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意図学習
NECの最適化AI~判断センスをモデル化し再現する意図学習~
意図学習は、暗黙知に基づく意思決定をホワイトボックス化し、業務自動化を実現する技術です。ヒトは様々な観点や条件を考慮し、頭の中の採点基準に従って意思決定を行っています。従来、このような業務を自動化するためには人手による膨大な試行錯誤が必要でした。この意思決定基準を、過去のすぐれた事例データから学習するのが意図学習です。意図学習により、熟練者と同様の意思決定の再現が可能になります。

意図学習の利用に必要なデータとは、「どのようなときに(状態)どんな意思決定を行ったのか(行動)」を表す「状態データ」と「行動データ」がセットになったデータです。これをもとに学習できる意思決定基準とは、「どの観点(意思決定時に考慮したい様々な事項)をどれだけ重視するか」をまとめて指標化したものであり、「各観点の重み×各観点の指標」を足し合わせた形で表現されます。この意思決定基準に従って最適化を行うことで、業務自動化を実現します。
NECの強み
少ないサンプル数のデータにも適用できる
予測分析やディープラーニング系の技術ではビッグデータが必要になりますが、意図学習ではたった1例しか学習事例がなくても動かすことが可能です。
組合せ最適化問題に適用できるのは意図学習のみ
世の中の意思決定業務の多くは、何かの最適な組合せを決めるものです。(例:人とタスクの組合せを決めるタスクアサイン業務)このような「組合せ最適化問題」において、過去の熟練者の判断履歴から学習・再現するアプローチができるのはNECの意図学習だけです。
もちろん、意図学習は組合せ最適化問題に限らず、さまざまな最適化問題に適用可能です。
ホワイトボックス型AIで解釈性が高い
「各観点の指標×その重視度」という理解しやすい形で学習結果が得られるので、暗黙知を定量的に把握できます。また、学習した重みづけを人手で修正することも可能で、「もしこの指標をより重視するように変えたらどうなるのだろう?」と試行錯誤する、などの使い方ができます。これによって、現状の把握・再現だけでなく、より良い意思決定基準の探索にも活用できます。
期待できる効果
意図学習は、意思決定をホワイトボックス化し再現することで、業務自動化を実現します。
「頭の中の基準」の可視化
意思決定の加速
意思決定の品質の底上げ
ユースケース
<Case 1> 発注自動化
熟練者は、売上予測結果をそのまま発注指示に用いるのではなく、予測のブレによる影響を極力吸収したり、欠品リスク・廃棄リスクを考慮したり、あるいは棚一杯に陳列することによる購買促進効果などの複雑な狙いも加味して発注量を決定しています。そのような発注事例から発注の意図を学習することで、日々の状況や店舗の状況に合った発注を提案できます。
[制約条件※] 発注量は0個以上/発注に使える予算内に収める/ 商品Aは6個単位で発注 など
※意思決定時に必ず満たしたい条件
[観点※] 利益額を大きくする機会損失/廃棄ロスを少なくする/ 棚一杯に陳列する/新商品は多めに発注する など
※意思決定時に考慮したい様々な事項
効果:廃棄や欠品のトレードオフを考慮しながら日々の発注量を決定でき、利益水準の向上と発注工数の削減ができます。

<Case 2> 生産計画
生産計画の作成は、負荷が高く、属人化されやすい業務です。生産ラインの状況や生産品の特性によっても意思決定基準が異なってくるため、一般に自動化困難な領域ですが、意図学習であれば、その企業・その工場での過去の適切な生産計画事例から学習することで、それぞれの状況に合わせた生産計画を自動で提案できます。
[制約条件※] 計画量は必ず達成する など
※意思決定時に必ず満たしたい条件
[観点※] 工場稼働率を上げる/同じ製品はまとめて生産する /利益貢献度の高い品目を優先して作る /設備稼働コストを抑える など
※意思決定時に考慮したい様々な事項
効果:モデル工場の生産計画立案のノウハウを他の工場へも容易に展開可能。その結果、既存業務の負荷軽減だけでなく事業拡大や生産網全体での計画品質の底上げできます。

<Case 3> プラント運転制御
プラントの各種設備では熟練者の経験に基づいて絶妙なパラメタ設定がされています。試行錯誤に多大な労力を要するだけでなく、マニュアルでは伝えきれない能力継承や品質の平準化が課題となります。意図学習を使えば、そのような熟練者の操作履歴データから意図を学習することで、煩雑な試行錯誤なしに、熟練者の制御を再現できるようなパラメタを自動で設定できます。
[制約条件※] 生産機械によって規定されるパラメタ上下限 など
※意思決定時に必ず満たしたい条件
[観点※] 温度/圧力/水分量 など
※意思決定時に考慮したい様々な事項
効果:熟練者の運転操作ノウハウがデータから抽出・継承・再現可能になり、生産品質の向上及び平準化とともに、運転操作の試行錯誤にかかる工数が飛躍的に圧縮できます。

想定される適用範囲





様々な観点や条件を考慮する必要がある意思決定業務の生じる領域では、どこでも活用が可能です。
何かの組合せを決める意思決定(このような意思決定を「組合せ最適化」といいます)や、プラントの「制御」など、最適化問題としてとらえられるあらゆる意思決定業務が適用対象です。
例:
- 小売・サービス業(発注自動化、勤務シフトスケジューリング、棚割案の作成、商品提案自動化)
- 製造業(生産計画、在庫計画、プラント制御)
- 交通・物流(配達ルート計画、ダイヤ修正、倉庫レイアウト)
- 建設(工事編成計画)
- メディア(テレビCMスケジューリング、配信記事のパーソナライズ)
- その他 人材配置計画、デジタルマーケティングのパーソナライズ等
NECのコア技術 : 意図学習技術
近年、組合せ最適化や強化学習に代表される最適化ツールが注目されています。最適化ツールの活用によるさまざまな業務の自動化が期待されていますが、対象業務における「何をもって最適とするのか」という目的関数の設定には人手による試行錯誤が必要であり、最適化の導入コストは非常に高くなっていました。
NECの意図学習技術は、最適化指標の設定に試行錯誤が必な属人的な業務においても、業務ログデータからその背後にある意図を学習し目的関数を自動で定式化することで、最適化の導入コストを飛躍的に削減します。
意図学習技術は、NEC独自の逆強化学習技術をそのコア技術としています。
強化学習では、設定した報酬関数(最適化における目的関数、すなわち意思決定基準に対応)を最大にする行動を探索し、各状態に対する最適な行動を算出する手段(方策関数や価値関数)を学習します。逆強化学習はその逆で、行動軌跡(状態と行動の時系列データ)から、それが最大化している目的関数を学習するものです。
意図学習技術は、従来の逆強化学習では困難だった、組合せ最適化への適用や、複雑な最適化指標をその意図が解釈可能な形で学習することを可能にしています。特に、組合せ最適化へ適用可能になったことの効果は大きく、これによって図2のような組合せ最適化問題に対応するさまざまな業務の自動化に寄与できます。
関連事例
関連リンク
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