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飲食店で大切なFLとは?概要から適正化のポイントまで詳しく解説
飲食店を経営している方の中には、「なかなか利益が出ない」「経費の管理が難しい」といった悩みを抱えている人も多いかと思います。
そして、そのような悩みを抱える中で「FL」というキーワードを耳にしたこともあるでしょう。
本記事では、FLの意味からFL比率の重要性、そして適正化のポイントについて詳しく解説しています。また、それと同時にFL比率の適切な管理方法や、関連する重要指標についても合わせて解説しています。
本記事を最後まで読み進めていただければ、自店のFL比率を改善し、収益性を高める具体的な方法が分かるでしょう。FL比率を正しく理解し、経営の健全化と利益向上につなげることができますので、ぜひ最後までお読みください。
飲食店で重要なFLとは
飲食店を経営する上でFLは非常に重要な指標です。FLとは「Food」と「Lavor」の略で、それぞれ食材費と人件費を指します。
また、「FLコスト」とは、文字通り食材費(材料費)や人件費を足した費用で、次の計算式で表せます。
FLコスト=食材費+人件費
さらに、このFLコストを売上高で割ったものが「FL比率」となります。
FL比率=(食材費+人件費)÷売上高
FL比率を明確にすることで、店舗運営における経費の割合を客観的に把握することができます。適切なFL比率を維持することが、健全な飲食店経営の鍵となりますので、原価と人件費のバランスを取りながら、売上を伸ばすことが大切です。
FL比率の重要性
前述の通り、FL比率は飲食店経営において非常に重要な指標のひとつです。
この比率を把握し、適切に管理することで、店舗の財務状況を客観的に判断できるようになり、収益性を向上させることができます。
計算した結果、FL比率が高すぎる場合は、売上に対する原価と人件費の割合が高いということですので、原価や人件費の見直しが必要だと分かります。逆に、適正範囲内にある場合は、現在の食材費と人件費の使い方が正しいことの裏付けになります。
また、FL比率は融資を受ける際の重要な判断材料としても使われます。金融機関は、この比率を見て店舗の収益性や経営の安定性を評価します。そのため、適切なFL比率を維持している店舗は、融資を受けやすくなる可能性が高くなります。
さらに、FL比率を定期的に確認することで、経営改善の指針としても活用できます。新メニューの導入や人員配置の変更後にFL比率がどう変化したかを見ることで、その施策の効果を数値で確認することができます。
このような点からも、FL比率を正確に把握しておくことは飲食店経営において必須であるといえます。
FL比率の適正な値とは
FL比率の適正値は、飲食店の業態や規模によって多少の差はありますが、一般的な目安があります。
独立行政法人中小企業基盤整備機構によると、標準的な飲食店のFL比率は売上の約60%とされています。この比率を維持することで、適切な利益を確保しつつ、質の高いサービスを提供することができます。
ただし、この数値はあくまで目安です。たとえば高級店では食材費の比率が高くなる傾向がありますし、セルフサービス形式の店舗では人件費の比率が低くなることもあります。
重要なのは、一般的に算出されているFL比率を知った上で、自店の特性を踏まえ、適切なFL比率を独自に設定し、それを目指して経営改善を行うことです。また、適正なFL比率から逆算して売上目標を立てることも、経営計画を立てる上で有効な方法です。
参考元:小規模事業者支援のための業務必携|独立行政法人中小企業基盤整備機構
FL比率を適正化するためのポイント
高すぎるFL比率を適正化するには、売上高を上げる努力とともに、コストの削減が重要となります。特に、Food(食材費)とLabor(人件費)の両面からアプローチすることで、効果的にFL比率を改善できます。
適切なFL比率の維持は、単に利益を増やすだけでなく、お客様に提供する料理の質や従業員の待遇にも影響を与えます。やみくもに比率を下げるだけでなく、バランスの取れた施策で、持続可能な経営を目指しましょう。コスト削減と品質維持の両立が、長期的な成功の鍵となります。
Foodコストを適正化するには
食材費を適正化することで、直接的に利益率の向上へとつなげることができます。
適正化の方法には次のようなものが挙げられます。
- 仕入れの原価を下げる
- 食材廃棄率を下げる
- オーバーポーションを減らす
- 原価の低いメニューを考案する
これらの取り組みを通じて、品質を維持しながらコストを抑える必要があります。
仕入れの原価を下げる
仕入れ原価の削減は、Foodコスト適正化の基本です。
適正化のためには複数の仕入れ先を比較検討し、最適な価格で購入することが重要です。また、季節ごとの食材を活用し、旬の食材を中心に仕入れることで、コストを抑えつつ品質の高い料理を提供できます。
また、ある程度の店舗数を有する飲食店であれば、大量発注による値引き(ボリュームディスカウント)の活用も効果的です。
さらに、仕入れ先と良好な関係を築き、長期的な取引で価格交渉を有利に進めることも重要です。市場の相場を常に把握し、適切なタイミングで仕入れを行うことで質を落とすことなく原価を削減することが可能になります。
食材廃棄率を下げる
食材の廃棄は直接的な損失につながるため、食材廃棄率の軽減は非常に重要です。食材の適切な在庫管理をすることで、過剰発注を防ぐことが基本の対策となります。
先入れ先出しの原則を徹底して食材の鮮度を維持したり、食材の多目的利用を考え、余った食材を別メニューに活用したりする工夫を行いましょう。
また、食材の適切な保存方法を学び、実践することで、廃棄を最小限に抑えられます。そして、定期的な在庫チェックを行い、使用期限が近い食材を優先的に使用することも重要です。
これらの取り組みにより、食材廃棄率を削減することができます。
オーバーポーションを減らす
オーバーポーションとは、決められた分量以上に盛り付けることを指します。このオーバーポーションを減らすことで、食材コストを適正化できます。
具体的には、標準的な分量が明記されたレシピを作成し、それぞれの料理の正確な盛り付け量を定めることが重要です。また、計量器具を使用して分量を測ることも適正化の効果があります。そして、研修を通じてスタッフ全員に分量を守ることの重要性を教育し、意識を高めることも大切です。
定期的に分量のチェックを行い、必要に応じて調整することで、長期的なコスト削減につながります。適切な分量管理は、原価率の改善だけでなく、料理の品質の一貫性にもつながる大切な要素であることを意識しましょう。
原価の低いメニューを考案する
原価の低いメニューを考案することは、食材費適正化の重要な戦略と言えます。
ただし、単に安い食材を使うのではなく、創意工夫を凝らして美味しく魅力的な料理を作ることが重要です。たとえば、地元の旬の食材を活用したり、安価でも栄養価の高い食材を使用したりすることで、コストを抑えつつ付加価値の高いメニューが作れます。
また、同じ食材でも異なる調理法で提供することにより、バリエーションを増やすことができます。
その他、人気メニューの分析を行い、原価の高い食材を類似した安価な食材に置き換えることも検討しましょう。定期的にメニューを見直し、売上と原価のバランスを最適化することが重要です。
Laborコスト(人件費)を適正化するには
食材費の適正化と同様に、人件費の適正化はFL比率改善の重要な要素です。人件費の適正化には次のような方法が効果的です。
- 売上が少ない時間はシフトを減らす
- POSシステムの導入で業務を効率化する
ここからは、これらの方法についてより詳しく解説していきます。
売上が少ない時間はシフトを減らす
売上が少ない時間帯のシフト削減は、人件費をコントロールする上で効果のある方法のひとつです。
まず、時間帯ごとの売上データを分析し、客数や売上の少ない時間帯を特定します。その上で、必要最小限の人員で運営できるようシフトを組み直します。
また、スタッフの負担が大きい繁忙期と小さい閑散期を考慮したシフト調整も重要です。スタッフの希望を聞きながら、公平かつ効率的なシフト管理を心がけましょう。人件費を減らすあまりスタッフの負担が増えすぎないように、上手にシフト管理することが重要です。
他にも、1人のスタッフが対応可能な業務範囲を広げ、キッチンとホール業務の兼任などができるとシフトを1人分削ることは難しくても0.5人分削るなどの微調整をすることができ、より効率的なシフトにすることができます。
POSシステムの導入で業務を効率化する
POSシステムの導入は、業務効率化と人件費削減に大きく役立ちます。
注文から会計までの一連の流れをデジタル化することで、オペレーションの速度と正確性が向上し、自動化される業務が増え、大きく業務の効率化を進めることができます。
また、売上データのリアルタイム分析が可能になり、直近のデータを元にした的確な在庫管理や人員配置の決定に役立ちます。さらに、顧客データの蓄積により、効果的なマーケティング戦略の立案も可能になります。
これらは初期投資が必要ですが、長期的に考えると人件費削減と業務効率化による利益向上が見込めるため、POSシステムの導入は十分検討に値するコスト削減方法だと言えます。
飲食店で大切なその他の指標
FL比率以外にも、飲食店経営において重要な次のような指標があります。
- FLR比率
- FD比率
- 営業利益
これらの指標を理解し、活用することで、より包括的な店舗運営が可能になります。定期的にチェックし、改善に努めることで、持続可能な経営を実現できるでしょう。
FLR比率
FLR比率は、FL比率にRent(家賃)を加えた指標です。計算式は以下の通りです。
FLR比率(%)=(食材費+人件費+家賃)÷ 売上×100
この比率は、固定費である家賃も考慮するため、より全体的な収益性の指標として利用できます。一般的に理想的なFLR比率は、材料費と人件費の合計が60%、家賃が10%、合計で70%が目安と言われていますが、立地や店舗の規模、業態によって適切な比率は変わってきます。
大切なのはFLR比率を把握し、立地と家賃のバランスを考慮した経営判断を行うことです。たとえば、家賃の高い好立地で集客を増やすか、家賃の安い場所でコストを抑えるかなどの戦略を立てる際にFLR比率を参考にするといいでしょう。
FD比率
FD比率は、Food(食事)とDrink(飲み物)の売上比率を表す指標です。この比率は、店舗の収益構造を理解する上で非常に重要です。
一般的に、飲み物の方が食事よりも利益率が高いとされています。また、飲み物は提供の手間も少ないため、人件費の抑制にもつながります。そのため、ドリンクの売上比率を上げることで、最終的なFL比率を下げやすくなります。
FD比率の理想的な値は店舗によって異なります。レストランではドリンクの比率は低くなるでしょうし、逆にカフェやバーでは高くなります。そのため、客層やコンセプトを踏まえて自店の理想比率を設定することが大切です。また、メニュー構成や販促グッズの工夫、スタッフの接客トレーニングを通じて、ドリンクの注文を促進することも意識しましょう。
営業利益
営業利益は、粗利益から販売管理費を引いた指標であり、純粋な儲けを表します。この指標は、FLRコスト以外の水道光熱費、減価償却費なども考慮した最終的な利益を知ることができるため、経営の健全性を判断する上で非常に重要です。
営業利益=売上高-(売上原価+販売費および一般管理費)
飲食業界では、営業利益率(営業利益÷売上高)の目安は8%とされています。事実、経済産業省が過去に行った調査によると飲食店における売上高営業利益率は平均8.6%でした。しかし、この数値はあくまで平均的な目安であり、業態や立地によって適正な値は異なります。
定期的に営業利益を確認し、必要に応じて売上増加策やコスト削減策を講じることで、持続可能な経営を実現できます。また、この指標は金融機関からの評価にも大きく影響するため、資金調達の際にも重要となります。
参考元:3.売上高営業利益率|商工業実態基本調査|経済産業省
FL比率を改善して利益の出る店舗にしましょう(まとめ)
FL比率の適切な管理は、飲食店経営の要です。Food(食材費)とLabor(人件費)のコスト管理を通じて、収益性を高めることが可能になります。
効率的な業務管理には、最新のPOSシステムを導入することがおすすめです。NECが提供するサブスクリプション型POSシステム「NECモバイルPOS」は、飲食店のDX化を推進する鍵となり、業務効率化と人件費削減に大きく貢献します。
注文から会計までをデジタル化すること、オペレーションの改善が可能です。さらに売上データのリアルタイム分析や顧客データの活用も可能です。
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