Japan
サイト内の現在位置
デジタルヘルスケアにおけるビジネス創出
ヘルスケア業界におけるデジタル化の流れ
ヘルスケア業界は、少子高齢化、人口減少といった人口構造の変化に伴い、医療費高騰、医師不足、過疎化による医療格差の医療課題に直面しています。課題に対して、政府の医療費適正化、オンライン診療制度などにより医療サービスの効率化・均整化を図った持続可能な医療提供が求められています。また新型コロナウイルスの蔓延により、人々は非対面・非接触を基本とした生活スタイルを余儀なくされ、感染症リスクに対しての自己責任化が広まっています。医療機関への訪問に慎重になるため、病気の発症や悪化を未然に防ぐ未病・重症化予防ニーズが拡大し、人々の衛生管理への関心や日常の健康維持・増進意識が高まっています。
そのような背景に対して、ヘルスケア業界として「病気にならないようにする」「健康寿命を延ばす」などの取り組む方向性があります。健康・医療・予後の各分野のヘルスケア関連プレイヤーは、既存の強みを生かして、人々の行動・健康状態の可視化、病気の予測、予防のための行動変容促進などといった新しい顧客サービス・ビジネスモデルによるビジネス化を考え始めています。ドラッグストアや生命保険などの健康分野プレイヤーは、消費者との接点を生かした健康増進サービスの提供、医療機関・製薬・医療機器などの医療分野プレイヤーは、病気を治す技術から日常生活での予防医療への展開、介護施設などの予後分野プレイヤーは、治療以外のサポートのノウハウを生かした健康な暮らしに対するケアの領域に攻め入る姿勢を見せています。
各領域で未病・重症化予防に繋がるサービス提供のためには、医療の知見に加えて生活者・患者の行動を深く知ることが重要です。生活者・患者のデータを集める、管理する、利用する各々のプレイヤーで生活者・患者中心のエコシステムを形成していくことがポイントになります。ヘルスケアエコシステムとして潮流に乗りながら的確に対応することで、持続的な医療・介護サービス提供が可能かつ人々が健康であり続けるヘルスケアの実現が期待されます。プレイヤーの中でも、疾患治療メカニズムに精通した製薬メーカー、医療・生活との両側面を持つドラッグストア・調剤薬局は、未病・重症化予防ニーズに対応しやすいため、デジタルを使った新しいサービスを提供しやすい業態と考えます。
製薬メーカー
製薬メーカーは、画期的な新薬開発に加え、AIや遺伝子による疾患予測、疾患管理や行動変容による重症化予防など、既存の医薬品製造ビジネスのデジタル化と共に直接的に医薬品の製造販売に関わらないデジタル化に取り組む方向性が考えられます。
その中でも重症化予防は生活に深く関連があるため、行動データの分析による行動変容の把握が重要になります。しかしながら製薬メーカーは生活者との直接的な接点がないため、病気になる前の生活行動との因果関係を紐解くデータ取得施策が不可欠です。その上、サービス提供にあたっては行動変容に繋がるメカニズムやサービスデザインのノウハウも必要になります。疾患に繋がる行動データをいかに獲得するか、重症化予防に向けた行動変容をどうやって促すか(アドヒアランス向上)を主眼に置いた顧客体験をデザインしていくことになります。
既に顧客接点を持っているコンシューマーサービサーと連携(買収含む)して、デジタルセラピューティクス提供など、製薬メーカーが価値提供できる領域からアプローチしていきます。
ドラッグストア・調剤薬局
ドラッグストア・調剤薬局は、人々の健康をトータルでサポートする「地域の健康拠点」を目指しています。そのための取り組みとして、顧客一人ひとりに合わせたヘルスケアプランニングなどの健康サービスや、既に取り組まれているオンライン調剤・服薬指導、介護相談などの医療・介護サービスがあり、これらのサービスで獲得した顧客情報を活用して医薬品・日用品の売り上げ拡大が見込めるビジネスになります。
多くの商材・サービスを扱える強みがある反面、サービス毎にデータがサイロ化しているため、調剤データと小売りなどのデータが連携できていないケースが多く、データ連携によるビジネス拡大の余地が多くあると言えます。あわせて今後医療機関データが活用可能になることが想定されるため、外部データ連携を含めたデータ活用の仕組み整備よって既存ビジネスのみならず、新たなヘルスケアサービスの創出が期待されます。
医療機関のデータ活用は長期化が見込まれるため、足元では顧客接点毎に獲得したデータ連携による既存サービスの顧客体験向上と、自社会員組織に入会していない既存顧客のアクティベーションによってビジネスを拡大しつつ、調剤データを軸としたデジタルヘルスケアサービスを展開していきます。
お問い合わせ