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飲食店の営業許可とは?条件や必要書類、手続きまで徹底解説

飲食店を開業するためには、所定の手続きが必要です。特に飲食店の営業許可を取らなければ、無許可営業となり処罰されるだけでなく、設備の不備などによりお客様を食中毒などの危険性にさらしてしまいかねません。

本記事では、飲食店を開業するために必要な条件や、準備するべき書類、手続きの仕方などを網羅的に解説しています。また、その際に気をつけるべきポイントについても紹介していますので、開業時に抱く不安を解消することができます。

ぜひ最後まで読み進めていただき、計画的に飲食店を開業するための参考としてください。

飲食店の営業許可とは

飲食店の営業許可とは、飲食店を開業したい場合に必要になる公的な許可のことを指します。

飲食店の開業時に営業許可を取らないと無許可営業となり罰則の対象となります。無許可営業は、食品衛生法第52条1項違反で、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。

また、深夜に酒類をメインに提供を行う場合、さらに別の営業許可が必要となるため、これも無許可で営業すると、さらに風営法54条違反で、50万円以下の罰金となります。

飲食店の営業許可には深夜に種類を提供するのかの他にも、従業員数などにより必要な手続きが異なります。

参考元:PDF営業許可制度の現状について|厚生労働省医薬・生活衛生局
参考元:new window食品衛生法 | e-Gov法令検索

一般的な飲食店の営業許可に必要な条件

まずは一般的な飲食店の営業許可に必要な条件を解説します。ここでいう一般的な飲食店とは以下のような特徴を指します。

  • 店舗で調理した料理を提供する
  • 酒類の提供は午前0時まで
  • 収容人数が30人以下の中小規模店

このような一般的な飲食店は、「飲食店営業許可証」と「食品衛生責任者の設置」が開業のための必須条件となります。

次からそれぞれについて詳しく解説していきます。

飲食店営業許可証

飲食店営業許可証は、飲食店を開業するために必ず取得しなければいけません。

以前は、飲食店の中でも「酒類を提供しないこと」「調理を必要としない茶菓のみを提供すること」などを条件とした「喫茶店営業許可証」もありましたが、2021年(令和3)6月1日に食品衛生法が改正され、「飲食店営業許可証」に統合されました。

営業許可証は、管轄の保健所に申請書類を提出し、実施される検査に合格することで発行してもらえます。特に衛生面を中心に、内装や設備が飲食店として適しているかを判断されます。

参考元:new window改正食品衛生法が令和3年6月1日から施行されました! | 長崎県

食品衛生責任者の設置

飲食店を開業するにあたって、食品衛生責任者を1店舗につき必ず1名以上置かなくてはいけません。これは食品衛生法により定められており、食品衛生責任者が日頃の衛生管理を行うことで、飲食店内での食中毒などの危険を未然に防ぐためです。

食品衛生責任者は、必ずしも経営者や店長である必要はなく、店舗に常駐するスタッフであれば問題ありません。ただし、複数店舗で同じスタッフが兼任することはできない点に注意してください。

食品衛生責任者資格は、通常は1日講習を受講することで取得できます。各都道府県の食品衛生協会に申込みをし、講習会を受ける必要があるため、空き状況によってはすぐに取得できない場合があります。そのため、取得の際は余裕を持って計画を立てる必要があります。

また、栄養士や調理師、製菓衛生士などの資格を持っている人は、講習が免除されますのでスタッフに該当する人物がいないか調べてみましょう。

参考元:new window食品衛生責任者 |「食品衛生の窓」東京都保健医療局

必要に応じて飲食店の開業に必要な営業許可証の種類

飲食店営業許可証と食品衛生責任者は、飲食店を経営する上で不可欠です。それに加えて、業務形態によってはさらに次のようなものが必要になる場合があります。

  • 深夜酒類提供飲食店営業開始届
  • 防火管理者の設置
  • その他に必要な営業許可証

それぞれについて詳しく解説していきます。

深夜酒類提供飲食店営業開始届

午前0~6時の深夜帯に酒類をメインに提供する飲食店を営業する場合は、飲食店営業許可に加えて「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を申請する必要があります。

深夜酒類提供飲食店営業開始届は管轄の警察署に申請します。

レストランやカフェのように営業時間中に常に主食(米飯類・パン類・麺類など)を提供している店であれば、メニューの一部にアルコールが入っていても酒類提供飲食店にはあたらないとされています。

その一方で、居酒屋やバーでおつまみ程度の食事を提供している場合は主食と見なされないため酒類提供飲食店に該当します。

自店舗が該当するか不安な人は、事前に管轄の警察署に相談してみましょう。

参考元:PDF警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について (通達) 」

防火管理者の設置

飲食店の収容人数が30人以上の場合や延べ面積が基準を超える場合は、防火管理者の設置が必要になります。

収容人数の算出方法は、従業員の人数と客席の数を合計することで算出されます。客席が長イスやソファだった場合や、持ち運び式のイス、和室の場合などは細かく計算方法が指定されています。

また、延べ面積が300㎡以上ある場合には、甲種防火管理者、300㎡未満であれば乙種防火管理者の資格が必要となります。

参考元:new window東京消防庁<安全・安心情報><事業所向けアドバイス><防火管理 実践ガイド:防火管理者が必要な防火対象物と資格>

その他に必要な営業許可証

その他、提供する飲食の種類や業務形態により必要な営業許可証があります。

たとえば、飲食店で製造した食品をテイクアウトで販売したい場合は、取り扱う食品の種類により別途許可が必要になる場合があります。

具体的な例として次のようなものが挙げられます。

  • クッキーやケーキなど:菓子製造業許可
  • ハムやソーセージなど:食肉製品製造業許可
  • ヨーグルトなど:乳製品製造業許可
  • アイスクリーム:アイスクリーム類製造業許可

また、本格的なジビエ料理を提供する飲食店を経営したい場合は、飲食店営業に加えて食肉加工業許可が必要になる可能性があります。

どの許可が必要になるかは事業計画書を持って管轄の保健所に相談してみるといいでしょう。

飲食店営業許可証を申請した際に保健所がよく確認するポイント

飲食店営業許可証を申請する際、必ず保健所による検査が行われます。

その際、申請に必要な要件、必要書類の不備はないかの確認はもちろん、施設の構造設備が食中毒や汚染を防ぐのに適切か、従業員の健康と知識が確保されているかを厳しくチェックされます。

チェックする項目には次のようなものがあります。

  • 清掃のしやすい床になっているか
  • シンクは2つあり、お湯と水の蛇口がそれぞれ独立しているか
  • 厨房とトイレにそれぞれ洗剤付きの手洗い場があるか
  • 厨房内に蓋付きのゴミ箱が設置されているか
  • 食器棚に扉はついているか
  • ねずみや虫が侵入しにくい構造になっているか
  • 冷蔵庫に温度計を設置し、適切に温度管理ができるか
  • 食品と非食品、調理場と客席を明確に区別できる構造か

さらに具体的な基準などは保健所への事前相談で教えてもらえますので、必ず確認するようにしましょう。

飲食店営業許可証申請の流れ

ここからは、飲食店営業許可証を申請する時の手順について解説していきます。手順は次のようになっています。

  1. 物件の選定と契約
  2. 食品衛生責任者講習の受講
  3. 内装業者との打ち合わせ
  4. 保健所に事前相談
  5. 営業許可申請に必要な書類の提出
  6. 保健所による立入施設検査
  7. 営業許可証の交付
  8. 防火管理者の届出
  9. 飲食店の営業開始

営業したい業務形態によって必要な手順は変わってきますので、自分の状況と重ね合わせて読み進めてください。

物件の選定と契約

まずは、飲食店を開業するための物件を選ぶ必要があります。

選んだ物件の前の契約者が飲食店を経営していた場合、「居抜き物件」として内装や設備を再利用することができます。居抜き物件は、用途地域や設備が要件を満たしている場合がほとんどのため、営業許可の取得がしやすいメリットがあります。

用途地域とは、市町村が都市計画に基づいて定めた土地の利用区分のことを指します。つまり、「このエリアは階層の低い住居用建物しか建ててはいけない」「このエリアは工場を建ててもよい」といった区分が地域ごとに決められています。

ここをきちんと確認しないと、開業したい業種の商業施設が建てられない場所を契約してしまう恐れがあります。しかし、居抜き物件であれば前契約者が同じような飲食店を建てていたため、この問題をクリアしている可能性が高いと言えます。

一方で、一から内装や設備工事を行う場合、用途地域の確認に加えて工期がどれくらいかかるかをきちんと把握しておく必要があります。

食品衛生責任者講習の受講

次に、開業に必須の食品衛生責任者を設置するために講習を受講します。講習は各都道府県の食品衛生協会が行っていますので、日程を確認し、受講の予定を立てます。

講習は朝から夕方までの1日で終わり、費用は1万円程度必要のところがほとんどです。
(例:東京都12,000円、埼玉県10,000円)

前述の通り、調理師などの資格を持っているスタッフがいれば講習を受ける必要はありませんが、そうでない場合は、スケジュールに余裕を持って、早めに受講しましょう。

参考元:new window食品衛生責任者養成講習会|一般社団法人東京都食品衛生協会
参考元:new window講習会日程|一般社団法人 埼玉県食品衛生協会

内装業者との打ち合わせ

飲食店に必要な設備を備えるため、内装工事を行います。

この工程は物件を選定している間でも行えますので、同時進行すれば開業までのスケジュールを早めることができます。

このあと、図面を用いて保健所に基準を満たしているかを確認してもらう必要があるため、この段階では工事に入らず打ち合わせをするだけにとどめておくのがおすすめです。

居抜き物件の場合は、必要な設備がほとんどそろっている場合がありますので、その場合は開業したい飲食店の雰囲気に合った壁紙の張り替えや、古くなった天井の修繕、エアコンを点検し必要に合わせて買い換えといった工程を行う必要があります。

保健所に事前相談

物件と内装のおおまかな計画が立てられたら、保健所に事前相談をします。

内装業者との打ち合わせで決めた図面を見せ、事前に相談することが重要です。そうすることで、工事に入ってから不備が見つかるといったミスを防ぐことができます。また、適切なアドバイスを受けられますので効率よく開業まで進めることができます。

開業する地域や業務形態によって必要となる設備の基準が変わるため、自分で調べた基準と異なっている可能性があります。事前相談ではそういった誤りも訂正してもらえるため、必ず行うようにしましょう。

営業許可申請に必要な書類の提出

事前相談で問題ないと判断できれば、工事の開始と共に営業許可申請を行います。営業許可が出るためには保健所による現地調査がありますので、工事終了予定に合わせて調査のスケジュールもおさえておきます。

営業許可申請に必要な書類は下記の3つです。

  • 営業許可申請書
  • 所在の見取り図・配置の図面
  • 食品衛生責任者資格の証明書類

また、ビルなどの貯水槽や井戸水等を使用する場合は「水質検査成績書」、法人の場合は法人の「登記事項証明書」が必要です。

保健所による立入施設検査

営業許可を申請し、書類に不備がなければ保健所の担当者による立入施設検査が行われます。

前述した設備の基準(設備の置き方、食器棚の扉、区画の明確化など)に加え、人的基準や立地的基準を満たしているか、厳しくチェックされます。

実際に現地を確認することで

  • 図面通りに店舗が工事されているか
  • 設備基準に合致しているかどうか

などの実態を確認されます。

事前相談した際に受けた内容に従っていれば、大きな改善指示はないはずですが、もし問題が見つかれば速やかに解決する必要があります。

営業許可証の交付

立入施設検査で問題が見つからなければ、営業許可証が交付されます。交付は、通知書を受け取ってから保健所に取りに行くか、郵送で受け取る場合があり対応は各都道府県により異なるため、検査時や事前相談時に確認しておきましょう。

交付は立入検査後からだいたい1週間かかりますのでスケジュールには余裕を持っておきましょう。

防火管理者の届出

収容人数が30人以上の飲食店の場合は、防火管理者の届出を行います。

届出は営業開始日までに、所轄の消防署へ申請を行う必要があります。窓口に提出するほか、郵送でも受け付けてくれる場合がありますので、所轄の消防署に確認してみましょう。

届出の際は防火管理者の防火・防災管理講習修了証が必要になりますので、あわせて準備しておいてください。

飲食店の営業開始

すべての準備が滞りなく進んだら、いよいよ営業開始です。

開業後も設備が基準通りに運用されているかを常に確認し、衛生的な状態が保てるよう心がけましょう。衛生面が悪いと食中毒などの危険性が高まるだけではなく、お客様を不快にさせ、リピート訪問してもらえなくなるなどのデメリットがあります。

ホールや食器類などお客様が目に付きやすい部分を清潔に保つことはもちろん、キッチンの衛生状態も常に高い基準を保ち続けられるように日頃から意識しておくことが大切です。

飲食店営業許可に必要な費用と期間

飲食店営業許可に必要な費用や期間について事前に把握しておくことは非常に重要です。

これらをきちんと認識しておくことで下記3つのメリットがあります。

  • 開店時期の遅れを防ぐことができる
  • 計画的な開業資金の準備ができる
  • スムーズな開店準備が可能になる

ここからは、具体的な費用と期間について解説していきます。

飲食店営業の申請における費用

飲食店の営業許可申請には一定の手数料がかかります。金額は各自治体により異なりますが、16,000~19,000円程度が一般的になります。

代表的な都市における飲食店営業の申請に必要な手数料を以下に示します。ここでは、露店や移動販売ではない一般的な飲食店を開業することを例に挙げています。

  申請費用
新宿区 18,300円(更新時 8,900円)
大阪市 16,000円(更新時 12,800円)
福岡市 16,600円(更新時 8,300円)

上記以外の自治体については、各保健所等に確認してみてください。

参考元:new window営業許可業種と申請手数料一覧:新宿区
参考元:new window大阪市:食品衛生関係の申請手数料
参考元:PDF食品衛生法等の規定に基づく営業許可申請手数料(現行及び改正案)

飲食店営業許可証取得までの期間

飲食店営業許可証が交付されるまでの日数はおおむね次のようになります。

  • 事前相談から書類申請まで:約3日
  • 営業許可を申請してから、立入検査実施まで:約10日
  • 検査終了後から交付まで:約1週間

これはあくまでも目安ですが、通常は3週間程度かかると考えた方がいいでしょう。また、事前相談や申請時に問い合わせることで、正確な日数を確認することができます。

飲食店営業許可証の有効期限と更新

最初に飲食店営業許可証が下りても、それ以降ずっと使えるわけではありません。
許可証には有効期限が定められており、期限以降も営業したい場合は、その都度再検査をして更新するといった作業が必要です。

営業許可の有効期間は各都道府県によって異なります。設備検査の結果に合わせて有効期限を定めており、5~8年で設定している自治体がほとんどです。

更新に間に合わず営業してしまうと、無許可営業となってしまうので、早めに更新手続きを行う必要があります。施設の再検査などで日数を必要とする場合に備えて、期限の1ヶ月前には更新手続きを行うといいでしょう。

更新の申請には、営業許可証と更新手数料が必要です。新規の申請で提出した図面などは必要ありませんが、お店の構造に変更があった場合は提出を求められる場合があります。

参考元:PDF厚生労働省「営業許可の有効期間について」

通常とは異なる営業形態の飲食店営業許可

これまでは、一般的な店内で飲食できる業務形態のお店について解説していました。
しかし、近年テイクアウト専門店や自宅と店舗を兼ねた飲食店を開業したいという人も増えてきています。

ここではそのような場合に、必要な手続きがどのように変わるのかについて詳しく解説していきます。

テイクアウトのみの専門店を行う場合

新型コロナウィルスの流行をきっかけに、イートインスペースを持たないテイクアウト専門の飲食店が増えてきています。この場合の飲食店営業許可に違いはあるのでしょうか。

まず、食品衛生責任者を置くことと飲食店営業許可証が必要な点は変わりません。

たとえイートインスペースがなかったとしても、飲食店であることに変わりはないため衛生面を十分に配慮した人員と環境は必要となります。

それに加えて、販売したい商品によって製造業の営業許可申請が必要となります。

たとえば、クッキーやチョコレートなどを販売するのであれば菓子製造業、唐揚げやフライドポテトといったホットスナック類を販売するのであればそうざい製造業の営業許可が必要となります。

また、お酒をテイクアウト販売する場合には、酒類販売に関する免許が必要となります。これらの免許は、保健所ではなく所轄の税務署に申請しなければならないため、問い合わせの際には注意しましょう。

自宅を飲食店にしたい場合

自宅と店舗を兼ねた飲食店経営をしたい場合も、通常と同様の申請が必要です。

自宅と飲食店を兼ねると、開業にかかる資金を抑えられるというメリットがありますが、立地や内装によっては要件を満たさない場合があります。

たとえば、自宅と営業用のスペースを明確に区別しないといけないため、自宅のキッチンで調理したものを販売することはできません。また、開業したい場所の用途地域についてもしっかり確認しておく必要があります。

その他、手洗い設備やトイレ、冷蔵庫などの要件は普通の飲食店と同様の基準を設けられていますので、家庭用では対応できない可能性があります。

開業資金を抑えるために自宅を選んだとしても設備工事でかえって時間とお金を浪費してしまう恐れがあることを十分に認識しておく必要があるでしょう。

飲食店営業許可の取得と同時に効率的な店舗運営の準備をしましょう(まとめ)

飲食店を開業するためには、事前準備と綿密な計画が欠かせません。また、開業したい店舗に合わせた設備を適切に選ぶことで、開業後も効率的な店舗運営を行うことが可能です。

なかでもPOSシステムは、店舗運営の基幹となる大切な要素であるため、開業前にしっかりとした信頼できるものを選ぶようにしましょう。

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