売りにするためにも、こだわりの機器を検討しましょう。

また、テーブルや椅子、食器などはお店のブランドイメージを表現する大切なアイテムです。お客様にとって居心地のいい空間にするためにも、お店の規模や営業形態にあわせて準備します。

そして、POSレジはオーダーエントリーや会計業務の効率化に役立つシステムです。自宅で小規模に営業する形態であれば必要ありませんが、ある程度の規模でカフェを開業する場合は売上管理や在庫管理の効率化が期待できます。

カフェの開業に必要な資金

日本政策金融公庫の「2022年度新規開業実態調査」によると開業費用の平均値は1,077万円、中央値は550万円となっています。しかし、これは新規開業した全業種の値であってカフェに限定したものではありません。

カフェの開業には厨房設備、内装、什器備品などの特有の費用がかかるため、この数値よりも平均して高くなる傾向があると考えられます。お店の規模や立地、コンセプトによって異なりますが、一般的には500万～1,000万円はかかると考えましょう。

カフェの開業に必要な資金の内訳をみていきます。

ここに記した開業資金の内訳はあくまで目安です。実際には計画内容や状況によって大きく変わる可能性があるということを念頭に置き、少し余裕を持った資金計画を立てましょう。

参考元：日本政策金融公庫「2022年度新規開業実態調査」

カフェの開業資金を抑える方法

小さなカフェを開業しようと思っても、意外に費用はかかるものです。ただし開業費用を抑えるためのポイントがあるので、積極的に利用しましょう。

ここからは、カフェの開業資金を抑える方法について具体的に紹介します。

居抜物件を選ぶ

前店舗の形態がカフェや飲食店の居抜物件は、テナント設備や内装をそのまま利用できる可能性があるため、内装費や設備費を抑えることが可能です。

厨房設備などは費用が高額なものも多く、うまく居抜物件が見つられた場合は、数百万単位で費用を抑えられる可能性があります。

ただし居抜物件は人気が高く、良い物件を見つけるために時間や労力を必要とします。また修繕が必要な場合もあるので、必ず内見して慎重に探すようにしましょう。

居抜物件を選ぶ場合、お店の賃貸契約にプラスして既存の設備や内装に関して契約が必要となります。その際には、既存の設備の状態確認や修繕の有無などをきちんと確認しておくことが大切です。

自宅に店舗を構える

住まいの一部で営む自宅カフェは、新たに物件を契約する必要がなく、賃料を大幅に削減することが可能です。また通勤にかかる費用や時間の必要がなく、週末カフェや週3日営業などフレキシブルに営業することができます。

住宅街などお客様に見つけにくい場所での開業は、SNSなどを使って集客するといいでしょう。家賃などのランニングコストがかからないので、カフェ開業における負担やリスクをかなり軽減できます。

一方でデメリットも存在します。不特定多数の人が出入りするカフェは、ご近所の人に迷惑をかけてしまうかもしれません。お客様との駐車トラブルやごみ捨て・騒音トラブル、料理の匂いなどご近所トラブルに発展してしまうと、自宅として住みづらくなってしまうことも考えられるので、開業にあたってはご近所の理解も必要です。

また、開業するにあたって自宅の用途地域がカフェ営業可能な地域なのか、内装が基準を満たしているかなどをきちんと確認する必要があります。

自分で改装する

専門業者へ内装をすべて依頼すると、当然費用は高額になります。そこで部分的な塗装や家具の搬入など、自分でできることはなるべく自分たちの手で行えば、開業費用を抑えることが可能です。

自分で改装する際に気を付ける点は、DIYをしてはいけない店舗内装があるという点です。たとえば、電気・水道・ガスなどの配線や配管工事は、電気工事士や給水装置工事主任技術者など専門的な資格が必要となります。無資格者がDIYした場合、もしものときに保険が下りないなどのリスクが発生します。

また、お客様にケガさせてしまうような工事もすべきではありません。安全性や耐久性を求める箇所は、専門業者へ依頼するようにしましょう。

中古やアウトレット、リースなどを活用する

飲食店の厨房機器は高額なものが多く、開業時にすべてそろえようとすると初期費用がかさみます。たとえば小さなカフェでも置ける冷凍冷蔵コールドテーブルは、新品だと100万円以上しますが、中古だと20万円くらい、リースだと月々5,000円ほどで借りることが可能です。

どちらも開業にかかる設備費用を抑えることができるため、浮いた資金を内装費や広告宣伝費などに回せます。また資産評価額150万円以上する厨房機器だと、たとえ中古であっても固定資産税がかかりますが、リースにすれば経費として計上でき課税対象の所得額を抑えることが可能です。ただしリース契約は購入するよりも費用の合計が高くなります。

どちらにしても中古やアウトレット、リースを選べば、新品で購入するよりも費用を抑えることができるので、うまく活用するといいでしょう。

カフェの開業のための資金調達の方法

まとまった資金が必要となるカフェの開業資金は、どのような調達方法があるのでしょうか。ここからは資金調達の3つの方法について、メリットとデメリットを解説します。どの方法が自分にあっているのか、しっかりと考えて選ぶことが大切です。

自己資金

カフェの開業資金をすべて自己資金で賄える場合は、月々の借入金返済が発生しないため、資金繰りがかなり楽になります。自己資金の貯め方は、働きながらコツコツと貯金をしていくのが一般的ですが、勤務していた会社の退職金を充てる人もいます。

また、金融機関から融資を受ける際にも自己資金は必要です。日本政策金融公庫の調査によると開業時の平均的な自己資金の割合は24％ほどとなっています。しかし、自己資金は多ければ多い方が余裕をもって開業できるので、将来的にカフェを開業したいと思ったらすぐに貯蓄を始めるようにしましょう。

参考元：創業計画Q&A｜日本政策金融公庫

補助金・助成金

資金面で大きな助けとなるのが、新しくカフェを開業するときに受けられる、補助金や助成金です。

補助金や助成金は、中小企業庁や厚生労働省、地方自治体などによる支援制度で、融資と違い返済する必要がありません。ただし、受給には審査があり、申請しても必ず受給できるとは限りませんが、返済不要の資金調達は力強いものです。

ここでは代表的な補助金・助成金について紹介します。

「小規模事業者持続化補助金」
小規模事業者（従業員数5人以下のサービス業など）が販路開拓のために使える補助金。商工会や商工会議所の支援を受けながら経営計画を自ら策定して申請する。

「IT導入補助金」
中小企業や小規模事業者が、労働生産性向上のためにITツールを導入する際の補助金。POSレジやOESなども含まれる。

参考元：小規模事業者持続化補助金（一般型）
参考元：トップページ ｜ IT導入補助金2024

融資

日本政策金融庫などの公的金融機関から、開業資金のために融資を受けられます。

新たに事業を始めるときには「新規開業資金」が利用でき、設備資金の場合は最大7,200万円まで借りることが可能です。返済期間は20年以内と長いのが特徴で、年利も低く、借りる側の負担を少なく抑えることができます。

ほかに、いつも利用している金融機関から開業資金を調達する方法もあります。地方銀行や信用金庫は地域に密着しており、開業を目指す小規模事業者への融資に関する相談に親身になってくれるので、公的金融機関と並行して検討してみましょう。

参考元：新規開業資金｜日本政策金融公庫

カフェ成功のためのポイント

「美味しいコーヒーを淹れるための技術を磨いた」「カフェ開業のスクールを卒業した」など、カフェの開業に向けたスキルを身につけることと、カフェ経営の成功は別物です。裏を返せば、高いスキルがなくてもポイントをおさえればカフェ経営を成功させることは可能なのです。

ここからは、カフェ経営を成功させるためのポイントを4つ紹介します。

出店エリアをしっかり検討する

カフェはお客様あっての商売です。出店エリアの選定はしっかりと検討するようにしましょう。

たとえば、サラリーマンやOLをターゲットに設定したカフェと、ペットと一緒に来店できるカフェでは、同じような立地条件で出店することは難しいと容易に想像できます。

出店エリアの選定は、「人口」「交通量」「エリアの世帯構成や職業」の3つをしっかり検討することが重要です。オフィス街に出店するのであれば、昼はOLを対象としたランチメニュー、夜はサラリーマン向けにお酒を提供するなどの戦略を立てることができます。一方でペットと一緒に来店できるカフェであれば、閑静な住宅地に出店するのも有りでしょう。

出店エリアや店舗物件の選定は、ペルソナの設定も含めてしっかりと検討することが大切です。

周辺の競合店舗を調査する

カフェ経営を成功に導くためには、出店エリアの競合店舗の調査を徹底的に行うようにしましょう。競合店舗を調査しておけば、似たようなメニューのかぶりを防げますし、定番メニューを相場に見合わない価格で提供してしまうことも避けられます。

周辺の競合店舗の調査項目の例です。

特に商品の価格は、オープンしてからはなかなか変更しづらいので、きちんと調査しておくことが大切です。またカフェ運営を左右するオペレーションについても、参考となるポイントを探っておくといいでしょう。

オリジナリティのあるコンセプトを作る

カフェ業界はとても競争が激しいため、生き残るためにはオリジナリティのあるコンセプトをつくる必要があります。エリア内にある他店と差別化し、「ここにしかない」コンセプトを打ち出せれば、お客様が足を運んでくれるようになるでしょう。

オリジナリティのあるカフェコンセプトの一例をあげてみます。

サステナビリティとエコロジーを謳ったカフェは、近年、地球環境への関心が高まり、どのような業界でも環境への配慮が求められています。再利用可能な容器を使ったり、地産地消の有機農産物を使用したメニューを考案したり、省エネルギー設備機器を導入したり、飲食店でもサステナビリティとエコロジーは注目の分野です。

ゆったりした時を感じられるカフェ、日々いろいろなことに追われて過ごしている現代人にとって、ゆったりとした時間を過ごせる空間は心のオアシスです。心地よいインテリアと落ち着いた雰囲気の隠れ家的なカフェは、リラックスしたい人たちの癒し空間になります。

コンセプトに沿った内装、メニュー開発を心がける

カフェ開業にあたって練ったコンセプトは、お店の内装デザインやインテリアに活かしましょう。たとえばサステナビリティを謳うなら、地元野菜をふんだんに取り入れたメニュー開発に取り組み、食材を使い切ってフードロスゼロの実現を目指します。

成功しているカフェは、コンセプトをブランディングしてお客様にわかりやすく反映しています。ロゴを取り入れたり、SNSを使ってマーケティングしたり、積極的にコンセプトを発信していきましょう。

カフェ開業のポイントを抑えて理想のカフェをオープンさせましょう（まとめ）

カフェを開業するためには、しっかりとした準備が大切です。情報を集めると同時に、食品衛生責任者や飲食店営業許可証など、カフェ開業に必要な資格を取得しましょう。

また、融資を受ける際に必要な事業計画書は、カフェのコンセプトやターゲット層、メニューなどを織り込み、実現可能な目標で書くことが重要です。居抜物件や中古設備の利用、補助金の申請など、開業資金を抑えてカフェ経営を成功に導きましょう。

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