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ドミナント戦略とは?メリット・デメリットと、成功例・失敗例をわかりやすく解説

ドミナント戦略とは、特定地域に集中して出店し、地域のシェアを獲得する戦略です。

みなさんが日常的に目にしている飲食店や小売店の中にも、ドミナント戦略を採用している企業が数多くあります。

たとえば、セブンイレブンは、現在では全国各地、海外にも多くの店舗がありますが、多店舗展開を始めた当初は、東京都江東区に集中して店舗の出店を進めておりました。

ドミナント戦略は、チェーン展開する企業にとって、大きな成功を得る戦略といえるでしょう。

本記事では、ドミナント戦略のメリットやデメリット、成功例などについて詳しく解説していきます。

ドミナント戦略とは

ドミナント戦略のドミナント(Dominant)には、「支配的であること」「優勢であること」「主要であること」という意味があります。

ドミナント戦略を簡単に説明すると、地域集中出店によって、特定地域のシェアを獲得する戦略です。コンビニやスーパー、飲食店、外食チェーン、ドラッグストアなど、事業拡大したいチェーン店で多く採用されています。

事業を拡大していくには、「広い地域に出店したほうが有利」という考えもありますが、ドミナント戦略では、あえて特定の地域への出店に力を注ぐことで、知名度やコスト削減、競合参入の抑制、マーケティングの最適化など多くのメリットを得ます。

多くの店舗を展開する企業にとって非常に有効な戦略こそドミナント戦略です。

ドミナント戦略とランチェスター戦略の違い

ドミナント戦略と比較される出店戦略にランチェスター戦略があります。ランチェスター戦略とは、企業の限りある資源を最大限に活かすために、参入する市場を絞り込んでトップシェアを獲得するための戦略です。

ランチェスター戦略も、業種・業態にかかわらず、事業拡大したい中小企業が採用している有名な戦略の一つです。

ドミナント戦略とランチェスター戦略の違いを表にまとめました。

戦略 ドミナント戦略 ランチェスター戦略
戦略の概要 特定のエリアに集中して出店して、特定地域のシェアを獲得する手法 特定の市場に特化することで、特定市場のシェアを獲得手法
企業規模・業態・業種 コンビニやスーパー、飲食店、外食チェーン、ドラッグストアなどチェーン展開している企業 中小企業
成功している企業例 セブンイレブン、ツルハグループ、スターバックスコーヒーなど ソフトバンク、HIS、QBハウスなど

ドミナント戦略とランチェスター戦略は、シェア獲得へのアプローチの仕方に大きな違いがあります。

ランチェスター戦略の例として、QBハウスは「10分1,000円」、HISは「格安海外旅行」というアピールポイントで大企業のターゲット層とは違うニッチな需要を開拓し、シェアを伸ばしています。その他にも個人の飲食店のなかには「高級おにぎり」や「仕込みにこだわったラーメン」などチェーン店では真似できない個性で成功を収めています。

「特定地域でのシェアを獲得する手法」がドミナント戦略で、「特定の分野でのシェアを勝ち取る手法」がランチェスター戦略と言えます。

ドミナント戦略のメリット

ドミナント戦略を用いて店舗展開をする大きなメリットは、5つです。

  • 特定地域内でのブランド認知度の向上
  • 地域に最適化されたマーケティング
  • 競合他社の参入抑制効果
  • 物流システムの最適化
  • 経営資源の有効活用

それぞれのメリットを詳しく解説します。

特定地域内でのブランド認知度の向上

ドミナント戦略は、特定の地域内に集中して出店するため、地域内での看板やチラシなどのPR活動によってブランド名が自然と視界に入り、記憶に残りやすく、特定の地域内でのブランドの認知度が向上します。

また、特定の地域での認知度が上がり、安定したシェアを確保できたら、ほかの地域への事業拡大もできます。新しい地域が特定地域の近隣であれば、すでに認知度を得られている可能性が高く、スムーズなシェア獲得が可能でしょう。

また、特定の地域にのみに出店するとレア感が出て、遠方の地域から顧客を呼び込む効果もあります。特定の地域への出店は「ご当地ブランド」として話題性があるだけでなく、地域活性化にも繋がり、地元の方から愛着を持たれやすい店舗になる可能性もあります。

地域に最適化されたマーケティング

マーケティングは通常、複数の店舗からデータを取り、消費者のニーズを分析して店舗運営に活かしていきます。

出店している地域が広いほど、年齢層やライフスタイル、興味など、顧客が多様化し、最適なマーケティングが困難になります。一方でドミナント戦略を活用し、地域が固定化されると、その地域に住んでいる顧客をターゲットにマーケティングできます。

特定地域に多数の店舗を出店することでより詳しいデータが取得可能なので、地域特有のニーズに合わせたサービスや品揃え、商品開発などができます。詳細なデータをもとにした店舗運営は、競合企業と明らかな違いを作り出し、地域での存在感を高めるでしょう。

また、多様な地域に出店していると、その地域に合わせたPRを行わなければならず、宣伝費の負担が大きくなります。

しかし、特定地域に店舗を展開していれば、統一した内容のPR活動に絞り込めるので、宣伝づくりの労力や費用を削減できます。

競合他社の参入抑制効果

すでに大きなシェアを獲得している企業がある場合、新規参入の企業は成功する見込みが低いため競合他社の参入抑制効果があります。

参入抑制効果がある主な理由としては、すでにニーズが満たされている地域では、大きなシェアを獲得している企業が信頼を得ており、新たに参入した企業がシェアを獲得するのは難しいからです。

シェア獲得が困難な状態で新規参入を成功させるためには、多額の資金や人材、時間を必要とします。しかし、資本を注入して参入に成功しても、採算が低ければ経営悪化をまねきかねません。競合他社を寄せつけずに、利益を独占できるのがドミナント戦略の大きなメリットです。

ただし、大企業は資本力が強いので、新規参入の勝負に出てくる可能性がないとはいえません。大企業が新規参入する脅威に備え、顧客のニーズにマッチしたサービスを提供し、顧客との信頼関係を持続することも大切です。

物流システムの最適化

ドミナント戦略では、特定地域に出店しているため、店舗同士の距離が近いのが特徴です。店舗同士が近ければ物流システムが効率化でき、配送にかかるコストを削減できます。

たとえば、店舗同士が東西の離れた立地にある場合、それぞれの店舗に向けて配送トラックを手配しなければならないでしょう。同じ町内の店舗であれば、同じトラックで配送できるため、配送コストを抑えられます。

近隣店舗に配送できるのであれば、鮮度の高い食材をまとめて仕入れることも可能です。物流システムの効率化は、配送コストだけでなく仕入れコストの削減にも効果的です。

また、2024年4月からはドライバーの働き方改革を進めるため、時間外労働の上限規制が適用されました。長時間労働が難しくなったため、ドライバーの人員確保が深刻な問題となっています。

【ドライバー時間外労働の上限規制】

  • 原則、月45時間以内、年360時間以内
  • 臨時的にこれを超える必要がある場合でも、年960時間以内

参考元:厚生労働省「new windowはたらきかたススメ

しかし、ドミナント戦略は近隣店舗への配送で済むためドライバーの人員不足や長時間労働を解消できるでしょう。

経営資源の有効活用

企業の経営資源には限りがありますが、ドミナント戦略は、特定地域に店舗が集中していることを活かし、経営資源の有効活用が可能です。

たとえば、以下のような資源の有効活用が考えられます。

  • 人員不足の店舗が出た場合、近隣の店舗から人を補える
  • 在庫の多い店舗から少ない店舗に移動し、ロスを減らせる
  • 全店舗でキャンペーンを同時に行い、宣伝費を抑える
  • まとまった仕入れができるので、仕入れコストを下げられる
  • 地域に店舗が集中しているので、詳しい顧客ニーズを獲得できる

経営資源を地域内で有効活用し、無駄のない経営を行えるのはドミナント戦略の大きな強みです。

経営資源の有効活用ができれば、さらなる顧客ニーズに合わせた商品展開やサービスに投資できるだけでなく、ほか地域への店舗出店を目指せるでしょう。

ドミナント戦略のデメリット

ドミナント戦略には、特定地域内でのブランド認知度の向上や地域に経営資源の有効活用など、大きなメリットがありますが、デメリットも潜んでいます。

  • 自社同士のカニバリゼーション
  • 地域の需要変化
  • 他地域出店へのノウハウ不足
  • 災害に対するリスク

デメリットを事前に把握しておけば、リスクを最小限に抑えられます。それぞれのデメリットを詳しく解説します。

自社同士のカニバリゼーション

一つ目のデメリットは、自社同士のカニバリゼーションのリスクです。

自社の店舗が近隣にあると、店舗間での人員や在庫、情報のやりとりなど、経営資源の有効活用が可能です。しかし、自社の店舗同士の距離が近いと、カニバリゼーションのリスクが高まります。

カニバリゼーション(cannibalization)とは、「共食い」という意味です。ドミナント戦略では、「自社の店舗同士で顧客の奪い合いになること」をいいます。

たとえば、毎月の売上ノルマがある場合、カニバリゼーションを起こす可能性が高いです。

売上ノルマがあると、各店舗が自店に顧客を呼びこむのに懸命になります。しかし、特定地域にいる顧客は限られているので、顧客の奪い合いになるのです。

カニバリゼーションを起こすと経営資源の円滑な活用ができなくなり、サービスの低下や経営不振に陥りかねません。争うべきなのは、近隣の自社店舗ではなく競合他社です。

カニバリゼーションを起こさないためには、「自社店舗=協働する仲間」「競合他社=争うべきライバル」という認識を常に持ちましょう。

地域の需要変化

二つ目のデメリットは、地域の需要変化のリスクです。

ドミナント戦略では、特定地域にとって最適なマーケティングが行うことで、エリアのニーズに特化したサービスを提供できるのが強みです。

しかし、特定の地域に店舗が集中していると、出店地域の需要が変化したときに対応しきれず、売上が大幅に落ちる恐れがあります。

地域の需要が変化するのは、以下のようなことが要因です。

  • ライバル店の新規参入
  • 大型商業施設の出店
  • 地域産業の衰退
  • 少子高齢化による地域の人口構造の変化
  • 地域衰退による人口減少
  • 交通アクセス環境の変化

大きく地域の需要が変化すると、ターゲット層やサービス・商品を見直して事業の大幅な方針転換を余儀なくされます。売上が大きく下がるとともに方針転換によって大規模なコストがかかると、経営の維持が難しくなるかもしれません。

ドミナント戦略では、起こりうる需要の変化を素早く把握し、対応策を講じておくことが大切です。

他地域出店へのノウハウ不足

三つ目のデメリットは、他地域に出店する際にノウハウ不足に陥ることです。

ドミナント戦略に成功して、ほかの地域への進出を考える企業も多いでしょう。しかし、ドミナント戦略は、特定地域のエキスパートになる戦略のため、培ったノウハウがほかの地域でも通用するとは限りません。

広域で出店している企業は、さまざまな地域のデータや人材を確保しているので、どこに出店しても大きな問題は生じません。

しかし、ドミナント戦略で特定の地域に特化してきた企業は、新たに出店を検討する地域の情報や知識が不足しています。成功した地域のノウハウだけで出店計画を推し進めると、失敗するリスクがあります。

ドミナント戦略を実行している企業が新たな地域に出店する前には、地域や競合他社の調査のために費用をかけなくてはなりません。

このような場合には、戦略をランチェスター戦略に切り替えて、特定の年齢層や商品、サービスなどに特化してシェアを獲得することも検討しましょう。

災害に対するリスク

最後のデメリットは、災害に対するリスクの集中化です。

日本は地形や地質、気象などの自然条件から、自然災害が発生しやすい国です。ドミナント戦略によって店舗が特定地域に集中していると、その地域で起こった災害の影響を大きく被ります。

たとえば、大きな台風がくると客足が遠のいて売上が下がるでしょう。さらに台風の影響で床下浸水や店舗の破損が起きた場合、清掃や修復に費用がかかります。

広い地域で店舗出店している企業なら、災害被害のリスクを分散することが可能です。災害地域の店舗が営業できなくなってもほかの店舗があるので、被災店舗の回復や新たな店舗出店を検討する体力があります。

しかし、ドミナント戦略を行っている企業は、特定地域に災害が起きるとすべての店舗が被災するので、売上のない状態で店舗の修復をしなくてはいけません。

ドミナント戦略を行う場合は、災害のリスクに備えて資本を確保しておく必要があります。

ドミナント戦略の成功例

ドミナント戦略は、コンビニやスーパー、外食チェーンなど、身近なところで採用されている戦略です。

ここでは、業界の異なる5つの企業のドミナント戦略の成功例をご紹介します。
実際に成功した各業界の事例を知ることで、自社の経営戦略を建てる際の参考となるでしょう。

【コンビニ】セブンイレブン

コンビニ業界での有名な成功例として、セブンイレブンが挙げられます。

セブンイレブンは、1974年5月東京都江東区の豊洲に第1号店をオープンしました。1号店をオープンして6年後の1980年には1,000店舗、2003年には10,000店舗出店し、2024年5月時点では、21,554店舗にまで店舗数を伸ばしています。

1号店オープン当初の「江東区から出ない」という出店計画には、強いドミナント戦略があらわれています。

セブンイレブンはドミナント戦略を背景に以下を実現することで、店舗展開とともに新鮮で品質の高い商品の提供を可能にしました。

  • 独自の専用工場の設置
  • 販売時間帯に合わせた計画的な配送

独自の専用工場による商品づくりは、地域に対応した味づくりや品揃えの提供にも貢献しています。

また、独自のPOSシステムを導入して商品単品ごとの情報管理を行い、「いつでも顧客の欲しい商品が欲しい時にある」という品揃えを可能にしてきました。

参考元: new window50th ARCHIVE | セブン-イレブン 50周年記念サイト

【ドラッグストア】ツルハグループ

ドラッグストア業界では、ツルハグループがドミナント戦略の成功例として有名です。

ツルハグループは1929年に北海道旭川市で創業しました。その後全国にも進出し、現在では日本全国に2,600店舗以上を構えるドラッグストアチェーンです。

ツルハグループの成長のポイントは2つあります。

  • 複数ブランドの運営
  • 地域密着型企業のM&A

ツルハグループがドラッグストア事業で展開しているブランドは、ツルハドラッグのほかくすりの福太郎やドラッグストアウェルネスなど、全部で8つあります。

それぞれのブランドのターゲットは異なり、地域のニーズに合わせて出店しているのが特徴です。異なるブランド同士でニーズをカバーすることによって、地域の顧客ニーズを満たしています。

また、ツルハグループの事業拡大には、M&Aも不可欠です。

すでに地域に根付いてドラッグストアを運営している会社を基盤ごと吸収することによって、新たな土地に出店するコストを抑えながら効率的に地域のシェアを獲得しています。

参考元:new window沿革 | ツルハドラッグ
参考元:new window株式会社ツルハホールディングス

【スーパーマーケット】ヤオコー

スーパーマーケット業界では、ヤオコーがドミナント戦略で成功を収めています。

ヤオコーは、都心から20~40kmのドーナツ状のエリアに出店しています。現在のおもな出店エリアは、東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県などの人口集中地域です。1店舗あたりの商圏を、半径1~3kmと定めており、店舗同士のカニバリゼーションの防止策が取られていることもわかります。

また、ヤオコーの店舗のフォーマットやレイアウト、内装は出店地域に合わせてデザインされているのが特徴です。

たとえば、小さな店舗では、窮屈感を出さないようにスケルトン天井にするといった工夫がされています。

さらに2019年度から運営されているネットスーパーも、ドミナント戦略に貢献する施策の一つです。

子育てや高齢などが何らかの理由で買い物に来られない顧客にネットスーパーを提供することで、実店舗では手の届かないシェアの獲得を実現しています。

参考元: PDFヤオコーの価値向上に向けて 出店・成長戦略

【ホテル】アパホテル

ホテル業界では、アパホテルのドミナント戦略が成功例として挙げられます。

アパホテルは日本全国に750以上のホテルを展開する客室数日本一のホテルチェーンです。特定のエリア内でも駅の出口ごとなど、好アクセスな立地に積極的に出店しています。

また、ホテル需要の高い地域にドミナント戦略による出店を行うとともに、人材の集中投資を行っているのが特徴です。

たとえば、新任支配人が着任した場合、近隣店舗のベテラン支配人がフォローできる体制を構築しています。店舗間でヘルプが出しやすいように人員配置を工夫しています。

さらに、店舗間のヘルプ体制が整っているので、本当に人手が不足している店舗に求職者を優先的に回せます。

参考元:new window【公式】アパグループ|APA GROUP

【飲食店】スターバックスコーヒー

飲食店業界では、スターバックスコーヒーがドミナント戦略の代表例です。

スターバックスは、全世界で38,000店舗以上ある超大型のコーヒーチェーンです。
2024年6月時点で東京都には約400店舗あり、そのうちの大部分が都心に集中しています。

  • 千代田区49店舗
  • 港区43店舗
  • 渋谷区42店舗
  • 新宿区34店舗
  • 中央区25店舗
  • 世田谷区21店舗

スターバックスは、テレビCMや広告チラシなどの宣伝をほとんど行いません。というのも、ドミナント戦略自体に広告の効果があるからです。

集中して出店している地域では、スターバックスのロゴや看板がたくさん目に入るため、認知度を高められます。

また、訪れた店舗が混雑していても、徒歩圏内にある他の店舗を利用可能です。スターバックスのドミナント戦略は顧客の満足度を高めるとともに、店全体の売上の維持に繋がっています。

参考元:new window東京都の店舗一覧 |スターバックス コーヒー ジャパン

ドミナント戦略の失敗例

ドミナント戦略を行えば、あらゆるケースで成功を収められるとは限りません。ドミナント戦略を行ったものの、撤退を余儀なくされた事例もあります。

2013年12月に1号店に出店し、2019年には500店舗を達成するなど、6年急成長したチェーン店でしたが、2019年をピークに急落した事例です。決算短信内でも「店舗同士の競合により」という旨が述べられており、同じ特定エリアに店舗を出店しすぎてしまい、自社店舗同士で顧客の奪い合いになった結果から、ドミナント戦略がうまく機能しなかった事例と言えます。

ドミナント戦略のポイント

ドミナント戦略は、事業拡大を目指すチェーン店にとって効果的なマーケティング戦略です。

しかし、やみくもに特定の地域に集中出店をすると、カニバリゼーションの発生やシェアの獲得の失敗になりかねません。

ドミナント戦略を実行するときに気をつけたいポイントは、3つです。

  • 出店前の慎重な立地調査
  • 競合他社の分析・差別化
  • リスク管理体制の整備

ここからはこれらのポイントについて具体的に解説していきます。

出店前の慎重な立地調査

特定の地域に集中して店舗を出店するドミナント戦略は、出店地域の事前調査が不可欠です。

「売上の7割は立地で決まる」といわれるほど、立地選びを誤ると出店は失敗する確率が高くなります。

【立地調査のポイント】

  • 人口数や推移
  • 昼と夜の人口差
  • 競合店数
  • 年齢別・性別人口数や世帯構成
  • 地域ごとの習慣などの特性

上記のようなデータから、地域にはどのような人が生活し、どのような働き方をしているのか、などを知れば、顧客ニーズが見えてきます。

たとえば、若い単身者の多い地域のスーパーでは、大袋に入って安く売られている野菜よりも総菜や弁当が重宝される可能性が高いです。

また、地域ごとの習慣や食の好みなどの特性も重要な情報になります。セブンイレブンの場合は地域によって品揃えが異なるのは何故かという質問に対して、「地区毎に消費特性、嗜好、お客様のニーズを確認し、決定しております。」と回答しています。

地域住民の好みに合わせた商品づくりや品揃えは、顧客満足度と企業の売上の支えになるでしょう。

競合他社の分析・差別化

出店を検討している地域に競合他社がすでに出店しているかどうかは、ドミナント戦略において非常に重要です。

競合他社と地域のシェア獲得のために価格競争に陥ると、売上が伸ばせず事業展開に失敗する恐れがあります。競合他社がすでに出店している場合は、競合他社の特性を見極めて差別化を図りましょう。差別化をして住み分けできれば、競合他社との潰し合いを回避できます。

たとえば、飲食店で他社が低価格の気軽さを売りにしているのなら、自社店舗は高級感や特別感を提供すれば、ターゲット層がぶつからずに住み分けできる可能性が高いです。

また自社が集中出店している地域に、競合他社が出店してくる恐れもあります。競合他社が後から参入してきた場合も、他社を分析して差別化のポイントを的確に掴むことで事業の停滞・衰退を防げるでしょう。

リスク管理体制の整備

ドミナント戦略は、地域の需要の変化や災害の際に複数の店舗が一気に影響を受けるリスクがあります。このリスクを回避するためには、以下の2つが重要です。

  • 早めに情報をキャッチできる体制を作る
  • リスクに対応できる資源の確保

また、人材不足や人材の教育の不足も、大きなリスクといえるでしょう。

人材不足やスタッフの教育不足はサービスのクオリティを下げるため、客足が遠のきます。慢性的な人的資本不足は、事業継続の妨げになりかねません。

ドミナント戦略を成功させるには、地域の需要の変化や災害のリスク管理体制とともに、人材を確保・管理する体制を整えることが大切です。

ドミナント戦略で特定地域に集中することでリスクとコストを抑えることができる(まとめ)

ドミナント戦略は、特定地域に集中して出店するマーケティング戦略です。複数の店舗を近隣に出店することで、さまざまなリスクやコストを抑えられます。

  • 店舗の看板が目に留まりやすい・・・宣伝広告費
  • 近隣の店舗から人員を補える・・・人件費
  • 在庫を多い店舗から少ない店舗に移動できる・・・商品ロス
  • 同じエリアに1台のトラックで納品できる・・・物流コスト

しかし、ドミナント戦略のメリットを最大限に活かすためには、的確で素早いデータ管理が重要です。

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