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NEC 生体認証技術を知る【応用編】
集合住宅から不特定多数が出入りするビルまで
さまざまな局面に活躍の場が広がる顔認証

身体的特徴を使って本人を特定する生体認証。中でも特別な操作が不要で、利便性の高い顔認証の利用が進んでいます。多くの人が集まるイベント会場の入口などでも使われ始めており「どのように瞬時に認証しているの?」「本当に認証しているの?」と不思議に思っている人もいるかもしれません。今回の「応用編」では、バイオメトリクス・ビジョンAI統括部 ディレクターの師岡宏典が、顔認証が活躍する具体的な活用シーンを解説します。さらに、より本人確認を厳格に行う際などに有効な虹彩など複数の生体認証を組み合わせた「マルチモーダル生体認証」の展望を語ります。

体調や経年変化の影響を受けにくく非接触で利用可能な顔認証

NEC
バイオメトリクス・ビジョンAI統括部
ディレクター
師岡 宏典

お客さまのビジネスにおける課題に対し、NECの生体認証技術を用いた解決策の提案や製品・サービスの企画を担う師岡。お客さまと直接会って生体認証に関わる相談を受ける機会も多いと言います。

「そのなかでも最近増えているのが、これまで利用していた指紋認証や指静脈認証に代えて、顔認証を導入したいという相談です」(師岡)。

すでに広く普及している指紋認証や指静脈認証は、指の状態や体調の変化が認証精度に影響するというデメリットがあります。一方、顔認証は体調による影響を受けにくく、加齢による顔の経年変化などの条件下でも高精度の認証が可能な点が特長です。

こうした特長に加え、非接触の認証方式であることも、アフターコロナの時代に顔認証が注目されている理由の一つです。ビルなど不特定多数の人が利用する施設に入る際、認証デバイスに指を当てたり、タッチキーで暗証番号を入力したりせずに済む顔認証は、感染症対策にもつながります。

子どもに鍵を持たせる不安を解消 集合住宅でも導入が進む顔認証

集合住宅でも利用が広がる顔認証。
「例えば荷物などで両手がふさがっているときにも、顔認証によるエントランス解錠は役立ちます」(師岡)

マンションなどの集合住宅でも顔認証の導入が進んでいます。居住者の共用部エントランスや、各住戸玄関ドアの解錠に顔認証を利用すれば、両手がふさがっていても解錠できる便利さと、部外者の立ち入りを防ぐといったセキュリティ性を同時に実現できます。来客を迎える場合は、顔情報をアプリケーションなどであらかじめ登録してもらえば、マンションを訪れたときに一時的に顔認証させることができ、スムーズな入館が可能です。

共働き世帯など子どもを1人で留守番させることが多い家庭では「子どもに鍵を持たせるのは不安」という保護者も少なくないでしょう。顔認証であれば鍵を持ち運びさせる心配がなく、また子どもが自宅に1人でいるときの見守りにも役立ちます。

先述の通り、顔認証技術では、顔が経年変化しても高精度の認証が可能です。それでも「子どもは大人に比べて容貌の変動が大きいぶん、顔認証の正確性も変わってくるのでは?」と疑問に思うかもしれません。そんな疑問に師岡は「認証精度を高めるためには顔写真を撮り直し、顔の画像データを更新することをお勧めします」と答えます。

立ち止まらずに本人を確認する「ウォークスルー」顔認証

オフィスビルやイベント会場のような不特定多数の人が短時間に出入りする施設でも顔認証によるスムーズな本人確認は可能なのでしょうか。師岡はシーンに応じて「積極認証」と「非積極認証」の2パターンを使い分けることで対応可能と話します。

積極認証はあらかじめ顔画像を登録した人が認証用カメラの前で静止し、カメラに顔を意識的に向けて認証する方法です。主に、オフィスの入退室や宿泊施設へのチェックインなど、厳格な本人確認が必要な場面で使われています。

もう1つの非積極認証は、カメラに意識的に顔を向けることなく本人を確認する方法です。NECの顔認証技術を使えば、複数の人を同時に高速かつリアルタイムに認証でき、非積極認証を簡単に実現できます。

例えば、大規模なオフィスビルのエントランスでは、朝の出勤時に多くの人で混雑します。「入館のために認証端末の前でわざわざ立ち止まることなく、手早く本人認証を行いたいというニーズが高くなっています。人がビルの入口のゲートに近づくと瞬時に本人認証を行い、立ち止まることなく歩きながら通行できるウォークスルー顔認証は、利便性と安全性を両立することから注目されています」(師岡)。

NECはこのようなウォークスルー方式の顔認証を、日本の主要な国際空港の税関検査場電子申告ゲートに導入しています。まず、税関申告アプリで携帯品などの項目を入力し、QRコードを取得。キオスク端末でそのQRコードとパスポートを読み込み、顔認証で本人確認を行います。そして、ターンテーブルで預け入れ手荷物を受け取り、ウォークスルー顔認証で出口ゲートを通過する仕組みです。「顔認証により、スピーディな申告と効率的な税関検査を実現しています」と、師岡は効果を説明します。

また、セキュリティを重視するのか、または利便性を重視するのかの視点でみると、顔認証は1対1認証と1対N認証に分類することもできます。

セキュリティを重視する場合に用いられるのが「1対1認証」です。例えばオフィスの入退室に際し、顔認証だけでなくIDカードなどと組み合わせて認証します。IDカードの登録データで対象の個人を特定した上で、その個人の顔認証のデータとカメラに映った顔情報を照合します。1対1で照合した上でオフィスへの入室を認めることになるので、よりセキュアな入退管理が可能です。

一方、カメラに映った顔情報を基に、あらかじめデータベースに登録されたデータの中から特徴の近い人を見つけ出して認証するのが「1対N認証」です。事前にIDカードなどを提示する必要がなく、顔情報だけで個人を特定できるのが特長です。事前に顔認証の利用に同意を得ていることが前提にはなりますが、例えばデパートや空港のラウンジなどの入口でVIP顧客を見つけ出し、特別な「おもてなし」をするといった際に1対N認証が役立ちます。

高精度・高セキュアの「顔・虹彩マルチモーダル生体認証」

企業ではセキュリティの強化が課題になり、より高精度な認証方法への需要が高まっています。こうしたなか、注目を集めているのが複数の生体認証を組み合わせる「マルチモーダル生体認証」です。師岡はNECの「顔・虹彩マルチモーダル生体認証」について、「顔、虹彩(左・右)の3つの生体情報を掛け合わせることにより、誤認証率が1/100億以下の高精度を実現しています」と強調します。

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他の認証方式と比較した、顔・虹彩マルチモーダル生体認証の特長

虹彩は認証精度に優れるものの認証対象である部位が小さいため、従来技術では利用者がカメラを覗きこんだり、体を屈めたりする必要がありました。NECでは、利用者の身長に合わせてカメラが上下に動くシステムを開発。虹彩の情報を捉えやすくすることに加え、利用者の認証時における負担を軽減し、使い勝手を大幅に向上することに成功しています。

顔・虹彩マルチモーダル生体認証は、なりすましなどを防ぎ、高セキュリティが要求されるさまざまなシーンで活用され始めています。例えば、防塵服とマスクを着用して入室するクリーンルームでは、IDカードや紙の台帳への記入による入室管理が困難です。そのような場合に、顔・虹彩マルチモーダル認証を利用すれば、作業者の利便性を高めるとともに、なりすましなどの不正入室の防止が可能となるわけです。

また、大規模イベントのグッズ販売ブースや飲食コーナーの売店では、顔・虹彩マルチモーダル生体認証を用いた決済の実証実験を実施しています。あらかじめ本人の顔・虹彩の画像とクレジットカード情報を登録し、決済時にその情報と本人の生体情報を照合して認証する仕組みです。

「誤認証はなく、タッチレスで決済できるので便利だったと好評でした」(師岡)。

顔認証の認知度は3合目、これからますます広がる

ここまで紹介したように、顔認証をはじめとした生体認証技術の活用シーンは広がりをみせてはいるものの、師岡は、「山登りでいえば、認知度はまだ3合目くらいです」と、さらなる普及の可能性を感じています。

生体認証技術の導入検討時には、その精度に加え、ビジネスにおける実績が豊富なソリューションであるかどうかがポイントです。NECの生体認証技術とソリューションは、さまざまな用途で世界約70の国と地域で利用されている実績があります。

今後もNECでは、「より使いやすく、社会やビジネスの課題解決になるような生体認証技術を目指します」(師岡)。

(2023年3月24日掲載)

3分でわかる!生体認証/顔認証