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希少なトンボの保全からAI農業支援まで NECの取り組み、COP15で世界へ発信
2023年3月16日

「ネイチャーポジティブ」という言葉が今、注目を集めています。「自然の損失を食い止め、回復させること」という意味です。NECグループもICTソリューションを通した事業から地域の生物保全活動までネイチャーポジティブ実現に向けた様々な活動を行っています。こうした取り組みについて、2022年12月、世界に向けて発信しました。その場は、カナダのモントリオールで行われた生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)。COPのビジネスイベントで発信した社員の言葉とNECの取り組みを紹介します。
ICTソリューションを発信 「実証事業を一緒に」と関心
COP15は生物多様性について話し合う国連の会議で、12月7日から19日の間に190を超える国と地域が参加しました。2030年までに世界全体の陸地と海で30%以上を生態系保全地域とする「30by30」という目標などが採択されています。生物多様性の損失を食い止めるだけでなく、回復を目指すことの重要性が改めて確認されました。
節目となるこの会議に、NECのサステナビリティ推進部から石本さや香が参加しました。「普段の仕事では知り合う機会のない国際機関や様々な国の代表団の方々との意見交換を通じて、世界の動向や民間企業に期待することなどリアルな情報を収集できました。さらに、NECの取り組みに興味を持ってもらい、実証事業を一緒にやらないかと声を掛けてもらいました」と石本は話します。
NECは、ICTソリューションを通じてネイチャーポジティブに貢献することを目指しています。今回参加した目的の一つも、世界の環境課題に対してICTが持つ可能性を示し、ICTソリューションの開発加速につなげることです。
今回は、NECの事業の一つとして、センサーや衛星写真を活用して土壌の状態を可視化し、さらにAIを活用した営農アドバイスを行うICTソリューション「CropScope(クロップスコープ)」を紹介、注目を集めました。「CropScope」は2020年に事業化し、土壌劣化の一因となる過剰な肥料の削減や水の適正利用を通じて、持続可能な農業に貢献しています。


四つ池での生物保全活動も発信 実証実験の場としても活用
NECが力を入れている我孫子事業場での生物保全活動も紹介しました。
2009年から事業場の「四つ池」で地元の自然保全団体と一緒に行っている絶滅危惧種オオモノサシトンボの保全活動もその一つ。アメリカザリガニなど外来生物の駆除データを蓄積して効果的な駆除活動につなげたり、人工トンボ池(ビオトープ)を作って環境を整えたりする活動が実り、毎年オオモノサシトンボを観察することができています。2021年には、絶滅危惧種ゼニタナゴを放流し、野生復帰に向けた活動もスタート。また、四つ池は生物保全に貢献するICTソリューション創出のための実証実験の場としても活用しています。
こうした四つ池での活動は、2022年に日本における30by30の取り組みとして環境省が推進する「自然共生サイト」で認定相当となり、評価が高まっています。


「小さくて泥臭い活動」からNEC 2030VISIONの実現へ
人の生活や経済活動は、自然があってこそ成り立ちます。例えばミツバチなどの昆虫を「花粉の運び屋」とするなど自然の活動をお金に換算すると、世界のGDP(国内総生産)の半分にあたる約44兆ドル(約6000兆円)が自然に依存しているという試算もあります。こうした中、「ネイチャーポジティブ」の実現が注目を集め、COP15でも焦点になりました。
NECは「NEC 2030VISION」で「地球と共生して未来を守る」を掲げており、NECだからこそできるICTソリューションの開発を行い、事業活動を通してネイチャーポジティブに貢献していくことを目指しています。これは、NECのPurpose(存在意義)として掲げる「誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現」につながります。
COP15に参加した石本は活動の意義について、こう強調します。
「1つの種が絶滅することがどういった影響を及ぼすのか、誰もわからないからこそ、気候変動と同じように、手遅れになる前に生物の保全にも取り組むことが重要になります。一つ一つの保全活動というのは小さく、泥臭く、手間のかかる作業であることも多いです。ただ、それを継続的にやっていく、継続を支援していくことが、巡り巡って、私たちが生きている地球を守ること、そして人々の暮らしを守ることにつながるはずです」
