サイト内の現在位置

デジタルで資産運用を身近に “Orchestrating”が出発点 NECとAvaloqのシナジー

「貯蓄から投資へ」の掛け声のもと新NISAがスタートした2024年、日本。投資をより身近に多くの人が活用できる社会にするため、NECは近年、デジタルファイナンス(DF)領域への注力を、組織的かつ戦略的に深化させています。2020年には世界のDF領域の先駆的存在だったスイスの大手ソフトウェア企業AvaloqがNECグループの一員に。この4年間に、両者のシナジーは確実に新しい次元にステップアップしています。もともとは、デジタルの力で新しい信頼の形をデザインし、社会価値を創出するとの、NECが掲げるPurpose(存在意義)との共鳴をきっかけに始まりました。

「社会価値を創る」「富を民主化する」両者が共鳴したコトバ

「もともと、NECとAvaloqには、ある共通のコトバがあったんです」。NECからAvaloqに出向し、両者のシナジー創出戦略をリードする宗大(そう・ひろし)は打ち明けます。「それが、シナジーの出発点でもありました」。

Orchestrating a brighter world── NECのPurposeの冒頭に掲げられたメッセージです。「世界の人々と協奏して新たな価値を共創し、豊かで明るい暮らし・社会・未来を創り上げていく」というNECグループの強い意志が込められた言葉です。

Our mission is to orchestrate the financial ecosystem and democratize access to wealth management. ──Avaloqが掲げるミッションです。共通するのはorchestrate。Avaloqも新たな価値の共創をめざし、「富の民主化」を追求しています。「富の民主化」とは、かつて富裕層だけが受けていた手厚い資産管理のサービス(ウェルスマネジメント=WM)を、デジタルを活用して誰もが受けられる社会にすること。WMソフトウェア市場で成長を遂げたAvaloqは、欧州シェア1位、アジア太平洋地域(APAC)シェア2位を誇ります。

生体認証やデジタル領域でトップクラスの技術を持つNECグループにおいて、政府系と金融系などビジネス面での連携においてAvaloqとの相乗効果を期待されたのはもちろんですが、出発点にはこの「共通のコトバ」がありました。

セールスでもオペレーションでも実績 新たな市場を開拓へ

この4年間で、連携は着実に深まりました。具体的な取り組みをみてみます。マーケティング領域でもセールス領域でも、お互いのリソースを活かしたり、強みとする市場へのリーチを分析したうえで補完しあったりしています。例えばA銀行のIT部門はもともとNECが得意、ウエルスマネジメント部門や企画部門はAvaloqが近しい…といった具合です。NECグループ現地法人の営業力を活かして案件がとれればその営業活動に対してAvaloq側が報酬を支払うケースもあります。

NECの現地の営業力が後押しとなって達成したのが、2022年5月に公表した台湾のMega Bank(Mega International Commercial Bank)、のプライベート・バンキング事業拡大のため、Avaloqのプラットフォームを提供する案件です。また、日系バンクを親会社に持つセキュリティバンクに対し、NECグループの信頼感を活かして成し遂げたケースもあります。2024年2月、フィリピンの大手民間銀行Security Bank CorporationとAvaloqが新たな戦略パートナーシップを締結したのもその一つです。

「オペレーション」のシナジーとしては、2024年2月に本格稼働した一例があります。もともとAvaloqはアジア圏で4金融機関にSaaSでのサービス提供を行っており、そのサービスの一部であるネットワーク監視サービス業務を、シンガポールにあるNECグループ拠点に任せることになりました。24時間対応が必要なシステム監視や一次対応のサポートは、Avaloqより人員規模の大きいNEC側でカバーした方が双方に効率的な形となり、運用の安定とコスト削減につながりました。現時点ではアジア圏のみですが、運用が安定すれば欧州圏の顧客へのサービス展開も視野に入れています。

NEC Command Centre

長年の信頼×若いブランド力=価値面積の拡大へ

かつては傘下に収めた企業とNECグループがシナジーを創出する前例は、多くはありませんでした。宗によると、「この4年間で様々な部門やメンバーとの地道な話し合いを積み重ねてシナジーを深化させ、今はAvaloq側からの新たなシナジーの可能性の提案は珍しくなくなった」といいます。背景にはシナジーへの手ごたえがあり、それは、もともとAvaloqがめざしていた「富の民主化」にもつながっています。

フィリピンのパートナーシップの例では、Avaloq APAC & MEAマネージングディレクターのパスカル・ウェンギは「フィリピンの低所得層の人たちに金融市場へのアクセスを提供するという価値提案ができた」と、幅広い層へのアプローチへの期待感を語ります。

宗大(左)とパスカル・ウェンギ

Avaloq側からNECとのシナジー創出をリードしてきたパスカルは、NECがもたらした価値をこう語ります。「NECは長年にわたって多くの市場に進出してきた。例えばサウジアラビアに行ってもすぐ認めてもらえるのは驚きです」。そのうえで「NECの長年かけてつくり上げてきた存在感と、Avaloqがもつ金融業界の若いブランド力。この組み合わせは市場に強力な提案をすることになる」と力を込めます。

双方の営業力、ブランド力、技術力、ソリューション、サービス──組み合わせは無限にあり、かけあわせれば「オールNEC」の価値面積が最大化できる。Orchestrating a brighter world──NECのPurpose実現に向けたシナジーはDFを通して世界を照らしていきます。

関連リンク